M60 パットン
(M60 Patton) はアメリカ合衆国が開発した主力戦車。
M60はM46パットンからスタートしたパットンシリーズの最終モデルであり、前作のM48パットンの機動力と火力に改良を加えたモデル。ソビエト連邦のT-54/55戦車に脅威を覚えたアメリカ陸軍が1956年に開発を開始した。
それまで、出力重量比が良い事や構造が簡易な事から戦車用にガソリンエンジンを採用して来たアメリカ軍も、本車に至り被弾時の安全性や燃費の良さから最初からディーゼルエンジンを採用し、主砲も90 mm 砲からイギリス製105 mm 戦車砲L7A1に換装し攻撃力を格段に向上させた。
数々の改良点はあるもののM48との根本的な差異はなく、総合的にはM48の改良型である。本来はソ連のT-55に対抗しうる本格的な次期主力戦車が登場するまでのストップギャップであり、短期間で引退する予定であったが、肝心のMBT-70計画の頓挫により長期に渡って使用される事となり、各型の合計生産台数は約2万輌を数え、アメリカ軍のみならず西側諸国の標準的主力戦車となった。
アメリカ軍では1991年の湾岸戦争まで使用され、その後も現在に至るまで各国で改良を重ねられて運用されている傑作戦車であることは間違いないが、旧式化も進行しているため、様々な近代化改修プランが各国のメーカーから提案されている。
M48が車体を鋳造で製造していたのに対し、M60は平面溶接構造とし、転輪やフェンダー等にアルミ合金を採用し軽量化を図った[2]。砲塔はM48のものを引き継いだ形状[3]の亀甲型鋳造砲塔で、改良型のA1型からは“ニードル・ノーズ(細鼻)”と呼ばれる細長い形状のものに変更された。
1970年代にはM60A1に「RISE(Reliability Improvements for Selected Equipment:信頼性向上及び装備近代化)」と呼ばれる近代化改修が施された。更に射撃統制装置 (FCS) を中心に改良したM60A3が開発され、M1エイブラムスが配備された後も1990年代まで現役で使用された。アメリカ海兵隊やイスラエル国防軍の使用車両には爆発反応装甲も装着された。
M60はアメリカ軍に採用されたが、激化するベトナム戦争には投入されず、主に欧州派遣部隊で使用された。M1戦車が導入されるまではアメリカ軍戦車の代表として、ヨーロッパでの演習の報道を始めとしてメディアに多く露出する車両でもあった。M1の制式採用後もアメリカ海兵隊では永らく装備されていた[4]が、湾岸戦争を最後に殆どが退役した。
イスラエルに供与された車両は第四次中東戦争以後の数々の紛争に投入され、近代化改修を加えられた車両は現在も使用されている。アラブ諸国に導入された車両は第四次中東戦争を始めとしたイスラエルとの戦闘に投入され、M60同士の交戦も発生している。イランに供与された車両はイラン・イラク戦争でイラクの装備するソビエト製戦車と交戦している[5]。
本車は車内容積にかなりの余裕があり幾度の改良にも対応出来、同時期に出現したソ連のT-62との戦力差に関しては、第四次中東戦争にてイスラエルが鹵獲した車両を分析したアメリカ軍はM60の方が性能面でリードしていると評した。M60はT-62に比べて砲塔高があるために全高が1メートル近く高く、被発見率や被弾性において不利であるとされていたが、砲塔高があることは主砲の俯角を大きく取る事が可能であり、実戦ではM60の方が地形を利用して車体を晒さずに砲撃を行う事が可能であり、T-62に対し有利であったとされる。
( wikipedia より抄出、画像は岩水で添付した。)