河北新報の二つの記事【福島第1原発1号機 燃料震災前破損70体 全体の4分の1】(http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131116t63022.htm)と【福島第1原発・破損燃料80体 移送困難 廃炉阻む】(http://www.kahoku.co.jp/news/2013/12/20131202t63008.htm)。また、『小出裕章ジャーナル』の記事【燃料棒70体が震災前から損傷? 「70年代の初め頃はそういうことが年がら年中あってですね、あっ、また穴があいちゃったということで、使用済燃料プールの中に移すということをやってきました」~第47回小出裕章ジャーナル】(http://www.rafjp.org/koidejournal/no47/)。
「福島第1原発1号機の使用済み燃料プール内にある燃料棒70体が東日本大震災前から損傷していた」、また、「70体の燃料棒は、小さな穴が空いて放射性物質が漏れ出すなどトラブルが相次いだため、原子炉から取り出してプール内に別に保管していた」のだそうです。それをずっと先送りしてきていたわけです。しかも、それをずっと東電は隠していました。「安全神話」を垂れ流していたのです。「東電は専用の輸送容器を新たに製造するなど対応策を検討する」って、震災前・原発人災前は一体何をしていたのでしょうか? 2番目の記事が言う通り、
「破損燃料は1号機が運転を始めた1971年以降、保管された。
ひび割れや穴から放射性物質が漏れて移送が難しく、東電は
破損燃料が出るたびにプールに仮置きする弥縫(びほう)策に終始し、
長年、問題解決を先送りに・・・・・・」
してきたのです。
後藤政志さんによると、「破損燃料からはフィルターでも除去できない放射性の希ガスが大量に発生し、10万年単位で隔離する必要がある」・・・・・・そうで、一体どんな「安全神話」だろうか!?、と呆れ返る。
「破損燃料は東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)にも計38体が保管されていた」そうだが、それさえ解決出来ないのに、それでも柏崎刈羽を再稼働しようというのだから、一体どんな企業倫理なのか?
当たり前ですが、東電だけでなく、小出裕章さんの話によると、関電も相当に「汚いこと」をやっているようです。所詮、電力会社に企業倫理や環境倫理を求めても詮無いことでしょうが、その結果の重大性があまりに大きすぎます。
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【http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131116t63022.htm】
福島第1原発1号機 燃料震災前破損70体 全体の4分の1
福島第1原発1号機の使用済み燃料プール内にある燃料棒70体が東日本大震災前から損傷していたことが15日、分かった。プール内に保管されている使用済み燃料292体の4分の1に相当する。損傷した燃料棒を取り出す技術は確立しておらず、2017年にも始まる1号機の燃料取り出し計画や廃炉作業への影響が懸念される。
東京電力は、15日まで事実関係を公表してこなかった。同社は「国への報告は随時してきた」と説明している。
東電によると70体の燃料棒は、小さな穴が空いて放射性物質が漏れ出すなどトラブルが相次いだため、原子炉から取り出してプール内に別に保管していたという。
18日に燃料取り出しが始まる4号機プール内にも損傷した燃料棒が3体あり、東電は通常の取り出しが困難なため、対応を後回しにしている。
損傷した燃料棒は1、4号機プールのほかにも2号機プールに3体、3号機プールに4体の計80体ある。東電は専用の輸送容器を新たに製造するなど対応策を検討する。
損傷燃料が1号機に集中している理由について、東電は「1号機は当社で最も古い原発で、燃料棒の製造時、品質管理に問題があり粗悪品が多かったと聞いている。2号機以降は燃料棒の改良が進み、品質は改善した」と説明した。
1号機は東電初の原発で、1971年3月に商業運転を開始した。
2013年11月16日土曜日
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【http://www.kahoku.co.jp/news/2013/12/20131202t63008.htm】
福島第1原発・破損燃料80体 移送困難 廃炉阻む
(4号機で始まった燃料取り出し作業。破損燃料の存在が明らかになり、
廃炉作業に支障を来す可能性がある=11月26日、福島第1原発)
福島第1原発1~4号機の使用済み核燃料プールに、原発事故前から80体の破損燃料が保管されていたことが明らかになった。処理が難しく、4号機で始まった取り出し作業に影響する可能性がある。
東京電力によると、80体は燃料集合体で1号機に70体、2号機に3体、3号機に4体、4号機に3体。ほかに5、6号機に各1体、第2原発2号機に2体ある。ひび割れがあったり、小さな穴が開いたりしている。
1号機の使用済み燃料は計292体で、破損燃料の比率は4分の1に迫る。70体のうち67体が米ゼネラル・エレクトリック社製で、残る3体は日本ニュクリア・フュエル社(現グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン)が製造した。
破損燃料は1号機が運転を始めた1971年以降、保管された。ひび割れや穴から放射性物質が漏れて移送が難しく、東電は破損燃料が出るたびにプールに仮置きする弥縫(びほう)策に終始し、長年、問題解決を先送りにした。
燃料取り出しは廃炉工程の主要作業で、東電は第1弾として11月18日に4号機で始めた。2014年末までに全1533体を取り出す予定だ。3号機は15年度、1、2号機は17年度に実施する計画を立てている。
東電は「破損燃料は専用のキャスクを作って対応する」と工程への影響を否定しているが、福島原発での破損燃料の移送実績はなく、成否は不透明だ。国も破損燃料の輸送と保管に関し、合理的な安全規制の必要性を緊急課題に挙げている。
破損燃料は東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)にも計38体が保管されていたことが判明し、原発問題の新たな論点に浮上している。
元原子炉設計者で芝浦工大非常勤講師の後藤政志さんは「破損燃料からはフィルターでも除去できない放射性の希ガスが大量に発生し、10万年単位で隔離する必要がある。廃炉作業に与える影響は大きい」と指摘している。
2013年12月02日月曜日
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【http://www.rafjp.org/koidejournal/no47/】
小出裕章ジャーナル
燃料棒70体が震災前から損傷?「70年代の初め頃はそういうことが年がら年中あってですね、あっ、また穴があいちゃったということで、使用済燃料プールの中に移すということをやってきました」~第47回小出裕章ジャーナル
聞き手:
河北新報が11月16日に驚くべき発表をしました。福島第一原発1号機の使用済燃料プールの中にある燃料棒70体が3・11の地震の前から損傷していたと発表したのですが、地震の前に燃料棒って損傷するんですか?
小出さん:
するのです。特に福島第一原子力発電所の場合は1号機で損傷は多発したと東京電力は言っているのですが、福島第一原発1号機というのは1971年から動きはじめまして、米国の中でも原子力発電所の運転経験がない頃に、米国のGEが作ったという原子力発電所で、燃料棒に度々欠陥が生じてですね、穴が空いてしまったり割れてしまったりというそういうトラブルがたくさんありました。
聞き手:
燃料棒に穴があいたり、割れたりするとどうなるんでしょうか?
小出さん:
放射能が漏れてきて、一時冷却水が汚れてしまうわけです。
聞き手:
そんな時が通常運転の時から・・・。
小出さん:
そうです。70年代の初め頃はそういうことが年がら年中あってですね、あっ、また穴があいちゃったということで、使用済燃料プールの中に移すということをやってきました。
聞き手:
また穴があいちゃったって、そんなことを言っている場合じゃないと思いますけど。
小出さん:
本当はそうですけど、やったことがないこと、原子炉を動かすということを始めた頃の事なんですね。やってみたら、原子炉を動かす様々なトラブルが出てくるというそんな時代でした。
聞き手:
1号炉は欠陥炉である上に、操作も欠陥だったんですか?
小出さん:
操作というか、燃料棒の、ジルコニウムという金属でできているのですが、その製造の仕方とか、そういうことも手探りでやってきた時代だったのです。ですから、燃料棒を作ってみたけれど、やっぱりこれでは穴があいてしまう、一冷却水の燃料棒管理もこんな形ではよくないな、と手探りでやっていたのです。
聞き手:
今もきれいな福島の海を汚しているのですが、もっと前から汚してきたのですか?
小出さん:
原子力発電所が運転されてしまえば、汚れない空気もないし、汚れない海もなかったのです。ただ、今進行しているのは、それとは全然桁違いの汚染が生じているわけですけれども、汚染自身は原子力発電所が動いてしまえば、どうにもならずに生じてきたのです。
聞き手:
これね、今になって東電は公表するんですよ。
小出さん:
それが汚いですよね。
聞き手:
今まで放っといたのですか。
小出さん:
原子力安全委員会とか、そういうところには、彼らはピンホールと呼ぶのですが、本当に針でつついたような小さな穴があきました、というそういう報告はたぶんしていたと思います。
ただし、実際に本当にピンホールであったのか、大きく破損していたかということは実はわからないことでして、例えば、関西電力の美浜1号機という原子炉が1971年から動き始めたのですが、そこでは動き始めてしばらく経って、73年に2本の燃料が70センチも欠けてなくなったという、そんな事故があった。それなのに関西電力はそれを一切報告しないまま隠してしまったということがありました。
その事故は76年になってようやくに発覚したのですが、その時も関西電力は燃料棒を動かすときにぶつけて落ちちゃっただけなんだという嘘、偽りの釈明をしました。
聞き手:
嘘というのはなぜ・・・。別の理由があったんですか?
小出さん:
私はその時の事故調査に加わったのですけれども、もう壊れた時に、一時冷却水に大量の放射能が漏れてきたりと、そういうデータがちゃんと残っていました。それはすぐに関西電力もわかるはずで、定期検査になってすぐに取り出して隠してしまった。そういうことをやったのです。
聞き手:
そういうことはほかの原発でも起こっている可能性が高い。
小出:もちろん、東京電力が言っているピンホールというのは当時から山ほど起きていましたし、実はピンホールではなくて、もっと大きな破損というのもあったかもしれないのです。
聞き手:
福島第一原発4号機の燃料棒を取り出した後はどうするんですか? 中間貯蔵施設に入れるということですか?
小出さん:
それぞれの原子力発電所には、それぞれの燃料プールというのが元々あったのですが、次々と使用済燃料棒が増えてきてしまいまして、すでにもうほとんどの原子力発電所の中の敷地の中のプールは満員なのです。そのために何を始めにやったかというと、六ケ所村の再処理工場というのを作りまして、そこに3千トン分の使用済燃料棒が入るプールを作りました。
そこに次々と使用済み燃料棒プールを移動させました。本来であれば、再処理工場が動けば燃料がなくなっていくわけで、そこで次々と移そうとしていたのですが、再処理工場は全く動きませんので、もう六ヶ所の再処理工場の使用済み燃料棒プールも満員になってしまった。そうするともう入れ場がなくなりましたので、今度は中間貯蔵施設というものを青森県のむつ市に作りました。
ただし、むつ市の中間貯蔵施設に入れられるのは、東京電力と日本原子力発電の燃料だけです。ただ、5千トン分ありますので、東京電力と日本原子力発電はこれからしばらくの間は中間貯蔵施設を使うことでなんとか凌げるだろうと思います。
ただ、他の電力会社は今どうにもならなくなっていますので、新たにまた、中間貯蔵施設を作らなければならなくるだろうと思います。
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