新八往来

季節が移ろい、日々に変わり行く様は、どの一瞬も美しいが、私は、風景の中に一際の力強さを湛えて見せる晩秋の紅葉が好きだ。

カミさんのボウリング道

2004-11-15 08:27:41 | 奥の臍(ほぞ)道
ボウリング場の喧騒の中で、カミさんがターキーを決めている。
今日の企画は、新潟県中越地震の被災地への義援大会ということだ。40レーンの会場が埋め尽くされてピンの弾ける音を聞くのは結構耳に心地よい。私は、運動神経の鈍さでは余人を寄せ付けない男なので、もっぱら観戦のみ。この日も試合の途中から見物していた。
前日、私たち夫婦は揃って歯医者の厄介になった。私は、残り少ない自前の歯を2本抜かれることとなり、とりあえず周辺の歯の手入れだけで終わった。カミさんは、奥歯に親知らずが癒着(?)しているとかで、随分と時間をかけて2本とも抜かれてしまった。
翌朝のカミさんの丸い顔は、その丸さが歪になって右の下あごあたりが異様な膨らみ方をしていた。私は、ボウリング大会への出場を中止するように言ったが、カミさんは夕べのうちに歯科医に参加の許可をもらっていて、頑固に出場に踏み切ったのである。強情者のカミさんがちょっと心配で、私は会場に足を運んだ。
あまり近付かずに離れて観察していたが、カミさんの腕は一頃と比べるとかなり上がったようだ。
ターキーくらいは、これまでも何度か見ているが格段に良くなっているのは、スペアを確実に取るテクニックを身につけつつあることだ。ガーターの後で動揺も見せずにスペアを取った時、彼女の確実な上達を見せられた。たかがボウリングと侮るべからず、なのである。


脳天気のようでそうではない、我が女房殿

2004-11-02 08:28:58 | 奥の臍(ほぞ)道
カミさんがニヤニヤしながら、こう切り出した。「ねえ、おとうさん。私が、しっかり者の倹約家で、老後の蓄えをしっかり準備していたら、おとうさんは定年後に、こうして仕事をしていたと思う?」いたずらっぽい表情の問いかけに、私は「う~ん、どうかな。多分、してないかも知れないな~」と応えた。すると我が女房殿は、しっかり頷いて「そうだよね、おとうさんの健康のためには仕事をしていた方がいいよね。と言うことは、私が、しっかり者の倹約家でなくって良かったということだね。」と自分に言い聞かせて、満足そうにつぶやいた。
結婚暦30数年、すべからく我が奥は、こんな調子で都合良く、まず自分の臍(ほぞ)を固めて私や、娘を我が道へ押し込んで悠々と歩いてきたのである。一度は果敢ない抵抗を試みながら、その度に「奥の臍(ほぞ)道」を歩む羽目になるのだが、どうも「結果良し」なのである。脳天気のようでそうではない、我が女房殿に敬意を表する所以である。