帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの「古今和歌集」 巻第一 春歌上(45)梅花 いつのひと間にうつろひぬらん

2016-10-14 19:17:33 | 古典

             


                         帯とけの「古今和歌集」

                ――秘伝となって埋もれた和歌の妖艶なる奥義――


 
「古今和歌集」の歌を、原点に帰って、紀貫之、藤原公任、清少納言、藤原俊成に歌論と言語観を学んで聞き直せば、隠れていた歌の「心におかしきところ」が顕れる。それは、普通の言葉では述べ難いことなので、歌から直接心に伝わるよう紐解く。

 

「古今和歌集」巻第一 春歌上45

 

家にありける梅の花の散りけるをよめる   貫 之

くるとあくと目かれぬものを梅花 いつの人間にうつろひぬらん

(家に有った梅の花が散ったのを詠んだと思われる……井辺に在った、おとこ花が散ったのを詠んだらしい) 貫之

(日暮れても、夜明けても、目を離さないのに、梅の花、いつの人のいない間に、移ろうてしまったのだろう……繰るとも、飽きても、女涸れないのに、おとこ端、井津のひと間に、尽き果て衰えて、しまったのだろう)

 


 歌言葉の「言の心」を心得て、戯れの意味も知る

「くる…暮れる…繰る…繰り返す」「あく…明ける…飽く…厭きる」「と…ても…としても」「めかれぬ…目離れない…女離れない…女涸れない」「いつの…何時の…井津の…井・津の言の心はおんな」「ひとま…人間…人の居ない間…ひとの間…女の間…おんな」「に…時を示す…場所を示す…のために…原因理由を示す」「うつろひ…移ろい…変化…衰え」「ぬ…完了した意を表す」「らん…推量する意を表す…原因理由を推量する意を表す」

 

暮れても明けても、目を離さず見ているのに、梅の花は、いつの間に、人の知らぬ間に・散ってしまうのだろう。――歌の清げな姿。

繰り返しても飽き足りても、女は離れないのに、はかない・おとこ端、井津のひと間に、衰えてしまうのだろう。――心におかしきところ。


 「お花散りかかるのを、彼が身、苦盛ると言うでしょうに」などと責められた男は、散り果てるのは、おとこのさがと、素直に、このように、呟くのも一つの方法だろう。あとは開き直ることか。

 

(古今和歌集の原文は、新 日本古典文学大系本に依る)

ジャンル:
文化
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 帯とけの「古今和歌集」 巻第... | トップ | 帯とけの「古今和歌集」 巻第... »

あわせて読む