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 ええっ!!松江市では『はだしのゲン』が読めないの?

2013年08月19日 | 日記・思い出
 「松江市教委 市内全校で『はだしのゲン』閲覧は自由に見られない閉架式に」とのニュースが伝えられました。
 市議会でも制限する方向には結論でなかったのに、市教委が規制を求める陳情者への配慮か自主規制することで丸く収めると考えたのでしょうか。陳情の中身は一応おいて、市教委のコメントは「残酷な場面がある」「授業の中で扱えばいい」ということでした。やはり時代がおかしくなっているのか、この市教委が特殊なのでしょうか。
 まず、論点①
 「残酷な場面がある」ですが、戦争は残酷そのものではないでしょうか。残酷なことを知るからこそ戦争はいけないものだと理解できるのではないでしょうか。最近は自国にいて他国を侵略して殺戮する攻撃機が開発されて、アフガン戦争でもアメリカによって使われているそうですが、戦争の残酷さを知らないと、このようにゲーム感覚で爆撃し、無差別に殺戮することが平気になるのではないでしょうか。
 作者の中沢啓治さんは、被爆という戦争の残酷さを身をもって味わった方なので日頃から戦争は残酷なものだと知らなければならないというを話していたそうです。戦争とは身震いするほど恐ろしいものなのだということこそ知らせなくてはならないのでしょう。
 過日テレビでコメンテーターの一人が言っていましたが、これでは「原爆ドーム」や「長崎の原爆資料館」なども見せない方がいいということになります。
 その目指すものは、「戦争は怖いものではない」として、「日本を戦争できる国」にすると同じになってしまいます。
 論点②
 問題があると一方的に行政や市教委が決めた本が閉架式になるというのは憲法の定める「国民の知る権利」の侵害ですね。この場合は図書ですから、「図書館の自由宣言」をみましょう。あの『図書館戦争』(有川 浩著・映画にもなった)の全巻の扉にもある、戦前の反省に立って日本図書館協会で作成し全国の図書館の指針となっているものです。
  「図書館の自由に関する宣言―
     
   1.図書館は資料収集の自由を有する。
     2.図書館は資料提供に自由を有する。
      3.図書館は利用者の秘密を守る。
       4.図書館はすべての不当な検閲に反対する。
     ―図書館の自由が侵される時、われわれは団結して、あくまで自由を守る。」

 戦前、言論出版の自由がなく、本も自由に出版できず、読みたい本も読めなかったことで真実を見ることができなくなり、国民が戦争に駆り立てられていった反省から生まれた宣言とのことです。
 その図書館が松江市のように都合のいい理由を付けて閉架式になり、やがては検閲や出版禁止になったらと想像するとぞっとします。
 当地の図書館関係者や、教師たちはどのような問題意識なのでしょうか。授業でやればいいということですが松江では多くの学校で、この漫画で授業をやっているのでしょうか。
 
 まだ『はだしのゲン』を読んでいない方は、この際、図書館から借りてぜひ読んでみましょう。いま、世界20か国語に翻訳されて、戦争の悲惨さと、健気に生きた兄弟に多くの共感を呼んでいる作品です。私も全巻購入し子どもたちと何度か読みましたが、子どもたちはむさぼるように読んだものです。
 身の回りに戦争体験を語ることができる人が少なくなっている今、作者自身の体験を後世に伝え、平和な世の中にと漫画にして願ったことを広めていくことは、戦争を知らない私たち大人のやるべきことの一つと思います。
 戦争反対と声高に言わなくても『はだしのゲン』を読み広めることは誰でもできます。

 
*NHKで8月6日に『はだしのゲン」と作者中沢啓治さんについて特集で伝えました。
以下その一部です。

http://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/#
「広島に原爆が投下されてから今年で68年。
今、再び注目されているのがこちらです。
マンガ『はだしのゲン』。(漫画の映像」
原爆で家族を失いながらも、広島で力強く生きる少年の姿が描かれています。」
「少年雑誌で連載が始まったのは、ちょうど40年前。
ヒーローものが人気を集める中で、当時としても異色のマンガでした。」
「はだしのゲン」の作者は、去年(2012年)12月に亡くなった、マンガ家の中沢啓治(なかざわ・けいじ)さんです。
原爆で、父、姉、弟を失い、みずからも被爆した体験をもとに描きました。
中沢さんがこだわったのは、被爆直後の悲惨な光景をありのままに表現することでした。
爆風で全身に突き刺さるガラス。http://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/#
熱線で皮膚が垂れ下がった人々。
建物の下敷きになり、火にまかれて亡くなる、主人公・ゲンの家族。
しかし、ゲンは、戦後の混乱の中でも、仲間とともに悲しみや困難に打ち勝ち、力強く成長していきます。
その姿が、読者の心をつかみました。
時を越えて人々に支持される「はだしのゲン」。
その作者、中沢さんの名前は、今年、原爆死没者名簿に記載されました。(略)


(この記録を書いているうちに鳥取市でも同じような措置(別置)を取っていることが分かりました。やはり・・・)


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