世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●人間やめれば、権力はオールマイティという印象を強めた佐川喚問

2018年03月29日 | 日記

 

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私物化される国家 支配と服従の日本政治 (角川新書)
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この国を揺るがす男:安倍晋三とは何者か (単行本)
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●人間やめれば、権力はオールマイティという印象を強めた佐川喚問

だからといって、権力者は永遠でもなく、幸せでもない。

佐川喚問の後述談として、与野党の議員や識者と呼ばれる人々から、勝った、負けた、終わった、これからだ‥等、様々な論評があるが、自由党代表の小沢一郎がサンデー毎日で倉重氏のインタビューに答えて発言しているように、この森友事件の起承転結を、国民もメディアも再確認する必要がある。

つまり、森友事件というのは、≪小沢流に整理してほしい。ポイントは三つ。第一に、なぜ財務省は森友学園に国有地を8億円余りも値引きしたのか。第二に、なぜ決裁文書に昭恵氏の介在を書き込んだのか。第三に、なぜまたそれを削るという公文書改ざんに手を染めたのか。≫ということである。

いま、自民党やその金魚の糞政党は、第三の問題を解決することで(解決はしていないが)、第一、第二の疑問点が消えたわけではないと云う事実が重要だ。小沢氏が整理整頓してくれたように、あまり枝葉末節に拘っていると、森が見えなくなると、諭しているようにも聞こえる。同じく自由党の共同代表の山本太郎が、28日の参院予算委員会で「いつ辞めていただけるんですか」と迫った理由がよく判る。

要するに、安倍晋三には、森友事件の第一と第二に関する清廉潔白を証明する必要があるわけだが、証明のしようはないだろう。この第一、二の疑念を払拭することは、国民に向かって、「皆さん、このハンカチは黒く見えますが、実は白です。段々、白に見えてきましたよね」このような芸当を、官房機密費で抱き込んだコメンテーターや三流お笑い芸人に下卑た唇で垂れ流させる積りのようだが、そこまで国民も馬鹿ではないだろう。

佐川喚問で、自民党の丸川珠代が質問していた中継画像では、政権与党のお酌姉ちゃんと、安倍グループの財務省潜入スパイとして雇われた佐川と、自民党お抱え弁護士が映っているだけだった。つまり、三人とも安倍官邸のエージェントのようなもので、悪人同士の三文芝居が白昼堂々、証人喚問の場で繰り広げられただけのことである。喚問にも糞もあったものではない。このような状況にジャスティスなど微塵もないのである。

日報問題、加計学園問題、森友問題、すべて、安倍グループと云う意味不明な相互扶助グループに近い連中が起こした事件である。もう、五、六回は政権は吹っ飛んでいるわけだが、官邸、霞が関、警察庁、検察庁、最高裁、日銀、経団連が束になって、相互扶助的に、互いの悪を見逃し合う共同体が出来上がっている。悪の見逃しは、時に、積極的悪への加担も含まれてきている。もう、安倍政権は潮時なのだろう。支持率が10%台になる前に辞任した方が身体に好いと思うのだが、それでも安倍はしがみつきそうだ(笑)。


≪<森友文書改ざん問題 安倍内閣が描く卑劣なシナリオ>
 森友文書改ざん報道を契機として、市民、野党、ジャーナリズムが安倍政権を追い詰めているが、首相は姑息な言い逃れを繰り返すばかり。「この問題は明白な総理の犯罪だ」と喝破する小沢一郎自由党共同代表に、森友政局の根源的問題と、ポスト安倍への展望を訊く。
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 2本の映画の話から始めたい。 「ペンタゴン・ペーパーズ」は、国防総省の最高機密文書をワシントン・ポストがスクープする話である。ミソは三つあった。ライバル紙であるニューヨーク・タイムズの特ダネを猛然と追っかけ、同じ文書を入手するというメディアとしての執念。また、当局からの圧力や社内の反対にめげず、掲載にゴーサインを出す女性経営者の英断。そして、政府の記事差し止め請求を一蹴した米最高裁の判決。「制限を受けない自由な報道のみが政府の偽りを効果的に暴くことができる」

 もう一本は、「ラッカは静かに虐殺されている」。シリア内戦のドキュメンタリーだ。イスラム国(IS)が制圧した北部の街ラッカで、何が起きていたか。市民ジャーナリスト集団がリスクを負いながら、残忍な公開処刑や住民弾圧の実態をスマホで世界に伝えた姿をとらえたものだ。

 前者は民主主義が世界で最も発達した先進国家での出来事であり、後者は人道危機が世界でもっとも深刻な暗黒国家で起きていたことである。プロの記者と素人記者。場所も背景も撮り方も異なる2作だが、共通に訴えかけるものがある。ジャーナリズムの役割とは、権力(前者なら米政権、後者なら1S武装権力)の監視、チェックにあるという単純な真実だ。そのためには執念と、英断と、リスクを負う覚悟が必要であることを教えてくれた。

 今回の朝日新聞の森友文書改ざん報道も、その文脈の延長線上にある、いい仕事であった。米判決ではないが、まさに、報道の自由ゆえに政府(安倍晋三政権)の偽りを効果的に暴くことができた、といえる。

 この稿で登場願う小沢一郎自由党共同代表とはそのへんから話をスタートさせた。

 朝日が頑張りましたね。

「ずっと目を付けてて、懸命に取材したんだろう」

 安倍vs.朝日戦争の側面では朝日が劣勢だった。

「降参一歩手前、という印象だった。朝日社内にも、このままでは、という危機感があり、それがスクープにつながったのではないか。反転攻勢の好機だと」

 さて、この森友疑惑。小沢流に整理してほしい。ポイントは三つ。第一に、なぜ財務省は森友学園に国有地を8億円余りも値引きしたのか。第二に、なぜ決裁文書に昭恵氏の介在を書き込んだのか。第三に、なぜまたそれを削るという公文書改ざんに手を染めたのか。

「第一点で言えば、昭恵さんの存在が大きい。つまり首相夫人への忖度(そんたく)だ。昭恵さん付秘書が一時は5人も役所から派遣されていた、と聞く。異例中の異例、並の国務大臣以上の扱いだ。首相とは一心同体、いわば副総理のようなものだ。その人が言うことは安倍さんの言うことと一緒だ」

 その昭恵氏が森友学園名誉校長におさまったり、籠池泰典前理事長夫妻と親しい関係にあった。籠池氏はその関係を国有地払い下げに利用した。役人には首相夫人が籠池氏をバックアップしているように見えた。

「安倍さん本人が直接指示したかどうかは別にして、昭恵さんの関与は明らかだ。安倍さんもそれを了解していたのだろう。首相夫人だから役所側は首相の意向だと思うし、人事に影響するから抵抗もできない」

 安倍氏は夫婦共に関与してないのは明らかだと言う。

「昭恵さん付秘書が財務省に照会したファクスが残っている。秘書(その後イタリア大使館に赴任)を国会に呼んで聞けばすぐわかる話だ。役所側がそれを昭恵さん、イコール官邸の意向と思うのは当たり前だ」

 安倍氏は夫婦共に直接の依頼、陳情はしていない。それゆえに関与なし、と言う。

「姑息(こそく)な答弁だ。それでは世の中には通じない。歴代の総理でこんなことをした人は初めてだが、こんなことをして私は関与していませんと言うのも初めてだ。どうかしている。天下人(てんかびと)としてレベルが低すぎる」

 第二点は?

「財務省は、事実として記録を残しただけだ。行政を執行する上で、政治家からの問い合わせ、陳情の類いは今回のことだけではなく、すべて記録として残しておくのが役人の習性だ」

 昭恵氏介在への言及は、森友に特例措置を取ったことへの釈明か?

「それもあっただろう。私たちが勝手にやったことではない。ここです、この人の命令なんですよと」

 第三点は?

「そのままではまずいということになったんだろう。例の『関係していたら首相も国会議員も辞める』(昨年2月17日)という安倍さんの国会答弁に抵触する」

 削られたのは昨年4月4日という。その前の3月23日に行われた籠池氏の証人喚問で昭恵氏との親密ぶりが証言され、秘書からの問い合わせファクスの存在が明らかになった直後だ。

「推して知るべしだ」

 近畿財務局としては、正直に事実を書いたのだが、書き過ぎだから削れ、と。

「担当者が自殺するというのは本当にいたましいというか……」

 誰が改ざんを指示した?

「官邸に決まっている。秘書官なのか官房副長官なのか、誰を通じてかはわからないが、(2月17日の)辞任発言が契機だ。その時点で単なる財務省答弁の枠を超え、官邸マターの答弁になった。歴然としている」

財務省が“低俗な首相”に全面降伏  改ざんは佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)の単独プレーとは?

「刑法にも触れる、これほど馬鹿げたことは役人の判断ではやらない。官邸の意向だからしょうがない、変えろ、ということだろう」

 ただ、全体の流れはすべて佐川氏に責任をなすりつけようとしている?

「世間はそうは思わない。今後、佐川氏だってどう証言するかわからない」

 官邸からの指示だという証拠がない。

「これに関する文書が出てくればわかる。まだ、官邸と財務省当局とのやりとりの中身が出てきていない。ここは加計(かけ)問題と一緒だ。官邸、安倍周辺から指示が出ていることは間違いない。検察がパソコンや電子データまで押収している。いずれ出てくる」

 なぜ財務官僚たるものがこんな愚かなことを。

「財務官僚の劣化を感じる。最高権力に抵抗できないという役人の立場もあるが、もうちょっと気概のある役人がいてもよかった。過去にはさすがと思うような人物がいた。現在、政治家も経済人も日本社会のあらゆるところで劣化が進んでいるが、財務省というのは最後の砦(とりで)という感じもあったのに残念だ。ダメ押しみたいな権威の失墜だ」

 財務省をそこまで追い込んだのは?

「財務省の昔の連中とも時々話すが、ともかく人事が露骨過ぎるという。官邸が自分のお気に入りだけを厚遇して、刃向かうヤツは排除する。戦々恐々だという。ふがいないとも思うが、財務省が低俗な首相に全面降伏した形だ」

 財務省が失ったものは?

「大きい。各省も言うことを聞かなくなる」

 自民党内では、財務省大罪論、解体論が出ている。すべては財務省の責任だと。

「首相へのよいしょが過ぎる。むしろ官邸側の問題だ。長期権力は必ず腐敗する、と言われた通りになった。ただ、腐敗といっても程度が悪過ぎる。小泉純一郎元首相も、これはひど過ぎる、と言ったらしい(3月13日のテレビでの政権批判)。長期政権といっても、最後はトップの資質の問題だ。サッチャーやメルケルも長くやっているが、これほどひどいのは聞いたことない」

 最高権力者が権力をどう行使すべきか、という根源的問題も提起している。

「自分の政治理念、目標を達成するために権力を利用して、ちょっとやり過ぎた、ということは過去にもあったかもしれないが、森友・加計問題は理念も目標もない、行政権の完全な私物化だ。自分にゴマをするお友達に国有地払い下げや獣医学部認可で優遇したという話だ。権力を振り回すのが子どもみたいに楽しいのかもしれない。主義主張、理念にはっきりしたものがないから、権力を……」

引き際だけでもすぱっとやれ! 引き際だけでもすぱっとやれ!  改憲という政治目標は?

「あんなにいいかげんな9条改憲案はない。僕ちゃんだけが改正した、と言いたいだけ。僕からすると、子どもに権力というおもちゃを預けたような感じだ」

 政局だ。3選どうなる?

「無理だと思う。(3月19日の参院での)集中審議を聞いても、答弁になっていない。私は関係していません、知りませんでした、と連発、語るに落ちている。あまりにも明白な総理の犯罪だ。韓国だったら検察に取り調べられている。権力を乱用して、お友達を優遇してしまった。全く一緒だ」

 ただ、自民党内で安倍降ろしが出てくるかどうか。

「そのへんは世論次第だろう。これでも安倍さんでいいという世論だったら、これもまたどうしようもない。自民党議員だって選挙区へ帰れば間違いなく批判にさらされるのでは」

 公明党はどう出るか?

「創価学会は(反安倍に)ぶれるだろう。もともと婦人部には(安倍政治に)抵抗があった。公明党が崩れる時は自民党も一緒に崩れるだろう。今は胸突き八丁だ。それでも居座るというのは僕は難しいと思う」

 9月総裁選までは持つ?

「持たないと思う。この国会中(の内閣総辞職)ではないか。粘るほどあいつも喚問だとなり、ズタズタになるだけだ。少なくとも引き際だけでもすぱっとすればいい。散る時だけは潔くやったほうがいい」

 米朝首脳会談など国際情勢が動く中、“首相を代えるリスク”論がある。

「そんなことはない。安倍さんは北朝鮮の脅威を煽(あお)って防衛費を増やして、もっともっと軍備拡張しなければと言っている。それでは北と話ができない。仮に米朝がうまくいっても、日本はダメだとなる。相手にされていない。むしろ代わったほうがいい、東アジアの緊張緩和のために。中国とだって安倍さんではダメでしょう」

 トランプ米大統領とはうまくいっている。

「あれも、とにかく米国の兵器をいっぱい買ってくれればいいというだけの話だ。  米朝会談というが、期待できるような話にはならないと思う。北の狙いは体制の維持を認めろということだが、米国はできない。民主国家として、金(キム)王朝による独裁体制を認めますとは言えない。一方、中国はどうしても北を残したいと思っている。そこが難しい」

「後継指名」なんてできっこない  中国、そしてロシアが独裁体制を固めつつある。

「現政権の体たらくでは、とても日本のかじ取りは無理。ああいう連中を相手にしなければいけない。ままごとしている暇はないはずだ」

 ポスト安倍は誰がいい?

「誰ということもないが、もう少し常識のある、調和のとれた人になってもらいたい。安倍さんのようにイケイケどんどんではなくて、現実をよく見て種々勘案しながらやれる人だ」

 石破茂氏はどうか?

「どうかな。他の政党のことだ」

 石破氏とは昔、政治改革を一緒にやった仲だ。

「……宏池会の岸田(文雄)君が出てこない」

 禅譲路線らしい。

「それではダメだね。安倍さんがこんな傷だらけ、泥まみれで辞めて、後継指名なんかできっこない。指名されたほうがかえって迷惑になるような状況だ。古賀(誠)君が後ろ盾と聞くが、機会でもあれば、宏池会の伝統的価値観と理念があるんだから、そこをきちんと打ち出せ、と言ってやりたいくらいだ」

 森喜朗氏から小泉純一郎、福田康夫、安倍氏と4代続いた清和会政権の後は宏池会政権というのが一つの流れだ。となると、平成研(新竹下派)がどう出るか?

「あそこがカギかもしれない。清和会の政権を多分、腹の中では快く思っていない」

 今度、派閥会長になった竹下亘氏が総裁選に出るわけでもない。

「そうだ。やれるとすれば岸田君なのか。本来は谷垣禎一君だったんだろうが、自転車事故でああいうことになってしまった」

 ポスト安倍政局は誰がキーパーソンか。二階俊博幹事長か?

「二階君も必ずしも安倍じゃないだろう。機を見るに敏な人だ。まあポスト安倍についてはもうちょっと後だろう。次の号だよ」

 野党はこの局面でどうする? まだバラバラだ。

「まとまる機運は底流でだんだん大きくなっている。願わくは夏までに野党結集の合意を取りつけ、来年の参院選に間に合うようにする。候補者調整もその間進める。誰がトップだろうと必ず勝つ」

 立憲民主党が衆院では野党最大勢力だ。枝野幸男代表が野党再編のカギを?

「細川護熙連立政権の時、第1党でもない細川氏を選んだのは、各党をまとめるのは細川氏しかいないということで僕が動いた。細川氏みたいな人が今はいない。となると、第1党がやるべきだ、ということになる。今回の野党団結・結集に枝野君がきちんと前向きに対応すれば、それだけで大きな評価になる」

 安倍君よ、この際潔く辞めるべし、というのが小沢氏のメッセージだった。安倍氏がこの勧告をどう聞くだろうか。

おざわ・いちろう  1942年生まれ。衆院議員。自由党共同代表。時々刻々の政治状況を鋭く捉え、長年政界のキーマンであり続けている
くらしげ・あつろう  1953年、東京都生まれ。78年東京大教育学部卒、毎日新聞入社、水戸、青森支局、整理、政治、経済部。2004年政治部長、11年論説委員長、13年専門編集委員
 ≫(サンデー毎日)








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