幕末気象台

おりにふれて、幕末の日々の天気やエピソードを紹介します。

弘化三年六月十七日(西暦1846年8月7日) 大阪、嶋の赤とんぼう群集して北へ

2023-06-22 23:08:54 | Weblog
この度は、大坂の八軒家絵巻様より頂きました、お題「弘化三年六月十七日(西暦1846年8月7日) 大阪、嶋の赤とんぼう群集して北へ」の時の天気について考えたいと思います。

八軒家絵巻様によりますと、「弘化三年(1846)に大坂中之島の上空を赤とんぼうの大群が北の山をめざして飛んで行ったとゆう怪異現象を調べて」いるとのことですが、
以前、御教示いただきました、竹垣直道の日記に「半晴小雨今朝立秋」とあります。
半晴と言うのが曲者で、全く定義がありません。
竹垣日記と大阪とその周辺の天気を突き合わせてみますと、おそらく、晴れたり曇ったりなのではないかと思われます。
全国的な天気概況を申し上げますと、六月十五日は、関東を除き晴で、翌十六日は全国的に不安定な天気となり雷や夕立があったところが多かったようです。
(本来ですと、天気図を出したいところですが、天気図作成ソフトが見当たりませんので失礼致します)

続きまして、十五、十六、十七と大阪付近の天気記事を挙げてみますと

   十五日   晴【奈良】 天キ【池田】 晴天【池田】 【大坂】 晴【浮世の有様】晴【大坂】 天気、炎熱如きのふ【大坂】 天気よく風吹【東大阪市】

   十六日   晴90度(摂氏度)也、、午後迅雷、是はとおもひしか西北之方え鳴行たり、近山より起りしなるへし【奈良】 天キ、夕雨【池田】 晴天午下刻夕立東風【池田】
         晴、遠雷【竹垣直道日記】【大坂】 晴【大坂】 烈暑、三十二度強、夜廿七度冷気覚【大坂】 天気よろしく、、夜風吹雨少々降り申候、、風吹【東大阪市】

   十七日   晴、きのふはひるも夕かた雷深夜に至り又雷其節少々雨今朝は少すすし【奈良】 天キ【池田】 晴天東風【池田】
         半晴小雨今朝立秋【大坂】 寅刻より雨、辰刻止【大坂】 朝かた夕立在、暑廿八度、四ツ三十度、【大坂】 天気よろしく、、同【東大阪市】

となっております。
当日十七日の
大阪の天気を総合しますと、午前六時ころから午前八時頃まで時雨が降り後は晴れたり曇ったりと言ったところでしょうか。

赤とんぼをの性質をウィキペディアで調べて見ますと、赤とんぼは暑さに弱く、平地で成長したのち、涼しい山岳に移動し、産卵の時にはまた
平地にもどる。とのことでした。

そういたしますと、この弘化三年六月十七日は、避暑のため大挙して赤とんぼが移動していったのではないかと推察し、当時の気温を調べました。
大阪のぶんは記録が乏しく、江戸の霊憲公簿で気温の傾向を調べました。

と言うところで、とりわけ気温との関係がはっきりしてはいないようです。

大阪の記録によりますと、十五日の気温は「炎熱きのふの如し」十六日は「烈暑32度強、27度冷気覚ゆ」十七日は「朝方28度、午前十時ごろ30度」と大変な暑さが続いています。
摂氏30度を過ぎると、赤とんぼの命に関わる暑さのようで、涼しい北の山を目指して必死の飛行だったのでありましょう。

今年の夏も暑そうですね。
コメント (2)
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