Tu-95 (ツポレフ 95;ロシア語 : Ту-95トゥー・ヂヴィノースタ・ピャーチ)
ソ連時代にツポレフ設計局によって開発された戦略爆撃機である。
海軍向けの長距離洋上哨戒/対潜哨戒機型も開発され、それらはTu-142 (ツポレフ142;ロシア語:Ту-142トゥー・ストー・ソーラク・ドゥヴァ) の形式名称が与えられている。
DoDが割り当てたコードネームはType 40。NATOコードネームは-95、-142共にベア(Bear:熊の意)。
Tu-95は1950年代に開発された長距離戦略爆撃機で、B-29 のコピー機である Tu-4 (ツポレフ4) の発展型とも呼べる機体である。プロペラ機であるものの、搭載するエンジンはそれまでのプロペラ機に使用されていたレシプロエンジンではなく、ジェットエンジンの一種であるターボプロップエンジンを装備し、また大きな後退翼を持つ。プロペラ機としては世界最速(最高速950km/h)を誇り、最も成功したプロペラ機の一つとして挙げられる。プロペラは二重反転プロペラ4枚タンデム翼であり、比較的低速(約750〜800回転/分)で回転し、プロペラ音が独特の低音を発する。
B-52 及びAn-124と並ぶTu-95
Tu-95の総生産機数は派生型も含めて500機以上であり、生産は断続的に1990年代まで続けられた。ソ連空軍に加え、独立後のロシア空軍、ウクライナ空軍、およびカザフスタン空軍でも運用されたが、ウクライナ、カザフスタンの保有機はロシアへ条件付で譲渡されるか、アメリカ合衆国等の資金援助で1990年代に搭載兵器とともに解体された。
1961年10月30日、ソ連のノヴァヤゼムリャ島上空で行われたツァーリ・ボンバという史上最大の水爆実験では、水素爆弾「RDS-220」の投下に対衝撃波・放射線・熱線を重点に専用改修を受けたTu-95が使用された。
また、領空侵犯機として各国にて確認された大型ソ連機は殆どがTu-95である。旧ソ連時代からアメリカや西ヨーロッパ、日本などの防空識別圏(時には領空内にも)に侵入して行われる偵察活動は、現在でも時折行われている。日本に接近して来る機の飛行行動は、その行動パターンから「東京急行」と呼称されている。
ソ連が高速ターボプロップを実用化できたのは、プロペラを比較的低速回転させて高速飛行させる手法を確立したためである。ターボプロップの最適飛行速度は724 km/h 以下で、この速度以下の巡航なら効率は高いものの、それ以上の高速ではむしろターボファンエンジンのほうが効率は良い。その理由から同クラスの最高速度を有する航空機のエンジンにはターボファンが普及し、ターボプロップのプロペラ機は一部に留まった。また、高速ターボプロップエンジン(ATP:Advanced TurboProp engine)の研究・開発は行われているものの、現在に至るまでTu-95を凌ぐものは実用化されていない。これらの要因により、Tu-95は世界最速のプロペラ機であり続けている。
アメリカでも高速ターボプロップ機の研究は進められ、同時代の爆撃機でありライバルでもあるB-52においても当初は高速ターボプロップの搭載が予定されていたが、結局実用化されずにターボジェットエンジンが搭載され、後に効率が高いターボファンエンジンに換装されている。
要 目
乗員:7名 -機長・副操縦士・航法士・航空機関士・兵装担当士官(爆撃手)・無線士・尾部銃手
全長:49.50m
全幅:51.10m
全高:12.12m
翼面積:310m²
空虚重量:90,000kg
最大離陸重量:188,000kg
エンジン:クズネツォーフ NK-12MV(:en:) ターボプロップエンジン×4
出力:11,033kW(14,795shp)×4
性 能
最大速度:925km/h
航続距離:15,000km
最大運用高度:12,000m(39,000ft)
上昇率:600m/min(2,000ft/min)
武 装
Tu-95 尾部銃座 固定武装:AM-23 23mmキックバック機関砲(尾部ターレット)× 1又は2
ペイロード:最大15,000kg 空対地ミサイル:Kh-20、Kh-22、Kh-55
http://ja.wikipedia.org/wiki/Tu-95
2014 11 13 ロシア、メキシコ湾などで偵察飛行へ 【CNN】