幕末気象台

おりにふれて、幕末の日々の天気やエピソードを紹介します。

コロナコロナ とばかりに 商人首くくり

2020-03-15 10:53:45 | Weblog
安政のコレラ流行の時の句
「コレラコレラ とばかりに 死人焼き場まち」の焼き直しです。
もちろん、本歌は安原貞室の
「これはこれはと ばかり 花の吉野山」です。

不謹慎な句のようにも見えますが、句の作者もいつコレラにかかるか
不安な一人だったのだと思います。
土佐の真覚寺日記の作者は、コレラの恐怖を
「病か世界を廻りて人を殺して通る様に思ひ」と書いています。

しかし、つらい現実を笑い飛ばして図太く生きようとする、したたかさが
感じられます。

いざ、当事者になった時には、蜀山人の句があります。
「今までは 人のことだと 思ふたに 俺が死ぬとは こいつはたまらん」

江戸の文化人は中々骨太の方が多いですね。
さて、マスクと手洗いを忘れずに。
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松前みやげ 松前の栄華 その1 (津軽海峡渡海、異国船通過、松前藩門閥と藩風)

2020-03-07 16:35:11 | Weblog
(津軽海峡渡海、松前着)


爰ニテ東風ヲ長待
唄コモナクテ徒然なサ     四月三日ハ順風テ
御紋ノ御籏ノ船ニ乗リ     海上凡十ト二里
此間ニハ三汐アリテ      先ツ立鼻ヘハ三里也
中ノ汐ヘハ七里ニテ      汐差浪ハ山ヲナシ
白神迄ハ二里ニシテ      爰迄難渋ト申也
白神通レハ浪モ        左程ニ高カラス
塩越間ニソ着シケル     
 

松前の栄華 その1  (福山城と松前藩門閥、異国船到来と藩風)

船ノ中ニテ福山ノ
城ヲ詠メシ其気色       隅々櫓三階四階
石垣高クタタミ上ケ      煉塀鯱銅瓦
西方浄土カ竜宮カ       城内廣シト見ヘナヱトモ
栄耀極メシ御構        流石ノ松前福山城
續テ町家ノ家庫造       飾リ盡セシ奇麗サニ
目ヲ驚シテ上陸シ       勢ハ増慶ノ御堅メ
我コソ秋田ノ何某ト      名乗ラヌ斗ノ勢ヒニ
今コソ上陸在ト        恐レテ町家老若男女
郡集ヲナシテ□伏ス      見物有シ其中ヲ
行道狭シト歩ミ行       名々得送見供立迄
次第順席行烈正シ       威儀堂々ト通リケル
宿ハ青龍山専念寺       一向寺日々佛参郡集スル



此地ザンジノ逗留中      異国之船モ日々通リ
見ル度合図ノ陣太鼓      打モ合図ニ諸役人
御家老始御足軽迄       兼テ奢ノ場所ナレバ
シタ着小鐙陣羽織       役ノ軽重高下ニヨリ
馬上モアレバサマサマニ    花ヤガナリシ装束テ
御城ヤ臺場ニカゲ付様ハ    亦一入ノ見物也
扨亦御城主ニハ        松前伊豆守様
朝散太夫           素無高ニテ蝦夷地
一圓今ハ蝦夷地ヲ       御引キ上ケ
東木古内西乙部        跡ハ残ラス御代領
尾花沢ニテ三万石       御替地ニハナリヌレト
容易ナラサル御損也      松前苗字名乗ル人
松前居座輪ハ国主ノ      叔父五百石ノ禄ニシテ
其弟ニハ松前内蔵       是モ同五百石
松前内記ハ四百石       松前蔵人五百石
松前監物五百石        當時ノ御家老
下国豊前           柿崎将監
下国図書、鈴木文五郎     松前蔵人加談ナリ
御祈祷所ハ阿雲寺テ      法憧禅寺ハ御菩提処
昔シノ菩提所松前山      法源禅寺ト申也
御家中ノ禄高給金テ      百石トレハ廿両
大寄合ニ陣寄合        中書院ヨリ中ノ間ニ
御先手御徒御足軽       御家中凡一千人
此国奢ノ重畳ニテ       全躰花風ニ身ヲ拵エ
如何ナル者モ糸縅ノ      衣服着サヌモノハナシ

と言う感じです。
まだまだ先は長いです。

ところで、津軽は暗くさびしく、北海道は明るく活気がある
ように作者は書いています。

良い悪いはともかく、そのいような感覚が私にもあります。
読んでいて、高木恭造の陽コあだネ村を思い出してしまいました。
どこか、強烈な詩です。 ご参考にどうぞ


陽コあだネ村

――津軽半島袰月村で――
この村サ一度だて
陽コあだたごとあるガジャ
家の土臺コァみんな潮虫ネ噛れでまてナ
後ア塞がた高ゲ山ネかて潰されで
海サのめくるえンたでバナ
見ナガ
あの向の陽コあだてる松前の山コ
あの綺麗だだ光コア一度だて
俺等の村サあだだごとアあるガジャ
みんな貧ボ臭せくてナ
生臭せ体コしてナ
若者等ァみんな他處サ逃げでまて
頭サ若布コ生えだえンた
爺媼ばりウヂャウヂャてナ
ああ  あの沖バ跳る海豚だえンた忰等ァ
何處サ行たやだバ
路傍ネ捨られでらのァみんな昔の貝殻だネ
魚の骨コァ腐たて一本の樹コネだてなるやだナ
朝も晝モだンだ濃霧ばりかがて
晩ネなれば沖で亡者泣いでセ


  




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