川塵録

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宗教法人の解散は、「必要でやむを得ない」場合のみ 

2024年03月27日 | 法律・海外法務
宗教法人の解散は、「必要でやむを得ない」場合のみ認められる。

オウム真理教の、平成8年1月30日 最高裁決定が判示しました。


宗教法人が解散すると、清算手続に入ります(宗教法人法48条の2)。
ペン1本、紙1枚、宗教活動のために使えません。
宗教団体として、「一巻の終わり」なんです。

 ※ 過去記事(一巻の終わり

今回の過料裁判の地裁判決も、この「清算手続」にきちんと言及しました。
これまでマスメディアはほとんど全く論じませんでしたが(宗教法人法48条の2に触れた記事見たことないですよね?)。

~~~以下引用~~~

宗教法人の解散命令が確定したときは、その清算手続が行われ、当該宗教法人に帰属する財産を用いて信者らが行っていた宗教上の行為を継続するのに何らかの支障を生じさせることがあり得ることからすれば、憲法が保障する信教の自由の重要性にも鑑みて、当該宗教法人に対して解散命令がされることが、当該宗教法人のした行為に対処するために必要でやむを得ないものであるかという観点からも、法81条1項1号を含む同項所定の解散命令事由の該当性は、慎重かつ厳格に判断されるべきものといえる。

~~~引用終わり~~~

宗教法人が解散すると、「税控除の効果がなくなるだけ」じゃないんです。
清算手続に入って、信者の信教の自由が侵害されるんです。

だから、最高裁は、「著しく公共の福祉を害する行為をしたことが明らか」(宗教法人法81条1項1号)に該当して、その宗教法人が解散することが「必要でやむを得ない」かを、慎重・厳格に判断するんです。

だから、今回の過料裁判の地裁判決も、「慎重かつ厳格に」判断するよ、って楔を打った(牽制球を投げた)んです。

ってこと(特に「必要でやむを得ない」の最高裁の要件)は、以下の本で昨年書きました(以下の本の15頁)。

 
私以外に、このオウムH8最高裁「必要でやむを得ない」に言及する批評家やメディアはいなかった。

今回の地裁判決では、しっかり「必要でやむを得ない」に言及してくれたことは、家庭連合的には、プラスに評価できます。

なお、法曹的に付け足しますと、「必要でやむを得ない」というのは、基準として、最も厳しい判断基準です。
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