世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●何が起きている? ナチス・バイエルが悪魔モンサントを買収

2016年09月20日 | 日記
遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実 (私たちはどのように騙されてきたのか?)
クリエーター情報なし
日経BP社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●何が起きている? ナチス・バイエルが悪魔モンサントを買収

 筆者は、特に遺伝子組み換え種子や食品に神経質なタイプではないが、「モンサントの遺伝子組み換え作物、EUから“ほぼ”撤退!」と云う記事を数年前に読んだ記憶があった。EUは流石に、自然農法を大切にしようとしているのだな。まあ、短絡的に、その程度の印象で捉えていたが、どうも話は複雑なようだ。EU中核国であるドイツの種子関連企業であるドイツ・バイエル社が、あの枯葉剤やラウンドアップで悪名高き“米モンサント社を買収した!?”と云うのだから、頭の芯がしびれる。面倒だが、多少調べることにした。このビックリポン・ニュースは以下の通り。

≪ バイエル:モンサント買収で合意、4回目提案で-6.8兆円規模
 合意はモンサント株を総額560億ドルと評価 ・買収は2017年末までに完了の見込み ドイツの製薬会社バイエルは米モンサント買収で合意した。買収の規模は全体で660億ドル(約6兆8000億円)となる。4カ月にわたる交渉が実を結び、世界最大の種子・農薬メーカーが誕生する。
 バイエルはモンサント株1株当たり現金128ドルを支払う。13日のニューヨーク市場のモンサント株終値に21%上乗せした水準。競争法違反を理由に当局が合併を承認しない場合、バイエルは20億ドルの違約金を支払う。  
 1年前には少なくとも6社が競い合っていた世界の穀物・種子業界は、両社の統合後にプレーヤーがわずか4社に減る。
 バイエルは買収代金を借り入れと増資で賄う。約190億ドルの株式部分は強制的転換社債の発行と株主割当増資で調達する。バンク・オブ・アメリカ (BofA)とクレディ・スイス・グループ、ゴールドマン・サックス・グループ、HSBCホールディングス、JPモルガン・チェースが570億ドルのつなぎ融資を提供する。
 この案件でバイエルのアドバイザーはBofAとクレディ・スイス、ロスチャイルド。モンサント側はモルガン・スタンレーとデュセラ・パートナーズ。
  バイエルは5月に1株当たり122ドルで買収を提案し、7月に125ドルに引き上げた。モンサントはいずれも拒否したもののバイエルにデューデリジェンス(資産査定)を認め、バイエルが先週127.5ドルを提案。最終的に128ドルでの合意を引き出した。
 モンサント株を総額で約560億ドルと評価するこの買収は、完了後最初の通期のコア1株利益に寄与するとバイエルが発表。完了は来年末を見込んでいる。統合後の種子事業の本部は引き続きセントルイスに置く。  ≫(ブルームバーグ)


 “velvetmorning blogさん”のサイトで、手厳しく、この買収劇に関しての解説ブログを展開しています。たしかに、過去にナチスのお抱え企業であったバイエルと、モンサント買収ですからね、悪の臭いプンプンなわけですが、単なるグローバル経済上のマーケット独占を狙う、ドイツのえげつなさだけなのかもしれないわけだが、真相は定かではない。どんなに酷い歴史的経緯を持った企業同士の結びつきかは、“velvetmorning blogさん”の情報を読んでみましょう。 ただ、現時点で言えることは、過去は過去、現在はどうなの?と云う視点も忘れてはいけないのだろう。

≪ ナチスの中核企業だったバイエル社が、遺伝子組み換え食料支配の根幹企業であるモンサントを買収
様々な出来事が起きている昨今ですが、どでかいニュースが入ってきました。
  あの、ナチスドイツの中核企業(毒ガスの95% 、爆発物の84% 、火薬の70%を生産していた)でヘロインの生みの親であるバイエル社が、モンサント社を買収したようです。
 以下引用
“バイエルがモンサント買収で合意、660億ドルに引き上げ ロイター 9月14日(水)21時4分配信 ”
 9月14日、独医薬品・化学大手バイエルは、米農業関連・種子開発大手モンサントを1株当たり128ドルで買収することで合意したと発表した。 [ニューヨーク/フランクフルト 14日 ロイター]

 “独医薬品・化学大手、バイエル<BAYGn.DE>は14日、米農業関連・種子開発大手、モンサント<MON.N>を1株当たり128ドルで買収することで合意したと発表した。”
 債務を含む買収総額は約660億ドル。1株当たりの買収提案額をこれまでの127.50ドルからさらに引き上げ、ようやく合意にこぎつけた。
 提案額は、書面で初めて提案を行う前の5月9日のモンサント株価に44%上乗せした水準という。買収は2017年末までに完了する見通しで、違約金は20億ドル。
 買収資金は債務と株式の組み合わせで賄う方針で、株式部分に関しては強制転換社債と株主割当発行を通じて約190億ドルを調達する。金融機関が、570億ドルのつなぎ融資を行うという。
 バイエルは今回の買収で、手続き完了後の1年間に1株当たりの中核的利益を押し上げるほか、押し上げ効果は3年目に2桁%に達すると見込んだ。
 バイエルに出資するユニオン・インベストメントのファンドマネジャー、マーカス・マンズ氏は「バイエルの競合他社が経営統合を進める中、今回の買収合意がなければ、(バイエルは)競争上不利な立場に置かれる」と語った。
 ただ、買収には紆余(うよ)曲折を予想する声も聞かれる。
 米国やカナダ、ブラジル、欧州連合(EU)などの規制当局が時間をかけて、買収を精査する公算が大きい。モンサントのヒュー・グラント最高経営責任者(CEO)は14日、買収承認申請を約30地域で行う必要があるとの認識を示した。
 バイエルの一部株主は買収提案額が高すぎて、自社の製薬事業軽視につながる恐れがあるとして、警戒感を示す。  Baader Helevea Equity Researchのアナリスト、ジェイコブ・スレーン氏は、バイエルの投資判断を「売り」とした。買収額が来年のモンサントの中核的利益見通しの16.1 倍に達すると指摘。中国化工集団(ケムチャイナ)のシンジェンタ<SYNN.S>買収合意額の15.5倍を上回るという。
 バーンスタイン・リサーチのアナリストらは、規制当局が買収を認める確率は5割と予想。投資家を対象にした一部調査では平均7割となっていることも指摘した。
 同社アナリストらは調査メモで、供給業者が経営統合を進めることに農家が不満を示すなど、政治的な抵抗に直面すると予想した。
 14日の取引で、バイエルの株価終値が0.27%高の93.55ユーロ、モンサントは0.62%高の106.76ドル。 以上引用
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160914-00000085-reut-bus_all

 この買収ですが、どこが金出したのか? バイエル社のサイトに出ていました。

―以下引用―
 ドイツ レバクーゼン、2016年7月14日― 過去数週間にわたって、ドイツ・バイエル社(以下「バイエル」)は、米国モンサント社(以下「モンサント」)と非公式の話し合いを重ねてきました。追加情報を入手した後に、バイエルは、モンサントの株主に対する全額現金による買収提案を 1株あたり122USドルから125USドルに引き上げることを7月1日付で口頭で伝え、更新した提案を7月9日付でモンサントに提出しました。
さらに、今回の提案はモンサントからの資金調達と規制関連の質問に対して総合的な対応をするものであり、モンサントの買収提案を完了するため、 必要な場合には、規制当局に対して明確な誓約をする用意があります。
 バイエルは、今回の提案は取引に確実性を提供し、資金調達条件には影響されないことを再確認しました。取引に必要なすべての資金を提供するに十分なシンジ ケート・ローン契約書の準備が完了し、5銀行(バンクオブアメリカ・メリルリンチ、クレディ・スイス、ゴールドマン・サックス、HSBCおよびJP モルガン)が共同引受会社となる準備をしています。 ―以上引用―
bayer.jp/newsfile/news/news-404_j.html

 5銀行(バンクオブアメリカ・メリルリンチ、クレディ・スイス、ゴールドマン・サックス、HSBCおよびJP モルガン) 毎度おなじみすぎますね。。
ドル詐欺の本体です。
ヘロインがバイエルによって販売された1898年は米西戦争の年。 ヘロインの販売と、マニフェストデスティニー(決定された未来)と言って、米国白人たちが領土を戦争によって拡大していくのは、同時に起きているのです。
 さて、ヘロインを製造・販売していたバイエルは、1925年に出現したドイツの化学産業の複合企業、IG・ファルベンの一員となる。
 この、IG・ファルベンは、ナチスドイツを支えた中核企業である。 実際にアドルフ・ヒットラーの選挙運動への最大の資金供給団体だったことが知られています。ヒットラーおよび彼のナチス党に400,000マルクを寄付しているそうです。
 というよりも、IG・ファルベンは、ナチスドイツそのものだと言ってよい。
 ナチスドイツの軍事的戦略の中核となった企業は、ドイツのIGファルベン社だ。
 この巨大企業がどれほどの企業なのか?というと、当時全ドイツで生産されたうちの 合成ゴムの100% 、毒ガスの95% 、プラスティックの90% 、マグネシウムの88% 、爆発物の84% 、火薬の70% 、ハイオク航空機用のガソリンの46% 、人造ガソリンの33% 、を生産していたとされているのだ。
 まさに、この企業無しには、ドイツの軍事産業は全く成立しない、国家そのものといってもよいほどの企業なのである。 そして、このIGはロックフェラー系のナショナルシティー銀行(現在のシティーバンク)の融資で作られ、同系列の中核企業であるアメリカ最大の石油会社であるスタンダード石油(ニュージャージー)との合弁企業だったからである。
 そして、第二次大戦後、IGファルベンは解体され、英米の占領体制の元で、再びバイエル薬品として生まれ変わるわけです。 で、薬害エイズで再び取りざたされるようになった。
 そして、スタンダード石油=ナチスのSSをベースにCIAは作られていくのです。
 CIAが、覚せい剤の最大の大元締めなのは、ですから、根本的なのです。 ―以上引用 過去記事 ―
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2015/05/16/7635157
 ナチスの中核企業が遺伝子組み換えの食料支配の根幹企業であるモンサント買収とか、まじ笑えないわ。  ≫(velvetmorning blogより)
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2016/09/15/8190534


 まあ、“勧善懲悪もの”の方が、切り口が明快なので、わかり易いのだが、どうも、現実には、我が国も含めて、除草剤や遺伝子組み換え種子や食物、食品は、現実生産現場で使用されているし、DIYなどでも堂々と除草剤として「ラウンドアップ・マックスロード」が印刷された商品が山積みされている。裏の印刷を読むと、“モンサントヨーロッパNVアントワープ工場・ベルギーアントワープシェルデラーンB-2040”とシッカリ正体を現している。注意書きに「当社に無断で小分け又は、再製剤することを禁じます」(日本特許 NO1680242 米国特許 NO4405531)と書かれているので、日本当局も販売を承認していると云うことだ。今では、日本国内の除草剤シェアNO1に君臨している。

 正直、発がん性云々の話や、ラウンドアップ除草剤使用と種子のセット販売とか、とかく怪しさがつきまとう企業なのだが、日本政府のお墨付きがあるし、元経団連会長米倉弘昌の住友化学が提携しているのだから、日本政府お抱えに近いわけだ。同社は、歴史的経緯において、ベトナム戦争時の枯葉剤製造やダイオキシン含有製品の製造で、悪名を轟かせていたので、いまいち、企業イメージは悪い。しかし、ゆえに、その企業が製造するものは、何でも悪いと云うのも考えもので、一定の科学的検証は必要なのだろう。現時点では、是々非々相半ばで、グレーゾーンにはいるが、黒ではないと云うのが一般認識のようだ。

 現在、ラウンドアップの組み替えDNAや牛成長ホルモンを発表。そして遺伝子組換え作物に力を入れ、モンサント社の農業支配は、米国を中心にアジア・中南米にまで拡大し、GM市場では90%を占めるシェアとなっている。遺伝子組み換え・GM作物は、通常の品種の3倍と高価である。また、基本的に、GM作物は種子がならないように改良されている為、毎年同社から種子を買わざるを得ない蟻地獄に陥るように操作されていると、手厳しい批判が出ている。しかし、同社の除草剤段階では、この問題は起きていないようだ。GM市場に関しては、まだまだ未確認なことが多いので、安全評価は早計と云うのが常識的判断なのだろう。最後に、専門家のコラムを参考掲載しておく。


≪ ラウンドアップに発がん性?  簡単、わかりやすいニュースに踊らされる前に、もっと詳細をみてみよう
 国際がん研究機関(IARC)が3月20日、5つの有機リン系農薬について、評価の結果を公表し ました。殺虫剤のマラチオン、ダイアジノン、除草剤グリホサートがグループ2A「probably carcinogenic to humans(おそらく、人に発がん性あり)、殺虫剤のパラチオンとテトラクロルビンホスがグループ2B 「possibly carcinogenic to humans(人に発がん性がある可能性あり)」です。Lancet oncologyという学術誌でもニュースとして報告されました。
 とくにグリホサートは、モンサント社のラウンドアップの成分名であり、世界でもっとも多く使われている除草剤。そして、遺伝子組換え技術を用いた 除草剤耐性作物とセットで用いられています。そのため、欧米で大騒ぎとなっており、日本でも、時事通信、テレビ朝日等が報道しました。これから、ほかのマスメディアやネットメディアにも広がるでしょう。
 えっ、これらの農薬でがんになるの?
 いえ、IARCの分類や発表の意味はかなり異なります。それに、科学者の間で、IARCに対して猛批判が巻き起こっています。ところが、科学的な意味が誤解されて欧米でも報じられているのです。
 日本ではこうした場合、メディアがIARCの発表文や論文ではなく、欧米の派手なわかりやすい報道を基にして伝えることが多いので、伝言ゲームのように間違いが増幅されてしまいます。さらに、周辺情報が割愛されてしまうので、ほとんどデマに近いものになってしまったりします。
 それはよくないことなので、極力わかりやすくIARCの発表と周辺情報を解説しましょう。
 IARCは、世界保健機関(WHO)の下部機関で、化学物質や食品、ウイルス等の人への発がん性について研究し分類して発表しています。分類は、 発がん性が強いかどうか、ではなく、発がん性を示す根拠が確実にあるかどうかという“証拠の重み”で分けています。

 グループ1が 「carcinogenic to humans(発がん性がある)」、グループ2Aが「probably carcinogenic to humans(おそらく、人に発がん性あり)、グループ2B 「possibly carcinogenic to humans(人に発がん性がある可能性あり)」、グループ3「not classifiable as to carcinogenicity in humans(人への発がん性については分類できない)」、グループ4: 「probably not carcinogenic to humans(おそらく、人への発がん性はない)」です。グループ1だから発がん性が強い、続いてグループ2、というわけではないのです。

 今回、グリホサートとマラチオン、ダイアジノンが、「おそらく発がん性あり」となりました。三つとも、日本でも使われている農薬です。農家もですが、家庭用の需要がかなり多く、どれもホームセンターでも売られています。
 たとえば、グリホサートについてIARCは、「人の非ホジキンリンパ腫に対して限られた根拠があり、さらに動物実験では発がん性の明白な根拠がある」として、論文を挙げています。
 ただし、人での調査は「ケースコントロールスタディ」と呼ばれるもの。このあたりから話がややこしくなってしまうのですが、ケースコントロールス タディというのは、非ホジキンリンパ腫と診断された人たちに対して仕事や生活習慣等を尋ね、この病気にかかっていない集団の同じ質問票に対する答えと比較して、なにか違いはないか、と探る手法です。 論文を読むと、グリホサートを年間に何日使用したか、というような質問をしています。農業に従事し使用している人であれば当然、暴露量(体に取り込む量) が多いわけです。それにより、「グリホサートへの暴露量が多い人の方が、非ホジキンリンパ腫になりやすい」という結果を示しています。  
 ただし、ここでわかるのは相関関係。「グリホサートが非ホジキンリンパ腫を引き起こしている」という因果関係までは、このタイプの研究では証明できません。偶然に多いだけかもしれませんし、別の要因がグリホサートの使用量を多くし、なおかつ非ホジキンリンパ腫も招いている可能性も捨てきれません。
 それに、ケースコントロールスタディは、質問して記憶を頼りに答えてもらうので、回答が事実と異なる場合も往々にしてあります。ですので、この手法は最近では、質の高いエビデンス(根拠)としては扱われません。
 また、米国で行われている非常に大規模な農業健康研究では、グリホサート使用と非ホジキンリンパ腫増加との関連は見つかっていません。この研究は、農業者とその配偶者計8万9000人を対象に、どのような農薬を使っているかやライフスタイルなどを調査し、5年後、10年後にどんな病気にかかったか調べているもので、記憶によるバイアスがなく、ケースコントロールスタディよりははるかに質が高い調査とみなされています。ここでは、グリホサートの発がん性は今のところ、ないとされているのです。
 しかし、IARCは、動物実験で明白に発がん性が示されているのと、人の細胞を用いた実験で発がん性が示唆されるものも合わせて根拠とし、グリホサートをグループ2Aに分類しました。
 マラチオン、ダイアジノンもだいたい、グリホサートと同様で、動物試験では発がんが明白ですが、「人にがんを引き起こす」という決め手はありません。その点については、IARCも発表文書できちんと説明しています。
 もう一つ、IARCの分類を考えるうえで重要なポイントは、IARCはグループ1やグループ2Aだからといって、リスクが大きいと言っている訳ではない、ということです。このへんになるとさらに難しい話なのですが、説明を進めましょう。
 どんな化学物質やウイルス等であっても、暴露量の大小によって、体への影響、すなわちリスクは大きく変わります。当然、暴露量が多いと影響は大きく、少ないと影響も小さくなります。
 遺伝子傷害性(遺伝毒性と通常呼ばれます)を持たないタイプの発がん物質は、「大量に与えるとがんになるけれど、微量であればがんは起きない」という性質を持ちます。このような物質は、実際に摂取する時に量をコントロールし、毒性が検出できないレベルの摂取に留めることで、リスクを管理します。
 ところが、IARCは、動物に大量に与える試験で発がん性が見られたもの等も根拠にして分類を決めます。したがって、IARCの分類を基にリスクの大きさを把握し対策を講じる、ということはできないのです。
 たとえば、IARCは、アルコール飲料をグループ1のつまりは「根拠ばっちり!発がん物質」に分類しています。だからといって、WHOはアルコール飲料 を禁止しているわけではなく、現実に、私たちは量をコントロールし、アルコール飲料を飲んでいます(多く飲んで、肝臓がんになってしまう人もいますが)。  IARCは、これらの農薬について「おそらく発がん性あり」としました。グリホサートについてはさらに踏み込んで、「遺伝毒性あり」とみなしているのかもしれません。遺伝毒性ありの場合には無毒性量はなく、どんなに微量でもリスクはある、ということになります。
 しかし、同じWHOの機関であり、リスク管理のために暴露量も検討し一日摂取許容量(ADI)設定などを行っているFAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)は、これらの農薬を「遺伝子を傷害することはなく、発がん性もない」とし、量をコントロールして用いることを認めています。同じWHOの中でも、見解は分かれています。
 また各国の機関も論文等を評価し、暴露量と発がん性の関係も精査のうえで今のところ、「発がん性がない」としています。量をコントロールしながら使うために、JMPRのADIも参考にしながらADIを決定し、残留基準値を決めて、農薬としての使用を認めているのです。
 IARCの今回の発表は、これら規制機関のこれまでの見解と著しく異なることから、科学者の間でも批判がわき起こっています。とくに、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)はグリホサートの分類について、すぐに批判の声明を出しました。これは、極めて異例のことです。
 私はドイツ語は不得手なので、英語に翻訳されたものを読みましたが、IARCの分類の根拠は貧しくわずかな研究を基に判断してしまっている、と文面から怒りがにじみ出ています。
 ほかにも、英国の市民団体であるScience media centreは、科学者の批判的な意見を複数、掲載しています。
 モンサント社も即座に反論の声明を出しました。非常に強い表現で、IARCの根拠が希薄であることを訴えています(米モンサント。日本モンサントは日本語で説明し、各国の規制機関や科学者組織等による抗議のページにリンクしている)。
 一方、遺伝子組換えや農薬の反対派は、好機とみているようで、著名な料理研究家のMark Bittmanが、New York Timesに「私たちはモルモットか」と寄稿し、グリホサートの市場追放を訴えています。こんな情報も、これから続々出てくることでしょう。
 要するに、IARCの今回の分類は賛否両論。しかし、WHOのほかの機関の評価とも大きな矛盾がある、という事実は押さえておいた方がいい。これだけで「市場追放だ」と息巻くのは、科学的にはちょっと恥ずかしい行動だと思います。
 今後、各国の規制機関はより厳密にリスクについての評価を行うことになるでしょう。それらをしっかりとチェックして行くべきではないでしょうか。
 日本語では、国立医薬品食品総合研究所の畝山智香子さんの食品安全情報blogが、IARCの発表文や科学者の反応等を、細かく翻訳して紹介されていますので、こちらも必読です。
 ≫(FOOCOM.NET>専門家コラム>めんどな話になりますが>松永和紀)


誤解だらけの遺伝子組み換え作物
クリエーター情報なし
エネルギーフォーラム

応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ●転ばぬ先の杖(知恵) 一寸... | トップ | ●アンフェアで危険なヒラリー... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事