プロの業者が集まる
骨董の競り市場は相変わらず
鉄火場。暑い火花が散り、笑いと怒号とであふれている。
が、ここ数年、近隣国の骨董やさんが集まってきて、国際化が目覚ましい。
チャイナマネーだ。
きのうも台湾人4人と中国人3人がいた。(台湾人はフレンドリーな感じがする)。
来週僕は所要で北京に行く。
なので情報を仕入れる単に、中国人の若い骨董商、Aと話した。
○「来週北京へ行くけど、古道具のマーケットはどうだい?」
A「藩家園か?、ニセモノだらけだよ。」
○「なんであなたは日本のこんな地方都市に住みついて、骨董商してるの?」
A「僕は上海出身だけど、北京や上海には古いものがないからだよ。
清朝や明の骨董は、日本に多く渡っているから。
中国よりも日本で先に有名になった作家は、日本に作品が残っている場合があるしね。斉白石も扱ったことあるよ。
中国より上は砂漠で、南方や中東の周辺国には中国の骨董が無い。
日本に吹き溜まりのように残っているからだよ。」
○「なんで中国には骨董が残っていないの?」
A「文化大革命で破壊されたからだよ。」彼は静かに、語気を強めた。
A「発掘品は、いまでも地面の下には残っているだろうね。でも文化財として保護されているから。掘り出せば捕まるし、
掘り出してこっそり闇に売られるのもあるけど。伝来品はほとんど無い」
○「文化大革命?」
A「毛沢東は、文化面から言えば、悪魔だ!」
Aは言葉を慎重に選びながら、文化面に限定して、骨董を破壊しつくした毛沢東を静かに批判した。
そっか。書画 骨董 仏像類は徹底的に破壊され、燃やされたんだったっけ?!…
そういえばISも、今でもイラクの文化財を破壊・略奪しているね。
Aは硯・筆などの文房具類、掛け軸、金瓶銀瓶に目を光らしていた。
「新しい中国製が多い」とつぶやいていた。
○「なぜ中国人は中国のものしか買わないの?プライド?」
僕のこの質問に対しては、バカな質問だと感じているように感じられた…
A「プライドじゃないよ。
中国人は、中国のものしか買わない。
だから中国の骨董商は、中国のものだけを買うんだよ。
中国人はなぜ骨董を買うのか?
それは 投機目的だよ」
「投機」の対象にならないものは、売れないから一切買う必要が無い。
すがすがしいくらい、「カネ」という価値観に貫かれ、一点の曇りも感傷もない。
客が買わないものは買わない。当たり前なことを質問するなという感じだった。
おそらくは民族性の違いだろう。
僕は踏み込んだ質問を投げ込んでみた。
○「日本人は和物以外に、李朝や西洋アンティークやアフリカンのプリミティブな人形や、少数民族の古布などを買って楽しんでいるよ」
Aは「中国人は投機目的だから。」とにべもない。
僕はさらに突っ込んだ。
○「でも、中国人はにっぽんの古い鉄瓶を買うね?」
A「茶の歴史は中国の方が日本より古い。中国に鉄瓶はないけど
便利なものが日本の鉄瓶。」
中国発祥の茶道の大きなくくりの中にたまたま中国人が「便利」と感じた
鉄瓶があり、日本製であるけれど中国文化の中にある前提だから買っている感じ。
僕は最大のつっこみをぶっこんだ。
○「文化大革命って、中国人の伝統的な価値観も破壊したのかい?
たとえば政府を信じたり、助け合ったりする伝統的な価値観なんかも。
当時は自分を守るため、親戚や友人も売ったという、チクリの社会だったと聞いている」
A「そうかもしれない」
今の北朝鮮がそう。
ドキュメンタリーで脱北者が母親と兄の情報を当局に売り、自分が収容所に送られるのを逃れた話だった。
◎日本人は楽しむために骨董を買う。
一方、中国人は、政府や他人を信用していない。だから「投機」目的で骨董を買う。
戦争などの混乱期が長く続いた歴史から、いざとなれば「換金」できるものを身に付けたり所有したりするんだろうな。
土地も共産主義だから国家のものだし。
中国の骨董文化の間口は日本より狭く、換金できる&自国のものに限定される
というシビアな現実が見えてきた。
そっか、にっぽんのオタク文化人は、混乱の少ない島国日本でしか育むことのできない希少種だったのか?!
●民族の歴史が、骨董をどう楽しむかという文化の違いを生み出すんだね。
面白い。
◎僕たちにっぽんの骨董・露天商は、ガラクタをブルーシートに並べてんじゃねえ。
こだわりぬいた美意識を並べてるのだ。
遊び心と冒険心で手に入れた星のかけらを並べているのだ。
果たして北京にも、骨董を心から楽しむ庶民の、蚤の市文化があるのかな?
北京行が楽しみになってきた。
骨董の競り市場は相変わらず
鉄火場。暑い火花が散り、笑いと怒号とであふれている。
が、ここ数年、近隣国の骨董やさんが集まってきて、国際化が目覚ましい。
チャイナマネーだ。
きのうも台湾人4人と中国人3人がいた。(台湾人はフレンドリーな感じがする)。
来週僕は所要で北京に行く。
なので情報を仕入れる単に、中国人の若い骨董商、Aと話した。
○「来週北京へ行くけど、古道具のマーケットはどうだい?」
A「藩家園か?、ニセモノだらけだよ。」
○「なんであなたは日本のこんな地方都市に住みついて、骨董商してるの?」
A「僕は上海出身だけど、北京や上海には古いものがないからだよ。
清朝や明の骨董は、日本に多く渡っているから。
中国よりも日本で先に有名になった作家は、日本に作品が残っている場合があるしね。斉白石も扱ったことあるよ。
中国より上は砂漠で、南方や中東の周辺国には中国の骨董が無い。
日本に吹き溜まりのように残っているからだよ。」
○「なんで中国には骨董が残っていないの?」
A「文化大革命で破壊されたからだよ。」彼は静かに、語気を強めた。
A「発掘品は、いまでも地面の下には残っているだろうね。でも文化財として保護されているから。掘り出せば捕まるし、
掘り出してこっそり闇に売られるのもあるけど。伝来品はほとんど無い」
○「文化大革命?」
A「毛沢東は、文化面から言えば、悪魔だ!」
Aは言葉を慎重に選びながら、文化面に限定して、骨董を破壊しつくした毛沢東を静かに批判した。
そっか。書画 骨董 仏像類は徹底的に破壊され、燃やされたんだったっけ?!…
そういえばISも、今でもイラクの文化財を破壊・略奪しているね。
Aは硯・筆などの文房具類、掛け軸、金瓶銀瓶に目を光らしていた。
「新しい中国製が多い」とつぶやいていた。
○「なぜ中国人は中国のものしか買わないの?プライド?」
僕のこの質問に対しては、バカな質問だと感じているように感じられた…
A「プライドじゃないよ。
中国人は、中国のものしか買わない。
だから中国の骨董商は、中国のものだけを買うんだよ。
中国人はなぜ骨董を買うのか?
それは 投機目的だよ」
「投機」の対象にならないものは、売れないから一切買う必要が無い。
すがすがしいくらい、「カネ」という価値観に貫かれ、一点の曇りも感傷もない。
客が買わないものは買わない。当たり前なことを質問するなという感じだった。
おそらくは民族性の違いだろう。
僕は踏み込んだ質問を投げ込んでみた。
○「日本人は和物以外に、李朝や西洋アンティークやアフリカンのプリミティブな人形や、少数民族の古布などを買って楽しんでいるよ」
Aは「中国人は投機目的だから。」とにべもない。
僕はさらに突っ込んだ。
○「でも、中国人はにっぽんの古い鉄瓶を買うね?」
A「茶の歴史は中国の方が日本より古い。中国に鉄瓶はないけど
便利なものが日本の鉄瓶。」
中国発祥の茶道の大きなくくりの中にたまたま中国人が「便利」と感じた
鉄瓶があり、日本製であるけれど中国文化の中にある前提だから買っている感じ。
僕は最大のつっこみをぶっこんだ。
○「文化大革命って、中国人の伝統的な価値観も破壊したのかい?
たとえば政府を信じたり、助け合ったりする伝統的な価値観なんかも。
当時は自分を守るため、親戚や友人も売ったという、チクリの社会だったと聞いている」
A「そうかもしれない」
今の北朝鮮がそう。
ドキュメンタリーで脱北者が母親と兄の情報を当局に売り、自分が収容所に送られるのを逃れた話だった。
◎日本人は楽しむために骨董を買う。
一方、中国人は、政府や他人を信用していない。だから「投機」目的で骨董を買う。
戦争などの混乱期が長く続いた歴史から、いざとなれば「換金」できるものを身に付けたり所有したりするんだろうな。
土地も共産主義だから国家のものだし。
中国の骨董文化の間口は日本より狭く、換金できる&自国のものに限定される
というシビアな現実が見えてきた。
そっか、にっぽんのオタク文化人は、混乱の少ない島国日本でしか育むことのできない希少種だったのか?!
●民族の歴史が、骨董をどう楽しむかという文化の違いを生み出すんだね。
面白い。
◎僕たちにっぽんの骨董・露天商は、ガラクタをブルーシートに並べてんじゃねえ。
こだわりぬいた美意識を並べてるのだ。
遊び心と冒険心で手に入れた星のかけらを並べているのだ。
果たして北京にも、骨董を心から楽しむ庶民の、蚤の市文化があるのかな?
北京行が楽しみになってきた。
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