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●「報われない国」の労働環境の「質」の劣化

2013年09月20日 00時00分08秒 | Weblog


未来工業について触れている東京新聞の社説【企業の人材投資 削減するばかりでは】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082402000115.html)と東京新聞の【【私説・論説室から】頑張っても報われない国】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2013082602000131.html)。最後に、gendai.netの記事【ワタミだけじゃない! あの有名経営者「ブラック発言」の数々】(http://gendai.net/articles/view/syakai/144202)。

 未来工業という会社ついて、以前東京新聞のコラム『筆洗』でも触れられていた。

   『●働くとは何か? 生業とは?
   
     「コストを削った利益を社員に回すためだという・・・「これだけ休みを
      もらって、自由にやらせていただいていて売り上げが下がったのでは
      申し訳ない」という営業社員の声が載っていた。「ムチがなくても
      社員は働く。それを知らないのは無知」という思想の浸透を感じた
      ▼・・・社員がやりがいを持って幸福に働ける環境を築いてきた
      経営者の言葉には、小さな企業が生き抜いてゆく知恵が詰まっている

 労働者の敵・経団連米倉弘昌会長や新自由主義学者竹中平蔵氏にはあり得ない発想。消費税増税非正規化が加速することは明白なのに、安倍晋三首相は消費税増税・非正規労働化に向かって驀進している。それに対して、この未来工業を見よ!

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082402000115.html

【社説】
企業の人材投資 削減するばかりでは
2013年8月24日

 全日本空輸が二十年ぶりに客室乗務員の正社員採用を再開する。従来のコスト削減を目指した契約社員採用を見直す。経済界は人件費圧縮ばかりに走るが、人材投資に前向きな経営にすべきだ

 国内航空会社の客室乗務員(CA)は花形の職業でありながら、バブル崩壊後は賃金抑制のために契約社員採用になっていた。

 全日空の場合、入社から三年たたないと正社員に移行できない。福利厚生や年金、退職金などの待遇面で正社員に劣ることから離職率は高い。格安航空会社(LCC)を含めて競争が激しくなる中、優秀な人材確保のために正社員採用の再開を決めた。

 すなわち「コスト削減こそ競争力の源泉」とみていたのを改め、「人材こそ競争力の源泉の戦略に大きくかじを切ったのである。

 考えてみれば、企業が横並びで非正規社員を拡大させ、雇用の不安定化と賃金低下に歯止めがかからず、それがデフレ経済を長引かせてきたのである。人件費をコストとしかみず、労働者を大切にしない資本(株主)優先の安易な経営が、結果的に自らの首を絞めてきたということだ。

 人を大事にする経営で知られる岐阜県の未来工業(電気・ガス設備資材)は、全員が正社員で定年も七十歳。昭和四十年の創業以来、赤字はなく、社員約八百人の平均年収は六百二十万円(四十三歳)。好業績は社員の提案に基づく商品開発力にあるという。かつてと違い、大手企業からヒット商品が生まれないのも人件費削減に躍起な経営と無縁ではあるまい。

 ところが安倍政権は「世界一企業が活動しやすい国」を掲げ、解雇しやすい正社員といわれる「限定正社員」など雇用流動化に力を入れる。派遣労働についても規制緩和を一段と進める方針である。

 厚生労働省の労働者派遣制度の見直しを検討した有識者研究会の報告書は、企業が派遣を利用しやすい内容だ。これまで企業が一つの業務に派遣労働を使用できる期間は最長三年だったルールを撤廃し、人を入れ替えれば派遣を使い続けられる。派遣会社と無期契約した場合には、派遣先で無期限に働けるルールも提言した。

 これらは正社員の仕事が派遣に置き換えられたり、派遣労働の固定化につながる懸念がぬぐえない。年末に厚労省の審議会で詰められるが、「多様な働き方」の美名の下に賃金・不安定雇用の非正規労働をこれ以上、拡大することは見過ごすことができない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2013082602000131.html

【私説・論説室から】
頑張っても報われない国
2013年8月26日

 今月初めに聴いた絵本作家、伊勢英子さんの講演が重くのしかかっている。

 3・11と福島原発事故の痛ましさに、しばらく絵筆を取る気になれなかったという伊勢さん。考えて考えて、未来につながる希望を日本中の母子に伝えたいと、その年の夏、一冊の絵本を緊急出版した。『木のあかちゃんズ』(平凡社刊)は、モミジなど二十種余りの樹木の種子を人間の赤ちゃんに擬して描き、ほほ笑ましい作品。ただ「気がかりが一カ所あった」という。

 原発事故で数十年も苦難が予想される地域に思いを寄せて描いた「メマツヨイグサ」。その種子は地中で三十年でも百年でも眠って芽吹きを待つ。だが、帰還困難地域などで先の見えない状態が現実となった今、種子の特性をありのまま描いてよかったのか-と自問するようになったのだ。

 さらにショックが重なった。本来、内陸に生えるメマツヨイグサが、岩手県内の海岸で群生していることを知った。津波で種子が流されたらしく「移住を強いられた方々と重なって…」と声を震わせた。

 安倍晋三首相は「頑張った人が報われる社会に」という。しかし、このどうしようもない格差固定社会では、いくら頑張っても非正規から抜け出せない人もいる出自に恵まれた首相には、そんな機会の不平等は見えないだろう。古里を奪われ、無縁の地で毎日を頑張っている人はいつ報われるのか。 (久原穏)
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http://gendai.net/articles/view/syakai/144202

ワタミだけじゃない! あの有名経営者「ブラック発言」の数々
2013年8月24日 掲載

<人権無視、法律無視のオンパレード>

「365日24時間死ぬまで働け」「いますぐ、ここから飛び降りろ!」――。いずれも今年の「ブラック企業大賞」に輝いたワタミの創業者・辺美樹参議院議員の発言だが、ほかにも企業トップのヤバい発言がいくつもある。24日発売の「ブラック語録大全」(合同出版)には、法律無視を得意満面に語る経営者の数々の語録がまとめられている。

〈過労死を含めて、これは自己管理だと思います〉〈祝日もいっさいなくすべきです。労働基準監督署も不要です〉〈格差論は甘えです〉――。こんな持論を主張したのは、人材派遣会社「ザ・アール」の奥谷禮子社長。奥谷社長は内閣府規制改革会議委員など政府の諮問委員を歴任した人物だ。

 小平の格言になぞらえて、〈白い猫でも黒い猫でも利益を稼ぐのはいい猫だ〉と言い放ったのは、御手洗冨士夫・キヤノン会長兼社長。まるで労働者を犬猫扱いではないか。

 “富士通の怪物”と呼ばれ、現在も相談役として同社に影響力を持つ秋草直之相談役は、「週刊東洋経済」(01年10月13日号)の取材で業績不振について聞かれ、〈くだらない質問だ。従業員が働かないからいけない〉と社員に責任転嫁した。

 精密小型モーターの開発製造で世界一の日本電産の永守重信社長は08年4月の決算発表の場でこんな発言をした。

   〈休みたいならやめればいい。社員全員が休日返上で働く企業だから
    成長できるし給料も上がる〉

 スズキの鈴木修会長も〈土曜休んで日曜も休む奴は要らない〉と言っている。ま、永守社長も鈴木会長も自分が休日返上で働くタイプ。それで会社が成長したのだから、言ってることはわからないではないが、法律には週40時間労働と書かれている。

 他にも〈結果的にはブラック企業が社会を豊かにする〉(ITベンチャー・ジーワンシステムの生島勘富社長)、〈業界ナンバーワンになるには違法行為が許される〉(クリスタル創業者の林純一氏)、〈労働基準法なんておかしい。今は24時間働かないといけない時代なのに〉(NOVAの猿橋望元社長)といった仰天語録のオンパレードだ。ちなみに、猿橋元社長はこの発言後の08年6月に業務上横領で逮捕され、クリスタルはとっくに消滅した。

 「ブラック語録大全」の法律監修を担当した佐々木亮弁護士(ブラック企業被害対策弁護団代表)がこう言う。

   「本に載せたブラック語録は経済誌や大手新聞などの出版物、
    ウェブサイトで経営者が臆面もなく語った表の情報です。彼らはそれが
    経営哲学だと信じ、熱く語っているのでしょうが、いずれも、法律無視の
    不当労働やパワハラを正当化するような発言ばかり。恥ずべき言動です。
    そんな経営者をきちんと検証せず、カリスマ経営者みたいに持ち上げた
    メディアにも責任があると思います」

 若者を使い潰すブラック企業が社会を豊かにすることは絶対にない法を顧みない悪質な企業はいずれ駆逐される運命にある。
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