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本当に日本を守れるのか?
岸田首相、防衛力強化策
〝3つの不安点〟 多額の予算付け…あとはお任せではダメ 国会と民間に 「強化チェック機関」を
2023 03 02 (木) 17:00
岸田文雄首相(自民党総裁)が、防衛力強化・防衛費増額への強い意欲を示している。ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、国家安全保障戦略など「安保3文書」を改定したうえ、自民党大会(26日)での演説では、5月に地元・広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議を成功させ、「世界の平和と繁栄の新しい秩序を主導する」と宣言したのだ。戦後の歴代政権が踏み込めなかった姿勢を評価する向きもあるが、問題点も多々ある。評論家の江崎道朗氏が核心に迫った。
岸田首相は昨年12月、国家安全保障戦略など「安保3文書」と、43兆円の防衛関係費を閣議決定した際、現状の防衛力では日本を守り抜くことができず、新たな能力が必要だとして3つ具体例を挙げた。
1つ目は、反撃能力の保有だ。「極超音速滑空兵器や、変則軌道で飛翔(ひしょう)するミサイルなど、ミサイル技術は急速に進化」し、「一度に大量のミサイルを発射する飽和攻撃の可能性」もある。そこで、「相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となる反撃能力」が「今後不可欠」だという。
2つ目は、宇宙・サイバー・電磁波などの新たな領域への対応だ。「軍事と非軍事、平時と有事の境目が曖昧になり」「グレーゾーン事態が恒常的に生起している厳しい安全保障環境」に直面していて、「宇宙・サイバー・電磁波など」で、わが国の能力を量・質両面で強化しなければならない。
3つ目は、南西地域の防衛体制の強化だ。このままだと「有事が発生」するが、現状では南西諸島に十分な兵力がないため、「南西地域の陸上自衛隊の中核となる部隊を倍増するとともに、日本全国から部隊を迅速に展開するための輸送機や輸送船舶を増強」するという。
「こうした取組を始め、弾薬などの充実、十分な整備費の確保、隊員の処遇改善などを含め、今後5年間で43兆円程度の防衛力整備計画を実行」するのだが、それで日本を守り抜くことができるのか。岸田首相は正直にこう述べている。
「計画の着実な実行を通じて、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができます」
この発言には、大別して「3つの論点」がある。
第1に、5年間で43兆円を投じ計画を着実に実行しても実現できるのは、「武力攻撃そのものの可能性を低下させる」ことであって、日本の防衛力だけで日本を守り抜くことができると言っているわけではない、ということだ。
第2に、安保3文書の「計画の着実な実行」が本当にできるのか、ということだ。毎年5兆円もの予算を投じながら、日本を守る防衛力を整備できてこなかった日本政府、防衛省が突如、効率的に計画を実行できようになるとは到底思えない。
第3に、そもそも安保3文書が「自衛隊の抑止力、対処力を向上させる」ことに本当になるのか、ということだ。それでなくとも人員不足で潜水艦などの稼働率は低下している。しかも、南西諸島防衛強化のため戦車を大幅に減らしていて、火力(打撃力)はむしろ低下している。
このまま人員を増やさずに「宇宙だ、サイバーだ」と新たな業務を増やせば、自衛隊はさらに疲弊して、抑止力、対処力は低下することになりかねない。よって増員は不可欠だ。多額の予算を付けたから、あとは政府にお任せ、ではダメなのだ。
真の防衛力強化のためには、国会と民間に「防衛力強化チェック機関」が必要だ。
■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や国会議員政策スタッフなどを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに従事。「江崎塾」を主宰。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、19年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書・共著に『インテリジェンスで読む日中戦争』(ワニブックス)、『米中ソに翻弄されたアジア史』(扶桑社新書)、『日本の軍事的欠点を敢えて示そう』(かや書房)など多数。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b3b0035210913296fd11376d284040f34547d365
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。
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