朝霞新聞
記事の紹介です。
長魚雷用アクティブ磁気近接起爆装置海中に磁場を作り目標確実に捕捉
ステルスやデコイ見破り撃沈2007 12 23
長魚雷用アクティブ磁気近接起爆装置のイメージ図
水上艦や潜水艦などがミサイルと並び最も恐れる武器が魚雷だ。近年、この魚雷攻撃を防ぐために艦艇側では音を出して魚雷を欺瞞するデコイの装備、船体の音響・磁気ステルス化などを進め対抗している。だが、こうした措置をすべて見破り、確実に目標を捕捉、最適のタイミングで炸薬を爆発させる「長魚雷用アクティブ磁気近接起爆装置」の研究が技本第5研究所(横須賀)で続けられている。航走中の魚雷自らが海中に磁場を発生させ、その磁場の乱れで確実に目標を捉えるという世界でも最先端をゆく研究内容だ。5研を訪ね、担当する研究者にそのメカニズムを聞いた。
長魚雷の雷体表面に装着された磁気センサー(黒い部分)
長魚雷は潜水艦に搭載される一撃必殺の武器だ。護衛艦やP3C哨戒機等が装備する短魚雷と違い、長い射程と大きな炸薬量を持つのが特徴。直撃して相手艦に損害を与える短魚雷に対し、長魚雷は艦艇の船体直下など至近距離で大爆発を起こし、その強大な水圧で船底を持ち上げ船体を撃破する。だが、相手艦の真下を通過したときに確実に起爆するよう設定するのが長魚雷では難しい。それを解決するために5研で研究を進めているのが「アクティブ磁気近接起爆装置」だ。
「従来の魚雷のホーミングに使われていた音響センサーは欺瞞されたりすると起爆のタイミングを計るのが難しかったが、アクティブ磁気センサーはそれを解決できるものとして有望」と話すのは小井田幾生2部長。すでに特別研究と所内研究に6年以上が費やされ、この秋には駿河湾で実船を使った試験を実施、将来の装備化に向けて大きな成果が得られたという。
魚雷の弾頭部を模して試作されたアクティブ磁気センサーのモデルは、雷体に磁気送信・受信コイルが装着され、電気を通すことで周囲に磁場が作られる。この磁場は目標の物体が近づくと乱れ、最も接近する直前に大きな反応を示す。この傾向は実船を使った海中試験でも水槽実験や室内空中実験と同じ検知データを示した。
「これまでステルス船体を模した非磁性金属を使い、その大きさ・厚さ・形状などいろいろ条件を変えて磁場にどのような影響をもたらすか試験を続けてきたが、アクティブ磁気センサーは金属の違いや形状にほとんど影響を受けずに確実に目標を捉えることが分かった。次世代のセンサーとしての可能性が確かめられた」と同2部水中装備システム研究室の里見晴和室長も話す。
海中試験では模擬装置を係維機雷のように海中に浮かべ、その上を船が航行した時に磁場にどのように変化するか試験された。
「アクティブ磁気センサーは小さなデコイなどは検知しないので欺瞞もされないし、目標の消磁状態によらず安定した起爆が期待できる。また、音響センサーのように海底・海面の残響や潜水艦船体の防音タイルなどにも影響を受けないので、目標の捕捉に確実性が増すはずだ」と語るのは入庁後3年目からこの研究を続けている同研究室の奥野博光技官。「もし、実現できればまさに一撃必殺の長魚雷にとってはうってつけのセンサーとなる」。
すでに繰り返し行われた水槽試験で磁気センサーの指向性の傾向なども把握、今後の課題はセンサーの探知距離を伸ばすことと制御機器の小型化だという。同センサーの取り付け場所は長魚雷前部の炸薬スペース付近となるため、炸薬量に影響を出さないよう、「今後、小型化を進めるとともにセンサーの信頼性向上を図りたい」と奥野技官は話している。
技本としては17年度からしばらくの間、新短魚雷の試作に取り組む計画となっているため、アクティブ磁気近接起爆装置を盛り込んだ長魚雷についてはその後の装備化対象となりそうだ。この間、5研では更なる性能向上を目指し試作に備えたい考えだ。http://www.asagumo-news.com/news/hp0501/jsdf/seigen/nt0412.htm#a04012271
記事の紹介終わりです。
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。
本稿はその保管用記事です。
■ 2010年3月2日
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