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韓国人に読んでほしい。カズオイシグロ「忘れられた巨人」

2015-07-27 08:44:35 | 国際政治

カズオイシグロが10年ぶりに新作を書いた。
忘れられた巨人

そしてNHK「文学白熱教室」にやってきた。

英国タイムズ紙の「1945年以降最も重要な英文学者50人」にも選ばれているベストセラー作家、カズオ・イシグロ。

彼が語った内容は
そのまま日韓の複雑な問題を解くヒントを示す。

内容は次の通りです。




●例えばフランス。

第2次世界大戦中、フランスはほとんどの期間ナチスドイツに占領されていた。

多くのフランス人がナチスの協力者となりナチスを助けていた。

フランスのどの村でも誰かがレジスタンスをナチスに売っていた。

ドイツの圧力は大したことなかったのに。そして戦争が終わった時、フランスはこれらの記憶、
つい最近起きた事の記憶をどうするか決断する必要があった。

この記憶は社会に深く刻まれていて、どの村の誰がナチスに協力していたとか、村民みんなが知っていた。
どうやってレジスタンスが敵に売られたとか…

そこでドゴール大統領は決断した。

社会を守るために、社会を崩壊させないために。

この国が再び強くまでのしばらくの間、国民全員が勇敢なレジスタンスだったという物語を信じようと決めたのだ。

全員がナチスに立ち向かったのだ、と。今でもフランス人の多くはそう信じている。

そんな嘘をつきつづけるのは恥辱だ、とする一方で、

そんな嘘がなければ国家が崩壊するという危機的状況だったというのも非常に理解できる。

複雑な問題だ。これは社会と個人が直面する永遠の課題だと思う。

いつ忘れて、いつ思い出し、いつ辛い記憶を明るい場所へ引きずり出すのか、と。



◎韓国は日本と補償問題は永久に解決済みと条約で謳いながらいつも蒸し返す。

韓国側から日本へ併合を申し入れたこと、
当時日本への協力者が多くいたことや、
日本に対して、国民の全員が戦って独立を勝ち取ったとは言えないことや、
戦中の日本が行ったインフラ整備に無関心で、
最初数人だった従軍慰安婦はいつのまにか20万人に増えて少女の像が米国に建てられ続けているし
戦後の経済発展が日本からの賠償費用が使われたことなども
韓国にとって不都合な事実の多くは一切触れたくない感じを受ける。

でも、それは大韓民国という国が成立するためには、「日本という悪者と戦うという物語」が必要だと
今でも韓国の為政者が信じているからではなかろうか?







●カズオイシグロは語る…

私の最新作「忘れられた巨人」。

内容を少しだけ話すと舞台は大昔のイギリスに設定してある。

人々は年齢と関係なく記憶をなくしていく。1時間前のこと、昨日のこと…思い出せないのだ。

これがこの村の社会問題となっていたのだけど、その理由がだんだん分かってくる。

竜のせいだ。竜の吐く息が人々の記憶を忘れさせるのだ、と。

これが村人たちの意見を分けることになる。

竜を殺してかけがえのない記憶を取り戻そうとする人がいる中で、竜を生かしたままにして記憶を取り戻したくない、という人たちもいる。

この世界が内戦状態にならないのは竜の吐く息のおかげかもしれない、と。

一世代前におきた恐ろしい出来事の記憶は、普通の記憶や良い記憶とともに彼らには忘れさられている。

だが、かけがいのない記憶を取り戻したがっている人がいる。

老夫婦がこう言うのだ「私たちは深く愛し合っているが、この大切な記憶を失ったら愛情までも失ってしまうのではないか。失いたくないから記憶を取り戻したい」と。


そういう物語だ。これは日本やアメリカ、イギリスにも当てはまるし、紛争があったルワンダや南アフリカにも… 

分裂した旧ユーゴスラビアにも当てはまる。

多くの社会に葬りさられた記憶があるのだ。これは非常に難しい問題だ。いつ思い出していつ忘れた方がいいのか…。





◎僕が初めて外国に行ったのは韓国だった。

韓国人の大好きな友達がいたから。

漢江で飯盒たいたり、教会で信者でもないのにタダで泊まったり、いろんな所へ行った。

教会では牧師が怒鳴るように説教をし、

街ではデモもあった。

屋台や裏町も面白かった。

当時のコリアンは魅力的でかがやいていた。

狭い道も平気で突っ込んでいく友人の運転にひやひやした。

ケンチャナヨの特攻精神は、何事の困難も乗り越えるパワーに見え頼もしかった。

細かいことは気にしない。バスのおつりがないとジェスチャーで伝えたらタダにしてくれた。

運転手は前の車と口論し、殴り合いしに降りていく…熱い民族。

我々はいつから、仲が悪くなったのだろう?


カズオイシグロは言う。

記憶は、いつ思い出していつ忘れた方がいいのか…。


日韓はやり直せると僕は信じている。


幸せになるための忘却と記憶…これがうまくできればいいなあ…ほんとうに。



●日本人は考える、不都合な歴史をいつ思い出し、いつ向き合うのかを。


●韓国人は考える、あいまいな記憶に物語を重ねた歴史を、いつ忘れた方がいいのかを。


カズオイシグロが最高!今年の夏は「日の名残り」を読もう!

2015-07-27 08:31:04 | 10代20代30代
●カズオイシグロ
この名前を聞いたことがあるでしょうか?

将来、ノーベル文学賞をとるおとこだと思っています。

日の名残り…今年の夏は、この本をぜひ若い人は読んでほしい。

そして「小説って、こんなに面白いんだ」と知ってほしいのだ。

●あらすじ

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。
美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。
長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、
二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、
輝きを増して胸のなかで生き続ける。
失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。


●ああ、人生とは不確かなものだと僕は思います。
自分がやってきたことは、果たして世の中の役に立っているのか?

自分の感情を表に出すことを恐れていないか?

あなたはスティーブンスと、ご自分の歩んできた人生を重ね合わせ、
人生の多くの岐路で選んだ道を振り返り涙するでしょう…

小説の奏でる余韻は、かくも切ないとは…

「ターンオーバーでお願いします」、東アジア杯でハリルホジッチ監督!

2015-07-27 08:19:50 | サッカー
いよいよ中国で東アジア杯がはじまるよ。

たのしみやね

この大会、現チャンピオンはニッポン。

大迫や柿谷、青山など新戦力がブレーク。

今大会は誰が、ロシアWカップのメンバーに下克上できるのか?

見極めるのにはいい。

完全アウエー、肉弾戦、国際試合上等!いったいだれが修羅場で戦えるのか?

親善試合ではけがを恐れて見えない真のファイターをあぶりだすには

絶好の機会だ。

そして、

日程がタイト。

北朝鮮のあと、中二日で韓国。

モチベーションと、けが防止と、全員が見れる

「完全なターンオーバーでお願いします」

東アジア杯でハリルホジッチ監督!

コンディションが良ければ、フィジカルコンタクトは五分。

球を動かす技術は一日の長がある。

日本が断然有利です。


ザハハディーの新東京国立競技場は、美しくない…

2015-07-13 08:03:08 | 観光
ザハハディーの新東京国立競技場は、美しくない

あれは何もない砂漠にぽつりと建っているならば、美しい。

ゴツイ構造とシャープな曲線は、砂漠こそ映える

人類の未来への暗示となろう…

イラン人DNAの建物だね。


一方、代々木はアニメの世界のように外人には見える。つまり、ごちゃごちゃしている。

緑、狭くくねった道、都内に集まる法人の建物、駅、フルカラーの看板とお店、坂、コンクリ-トの塀、電柱、民家…

そんな環境では

日本人にとって美しいと感じる建物は、

引き算の美学の香りがするシンプルな建物だ。

ザハのあれではない。メンテに年間、40億円?あほすぎる。

我々は望む

メンテ費用のいらない、あとの世代に対してやさしい、効果に見合った建物を。

コンペで二位となった、サナの建物の方がグッとくる、いい。

●「失敗の本質」―日本軍の組織論的研究 という本をご存知でしょうか?


この書は、ミッドウェー戦やガダルカナル戦など大戦中の6つのケーススタディーを通して、

日本軍の組織的な敗北に迫るものであるが、本書を通して、奇妙な既視感に陥るだろう。

「そうだ、あの頃と何も変わってはいないではないか」と。

日本軍の情緒的でまたプロセスを重視し、たとえ作戦がだめだと途中で気がついても 一旦決まったことは変えられない。

自立性を極度に制限させられた現場と、集権的中央の関係は、今日の官僚組織と同じではないか?

また現在の日本教育の問題に通じている。

「短期決戦」による「必勝の信念」を疑わない姿勢は、それが万一失敗した場合の作成を拒んだ。

それを疑う事を許さない文化だ。

ひきかえそう、勇気をもって。北京が鳥の巣なら、日本は蔦の森、または草の居りでよい(イメージだよ)

流れを変えられるのは

●政治のリーダーシップ、このひとしかない。

安倍首相の登場だ。安倍さん、あなたは歴史に残る人だ。



「国民のみなさま

わたしはいま決断しました。

ザハ案は、一旦白紙に戻し、

スタジアムについて原則通り、予算を守ります。

成熟した日本に、もう巨大なスタジアムはいらないと思う。東京五輪は何のために開くのでしょうか?

当初、東京五輪を誘致したのは、

20年のデフレで失った自信を取り戻し、東日本の地震津波で多くの命を失ったが、
世界の人に再び立ち上がった日本を見てもらいたいからでした。


そしていま、健常者もそうでない人も、少子高齢化社会でも 幸せに暮らせる、人類の近未来にふさわしい

ピースフルな祭典として、東京五輪を開こうではありませんか


1000億円までのプランに変更し、後世の子孫に負担のないレガシーを作るよう指示いたしました。


…」


我々は安倍さんに静かに拍手した。





ギャラリスト(里見 蘭 著)を読んで

2015-07-09 16:43:39 | 10代20代30代

久々に面白い小説を読んだ。


日本画最後の巨匠・門馬岳雲の作品が、クリスティーズのオークションで売り飛ばされた。

それも、日本では考えられない安値で。

これを契機として暴落する日本の美術市場。内向きで閉鎖された日本の美術市場が溶けてゆく。

仕掛け人は、天才ファンドマネージャー・江波志帆。彼女の狙いはいったい…。

グローバル化の波が押し寄せる美術市場で、画商たちの戦いが始まる!


ギャラリストと呼ばれる仕事があるそうだ。

自前のギャラリーを拠点に、専属契約を結んだアーティストの展覧会を開き、作品の売買を行うことを活動の中心とした職業だ。

作品の売買とは別に、自らアーティストを発掘して育てる。

主人公も、世界美術史的なコンテクトで作品を解説できるギャラリストと、彼が発掘した新人。

もう少しで夢見た バーゼル香港へ出品し、世界的なギャラリストとして堂々と

世界デビューできる!そのためのギャンブルを仕掛け、一旦は成功しかけたが…

すべてを失う。

画商の世界も

骨董業界とそっくり。

でも、新人を育て、世界に売り出すとか

村上隆みたいに独力で世界に打って評価を得るなどと言った成功譚は骨董業界には無い。

戦前にあったね。

山中商会

ニューヨークに渡ると、翌明治28年にはニューヨークの一等地に支店を開設。

その後、ボストン、シカゴ、ロンドン、北京と次々に出店を続け、アメリカやヨーロッパの美術愛好家や美術館を

顧客として取り込んでいった。

もし山中商会が敵国として財産没収解体されなければ、いまの日本人美術商の意識も変わっただろうに。