世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

日本維新の会は自民補完勢力どころではない 国家をグローバル資本に捧げる政党だ!

2013年03月31日 | 日記
脱資本主義宣言: グローバル経済が蝕む暮らし
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●日本維新の会は自民補完勢力どころではない 国家をグローバル資本に捧げる政党だ!

 そもそも、政界に影も形もなかった橋下徹と云う男が、大阪府知事になった程度までは、横山ノックが府知事になったくらいの大阪だから、さもありなん、と思っていたが、急遽、府知事から、大阪市長に転身と云う離れ業をした辺りから、この男は国政に向かって脚光を浴び始めた。先の衆議院選直前には、既存権益を謳歌して生きてきたファッション右翼の石原慎太郎と組む事で、大衆の耳目を集め、国政の舞台で前衛劇を演じる様は奇異であった。しかし、閉塞と退屈と鬱屈に満たされた国民は、彼らに一定の支持を与えてしまった。

 その日本維新の会は30日に党大会を開き、党の新しい綱領や規約を採択した。以下が「日本維新の会」の綱領の要旨である。よく読むと判るのだが、重要なことは、彼らが大阪都構想からスタートした、統治機構の急進的改革を目指すと云う動きは、官僚行政が持つ裁量権の幅を縮小させて、政府の過剰な関与を見直し、自助、共助、公助の範囲と役割を明確にする等と言っているが、何ということはない、市場原理の渦の中に、国家と国民を放り込み、その行方は国民の自己責任だと言っているだけである。

≪ 維新綱領の要旨  日本維新の会が30日決定した綱領の要旨は次の通り。
 日本維新の会は、都市と地域、個人が自立できる社会システムを確立し、世界で常に重要な役割を担い続ける日本を実現する。  わが国の歴史と文化に誇りを抱き、良き伝統を保守しながらも、多様な価値観を認め合う開かれた社会を構築する。地域や個人の創意工夫、自由な競争で経済と社会を活性化し、賢くて強い日本を構築する。
 日本が世界で名誉ある地位を占めることを実現する。 価値を共有する諸国と連帯し、世界の平和に貢献し、文明の発展と世界の繁栄に寄与する。  国家再生のため、決定でき責任を負う民主主義と統治機構を構築するため体制維新を実行する。  基本的考え方
 (1)日本を孤立と軽蔑の対象におとしめ、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる  
 (2)自立する個人、地域、国家を実現する  
 (3)官の統治による行政の常識を覆し、自治・分権による国家運営に転換する  
 (4)勤労世代を元気にし、世代間の協力、信頼の関係を再構築する  
 (5)国民全員に開かれた社会を実現し、教育、就労の機会平等を保障する  
 (6)政府の過剰な関与を見直し、自助、共助、公助の範囲と役割を明確にする  
 (7)公助がもたらす既得権を排除し、政府は真の弱者支援に徹する  
 (8)既得権益と闘う成長戦略により、産業構造の転換と労働市場の流動化を図る≫(時事通信)

 中央集権から地方主権への統治支配の改革など、一部で小沢一郎の政治理念と重なる部分はあるが、橋下らの「中央集権から地方主権への統治支配の改革」は羊の仮面であり、仮面を剥がした後には「市場原理主義集団」が自由気ままに動き回れる市場を提供しようと云う目的に過ぎない。石原の方の考えは判らないが、橋下のミッションは、国際金融勢力に市場原理で動く日本市場の提供である事は、ほぼ間違いがない。そのように考えないと、マスメディアが橋下徹に意図的にスポットが当たる報道に終始する筈がないのだ。

 日本維新の会の基本的考え方の「(8)既得権益と闘う成長戦略により、産業構造の転換と労働市場の流動化を図る」などは、基本的考えと云うよりは、個別の政策に言及しているような稚拙さで、付け足した印象だ。つまり、竹中平蔵の考えに呼応して、勤労者を家畜かロボット乃至は資本主義の部品にでもしようと云う試みなのである。「労働市場の流動化」が新たな産業を育たせる原動力だ、と怪しげな新興宗教の教祖が言うわけだが、「中央集権から地方主権への統治支配の改革」と云う仮面同様のロジックである。

 「労働市場の流動化」とは、アベノミクス御用達の「産業競争力会議」のメンバーである竹中・三木谷・榊原・岡ら、市場原理主義学者や経営者による「陰謀会議」のようなところで、判例で確定している労働者の最期の砦(企業の解雇権の濫用を禁止する判例)を僅かな金銭で葬ろうと試みられている。その「労働市場の流動化」を日本維新の会は、わざわざ「基本的考え方」に入れたのだから、安倍自民以上に、「労働市場の流動化」が重要政策だと白状している。

 早い話が、グローバル経済化による基本的メカニズム、賃金のコストダウンを目指しているわけである。年収800万~1000万クラスの中間層の勤労者を300万程度の収入の職に追いだそうと云うことに他ならない。その解雇の際、1000万円程度の解雇補償金を支給する事で、社員の解雇を合法化させる法律を立法しようと云うのだ。移るべき次なる産業との賃金ギャップは年収で500万はあるだろうから、解雇された勤労者は、たった2年で、中間層から貧困層に落ちていくことを保証するようなグローバル市場原理の理念である。

 結局、大阪都構想、道州制、統治機構改革(霞が関改革)も市場原理主義を強化する道筋であり、単なる羊の仮面に過ぎないようだ。つまりは、「日本維新の会」の目的は、国際金融資本勢力や市場原理主義の淘汰の原理で、強者・弱者と云う「極」を明確化させようと云う政党に過ぎない事実を晒している。その点では、みんなの党も似たりよったりなのだろう。この二つの不鮮明な体質を持つ二大野党は、米国依存症の自民党の補完勢力と云うよりも、自民の米国依存症を米国隷属症に引っ張り込む勢力(政党)だと考える方が妥当だ。

橋下徹と石原慎太郎 日本維新の会の陰謀 (別冊宝島 1928 ノンフィクション)
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