妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

〈09冬、今ふたたびの奈良へ〉春日大社

2009-01-10 20:41:11 | ○09冬、今ふたたびの奈良へ
奈良は19歳のときに九州の帰路に寄った以来だ。
あのときは友人と合流して、東大寺の万燈楼を観た。
あの幻想は忘れられない旅景色のひとつだ。

春日大社へ向かう途中の奈良公園、鹿に出会う。
参道の途中で不意に現れる。
じいっと見つめられるとこちらが動けない。
こちらが動きだすとゆっくりついてくる。
鹿は神の使いである――あながち嘘ではないと思った。

しかし、何度か追いかけられているうちに気が付いた。
よくよく見てみると、地図の色が鹿煎餅に似ていた。

春日大社本殿が近付くにつれて人が増えてきた。
『本殿参拝の前に摂社巡りを』
なんて木札に言われたものだから、せっかくなので巡ってみることにした。
良縁祈願、病気平癒、学業成就、商売繁盛。
これでもかとばかりに祈願祈願祈願祈願。
もう最後の手段は神頼み――ではないけれど、なんとなくどんな願い事でも叶うんじゃないかって気になってくる。

近鉄奈良に着くと、聞き覚えのある音楽が聴こえてきた。
シルクロードのテーマ。
路上ミュージシャンが演奏するにはいささか古風な一曲だが、古都には似つかわしい。
そうだ、ここはシルクロードの東端だ。
ここから西安へ、敦煌へ、イスタンブルへ絹の道が続いていく。
西日に莫高窟やタクラマカン砂漠が映る。
ウイグルの人たちや一緒に旅した友人たちも同じ夕日を見ているんだろう。

追憶の一時を味わっているうちに現実に引き戻された。
ひとつ、ありえない盆地の寒さ。
ふたつ、今日の寝床をまだ確保していない。
野宿や駅寝はもちろん、漫画喫茶とかスーパー銭湯も卒業しようと思った。
駅構内でガイドブックのめぼしいビジネスホテルに電話で直談判。
世の中も連休中だし難しかったらやっぱりスーパー銭湯かなと覚悟していたが、1本目の宿が空いていた。
これもご利益かしらん。


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