酔狼亭日誌

酔狼こと好酒家が日々見つけた獣なモノやそうでないモノを綴るblogです。
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「めたもる。」 日比生典成

2010-11-25 23:47:54 | 最近読んだ本
「メディアワークス文庫」ってのは、いわゆるライトノベルの「電撃文庫」とは違った、「大人のためのエンタメノベル」なのですね。なるほど…。

界隈では発売前から、そのタイトルと表紙を見てネコ変身モノではないかと噂されていた本書。店頭で見かけたので手に取ったところ、当たりでした。ただし、ネコだけではありません。

収録された短編4作は、主人公が冴えない大学生男子だったり、幼なじみの高校生同士だったり、昔の山里が舞台だったり背景はさまざま。共通したモチーフとして登場する狐神のコンと、彼が何らかの善行のお礼に主人公にくれる紙のお札をきっかけに、4作の登場人物たちがそれぞれ変身するお話です。
1作目の初出は電撃hpだったそうでライトノベル調のノリは感じますが、全体に落ち着いたファンタジーにまとまっています。

肝心の変身については、特に初めて変身したときの驚きと喜びの描写は秀逸だし、身体が縮んでシャツのスキマから見える毛並みで気付いたり、階段を下りるときに頭が下になるのを怖がったり、予想以上に丁寧に書き込まれています。そして、ヒトに戻ったときにはやはり裸なのでした。

最後に、「after…」として4つの話のその後のことが載っているのも気が利いています。

タイトルが何故「めたもる。」、と"。"がついているのか、今日読み返してみてなんとなく想像できました。どの話もご褒美にもらったお札の力で、自分の意思でそれぞれの目的のために姿を変えます。というわけで、自動詞の「めたもる。」なのではないでしょうか。
こういう小説が、ライトノベルより上の年代向けに出たことを嬉しく思います。

めたもる。 (メディアワークス文庫)
日比生 典成
アスキーメディアワークス

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やっぱり (PANJA!)
2010-11-27 09:37:35
獣→人に戻った時(この辺を描いた作品はあまり無いですねぇ)、やっぱり「裸」なんだよね。ちゃんと服を脱いで畳んで隠してから変身しましょう。
Re. やっぱり (Zuilang)
2010-11-29 02:32:38
戻るときの描写自体少ないですからねぇ。あっても初回だけとか。
畳んで隠したり、誰かが持ってきてくれたり、クリーニング屋から盗んだりいくつかの事例は確認されています。

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