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●メディアの仕事を見失い、「自制心と自浄作用を失ったマスコミ権力」=「下足番」・読売、広報紙・産経

2017年09月23日 00時00分55秒 | Weblog


東京新聞のシリーズ社説の最終回【【社説】政治と世論を考える<6> 新聞の責任かみしめる】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017082602000163.html)と、
リテラの記事【産経が朝日、毎日、東京を「安倍叩きのためならどんなことでも」と攻撃! 安倍擁護でフェイク垂れ流し新聞がどの口で…】(http://lite-ra.com/2017/08/post-3421.html)。

 《専門家とはジャーナリストなどだ…リップマンに従えば専門家を介さないと、国民は問題を理解できなくなり、世論は政府に操作を受けやすくなる。逆に、熱した世論に迎合する政治だってありうる。そうならないよう、情報を集め分析し国民に知らせるのが私たちメディアの仕事である。ネットも同様だ。世論の重みをあらためてかみしめたい。=おわり(桐山桂一豊田洋一青木睦飯尾歩)》。
 《事実をありのままに伝えることよりも、自分たちの主義・主張や好みを広めることに熱心な習性があるのは否めない。「権力の監視」を隠れみのにしつつ、時に暴走を始める

 《事実をありのままに伝えることよりも、自分たちの主義・主張や好みを広めることに熱心な習性があるのは否めない。「権力の監視」を隠れみのにしつつ、時に暴走を始める》…さて、コレはダレの発言でしょう? コレはどこの矜持ある新聞人の発言? 《情報の分析や判断は、専門家集団に委ねざるを得ない専門家とはジャーナリストなどだ》が、コレは一体どこの新聞人の発言でしょうか? 東京・毎日・朝日新聞、はたまた、琉球新報や沖縄タイムス、それとも、リテラかな?
 《情報を集め分析し国民に知らせるのが…メディアの仕事》であるはずなのに、それを見失い、《自制心と自浄作用を失ったマスコミ権力》とは…「下足番」・読売であり、もはや新聞とさへ呼べない、《偽情報と差別言辞が飛び交うネット右翼の温床》をデマ源としたアベ様広報紙・産経。 
 リテラの言う通り、《安倍擁護でフェイク垂れ流し新聞がどの口で》!? 《「どの口が言うのかとはこのことだろう。「安倍政権を大応援」または「歴史修正」、はたまた「嫌韓反中」という〈自分たちの主義・主張や好み〉をごり押しするばかりか、そのために〈事実をありのままに伝える〉こともせず、挙げ句にはデマまで拡散してきたのは、当の産経だからだ》。御尤も。

   『●柴田鉄治さん「キナ臭さが一段と増した年」、
      マスコミから失われる「ジャーナリズムの義務」…な1年
    《戦前・戦中のメディアは政府のお先棒を担いで戦意の高揚を図ったが、
     その反省から戦後の50~60年代はなんとか野党精神も健在で、
     ベトナム戦争にはメディアはこぞって反戦を貫いた
       ところが、80年代になると、読売・産経新聞が政府・与党寄りに
     論調を転換湾岸戦争を経て、イラク戦争でははっきり賛成の主張を
     打ち出して、自衛隊がイラクにまで派遣される事態を招いた》

   『●室井佑月さん「この団体が牛耳るこの国でいいの」か?…
             「日本会議メンバーで、国会議員にもわんさか」
    《もはやNHKや産経にとって、メディアの仕事とは
     「権力者から寵愛を受ける」こと

   『●「裸の王様」および「最低の官房長官」の
      「下足番」新聞=読売新聞…落ちぶれたものだ
   『●アベ様による血税4億円のトンチンカン・トンデモ
        「ミサイル避難CM広告」によるメディア買収!?
   『●《さして違いはない程度の低レベル》??
      ご冗談を、アベ様やその取り巻きは最悪・最低レベルの酷さ
    《例えば産経新聞が岸博幸・慶大院教授インタビューを掲載したが、
     見出しは「前川氏は官僚のクズ…文科省後輩たちに迷惑だ」だった。
     仮にも事務次官経験者を紙面で「クズ」とするのは岸も産経も
     やりすぎだ

   『●《推定ウン千万〜1億円弱も払って出した》「ト」な広告…
                出稿側も「ト」なら、掲載側も「報道」の放棄


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017082602000163.html

【社説】
政治と世論を考える<6> 新聞の責任かみしめる
2017年8月26日

 世論研究の先駆的著作「世論」が米国で刊行されたのは一九二二年。著者であるリップマンが三十三歳のときだった。
 彼の疑問は、この複雑で巨大な現代社会で一般の人々が問題を正しく理解できるか、民主主義が可能か、ということだった。確かに民主主義は主権者である国民が正しくさまざまな問題を理解し、正しい投票をする前提で動いていく仕組みである。
 だが、どう考えても彼には人々が正しい理解をしているとは思えなかった。従って公衆が賢明な意見を持つことを前提とする民主主義は成り立たない。だから、情報の分析や判断は、専門家集団に委ねざるを得ないと考えた専門家とはジャーナリストなどだ
 第一次世界大戦に情報担当大尉として加わり、世論がいかに政府によって操作されやすいものであるかも体験していた。それが「世論」を書く動機でもあった。

   <新聞は一日二十四時間のうちたった三十分間だけ読者に
     働きかけるだけで、公的機関の弛緩(しかん)を正すべき『世論』
     と呼ばれる神秘の力を生み出すように要求される>
     (「世論」岩波文庫)

 リップマン自身がワールド紙の論説委員であったし、新聞コラムを書くジャーナリストであった。晩年にはベトナム戦争の糾弾で知られる。正しいと信じる意見を述べ続けていたのである。
 現在の日本の新聞界はどうか
 日本新聞協会が昨年発表した全国メディア接触・評価調査では、新聞を読んでいる人は77・7%。「社会に対する影響力がある」との評価は44・3%で、二〇〇九年調査の52・8%より低下。「情報源として欠かせない」との評価は32・5%と、〇九年調査の50・2%より大きく落ち込んだ。
 影響力はあるとしても、情報源として不可欠であると思う人は減っている。つまりインターネットなどとの接触が増えているのだろう。だが、ネット社会は虚偽の情報も乱れ飛ぶ密林のようなものでもある。
 リップマンに従えば専門家を介さないと、国民は問題を理解できなくなり、世論は政府に操作を受けやすくなる。逆に、熱した世論に迎合する政治だってありうる
 そうならないよう、情報を集め分析し国民に知らせるのが私たちメディアの仕事である。ネットも同様だ。世論の重みをあらためてかみしめたい。=おわり(桐山桂一豊田洋一青木睦飯尾歩
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http://lite-ra.com/2017/08/post-3421.html

産経が朝日、毎日、東京を「安倍叩きのためならどんなことでも」と攻撃! 安倍擁護でフェイク垂れ流し新聞がどの口で…
2017.08.30

     (産経新聞社HPより)

 北朝鮮のミサイル発射でほくそ笑んでいるのは安倍首相だけではない。ネトウヨ機関誌産経新聞弾道ミサイル発射に大フィーバー。脅威を煽る一方で、ネット版では金子勝・慶應義塾大学教授の〈北朝鮮も怖いが、『戦時放送を流す安倍政権も怖い〉というツイートを紹介し、「警報がなくて大事に至ったらそれはそれで批判するのでは?」「平和は空から降ってこない」などというネット上のコメントを掲載している。
 このように、もはや産経がネトウヨまとめサイト同然であることは周知の通りだが、そんな産経が、先日26日のコラム「産経抄」でとんでもないことを言い出し、失笑を買っているのをご存じだろうか。
 まず、この日の産経抄では、作家・門田隆将氏が毎日新聞や朝日新聞の記者から「いま、社内は安倍(晋三首相)を叩くためなら、どんなことでもするという空気になっている」と聞かされた、という話からはじまり、コラム執筆者もこう証言する。

   〈実は小欄もかつて知人の東京新聞記者から、こんな打ち明け話を
    聞いたことがある。「上司に『安倍なんか取材しなくていいから、
    とにかくたたけ』と号令された」。同僚記者も、別の東京新聞記者から
    同趣旨のことを聞いている〉

 朝日と毎日が「どんなことでもするという空気」になっていると言うなら、どうして森友学園の音声テープ問題や加計学園の設計図問題をもっと大々的に追及しないのか、まったく不思議で仕方がない。しかし、産経抄はこれこそが〈新聞業界の「不都合な真実」〉などと述べ、こんなことを言い出すのだ。

   〈事実をありのままに伝えることよりも、自分たちの主義・主張や好みを
    広めることに熱心な習性があるのは否めない。「権力の監視」を隠れみのに
    しつつ、時に暴走を始める〉

 いやいや、〈自分たちの主義・主張や好みを広めることに熱心な習性〉って、それはおたくのお家芸では……自虐ギャグとしか思えないが、最後には〈自制心と自浄作用を失ったマスコミ権力は誰が監視するのか〉とまで述べており、どうやら本気で書いているらしい。


安倍擁護のために産経が垂れ流したフェイクニュース総まくり

 
どの口が言うのかとはこのことだろう。「安倍政権を大応援」または「歴史修正」、はたまた「嫌韓反中」という〈自分たちの主義・主張や好み〉をごり押しするばかりか、そのために〈事実をありのままに伝える〉こともせず、挙げ句にはデマまで拡散してきたのは、当の産経だからだ
 近年の事例だけを振り返っても、主義・主張のために振りまいたデマは山ほどある
 その最たる例が、2ちゃんねるの書き込みをもとに北朝鮮のミサイル発射のデマを予告した一件だ。
 今年5月14日、産経のネット版が「北朝鮮のラジオ放送の暗号を2ちゃんねらーが解読? 『14日午前5時56分、発射予定時刻かな』が的中」と題した記事を掲載。その匿名の書き込みに乗っかって“15日6時3分にもミサイル発射があるかも”と、北朝鮮危機を煽ったのだ。
 しかし、15日に北朝鮮が新たなミサイル発射をおこなったという情報はなく、記事は完全なデマ、流言飛語の拡散以外の何物でもなかった。というか、それ以前に産経が「的中」と報じている14日の発射時間も時間がずれており、全然「的中」ではなかった
 この産経がもとにしたネットの書き込みは2ちゃんねるの「東アジアニュース速報+板」のスレッドにあったもの。「東アジアニュース速報+板」といえば、韓国や北朝鮮、中国の話題をひたすら集めたうえで、ニュースとは名ばかりの偽情報と差別言辞が飛び交うネット右翼の温床であり、「デマだらけ」「便所の書き込み」と言われる2ちゃんねるのなかでも“肥溜め中の肥溜め”と呼ぶべきネトウヨ隔離用の板だ。そんなものをネタ元に、「ニュース」のように報じていたのだ。
 また、森友問題では、辻元清美衆院議員が塚本幼稚園に侵入した」「森友学園の小学校建設現場に作業員をスパイとして送り込んでいたというネット上の流言飛語をそのまま「民進・辻元清美氏に新たな『3つの疑惑』 民進党『拡散やめて』メディアに忖度要求」というタイトルで記事化。これは籠池夫人、またスパイとされた作業員自身が否定し、まったくのデマだったことが確定しているが、産経は、記事において辻元議員が塚本幼稚園とはまったく別の場所にある森友学園の小学校建設予定地を視察している写真をわざわざ添え、あたかも塚本幼稚園に近づいているという印象操作までしていた


森友、加計問題で不正を擁護、前川前文科次官を攻撃した産経

 北朝鮮の脅威を煽りたい反安倍政権の人物を攻撃したいそうした〈自分たちの主義・主張や好み〉という欲望を剥き出しにした結果、こうして平然とデマを垂れ流してきたのが産経なのだ。
 いや、デマだけではない。産経は、朝日や毎日、東京新聞が「権力の監視」を隠れ蓑にし、事実を蔑ろにして反安倍という主義・主張を広めていると述べる。だが、現在の安倍政権批判が高まった要因には、森友・加計しかり、防衛省日報問題しかり、大臣の失言問題しかり、事実としての疑惑や不正が数々ある
 一方、産経はといえば、たとえば加計問題については〈まるで泥仕合〉〈文書が存在したとして、首相およびその周辺から具体的指示があったかの証明とはならず、法律上の容疑が生じるわけでもない〉〈推進の指示があったとしても規制改革は政権の重要政策であり、不自然とはいえない〉(5月27日付)と、国民からあがる疑義にまったく取り合わない
 その上、読売新聞が官邸リークに乗って記事にした前川喜平・前文部科学事務次官の出会い系バー通いを「義憤の顔は本物か」などとタイトルに掲げて嬉々として取り上げたかと思えば、特区ビジネスにもかかわっていた岸博幸のインタビューを掲載し、そこで岸氏は前川氏を名指しで官僚のクズ罵倒。そして、「朝日新聞は前川ありき」「朝日は加戸守行前愛媛県知事らの発言をまたもや無視」などと、ネトウヨと一緒になって何のニュース性もない加戸氏の証言をメディアが取り上げないのはおかしいとバッシングしたのだ。
 このように、〈事実をありのままに伝えることよりも、自分たちの主義・主張や好みを広めることに熱心〉なのも、〈「権力の監視」を隠れみのにしつつ、時に暴走を始める〉のも、すべて産経に当てはまる批判だ
 よくもまあこれで自制心と自浄作用を失ったマスコミ権力は誰が監視するのかなどと憂えてみせたものだと呆れ果てるしかない。いちばん監視が必要なマスコミは、〈自制心と自浄作用を失った〉産経新聞だろう。
 そういう意味では、これからも本サイトは、率先して産経の監視役を引き受けていくつもりだ。バカの監視をするのは疲れるが、同紙が安倍政権と一体化している以上、「権力チェック」のためにも、産経報道が垂れ流すフェイク検証は不可欠だと考えるからだ。

(編集部)
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●自公お維大地を支持=「自らは安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家が姿を消さない」ニッポン

2016年04月03日 00時00分38秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【<証言者>アフガン派遣の元ドイツ軍兵士 砕かれた正義感、心病む】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016032590065538.html)、
【<証言者>米精神科医 帰還兵を悩ます罪悪感】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201603/CK2016032602000144.html)。

 《戦場に行くとはどういうことなのか。…想像を超える戦争の現実に打ちのめされた経験を語った。…こうした現実を、僕も、ドイツ国民も全く分かっていなかった政治家は派兵を大した問題ではないように見せようとしていた》。
 《戦場を経験した兵士が抱える深刻な問題は、死に直面する体験からくる心的外傷後ストレス障害(PTSD)だ。米軍所属の精神科医としてエルスペス・リッチーさんは二十四年にわたって帰還兵士の治療に携わり、治療した患者は数百人に及ぶ。心に傷を負った彼らが、元の精神状態を取り戻すのは並大抵のことではない》。

   『●平和憲法を壊憲し軍隊を持ち「戦争できる国」の時代に: 
               「ネジレ」を取り戻し、「厭戦」の世に戻したい
   『●「不誠実極まりない」アベ様ら、安全保障関連法廃止法案を
                    国会にて2ヶ月に渡り店晒しするつもり

 ニッポンは「戦争できる国」へと変貌。アベ様らは、「戦争絶滅受合(うけあい)法案」を制定することもなく、自らは安全地帯に居て(居ると思って)市民を戦場に送りたくてしょうがないらしい。でも、そんな「場」に子を送りたいと思う親がいるのだろうか? 自公お維大地の議員を支持し、彼/彼女らに投票するとはそういうことだ。ニッポンでは、《自らは安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家は姿を消す》ことは無いようだ。

   『●戦争、環境破壊の最たるもの
     《二十世紀の初めごろ、デンマークの陸軍大将が、こんな法律があれば、
      戦争をなくせると考えて起草した法案がある。題して
      「戦争絶滅受合(うけあい)法案」▼戦争の開始から十時間以内に、
      敵の砲火が飛ぶ最前線に一兵卒を送り込む。順序はまず国家元首、
      次にその親族の男性、三番目は総理、国務大臣、各省の次官、
      そして国会議員(戦争に反対した議員を除く)、戦争に反対しなかった
      宗教界の指導者…▼妻や娘は従軍看護師として招集し、最前線
      野戦病院で働く。権力を持つ者から犠牲になるなら、自らは
      安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家は姿を消すだろう

   『●いろんな意味で疲れます・・・住民基本台帳活用と
          アイドルによる「番宣」で「果てしない夢」へGO!

   『●東京新聞・半田滋さん「「銃後の国民」も
     無関係ではいられない。たいへんな思いをするのは・・・」

   『●血税と赤紙と・・・「主権者である天皇に徴兵制に基づき血を納めた」。
                    そして、いま、アベ国王へ血税が

   『●子供たちと赤紙: 「学校保護宣言」に調印しない戦争好き、
                      侵略戦争マニアな国々はどこ??

   『●「18歳選挙権」にさえ無関心?:  
      血税と赤紙と、そして、(経済的)徴兵制への第一歩か?

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016032590065538.html

<証言者>アフガン派遣の元ドイツ軍兵士 砕かれた正義感、心病む
2016年3月25日 07時00分

     (ドイツ軍の歩兵としてアフガニスタンで任務に当たった
      経験を語るヨハネス・クレアさん=ドイツ北部ハンブルクで
      (垣見洋樹撮影))

 二十九日施行の安全保障関連法は、適用対象が日本国内に限定されないことから、自衛隊が海外で他国の戦闘に巻き込まれる事態も想定される。戦場に行くとはどういうことなのか。外国の生の声を聞きながら考えたい。一人目は、ドイツ軍の一員としてアフガニスタンに派遣された元歩兵、ヨハネス・クレアさん(30)。想像を超える戦争の現実に打ちのめされた経験を語った。 (ベルリン・垣見洋樹)

 アフガニスタンに行ったのは二〇一〇年六月から七カ月間。現地で治安維持を支援する国際治安支援部隊(ISAF)の活動だ。

 現在は除隊し、戦場体験を講演しながら、週に一度精神科に通っている。平穏な日常の中で、花火の破裂音などを聞くと突然戦場の光景がよみがえる。自分がこれほど恐怖心にさいなまれるとは想像していなかった。

 ドイツでは第二次世界大戦の苦い経験から、兵士の仕事を批判的にみる人が多い。でも、僕は子どものころから兵士になりたかった。小学五年のとき、通知表に「君は正義感が強い」と書かれたこともある。

 十六歳だった〇二年、ドイツ軍が初めてアフガンに派遣された。現地で何が起きているのかを、自分の目で確かめたいと思った。

 高校を出て軍隊に入り、エリート集団のパラシュート部隊に配属された。アフガンが一番厳しい現場と聞いて、派遣を志願した。「僕が助けに行く。派遣期間に治安を回復して、帰って来る。大丈夫だ」と理想的なイメージだけしかなく、自分が被害を受けるなんて考えもしなかった。

 現地で最初の二カ月はやる気を維持していた。銃撃戦が始まるとアドレナリンが出て、何時間も精神が高揚することを体験した。

 しかし、ある日を境に状況が一変した。八月の夜、十人ほどで地雷除去に向かったとき、待ち伏せしていた敵に囲まれ、十メートルほどの至近から銃撃を浴びた。小さい村の中の真っ暗なところ。初めて恐怖感じ、その日から、戦いのたびに恐怖が強くなっていった

 夜間は敵が攻撃してこないと思い込んでいた。われわれのように暗視カメラや赤外線カメラを持っていないからだ。しかし、彼らは民間の偵察員を使ってわれわれの行動を監視し、見つけると連絡し合って村の兵士をかき集めていた。

 われわれが一人も傷を負わなかったのは奇跡だと後で隊長に言われた。しかし、心には傷が残った。以後、僕は正常に任務を果たせなくなった。

 もうひとつの悩みは、現地住民の誰が敵で、誰が味方か分からないことだった。さまざまな部族や組織が入り乱れ、対立や同盟を繰り返している。いつどこで誰が敵になるか分からないから、いつも気を張っていなければならなかった。

 こうした現実を、僕も、ドイツ国民も全く分かっていなかった政治家は派兵を大した問題ではないように見せようとしていた。アフガンを「戦場」と認識したのは、最初の派兵から七年ほどたってから。何人もの兵士を亡くし、やっと気付いたんだと思う。

<ドイツ軍の歩み> 敗戦に伴う軍解体から10年後の55年、旧西ドイツが再軍備を開始。北大西洋条約機構(NATO)域外への派兵は違憲とされてきたが、94年、独連邦憲法裁判所は軍のNATO域外派遣を合憲と判断した。以後、アフガニスタン国際治安支援部隊などに参加。3月14日現在、14カ国・地域に女性254人を含む3249人を派遣。域外派遣兵士の死亡者は106人。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201603/CK2016032602000144.html

<証言者>米精神科医 帰還兵を悩ます罪悪感
2016年3月26日 朝刊

     (帰還兵のPTSD治療の難しさを語るエルスペス・リッチーさん)

 戦場を経験した兵士が抱える深刻な問題は、死に直面する体験からくる心的外傷後ストレス障害(PTSD)だ。米軍所属の精神科医としてエルスペス・リッチーさんは二十四年にわたって帰還兵士の治療に携わり、治療した患者は数百人に及ぶ。心に傷を負った彼らが、元の精神状態を取り戻すのは並大抵のことではない。 (ワシントン・青木睦、写真も)

 患者となった二十六歳の海兵隊員の話をしましょう。彼はイラクに二度、アフガンに一度、派遣された。イラク戦争の激戦地だったファルージャで、車列を組んでパトロールをしていた部隊が攻撃され、彼が乗った車も爆発で横転した。彼は重傷を負い、戦友二人が戦死した。これがトラウマ(心的外傷)になった。

 彼は別のトラウマも抱えていた。検問中に車が向かってきた。制止しても止まらなかったので、銃撃を加えた。乗っていた家族全員が死亡し、小さな子どもも犠牲になった。

 こうした事件はざらに起きた。向かってくる車の中に武器が隠されているかどうかは、銃撃する前には分からない。紛争地帯では見通しがきかない。

 彼は戦争犯罪に問われることはなかったが、「道徳的な傷」を負った人を殺したり戦友を救えなかったという罪悪感、戦友は死んだのに自分だけが生き残ったという羞恥心を意味する言葉だ。

 負傷した彼は帰国し、家族と再会した。彼はいつもいらいらしていた。PTSDの典型症状である「過覚醒」だ。酒量も格段に増えた。騒がしい繁華街に出掛けられなくなった。

 妻と二歳の娘ともうまくいかなかった。彼が体験した悪夢を妻に話さず、夫婦は理解し合えなくなったからだ。彼は精神科医にかかるのをいやがったが、妻が「治療がいやなら、離婚する」と言って、無理やり医者に連れて行った。

 さまざまな治療が施された。トラウマになった出来事を思い起こし、あえてそこに身を置くエクスポージャー療法という方法を試み、薬も投与した。

 症状が改善するのに九カ月かかった。ひと晩に二度、悪夢を見たのが週に一度に減った。ただ再発する危険は高い。何かの拍子でつらい体験を思い出す「フラッシュバック」がその引き金になる。ベトナム戦争に従軍した人が9・11(米中枢同時テロ)をきっかけに再発したケースもある。

 人は体験した忌まわしい出来事を話したがらない。口を開かせるために、精神科医は患者との間に信頼関係を築くことが大切だ。

 とりわけ兵士の中には戦争犯罪に問われる行為をした者もいるかもしれない。米軍は帰還した兵士に時間を空けて二度、心理的な検診をする。そうすることで初めて、彼らは自分の内面を明かすきっかけを得ることができる。

<戦闘の心身への影響> 2001年の米中枢同時テロ以降、アフガニスタンとイラクに従軍した米兵延べ280万人のうち、4分の1がPTSDに苦しむ。元米兵でつくる「反戦イラク帰還兵の会」の発表(14年11月)によると、調査した過去2カ月の平均自殺者数は1日22人で、65分に1人が自ら命を絶っている計算になる。戦闘に伴う精神的ストレスは、第1次世界大戦で塹壕(ざんごう)戦を経験して以来、問題視されるようになった。
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