ヴェルディ 歌劇「仮面舞踏会」(全曲)
マリア・カラス(アメリア)ジュゼッペ・ディ・スティファノ(リカルド)エットーレ・バスティアニーニ(レナート)ジュリエッタ・シミオナート(ウルリカ)
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
1957年ミラノ・スカラ座でのライブ録音
久し振りにカラスがアメリア役を歌った歌劇「仮面舞踏会」の全曲CDを聴いて震えるほど深い感動を憶えました。
私はオペラが大好きです。当ブログ名からも分かると思います。地方在住の為、都会での海外のオペラハウスの引越し公演などは、ほとんど縁のない世界で暮らしていますが、それだけにNHKのBSなどで放送されるオペラの放送は極力、見逃さないようにしています。来月はバイロイト音楽祭の特集があるらしいので本当に楽しみにしています。
しかし、最近、放送されるオペラ公演の放送はゲッソリすることが多い。原因はやはり現在、演出の主流となった読みかえでしょう。中には面白いものもありますが、私には受け付けることが出来ないものが多い。それは、やはり音楽と演出・舞台装置が合致してなく私にとって居心地が非常に悪いからでしょう。例えばプッチーニの作品だったら、私はあの美しいメロディを満喫したい。演出に邪魔されたくない。サーカス小屋の「トゥーランドット」、摩天楼の「西部の娘」、下着姿の「蝶々夫人」・・・
演出の斬新さとは何だろう?時代設定や場所設定を変えることが現代のオペラ演出の斬新さ?
昔、ミラノ・スカラ座でストレーレルが演出したヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」の様な舞台は登場できない時代になったのだろうか?
こういう時代、CDはありがたい。オペラの持つ音楽の美しさをストレートに満喫できる。
さてヴェルディの歌劇「仮面舞踏会」である。
私は数あるヴェルディのオペラの中で「仮面舞踏会」が一番好きである。ほとんどの方は、おそらく一番手に「アイーダ」や「オテロ」などを挙げられると思います。しかし私は「仮面舞踏会」である。変わり者と笑えば笑えである。
この全曲CDはカラスが1956年ヴォットー指揮するミラノ・スカラ座管弦楽団によるスタジオ録音(EMI盤)を長年、愛聴していますが、今日は1957年のスカラ座でのライブ録音を聴いてみました。ライブだけにスタジオ録音と違った熱さがあり、こちらも熱くなります。またキャストも当時のスカラ座の最高の顔ぶれで聴き応え十分で、古いライブのモノラル録音ですが古さを感じさせない。
特にガヴァッツェーニ指揮するミラノ・スカラ座管弦楽団の演奏は本当に素晴らしい。スタジオ録音のヴォットーの指揮も悪くないのですが、何かきちんとまとめているという感が強く、逆にガヴァッツェーニの指揮は歌と一緒に熱くなっていてスリリングである。
このオペラのヒロインのアメリアが初めて登場するのは第1幕第2場の中盤である。
「愛に呼び醒まされた秘めた、苦い苦しみが・・・」とカラスが歌い始めたとたんドラマがたいへんな緊張感に包まれます。
また、第2幕のリカルドとの2重唱。
「Ebben.si.t'amo・・・」(それならば、ええ、あなたを愛しています・・・)
このフレーズをカラスはどんな思いで歌っていたのだろうか?この一声を聴いただけで、物凄い緊張感で私は胸がつぶれそうな気持ちがします。多くのソプラノ歌手が歌っていますが他の歌手たちは単に美しい声で歌っているだけのようで物足りない。一度マリア・カラスの歌で聴くと、カラスの呪縛から逃れることが出来ません。
オペラはアリアの聴かせどころを美しく歌い上げるだけでなく、オペラの中のちょっとしたフレーズ、一言だけで、そのオペラの持つ凄み、魅力を伝えていると言うことをカラスの残したオペラの全曲録音から教えてくれます。
本当は大好きな第3幕第2場も語りたいのですが、長くなったので今日はこれまで。
マリア・カラス(アメリア)ジュゼッペ・ディ・スティファノ(リカルド)エットーレ・バスティアニーニ(レナート)ジュリエッタ・シミオナート(ウルリカ)
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
1957年ミラノ・スカラ座でのライブ録音
久し振りにカラスがアメリア役を歌った歌劇「仮面舞踏会」の全曲CDを聴いて震えるほど深い感動を憶えました。
私はオペラが大好きです。当ブログ名からも分かると思います。地方在住の為、都会での海外のオペラハウスの引越し公演などは、ほとんど縁のない世界で暮らしていますが、それだけにNHKのBSなどで放送されるオペラの放送は極力、見逃さないようにしています。来月はバイロイト音楽祭の特集があるらしいので本当に楽しみにしています。
しかし、最近、放送されるオペラ公演の放送はゲッソリすることが多い。原因はやはり現在、演出の主流となった読みかえでしょう。中には面白いものもありますが、私には受け付けることが出来ないものが多い。それは、やはり音楽と演出・舞台装置が合致してなく私にとって居心地が非常に悪いからでしょう。例えばプッチーニの作品だったら、私はあの美しいメロディを満喫したい。演出に邪魔されたくない。サーカス小屋の「トゥーランドット」、摩天楼の「西部の娘」、下着姿の「蝶々夫人」・・・
演出の斬新さとは何だろう?時代設定や場所設定を変えることが現代のオペラ演出の斬新さ?
昔、ミラノ・スカラ座でストレーレルが演出したヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」の様な舞台は登場できない時代になったのだろうか?
こういう時代、CDはありがたい。オペラの持つ音楽の美しさをストレートに満喫できる。
さてヴェルディの歌劇「仮面舞踏会」である。
私は数あるヴェルディのオペラの中で「仮面舞踏会」が一番好きである。ほとんどの方は、おそらく一番手に「アイーダ」や「オテロ」などを挙げられると思います。しかし私は「仮面舞踏会」である。変わり者と笑えば笑えである。
この全曲CDはカラスが1956年ヴォットー指揮するミラノ・スカラ座管弦楽団によるスタジオ録音(EMI盤)を長年、愛聴していますが、今日は1957年のスカラ座でのライブ録音を聴いてみました。ライブだけにスタジオ録音と違った熱さがあり、こちらも熱くなります。またキャストも当時のスカラ座の最高の顔ぶれで聴き応え十分で、古いライブのモノラル録音ですが古さを感じさせない。
特にガヴァッツェーニ指揮するミラノ・スカラ座管弦楽団の演奏は本当に素晴らしい。スタジオ録音のヴォットーの指揮も悪くないのですが、何かきちんとまとめているという感が強く、逆にガヴァッツェーニの指揮は歌と一緒に熱くなっていてスリリングである。
このオペラのヒロインのアメリアが初めて登場するのは第1幕第2場の中盤である。
「愛に呼び醒まされた秘めた、苦い苦しみが・・・」とカラスが歌い始めたとたんドラマがたいへんな緊張感に包まれます。
また、第2幕のリカルドとの2重唱。
「Ebben.si.t'amo・・・」(それならば、ええ、あなたを愛しています・・・)
このフレーズをカラスはどんな思いで歌っていたのだろうか?この一声を聴いただけで、物凄い緊張感で私は胸がつぶれそうな気持ちがします。多くのソプラノ歌手が歌っていますが他の歌手たちは単に美しい声で歌っているだけのようで物足りない。一度マリア・カラスの歌で聴くと、カラスの呪縛から逃れることが出来ません。
オペラはアリアの聴かせどころを美しく歌い上げるだけでなく、オペラの中のちょっとしたフレーズ、一言だけで、そのオペラの持つ凄み、魅力を伝えていると言うことをカラスの残したオペラの全曲録音から教えてくれます。
本当は大好きな第3幕第2場も語りたいのですが、長くなったので今日はこれまで。
劇版はアバド、ミラノ・スカラ座。比較のため、後からカラヤン、ウィーン・フィルを購入。アバドは現行版でカラヤンはスウェーデンを舞台にグスタフ3世を描いたもの。リカルド(グスタフ)はドミンゴによる。当時、ナポリで検閲官から不謹慎とクレームをつけられて上演できなかった。ミラノ・スカラ座は誰が指揮してもいい。その理由、これまでの例からヴェルディ主要作品はミラノ・スカラ座に敵うものはない。でも、スウェーデンを舞台としたスコアで舞台上演するのは難しいかな。
もっとレベルの高い演奏の録音を期待したいところです。