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●「核の傘」の下のニッポン…オーストリア軍縮大使「世界で唯一の被爆国として特別な役割がある」

2017年12月14日 00時00分14秒 | Weblog


東京新聞の垣見洋樹記者による記事【唯一の被爆国 特別な役割ある 核禁止条約、日本参加を】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201711/CK2017112702000126.html)。

 《国連で今年7月に採択された核兵器禁止条約の交渉を主導したオーストリアのトーマス・ハイノツィ軍縮大使…米国から「核の傘」の提供を受ける日本が条約に参加していないことについて「日本には世界で唯一の被爆国として特別な役割がある。参加するなら素晴らしい」と述べ、将来の参加に期待を示した》。

 「核の傘」の下のニッポン…オーストリア軍縮大使「世界で唯一の被爆国として特別な役割がある」と仰るけれども、「日本への核拡散」「核保有」を思い描くアベ様や石破茂氏には全くその気はないようだ。《核爆弾を神とあがめ》ているような人たちですもの。

   『●オバマ氏の広島訪問さえも単なる選挙対策…
       …自民党は「口だけ」、選挙で同じ過ちを繰り返してはいけない
    「「核なき世界」どころか、「核兵器のない世界」ですらアベ様の
     「息吐く様に嘘つく」、アベ様のウソ吐きだったようです」
    《日本政府、つまり安倍首相の考えは、
     核の保有や核兵器の使用は認められるべきなのだ。
     …安倍首相は官房副長官時代の2002年に、早稲田大学で
     開かれた田原総一朗氏との対話のなかで
     「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。
     小型であればですね」と語っている」》

   『●「台湾の原発ゼロ」…あ~ニッポンは、
     3.11東電原発人災に正しく学ばない中毒患者と『続・猿の惑星』
    「『猿の惑星シリーズの《続編では核爆弾を神とあがめる人々も登場》…
     ニッポンの核発電「麻薬」中毒患者の皆さんの愚かな姿は、もはや、
     宗教の域に達しており、「正気の沙汰じゃない。もはや「宗教」、
     「ビョウキ」」です。「核信者」「核燃料サイクル教信者」」

   『●石破茂氏「日本への核拡散」発言と 
     山尾氏「私事」による離党の事の軽重…マスコミはわきまえているか?
    「石破茂氏の発言ですぐにブログ主の頭に思い浮かんだ風景…
     『続・猿の惑星』。自民党本部地下にて、《核爆弾を神とあがめ》、
     手を合わせる石破茂氏やアベ様らの姿」

 東京新聞の記事【学生ら「被爆国として恥」 核禁止条約不参加を批判】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017112702000139.html)によると、《被爆者の証言を伝える若者の語り部として外務省が任命した「ユース非核特使」らが意見交換するフォーラムが二十六日、広島市で開かれ、核兵器禁止条約に反対する日本政府の対応を「被爆国として恥ずかしい」などとする批判が相次いだ。外務省主催で、参加したのは現役特使と経験者ら十二人。広島、長崎、沖縄各県の日本人七人の他、米国やロシアの学生が含まれる。今年、国連で核禁止条約の交渉会合を傍聴した長崎大二年福井敦巳さん(19)は約七十人の来場者を前に「核抑止力を軸とした安全保障では核廃絶は進まない」と指摘。日本政府の条約反対を「恥ずかしく、がっかりだ」と話した》。
 核保有国の「圧力」…易々と、それに屈するニッポンって…、一体、なんなの? 被爆者の証言を伝える若者の語り部「ユース非核特使」は、日本政府の対応を「被爆国として恥ずかしい」と。全く同感だ。

   『●ささやかな核兵器廃絶の願い…高校生の言論封殺: 
        アベ様のメンツを守るための外務省の横やりという大愚
   『●「核兵器禁止条約」…「核なき世界」への 
     その先頭を走るべきアベ様やニッポン政府は一体何をしていたの?
   『●「核保有国とみられる一部の加盟国が、
      高校生にスピーチをさせないよう日本政府に圧力をかけていた…」

 東京新聞の記事【きょう広島で核軍縮「賢人会議」 「核禁止条約」不参加の日本、信頼回復狙う】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201711/CK2017112702000128.html)によると、《日本は、核兵器を法的に禁じる国連の核兵器禁止条約に参加せず、唯一の戦争被爆国としての立場が揺らいだ…日本は非核三原則を掲げながら、一九六八年に佐藤栄作首相(当時)が「日米安保条約に基づく米国の核抑止力に依存する」と明言し、米国の「核の傘」の下にある。核兵器禁止条約も核保有国とともに参加を見送った。日本主導で国連に提出された核兵器廃絶決議も、核保有国の賛同を重視して表現を弱めた結果昨年より賛成が二十三カ国減った》。

 信頼回復の道は一つしかないでしょうに。《核爆弾を神とあがめ》る道ではないでしょ?

 最後に、『報道特集』(2017年12月2日)《核廃絶 問われる日本の姿勢》にて。河野洋平河野太郎親子の天地の違い…。息子は、大惨事アベ様内閣で入閣して以降、壊れゆく一方だ。「反核燃料サイクル派」さへかなぐり捨てていたかと思えば、外部大臣として自身の「ブログを読め」との御宣託だが、「核武装」支持派に回るとはね。あまりの情けなさ、壊れっぷりに呆れ果てた。
 《日本は核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任するが、消極的な姿勢を続ければ、国際的な信頼を失いかねない》。もうすでに、《国際的な信頼》は地に堕ちているように思えるのですが…。
 《最終的には国民が決めることだ》…日本の人々が決めること、そこに期待するしかない。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201711/CK2017112702000126.html

唯一の被爆国 特別な役割ある 核禁止条約、日本参加を
2017年11月27日 朝刊

◆交渉主導オーストリア軍縮大使

 国連で今年7月に採択された核兵器禁止条約の交渉を主導したオーストリアのトーマス・ハイノツィ軍縮大使(62)が本紙のインタビューに応じた。米国から「核の傘」の提供を受ける日本が条約に参加していないことについて「日本には世界で唯一の被爆国として特別な役割がある。参加するなら素晴らしい」と述べ、将来の参加に期待を示した。 (ジュネーブで、垣見洋樹、写真も)

 核兵器の開発・使用を違法とする核兵器禁止条約は百二十二カ国・地域の賛成を得て採択された。

 ハイノツィ氏はオーストリアが条約交渉を主導したことについて「東西冷戦期、旧ソ連が(西側の)オーストリア、米国が(東側の)隣国ハンガリーをそれぞれ核攻撃する計画が発覚した後、核廃絶の意識が高まった」と説明。禁止条約が多くの支持を得た理由は「保有国が核兵器を最新化する開発競争を繰り広げる中、歯止めをかけなければとの危機感が世界的に広がった」と語った。

 自ら広島を訪問し、被爆者と対話した経験を明かし「被爆者は核兵器が人間にどんな影響を及ぼすか証明している」と強調した。

 条約が発効するには五十カ国以上が国内手続きを終える必要があり、「発効には二年から二年半かかる」との見通しも示した。

 核保有国の米国や中国米国の核抑止力に頼る日本やドイツ核開発を進める北朝鮮など禁止条約の交渉に参加しなかった

 日本主導の核兵器廃絶決議が十月に国連で採択されたが、禁止条約に触れず、核兵器の非人道性についての表現は後退。ハイノツィ氏は当時「核軍縮を後回しにする書きぶりだ」と、抑止力を前提とした決議案を批判し、採決を棄権した。

 核保有国が禁止条約を非現実的と主張していることについて、ハイノツィ氏は「化学兵器を禁止する前も現実的でないと言われたが最終的に実現した」と反論。「現在の日本政府は参加しないと言っているが、永遠にそうとは限らない。最終的には国民が決めることだ」と述べ、日本の参加に重ねて期待を示した。


◆「核には核」への強い疑念

<解説> 東西冷戦時代、米国と旧ソ連による核戦争の恐怖と危機に接した経験が、オーストリアを核兵器禁止条約の制定に突き動かした-。核廃絶を追求するハイノツィ軍縮大使の発言には「核には核で立ち向かうという核抑止力に対する強い疑念がにじむ。

 北朝鮮の核開発が深刻化する中、米国は核抑止力の必要性を訴え、禁止条約を「非生産的なだけでなく、核不拡散や核軍縮の弊害になり得る」(ウッド米軍縮大使)と言い切った。米国の「核の傘」に頼る日本も条約に賛成はできない

 しかし、ハイノツィ氏は北朝鮮が核兵器開発を放棄しない現実こそ核保有大国の抑止力が機能していない証拠」と指摘する。

 広島の被爆者と対話を重ね、禁止条約の前文に「ヒバクシャ」という言葉を盛り込むことにも力を尽くした。取材では、条約を「非現実的」と批判する米国と足並みをそろえる日本へのあからさまな批判は避けたが、唯一の戦争被爆国に対する期待は大きい。

 条約に賛成したのは国連加盟百九十三カ国の六割を超える百二十二カ国と地域。日本は核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任するが、消極的な姿勢を続ければ、国際的な信頼を失いかねない。

垣見洋樹


◆核兵器禁止条約発効へ ICAN平和賞が後押し

 国連で七月に採択された核兵器禁止条約の交渉を主導したオーストリアのトーマス・ハイノツィ軍縮大使は本紙の取材に、日本の条約参加に期待を示した。一問一答は次の通り。

 -なぜオーストリアは条約交渉を主導したのか。

 「東西冷戦期に旧ソ連はイタリア-旧西ドイツ間の交通を遮断するため、オーストリアに核兵器を撃ち込むことを計画した。米国は隣接するハンガリーへの核兵器使用を検討。こうした事実が明らかになり、国民の間に早くから核廃絶の機運が高まった」

 -条約が広く賛同を得た理由は。

 「二〇一四年、ウィーンに百六十カ国を集め『核兵器の非人道性に関する国際会議』を開いた。科学者らが最新の知見から、核戦争によって『核の冬』と呼ばれる地球の気温低下現象が起こり、人類の生存を脅かすほどの甚大な環境破壊をもたらすと報告し、危機意識が強くなった」
 「核保有国が核兵器を最新化するなど開発競争をする中、歯止めをかけなければという危機感が世界的に広がった」

 -条約成立に貢献した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))」のノーベル平和賞受賞が決まった。

 「条約が国際的に認められたと理解している。(発効に向け)後押しになる

 -日本の被爆地を訪れたことは。

 「広島で多くの被爆者と話をした。彼らは核兵器が人間にどんな影響を及ぼすかを証明している」

 -日本は条約に参加していない。

 「現政府は参加しないと言っているが、永遠にそうとは限らない。最終的には国民が決めることだ。唯一の被爆国として、特別な立場特別な役割がある。日本が条約に参加するなら素晴らしいことだ」

 -条約発効の見通しは。

 「五十カ国以上が批准するには時間がかかる。採択から二年から二年半は必要だろう」

 -核保有国は条約を現実的でないと批判している。

 「化学兵器を全面禁止する前も非現実的だと言われたが、最終的に実現した

 -日本は、北朝鮮の核の脅威に対する抑止力の必要性を訴えている。

 「(米国などの)核保有国が、北朝鮮の核開発を止められなかったのは核兵器が役に立っていない実例ではないかと思う」

<トーマス・ハイノツィ> 1955年、ウィーン生まれ。ウィーン大学で法律と経済を学び、78年にオーストリア外務省に入省した。軍縮や安全保障に関する部門で勤務した後、国連のオーストリア次席代表、欧州評議会の常駐代表などを経て国連の軍縮大使。

(東京新聞)
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●自公お維大地を支持=「自らは安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家が姿を消さない」ニッポン

2016年04月03日 00時00分38秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【<証言者>アフガン派遣の元ドイツ軍兵士 砕かれた正義感、心病む】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016032590065538.html)、
【<証言者>米精神科医 帰還兵を悩ます罪悪感】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201603/CK2016032602000144.html)。

 《戦場に行くとはどういうことなのか。…想像を超える戦争の現実に打ちのめされた経験を語った。…こうした現実を、僕も、ドイツ国民も全く分かっていなかった政治家は派兵を大した問題ではないように見せようとしていた》。
 《戦場を経験した兵士が抱える深刻な問題は、死に直面する体験からくる心的外傷後ストレス障害(PTSD)だ。米軍所属の精神科医としてエルスペス・リッチーさんは二十四年にわたって帰還兵士の治療に携わり、治療した患者は数百人に及ぶ。心に傷を負った彼らが、元の精神状態を取り戻すのは並大抵のことではない》。

   『●平和憲法を壊憲し軍隊を持ち「戦争できる国」の時代に: 
               「ネジレ」を取り戻し、「厭戦」の世に戻したい
   『●「不誠実極まりない」アベ様ら、安全保障関連法廃止法案を
                    国会にて2ヶ月に渡り店晒しするつもり

 ニッポンは「戦争できる国」へと変貌。アベ様らは、「戦争絶滅受合(うけあい)法案」を制定することもなく、自らは安全地帯に居て(居ると思って)市民を戦場に送りたくてしょうがないらしい。でも、そんな「場」に子を送りたいと思う親がいるのだろうか? 自公お維大地の議員を支持し、彼/彼女らに投票するとはそういうことだ。ニッポンでは、《自らは安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家は姿を消す》ことは無いようだ。

   『●戦争、環境破壊の最たるもの
     《二十世紀の初めごろ、デンマークの陸軍大将が、こんな法律があれば、
      戦争をなくせると考えて起草した法案がある。題して
      「戦争絶滅受合(うけあい)法案」▼戦争の開始から十時間以内に、
      敵の砲火が飛ぶ最前線に一兵卒を送り込む。順序はまず国家元首、
      次にその親族の男性、三番目は総理、国務大臣、各省の次官、
      そして国会議員(戦争に反対した議員を除く)、戦争に反対しなかった
      宗教界の指導者…▼妻や娘は従軍看護師として招集し、最前線
      野戦病院で働く。権力を持つ者から犠牲になるなら、自らは
      安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家は姿を消すだろう

   『●いろんな意味で疲れます・・・住民基本台帳活用と
          アイドルによる「番宣」で「果てしない夢」へGO!

   『●東京新聞・半田滋さん「「銃後の国民」も
     無関係ではいられない。たいへんな思いをするのは・・・」

   『●血税と赤紙と・・・「主権者である天皇に徴兵制に基づき血を納めた」。
                    そして、いま、アベ国王へ血税が

   『●子供たちと赤紙: 「学校保護宣言」に調印しない戦争好き、
                      侵略戦争マニアな国々はどこ??

   『●「18歳選挙権」にさえ無関心?:  
      血税と赤紙と、そして、(経済的)徴兵制への第一歩か?

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016032590065538.html

<証言者>アフガン派遣の元ドイツ軍兵士 砕かれた正義感、心病む
2016年3月25日 07時00分

     (ドイツ軍の歩兵としてアフガニスタンで任務に当たった
      経験を語るヨハネス・クレアさん=ドイツ北部ハンブルクで
      (垣見洋樹撮影))

 二十九日施行の安全保障関連法は、適用対象が日本国内に限定されないことから、自衛隊が海外で他国の戦闘に巻き込まれる事態も想定される。戦場に行くとはどういうことなのか。外国の生の声を聞きながら考えたい。一人目は、ドイツ軍の一員としてアフガニスタンに派遣された元歩兵、ヨハネス・クレアさん(30)。想像を超える戦争の現実に打ちのめされた経験を語った。 (ベルリン・垣見洋樹)

 アフガニスタンに行ったのは二〇一〇年六月から七カ月間。現地で治安維持を支援する国際治安支援部隊(ISAF)の活動だ。

 現在は除隊し、戦場体験を講演しながら、週に一度精神科に通っている。平穏な日常の中で、花火の破裂音などを聞くと突然戦場の光景がよみがえる。自分がこれほど恐怖心にさいなまれるとは想像していなかった。

 ドイツでは第二次世界大戦の苦い経験から、兵士の仕事を批判的にみる人が多い。でも、僕は子どものころから兵士になりたかった。小学五年のとき、通知表に「君は正義感が強い」と書かれたこともある。

 十六歳だった〇二年、ドイツ軍が初めてアフガンに派遣された。現地で何が起きているのかを、自分の目で確かめたいと思った。

 高校を出て軍隊に入り、エリート集団のパラシュート部隊に配属された。アフガンが一番厳しい現場と聞いて、派遣を志願した。「僕が助けに行く。派遣期間に治安を回復して、帰って来る。大丈夫だ」と理想的なイメージだけしかなく、自分が被害を受けるなんて考えもしなかった。

 現地で最初の二カ月はやる気を維持していた。銃撃戦が始まるとアドレナリンが出て、何時間も精神が高揚することを体験した。

 しかし、ある日を境に状況が一変した。八月の夜、十人ほどで地雷除去に向かったとき、待ち伏せしていた敵に囲まれ、十メートルほどの至近から銃撃を浴びた。小さい村の中の真っ暗なところ。初めて恐怖感じ、その日から、戦いのたびに恐怖が強くなっていった

 夜間は敵が攻撃してこないと思い込んでいた。われわれのように暗視カメラや赤外線カメラを持っていないからだ。しかし、彼らは民間の偵察員を使ってわれわれの行動を監視し、見つけると連絡し合って村の兵士をかき集めていた。

 われわれが一人も傷を負わなかったのは奇跡だと後で隊長に言われた。しかし、心には傷が残った。以後、僕は正常に任務を果たせなくなった。

 もうひとつの悩みは、現地住民の誰が敵で、誰が味方か分からないことだった。さまざまな部族や組織が入り乱れ、対立や同盟を繰り返している。いつどこで誰が敵になるか分からないから、いつも気を張っていなければならなかった。

 こうした現実を、僕も、ドイツ国民も全く分かっていなかった政治家は派兵を大した問題ではないように見せようとしていた。アフガンを「戦場」と認識したのは、最初の派兵から七年ほどたってから。何人もの兵士を亡くし、やっと気付いたんだと思う。

<ドイツ軍の歩み> 敗戦に伴う軍解体から10年後の55年、旧西ドイツが再軍備を開始。北大西洋条約機構(NATO)域外への派兵は違憲とされてきたが、94年、独連邦憲法裁判所は軍のNATO域外派遣を合憲と判断した。以後、アフガニスタン国際治安支援部隊などに参加。3月14日現在、14カ国・地域に女性254人を含む3249人を派遣。域外派遣兵士の死亡者は106人。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201603/CK2016032602000144.html

<証言者>米精神科医 帰還兵を悩ます罪悪感
2016年3月26日 朝刊

     (帰還兵のPTSD治療の難しさを語るエルスペス・リッチーさん)

 戦場を経験した兵士が抱える深刻な問題は、死に直面する体験からくる心的外傷後ストレス障害(PTSD)だ。米軍所属の精神科医としてエルスペス・リッチーさんは二十四年にわたって帰還兵士の治療に携わり、治療した患者は数百人に及ぶ。心に傷を負った彼らが、元の精神状態を取り戻すのは並大抵のことではない。 (ワシントン・青木睦、写真も)

 患者となった二十六歳の海兵隊員の話をしましょう。彼はイラクに二度、アフガンに一度、派遣された。イラク戦争の激戦地だったファルージャで、車列を組んでパトロールをしていた部隊が攻撃され、彼が乗った車も爆発で横転した。彼は重傷を負い、戦友二人が戦死した。これがトラウマ(心的外傷)になった。

 彼は別のトラウマも抱えていた。検問中に車が向かってきた。制止しても止まらなかったので、銃撃を加えた。乗っていた家族全員が死亡し、小さな子どもも犠牲になった。

 こうした事件はざらに起きた。向かってくる車の中に武器が隠されているかどうかは、銃撃する前には分からない。紛争地帯では見通しがきかない。

 彼は戦争犯罪に問われることはなかったが、「道徳的な傷」を負った人を殺したり戦友を救えなかったという罪悪感、戦友は死んだのに自分だけが生き残ったという羞恥心を意味する言葉だ。

 負傷した彼は帰国し、家族と再会した。彼はいつもいらいらしていた。PTSDの典型症状である「過覚醒」だ。酒量も格段に増えた。騒がしい繁華街に出掛けられなくなった。

 妻と二歳の娘ともうまくいかなかった。彼が体験した悪夢を妻に話さず、夫婦は理解し合えなくなったからだ。彼は精神科医にかかるのをいやがったが、妻が「治療がいやなら、離婚する」と言って、無理やり医者に連れて行った。

 さまざまな治療が施された。トラウマになった出来事を思い起こし、あえてそこに身を置くエクスポージャー療法という方法を試み、薬も投与した。

 症状が改善するのに九カ月かかった。ひと晩に二度、悪夢を見たのが週に一度に減った。ただ再発する危険は高い。何かの拍子でつらい体験を思い出す「フラッシュバック」がその引き金になる。ベトナム戦争に従軍した人が9・11(米中枢同時テロ)をきっかけに再発したケースもある。

 人は体験した忌まわしい出来事を話したがらない。口を開かせるために、精神科医は患者との間に信頼関係を築くことが大切だ。

 とりわけ兵士の中には戦争犯罪に問われる行為をした者もいるかもしれない。米軍は帰還した兵士に時間を空けて二度、心理的な検診をする。そうすることで初めて、彼らは自分の内面を明かすきっかけを得ることができる。

<戦闘の心身への影響> 2001年の米中枢同時テロ以降、アフガニスタンとイラクに従軍した米兵延べ280万人のうち、4分の1がPTSDに苦しむ。元米兵でつくる「反戦イラク帰還兵の会」の発表(14年11月)によると、調査した過去2カ月の平均自殺者数は1日22人で、65分に1人が自ら命を絶っている計算になる。戦闘に伴う精神的ストレスは、第1次世界大戦で塹壕(ざんごう)戦を経験して以来、問題視されるようになった。
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