先月29日、中国公安部は全国の公安機関を対象とするテレビ会議を開き、「賭博犯罪」に対する取り締まりの徹底を命じた。規模の大小を問わず、あらゆる形の賭博に対して「迅速かつ継続的な取り調べ」を行い、違反者に「厳罰」を与えることが公安部からの指示の骨子であった。
それを受け、全国の公安警察は早速動き出した。江蘇省公安庁は「賭博禁止令」を公布した上、1月30日から2月13日までの2週間、「賭博犯罪」1102件を検挙し、5569人の違反者を処罰した。東北地方の遼寧省の場合、1月30日から2月10日までの12日間、検挙した賭博犯罪は891件、処罰した違反者は2956人であった。
安徽省の「賭博禁止令」もかなり厳しいものである。安徽省公安庁が制定した独自の「処罰基準」では、たとえ親族間や友人間の遊び半分の賭け事であっても、一度の賭け金が500元(約8300円)を超えていたら、「賭博犯罪」だとみなされて処罰の対象となるのである。陝西省寧陝県は「犯罪者」に対する厳しい取り締まりを進める一方、賭博を根こそぎにするため、県内26軒のマージャン店を一斉に閉店させた。
貴州省貴陽市では、「賭博犯罪」に対する「処罰基準」と実際の取り締まりは格別に苛烈なものである。同市雲岩区の場合、区公安局が独自に制定した「処罰基準」では一度の賭け金が10元以上の賭け事はすべて「賭博犯罪」だと認定され、処罰の対象となる。「10元」といえば、日本円にしてわずか160円余、中国でもお茶代程度の端銭である。この程度の賭け金で「賭博犯罪」だと認定されていたら、マージャン好きな貴陽市民の全員が「犯罪者」になってしまう。
賭博に対するそれほどの厳しい取り締まりは、習近平政権になってからのことである。前述の公安部テレビ会議で披露された数字によると、2012年11月の第18回党大会(習政権が誕生した党大会)以来、全国で174万件の賭博犯罪が検挙され、約593万人が処罰された。政権の成立から5年あまり、毎年100万人以上の人々が「賭博罪」で処罰されるとは、賭博に対する習政権の過酷な姿勢がうかがえる。習近平独裁体制が確立された昨年の第19回党大会以降、賭博に対する取り締まりは厳しさの度合いをさらに増してきている。
たとえば前述の貴州省では昨年1年間、「賭博犯罪」で処罰された人は約2万人、浙江省では「賭博罪」で刑事責任を追及された人が1万4千人であった。人口の多い広東省の場合、ただの1年間で、「賭博犯罪」で逮捕された人の数は何と、22万人に上っている。
それほどの大量逮捕はもはや「犯罪」に対する取り締まりでも何でもない。全国の「賭博民」に対する習政権の全面戦争の様相を呈している。しかも、昨年既にこのような過酷な取り締まりが実行されていたのに、今年に入ってから公安部はより一層の「取り締まりの徹底」を命じているから、習政権はこの全面戦争をどこまでも徹底的に展開していくつもりだ。
かつての江沢民政権や胡錦濤政権時代、一般民衆の娯楽的な賭博などに対し、政権側はかなり寛容の姿勢を取っていた。民衆が娯楽や賭け事に没頭して政治への関心が薄まることは、政権にとってむしろ好都合だからである。
しかし、習政権はどういうわけか賭博に対する峻烈な姿勢を打ち出し、娯楽的な賭博までを一掃の対象にした。それが結果的には政権に対する幅広い反発を呼び起こし、本来は反政権でもない一般の「賭博民」までを敵に回した。そんな下手なやり方では共産党の天下をいつまで維持できるのかと、習政権の前途を“案じて”いる。
それを受け、全国の公安警察は早速動き出した。江蘇省公安庁は「賭博禁止令」を公布した上、1月30日から2月13日までの2週間、「賭博犯罪」1102件を検挙し、5569人の違反者を処罰した。東北地方の遼寧省の場合、1月30日から2月10日までの12日間、検挙した賭博犯罪は891件、処罰した違反者は2956人であった。
安徽省の「賭博禁止令」もかなり厳しいものである。安徽省公安庁が制定した独自の「処罰基準」では、たとえ親族間や友人間の遊び半分の賭け事であっても、一度の賭け金が500元(約8300円)を超えていたら、「賭博犯罪」だとみなされて処罰の対象となるのである。陝西省寧陝県は「犯罪者」に対する厳しい取り締まりを進める一方、賭博を根こそぎにするため、県内26軒のマージャン店を一斉に閉店させた。
貴州省貴陽市では、「賭博犯罪」に対する「処罰基準」と実際の取り締まりは格別に苛烈なものである。同市雲岩区の場合、区公安局が独自に制定した「処罰基準」では一度の賭け金が10元以上の賭け事はすべて「賭博犯罪」だと認定され、処罰の対象となる。「10元」といえば、日本円にしてわずか160円余、中国でもお茶代程度の端銭である。この程度の賭け金で「賭博犯罪」だと認定されていたら、マージャン好きな貴陽市民の全員が「犯罪者」になってしまう。
賭博に対するそれほどの厳しい取り締まりは、習近平政権になってからのことである。前述の公安部テレビ会議で披露された数字によると、2012年11月の第18回党大会(習政権が誕生した党大会)以来、全国で174万件の賭博犯罪が検挙され、約593万人が処罰された。政権の成立から5年あまり、毎年100万人以上の人々が「賭博罪」で処罰されるとは、賭博に対する習政権の過酷な姿勢がうかがえる。習近平独裁体制が確立された昨年の第19回党大会以降、賭博に対する取り締まりは厳しさの度合いをさらに増してきている。
たとえば前述の貴州省では昨年1年間、「賭博犯罪」で処罰された人は約2万人、浙江省では「賭博罪」で刑事責任を追及された人が1万4千人であった。人口の多い広東省の場合、ただの1年間で、「賭博犯罪」で逮捕された人の数は何と、22万人に上っている。
それほどの大量逮捕はもはや「犯罪」に対する取り締まりでも何でもない。全国の「賭博民」に対する習政権の全面戦争の様相を呈している。しかも、昨年既にこのような過酷な取り締まりが実行されていたのに、今年に入ってから公安部はより一層の「取り締まりの徹底」を命じているから、習政権はこの全面戦争をどこまでも徹底的に展開していくつもりだ。
かつての江沢民政権や胡錦濤政権時代、一般民衆の娯楽的な賭博などに対し、政権側はかなり寛容の姿勢を取っていた。民衆が娯楽や賭け事に没頭して政治への関心が薄まることは、政権にとってむしろ好都合だからである。
しかし、習政権はどういうわけか賭博に対する峻烈な姿勢を打ち出し、娯楽的な賭博までを一掃の対象にした。それが結果的には政権に対する幅広い反発を呼び起こし、本来は反政権でもない一般の「賭博民」までを敵に回した。そんな下手なやり方では共産党の天下をいつまで維持できるのかと、習政権の前途を“案じて”いる。