昨日の夜は、映画『雨月物語』のDVDを観ていました。
戦国時代末期。
近江の国の琵琶湖北岸の貧しい農村で畑を耕しながら焼物を作って生活をしている源十郎が主人公。
羽柴家と柴田家の間で緊張が高まり戦が始まろうとしていた。長浜の町は戦の物資調達の為に賑わっている。
そのことを知った源十郎は、長浜で焼き物を打って大儲けをする。
義弟の藤兵衛は源十郎と同行して長浜で侍に家来にしてくれと頼み込むが素気無く断られてしまう。
村に帰ってきた源十郎は戦の為の物資調達で活況なうちに大儲けをしようと焼物を作るのだが、村に柴田の軍勢が現れて……。
監督は、溝口健二。
出演者は、京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄、青山杉作、羅門光三郎、香川良介、上田吉二郎、毛利菊枝、南部彰三、光岡龍三郎、天野一郎、尾上栄五郎、伊達三郎、横山文彦、玉置一恵、澤村市三郎、村田宏三、堀北幸夫、清水明、玉村俊太郎、大崎史郎、千葉登四男、大國八郎、三浦志郎、越川一、三上哲、藤川準、福井隆次、石倉英治、武田徳倫、神田耕二、菊野昌代士、由利道夫、船上爽、長谷川茂、大美輝子、小柳圭子、戸村昌子、三田登喜子、上田徳子、相馬幸子、金剛麗子、など。
上田秋成の読本『雨月物語』の「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の2編とモーパッサンの『勲章』を基にした幻想的な怪異譚で1953年の作品です。
私は溝口健二監督の作品を観るのは初めてでありました。
凄いです。ここまで細かい所に目を配って作品を作るなんて物凄いです。
極上の物は極上で粗末な物は粗末。当たり前のことではあるのですが、極上の物がどのような物であるのか粗末な物がどのような物であるかを知っていないと表現することは出来ません。
醜いモノ汚いモノは努力すれば接触して理解することは容易です(それでも大変な努力労力が必要ですが)。
しかし極上のモノは努力しても接触することが難しいことが多いです。それ故、理解することは難しい。そして極上のモノは簡単に壊れて失われていきます。
この映画の物語を映像化するだけならば今でも簡単にできるでしょう。でも膨大な知識量と美意識と常識と感覚で裏打ちされたこの映画のレベルはとてつもなく高いです。
ゆらゆらと妖しい幽玄の美。緊張感を漂わせながら物語は進んでいきます。
浅ましさや欲望を描きながら凛とした品格を漂わす。美しい映画でありました。
超有名な映画ではあるのですが、もしまだ観ていない人がいたなら是非是非御覧になってみてください。
超お勧めです。