世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●対岸の火事で済むのか? ならず者国家の罵り合い、米国vs北朝鮮

2017年03月26日 | 日記
米中もし戦わば
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●対岸の火事で済むのか? ならず者国家の罵り合い、米国vs北朝鮮

 以下は、「ならず者国家」の罵り合いだから、対岸の火事と言いたいところだが、どうもそう云うわけには行かないのが、我が国の置かれている立場と云うことになる。

 実際問題、北朝鮮が腹立ちまぎれにぶっ放しているミサイルの確実な射程距離は、日本本土だと云うことが判っている。上手く行けば、グアム米軍基地に到達するかもしれないが、極めて不確定である。つまり、現状で、米国対北朝鮮が、国内的ガス抜きを必要とした場合、「ならず者国家」である二国は、日本海を挟んだ範囲で、軽くドンパチしましょうかと云う流れになっても不思議ではない。

 なぜならば、トランプ大統領にしてみれば、前大統領オバマとの大いなる違いを、世界的に知らしめたい思惑がある。北朝鮮の軍事力から推定すると、実戦力のあるミサイルは、スカッドとノドンと思われる。スカッドは韓国向けのミサイルで、ノドンは日本向けのミサイルだと言える。北極星2と云うミサイルもあるようだが、不確実なミサイルと考えられている。大陸間弾道弾(ICBM)クラス(ムスダン、テポドン)になると、その完成度は未知数なので、スカッド、ノドンが直近の脅威である。

 北朝鮮の核保有は、未公認ではあるが、既に数十発から百発程度保有していると推定できるようである。小型化に時間がかかるので、ミサイル搭載には、まだ時間がかかると云う説もあるようだが、核の小型化ナレッジは、闇市場に出回っているのが現実なのだから、北朝鮮の核は既に小型化されていると考えるのが妥当なのだろう。

 今現在において、北朝鮮(金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長)が自暴自棄になって、核搭載のミサイルをぶっ放そうとした場合、最も確率が高い標的は、おそらく、日本の米軍基地周辺と云うのが、一つの選択になる。北朝鮮の同胞でもある韓国の領土に撃つと云う発想は、現時点では想定しがたい。しかし、それでも撃つ場合、標的が日本である確率は、90%と考えられる。最近の北朝鮮ミサイルの攻撃目標から類推すると、日本海・秋田だが、その延長線から見て、米軍三沢基地が、確率的に一番高い。

 三沢の住民が、そのような類推で、騒ぎ立てていることは、話題になっていないので、杞憂の範囲かもしれない。しかし、筆者であれば、疑う。米空軍三沢基地は、米軍の耳である「Xバンドレーダー」があり、弾道ミサイル防衛の要だと言われる施設が存在する。ミサイル防衛や通信傍受の施設が集中する三沢基地はアメリカ軍にとっては戦略上の重要性であり、インテリジェンスな神経戦の要と言って過言ではない。 敢えて言うなら、六ヶ所村の核施設も周辺として存在しているだけに、ゾッとする位置関係だ。

 その意味で、三沢基地が狙われることは、米国にとっても相当なダメージを蒙る筈だから、オバマ政権では、内心ヒヤヒヤしながら、金正恩が正気を失わないことに期待をかけていたと云うのが今までだ。しかし、ここに来て、実兄である金正男を暗殺するに至っては、金正恩の必死さと異様さが際立つて来ただけに、米国トランプ大統領の何らかの予兆を察した事前防衛先制攻撃と云う手段も視野に入ってきた。

 しかし、この米軍の作戦が、一気に北朝鮮壊滅と云うシナリオは考え難く、日本領土も、それなりの被害を蒙る可能性は大いにある。この件に関した話題が少ないのが嫌に気になる。知っているが、口に出すと現実化しそうで怖い。そんな雰囲気で、一部関係者たちの間で共有しているのかもしれない。しかし、それでは、国民は寝耳に水で、その対処の選択肢さえ与えられない。この国は最重要課題ほど、表沙汰にならない、歪んだ民主国家である。以下は、上述コラムに関わる情報の一部である。


≪北朝鮮、月内に核実験か=トンネル追加掘削が完了-米報道
【ワシントン時事】米FOXニュースは23日、米当局者の話として、北朝鮮が新たな核実験に向けた準備の最終段階に入っていると報じた。当局者の一人は「今月末にも実験に踏み切る可能性がある」と話したという。
 この当局者は、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場で、新たなトンネルの掘削工事が完了したと米国防当局がみていることを明らかにした。実験にはさらに機材を搬入する必要がある。
 FOXによれば、米空軍の気象観測機WC135が日本に到着。数日中に朝鮮半島周辺の上空を飛行し、放射性物質の観測態勢を強化する。
 米シンクタンクの米韓研究所は先に、北朝鮮が豊渓里の実験場でトンネルの追加掘削を進めていると指摘。その結果、従来の十数倍に相当する「最大282キロトン規模の実験が可能かもしれない」との見解を示していた。 ≫(時事通信)

 ≪北朝鮮、弾道ミサイル4発を発射 飛距離1千キロ
 韓国軍合同参謀本部は6日、北朝鮮が同日午前7時36分ごろ、北西部の平安北道(ピョンアンプクト)東倉里(トンチャンリ)から日本海に向かって弾道ミサイル数発を発射したと発表した。飛距離は約1千キロという。米韓がミサイルの種類などについて分析を続けている。北朝鮮は2月12日、新型の中長距離弾道ミサイル「北極星2」を発射している。
 北朝鮮は今月1日から始まった米韓合同軍事演習に反発しており、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」(電子版)は3日付の記事で、「新型の戦略兵器」の発射を示唆していた。(ソウル=東岡徹)
 ◇  
防衛省は、6日午前7時34分ごろ、北朝鮮西岸より4発の弾道ミサイルが発射され、そのうち3発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した模様、と発表した。  これを受け、稲田防衛相は「引き続き、情報収集・警戒監視に万全を期せ」との指示を出した。 ≫(朝日新聞デジタル)


 



≪トランプ氏「極めて悪い振る舞い」 金正恩氏を強く批判

 トランプ米大統領は19日、核・ミサイル開発で挑発を強める北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長について「極めて悪い振る舞いをしている」と強く批判した。週末を過ごした南部フロリダ州パームビーチの別荘から大統領専用機で首都ワシントンに戻る際、記者団に語った。
 ホワイトハウスによると、トランプ氏は18、19の両日、フロリダ州でマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)らと北朝鮮問題について話し合った。今後、日中韓3カ国を歴訪したティラーソン国務長官から報告を受けた上で、政権として検討している新たな北朝鮮政策について詰めの協議をするとみられる。
 北朝鮮は19日に大陸間弾道弾(ICBM)に使うとみられる大出力エンジンの地上燃焼実験をしたと発表するなど、挑発を続けている。トランプ政権として、米軍が北朝鮮の関連施設を先制攻撃する「軍事手段」を含めて圧力を強める考えを示した発言とみられる。  ≫(朝日新聞デジタル:北京=峯村健司)


 ≪北朝鮮、米朝関係にいらだち 「最悪のならず者国家だ」
 朝鮮中央通信は20日、米中央情報局(CIA)が盗聴をしているとして、「米国は最悪のならず者国家だ」と非難した。北朝鮮はかつてジョージ・W・ブッシュ米政権から「ならず者国家」と呼ばれたことがある。最近、トランプ米大統領の名指しこそ避けているが、進展しない米朝関係にいらだちを強めている。
 18日付の労働新聞(電子版)では、米政府の北朝鮮政策の見直しについて論評し、「米国の(北朝鮮)体制転覆案は悪の帝国の終末案」と非難した。朝鮮中央通信も19日、「米国の対テロ戦争は国家テロ、反人倫戦争犯罪」などとする告発状を発表した。   ≫(朝日新聞デジタル:ソウル=牧野愛博)


≪コラム:北朝鮮の金正恩氏、隠れ見える「冷徹な計算」
Peter Apps
[8日 ロイター] -
 北朝鮮の指導者、金正恩朝鮮労働党委員長は、異母兄の正男氏暗殺容疑や一連のミサイル発射実験を活発化することで、米国のみならず、主要同盟国である中国の忍耐を試しているように見える。
  これは、地域を史上最悪の戦闘に陥らせるかもしれない、いちかばちかの大ばくちだ。正恩氏の行動の裏には、冷酷な固有の論理がある。だが同氏が計画を抱いているのに対し、それを止める明確な戦略を誰かが描いているとの兆候はない。
  中国外務省は7日、米国と北朝鮮が不必要で危険な対立に突き進んでいると警告。核実験やミサイル発射実験に対する国際社会からの非難に耳を傾けるよう北朝鮮に求めた。 しかしながら、正恩氏が米国や中国、他のいかなる国からの助言や脅しに聞く耳をもつ可能性はほとんどないように思える。
 同氏の望みは至って単純だ。彼自身と彼が率いる政権の存続を確実にすることだ。つまりそれは、自身の役割に取って代わろうとする可能性のある者を抹殺し、部外者が自身を倒そうとするのを阻止するために十分な抑止力となる核兵器を保有することを意味している。
  北朝鮮国内における権力固めは、外国への攻撃能力構築と同じくらい重要である。 2011年12月に父親の金正日総書記が死去したとき、政権を引き継いだ当時20代後半の正恩氏が、年上の重鎮たちを支配できるのかと、多くの外国の専門家は訝しんだ。
 韓国のシンクタンクは昨年12月、正恩氏が指導者となってから、300人以上が粛清されたと推計している。そのなかには幹部140人と同氏の叔父1人が含まれる。
  2月13日にマレーシアのクアラルンプール国際空港で異母兄の正男氏が死亡したことで、正恩氏は権力をいっそう強固なものにしただろう。正男氏は脅威と見られてはいなかったが、もし正恩氏がこの殺害に関与していたとすれば、北朝鮮が誇示した海外での影響力と、リスクを恐れない姿勢は、同国の指導部内から共鳴を得るだろう。
  中国による金融・軍事支援は北朝鮮の体制存続にとって長い間、不可欠な存在だった。中国当局は正恩氏の父親や他の北朝鮮幹部らと緊密な関係を維持していた。 正男氏は長い間、中国で暮らし、同国の情報当局に保護されていたとみられているが、その理由の1つに、叔父の張成沢氏とのつながりがある。
 北朝鮮で最も重要な影の実力者の1人とされていた張氏は、正恩氏が指導者となってまもなく処刑された。 正男氏殺害から5日後、そして国際制裁に違反して北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を強行してから6日後に、中国は北朝鮮からの石炭輸入を停止すると発表。この措置は本質的に北朝鮮の数少ない外貨獲得手段の1つを封じるものであり、中国が近年最も公然と北朝鮮に対して見せた不満表明の1つである。
 北朝鮮が6日実施した弾道ミサイル4発の発射実験は、中国の全国人民代表大会(全人代)開催中に行われ、中国政府を一段といら立たせただろう。今回の行動も、正恩氏がいかなる外圧にも屈しないことの表れである。
 また、北朝鮮の兵器開発を阻止しようとする米国の企てがほとんど成功していないことも示している。 偶然かもしれないが、前週末にニューヨーク・タイムズ紙は、北朝鮮の核開発プログラムを阻止しようとする米国の対策が必ずしも効果的ではないと報じている。
 一部の北朝鮮ロケットは原因不明の失敗に陥っているが、専門家によると米国が、発射に成功したミサイル発射装置からも、科学者が有益なデータを取得できないようにしていた可能性があるという。とはいえ、北朝鮮の技術は進歩し続けている。 同紙によると、米当局は、北朝鮮の核施設に対して直接軍事攻撃したり、北朝鮮のミサイルが発射される前に無力化したりするなど、一連の新しい戦術を検討している。
  米国や他国によるそのような戦術がうまくいくかどうかは全く分からない。北朝鮮と同国が雇ったロシア人科学者たちは単に、米国やロシアや中国が1950年代あるいはその直後に完成させた技術を模倣しようとしているにすぎない。このためサイバー攻撃は効果が薄い可能性がある。
 米国の歴代政権は、中国が北朝鮮の核プログラムを減速させ、世界と打ち解けるよう、同国を説得できると期待してきた。中国当局も、北朝鮮を制御できると、とりわけ日本や韓国といった地域の主要国や米国を繰り返し安心させようとしてきた。しかし正恩氏が指導者になってからは、そうした気休めはますます説得力がなくなってきている。
  確実な核兵器プログラムは正恩氏の関心の的かもしれないが、中国にとってはもろ刃の剣である。北朝鮮が兵器開発を進めるほど、周辺国は米ミサイル防衛システムの配備をいっそう求めるようになるだろう。それこそまさに、地域内の敵を威嚇するため独自に弾道ミサイルの近代化を行う中国が絶対に避けたいことだ。 最悪の場合、北朝鮮で起きていることが、日本や韓国を独自の核兵器開発へと走らせる可能性もある。
 中国は厄介な立場に置かれていることを自覚しており、正恩氏も恐らくそれを分かっている。言うまでもなく、石炭輸入禁止以上の措置を取ることで、北朝鮮に対する経済的圧力を強化する可能性もある。 しかし中国が避けたいのは、北朝鮮の崩壊だ。中国は韓国と北朝鮮の統一を望んでおらず、特に自国の国境付近に米軍基地が配備されるような結果は避けたいと考えている。
 また、北朝鮮の経済崩壊によって難民が自国に流入してくるといった事態に対処する羽目に陥ることも望んでいない。
 正恩氏の戦略の中心には、誰も自分に向かってこようとはしないだろうとの考えがある。自分の立場を確実なものとするには、できるだけ早く兵器プログラムを推し進め、誰かの気が変わる前に北朝鮮を難攻不落にしなければならない。
 そう考えるのも、もっともなことである。イラクのフセイン元大統領やリビアの元最高指導者カダフィ大佐のように自国の兵器プログラムを放棄した独裁者は、自身の決断に高い代償を支払ったのだから。
  しかし、それはまた世界がより危険になることを意味する。混み合う空港で異母兄の殺害を命じる男ならば(韓国の情報当局が正しければ)、より多くの人々を死滅させることが自身の存続を保証すると思えば、あるいはもう失うものは何もないと感じれば、ためらうことは何もないだろう。

*筆者Peter Appsはロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 ≫(ロイター通信)

 

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