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「安倍-ペンス」共に遅刻、緊密さ見せつけ 文在寅氏から笑み消えた、首相「高支持率なんだから決断を」

2018年02月13日 12時37分23秒 | 国際・社会
 9日夕、韓国・平昌のホテル「竜平リゾート」のタワー・コンドミニアム9階。韓国大統領の文在寅との首脳会談を終え、くつろいでいた首相、安倍晋三の元に連絡が入った。

 「今、会えませんか?」

 米副大統領、マイク・ペンスだった。同じホテル内で米テレビのインタビューを終えたばかりだったが、首相側が応諾したと知ると、副大統領首席補佐官のニック・エイヤーズとともに10階から下りてきた。

 「平昌五輪を北朝鮮に利用させないようにすることが大事だ。しっかりと韓国に対応させるべく連携しましょう」

 南北の動向について意見交換をした上で安倍がこう言うとペンスは深くうなずいた。2人は7日の東京でも、晩餐会を含めると4時間近く会談を重ねてきた。今回の会談はわずか15分間だったが、もはや「阿吽の呼吸」だった。


専用車同乗し会場へ

 核・ミサイル問題で孤立を深める北朝鮮は、平昌五輪に最高人民会議常任委員長の金永南だけでなく、朝鮮労働党委員長、金正恩の妹、党中央委員会第1副部長の金与正まで送り込んだ。この急激な軟化は、国連の経済制裁が効いていることの証左だといえる。

 「北朝鮮は、融和的かつ優柔不断な文在寅政権に目をつけるに違いない」

 一連の動きは安倍の読み通りだった。ペンスと別れて文在寅主催のレセプションに向かう準備をしていると、再びペンスから連絡が入った。

 「もう少し話をしたいから、こちらの車で一緒に会場に行きませんか?」

 安倍は通訳とともにペンスの副大統領専用車に乗り、同じ敷地内のレセプション会場に乗り込んだ。


3人だけで写真撮影

 既に文在寅のスピーチが始まっていた。安倍とペンスは会場に入るのをやめ、別室でスピーチが終わるのを待った。

 「遅刻」も予定通りだった。スピーチ前の集合写真に金永南らと一緒に写りたくなかったのだ。

 安倍とペンスは、スピーチを終えた文在寅を別室に招き入れ、日米韓の3人だけで写真を撮影した。「3カ国の連携を絵に残る形で打ち出したい」という米側の意向の表れだった。

 写真撮影を終えるとペンスはレセプション会場で数人と言葉を交わした後、5分ほどで会場を立ち去った。金永南が座るテーブルにはペンスの席も用意されていたが、ペンスは最初から北朝鮮を無視する腹づもりだったとされ、着座する考えはさらさらなかった。文在寅による「米朝対話」実現への露骨な演出はお見通しだったのだ。

 一方、安倍とペンスは開会式までの間に2時間も一緒に過ごし、韓国や北朝鮮に対して日米の緊密さを見せつけた。

 平昌五輪を機に、安倍-トランプ関係に加え、新たに安倍-ペンス間にも太いパイプが築かれることになった意義は大きい。安倍が国内の反発覚悟で訪韓した最も大きな成果かもしれない。

 五輪は4年に1度の「スポーツの祭典」であり「平和の祭典」である。だが、平昌五輪は露骨な「政治の祭典」となった。

 北朝鮮は、最高人民会議常任委員長の金永南や、朝鮮労働党委員長である金正恩の妹で党中央委員会第1副部長の金与正を送り込み、韓国大統領、文在寅に「統一」という甘言をささやき続けた。10日の南北首脳級会談で金与正は兄の「特使」として笑顔を振りまきながら文在寅に訪朝を要請した。

 この露骨な南北融和路線に冷や水を浴びせたのが首相、安倍晋三と米副大統領、マイク・ペンスだった。2人は五輪開会式でも隣に座り、2時間にわたり会話を続けた。文在寅-ペンス-安倍の3人が並んで座ることにより国際社会に日米同盟、米韓同盟の強固さを誇示する狙いがあったが、結果は日米の絆ばかりがクローズアップされた。

 ペンスは実直な男で、安倍との会談内容について、米大統領のドナルド・トランプに逐一報告していたという。日本政府高官はこう明かした。

 「ペンスを介してトランプとも対話したようなものだった。実態は3者会談に近かった」


怒気はらんだ首相

 逆に9日の日韓首脳会談は首脳間の絆を一切感じられない内容だった。

 会談は約1時間。安倍は冒頭の写真撮影からほとんど笑みを見せず、穏やかな口調ながらその一言一言は怒気をはらんでいた。

 これに対して、文在寅は愛想笑いを浮かべて相づちを打ち、日米韓の連携の重要性を口にするが、具体性に乏しく曖昧な表現ばかりだった。

 会談の同席者は「文在寅は『北の非核化まではちゃんとやる』と言うが、まるで非核化への道筋の中に対話があるような言いぶりだった」と打ち明ける。

 日米が描く対北朝鮮のシナリオは、制裁・圧力で北朝鮮を徹底的に追い込み、核・ミサイル開発方針を転換させるならば「ご褒美」として対話にも応じるという筋書き。文在寅のシナリオとは正反対なのだが、文在寅はその矛盾にあえて踏み込もうとしなかった。

 安倍が米韓合同軍事演習について「延期すべきでない」と述べたことに対し、文在寅は「わが国の問題だ」とだけ反論した。

 韓国政府は翌10日に「大統領は『われわれの主権の問題であり、内政問題だ』と述べた」と公表したが、他の案件ではほとんど反論できなかったことを自ら明かしたといえなくもない。

 慰安婦問題でも、文在寅の態度はどこかあやふやだった。

 安倍は会談冒頭で、韓国が一方的に公表した日韓合意に関する新方針を「受け入れられない」と断じた。迫力に押されたのか、文在寅は、日韓合意を破棄しない▽再交渉しない▽「和解・癒やし財団」は解散しない▽日本が拠出した10億円は返還しない-など4つを明言した。

 ところが、安倍が、在韓日本大使館前の慰安婦像撤去など合意の速やかな履行を迫ると「微妙な問題だからそう簡単には解決できない」「(元慰安婦の)おばあさんたちの気持ちが癒やされれば自然に解決するはずだ」などと釈明した。

 すると安倍はたたみかけるようにこう言った。

 「朴槿恵前政権の時に(10億円など)取るものは取っておいて実行できないというのはありえない」

 「日韓合意については、日本にも国民から強い反発があった。相当の批判があった。しかし、あえてここで決断しないと日韓関係は前に行けないと考え合意に応じた。あなたも国民の高い支持があるんだから決断しなければならない」

 文在寅の顔から愛想笑いが消えた。最後まで議論がかみ合うことはなかったが、文在寅も「国家間の合意」の重さが身に染みたのではないか。


金永南氏取り囲む

 今回の訪韓で安倍には、もう一つ狙いがあった。金永南に拉致問題の解決を迫ることだった。

 好機は9日夜の文在寅主催のレセプションの最後にやってきた。来賓が席を立ち始めたとき、タイミングを見計らって安倍ら日本政府関係者が金永南を一気に取り囲んだ。首相秘書官の一人が周到に安倍用の椅子を用意し、安倍は金永南の隣に座って、こう訴えた。

 「拉致問題を解決し、横田めぐみさんをはじめ、すべての拉致被害者を返してもらいたい」

 時間にして10分未満。この時の金永南の対応は一切明かされていないが、ある政府高官は「拉致問題解決に向けた安倍の強い意志は十分伝わった。金正恩の元にも届くのではないか」と期待を寄せた。

「人民元」国際化に中国の野心再浮上 メガバンクは関連ビジネスにのめり込んで大丈夫か

2018年02月13日 12時30分21秒 | 国際・社会
 中国政府が、通貨・人民元の国際化に向けて再び本腰を入れ始めた。当局が、過度の元安を防ぐ特殊な操作を今年に入ってひそかに停止。好調な輸出を背景に元急落や資金流出への懸念が和らいだのを受け、「恣意(しい)的」と批判された為替操作を緩め、国内外の取引で使われる元を増やそうと考え始めたからだ。欧州各国の中央銀行は外貨準備に元を組み入れ始めたほか、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行が1月、中国市場でそれぞれ人民元建て債券(パンダ債)を発行した。両行とも海外市場で元建て債券を発行してきたが“本丸”の中国市場では初めて。だが、再び活況を呈した始めた人民元ビジネスにリスクはないのか-。

 中国人民銀行(中央銀行)は毎朝、国内の大手銀行からの報告に基づき、元の対ドル取引の「基準値」を算出している。各行は前日終値をベースに報告するが、人民銀の指示を受けて昨年5月からは、元が急落した場合も報告値への反映を小さくする特殊操作を導入。人民銀による裁量の余地も広げた。市場心理の揺らぎや「群集効果」で、相場が一方向へ極度に振れるのを防ぐのが目的とみられる。

 市場関係者からは「元安による資本流出に歯止めをかけたい当局の露骨な為替介入」(為替アナリスト)と批判されたものの、16年末から17年初頭に「1ドル=7元台」に迫った元の対ドル相場は反転し、17年通年では6%高と4年ぶりに上昇した。

 ところが今年に入ると突然、昨年導入したこの特殊操作を撤廃。事実上、元高誘導策を取りやめた形だ。

 人民銀は今回の見直しを正式には発表しなかったため、市場では真意をめぐってさまざまな憶測が飛び交う。

 まず、17年の対米貿易黒字が過去最高になり、外貨準備も17年初めを底に増加に転じたことが挙げられる。投機筋を巻き込んだ元売りや資金流出の懸念が和らぎ、過度の通貨管理の必要性は薄れつつある。

 もう一つは、習近平指導部が再び元の国際化を目指し始めたという事情だ。

 元は16年10月、ドルやユーロ、円、ポンドに続き、国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「特別引き出し権」(SDR)に組み込まれ、17年3月には、李克強首相が政府活動報告で、「国際通貨としてお墨付きを得た」と強調したほどだ。

 ただ、元安が加速した15年以降、人民銀はさまざまな資本流出規制や為替介入措置を講じてきたため、投資家の評判は芳しくない。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、貿易決済などに使われる通貨別シェアで、元は15年8月に2.79%と円の2.76%をわずかに上回り、「第4の国際通貨」にのし上がった。ところが、昨年12月は1.75%と6位に後退している。

 為替相場が落ち着いたタイミングで市場重視の姿勢を打ち出すことで、習指導部は元の存在感が一層低下する事態を避けたい考えとみられる。

 中国当局の動きに呼応するように、ドイツ連邦銀行(中央銀行)は今年1月15日、外貨準備に元を加えると発表。仏メディアは同日、フランス中央銀行はすでに外貨準備の一部として元を保有していると報じた。欧州諸国がチャイナマネー誘致合戦にしのぎを削る中、仏独は国際通貨としての元をいち早く信認したことになる。

 翌16日、三菱東京UFJとみずほの両行が中国市場でそれぞれパンダ債を発行。日本から中国に円を送って元に替える従来の方法は中国の資本規制の影響を受けやすいが、パンダ債であれば日本の大手企業が高い信用力を背景に現地で元を調達する有力な手段となり得る。

 パンダ債をめぐっては日中の外交関係改善を受けて昨年末、日本企業に解禁されることが決まった。仏独当局と邦銀の動きには、元の国際化に再び本腰を入れ始めた習指導部の思惑も垣間見える。だが、中国当局の唱える「自由化」「国際化」を信じ、元ビジネスにのめり込んで大丈夫なのか。

 市場関係者の間では、人民銀による今回の基準値算出手法の見直しは、中国当局が元高ドル安がもたらす貿易面のマイナスに悩まされた結果、打ち出されたとの観測も出ている。足元の対ドル相場は1ドル=6.2~6.3元台で推移しているが、元高が進みすぎると、輸出産業の価格競争力が失われるからだ。

 2月2日の中国・上海市場の人民元相場は通常取引の終値(日本時間午後5時半現在)が、前日比0.26%高の1ドル=6.2798元となった。約2年半ぶりの元高水準で、人民銀が元の事実上の切り下げを行った15年8月11日の終値を上回った。

 一方、中国政府は17年秋に国内の仮想通貨取引所を閉鎖した。一部富裕層の間で、元と仮想通貨の代表格ビットコインを交換し、ビットコインをドルなどに換え、資金を海外に移す動きが出始めたからだ。

 そこで、投資家が新たに生み出したのが、別の仮想通貨「Tether(テザー)」を使った「抜け道」だ。テザーはビットコインなどと違ってレートがドルに固定されていることから、価格変動が小さく、投機性も低いとして中国当局からあまりにらまれていない。このため、中国の投資家は、香港や韓国の取引所で、元をいったんテザーに交換し、それをビットコインなどに替える取引を続けているようだ。

 この結果、資本の流出はまだ続いているとみられ、「人民元ショック」と呼ばれる元急落のリスクは残ったままだ。また、テザーを発行する企業(企業名=テザー)は十分なドル資産を持っていないとの疑惑が浮上している。テザーを保有する投資家から換金要請があっても、それに応えることができなくなる可能性があるというのだ。

 日本では、取引所大手コインチェックから約580億円の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題が大きく報じられているが、テザーの信用が失われると、仮想通貨市場に流れるチャイナマネーが細り、ビットコインを含む仮想通貨の価格大暴落を招く恐れもある。そうなれば、元相場の乱高下は必至だ。

 野村証券の郭穎アナリストは1月29日のリポートでこんな分析を示した。

 「(中国への)資本流入拡大に伴う本格的な元高になるには、政治・政策面の正常化期待の回復を待つ必要がある」


人民元相場 当局が一定の範囲での値動きだけを認める管理変動相場制をとっている。中国人民銀行(中央銀行)が朝方に発表する基準値を中心に、1日当たり上下それぞれ2%の変動しか認めていない。人民銀は、前営業日の相場などを反映して基準値を設定していると説明するが、詳しい算出方法は不明で、共産党・政府の意向が働いているとみられている。昨年導入した新たな設定方法では、相場の変動があまり加味されずに当局の恣意的な運用がさらに広がる可能性が指摘されていた。