妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

〈08冬、北海道・果ての岬〉最東端へ

2008-02-14 18:43:35 | ○08冬、極寒北海道・果ての岬
2月14日、木曜。

朝5時、釧路。
最高気温は0度と、一応道内で一番暖かい場所である。
日本海側は吹雪一色であるのに対し、釧路と帯広には晴れマークがならんでいる。
……だが、これは寒い。
早々にチェックアウトを済まし、釧路駅で待つ快速はなさきに乗り込む。
目指すは日本本土最東端。

根室本線、花咲線。
雪は狩勝峠ほどはないものの、川は凍てついている。
6時をまわり少しずつ空が明るくなってきた。
――夜明けだ。
じいっと車窓に目を凝らすと本当にエゾシカがいて、エゾシカもこちらをじいっと見つめていた。

厚岸が近付く。
太平洋が見えた。
日本海、オホーツク海と海をめぐる旅でもある今回。
僅かな解逅と夜明けの美しさに声を失う。
霧多布湿原にオオワシが飛んでいるのが見えた。

海巡りにしようか、それとも岬巡りにしようか。
毎回旅にはテーマを決めるのだが、今回はギリギリまで悩んでいた。
決め手は北斗星にあった無料冊子。
『ワシらの大空』
先々週に白鳥を見にいったときから野鳥撮影のうまみにハマってしまった。
本州では見掛けることのないワシを撮りたい、そう思っていた。

湿原を過ぎたころ、ついに眠気に負けた。
昨日はついチャンネル権を独占できる嬉しさから『水曜どうでしょう』を見てしまい、しかも夜明け前出発。
気が付いたら鞄を抱えこむように眠りこんでいて、列車が落石に入るところだった。

根室駅前に着いた。
乗り継ぎは5分だから、写真は復路のときに撮ろう。
今はひたすらに東を目指して、バスに乗る。
「ノサップ岬行き、太平洋経由……太平洋経由ってなんかすごいなあ」
乗客一人を乗せてバスが動き出す。

交差点からオホーツクが見えた。
真っ白だ。
あれは流氷だろうか。

岬めぐりのバスは海岸線に沿って走っていく。
途中ひなびた漁村をいくつか越えた。
結局バスは一度も止まらないまま、遠くに見えていた灯台がグンと大きくなったかと思うと――
「終点、ノサップ岬です」
バスを降りた途端冷たい風が吹き込んできて思わず声をあげた。

――私は日本本土の最東端にいる。
――日本本土で今一番東に立っている。
『日本最東端』ではなく『本土最東端』としているのは、北方領土があるから。
歯舞の貝殻島までは3キロだ。
鳥たちならすぐに渡っていけるのに、なんで人間はいつまでも渡れないんだろう。
鴎がフフンと鼻を鳴らした。

気温的に寒い上に、人がいない。
多少の覚悟はしていたが、完全に予想外の精神的寒さである。
「中へどうぞ、寒いでしょう」
と北方館の方に声をかけていただいた。
自動扉のすぐ隣には同郷のやつらが――シーサー。
こんな北国で『うちなー』に出会うとは、予想外の暖かさだ。
いつか北方四島も沖縄の八重山みたく、観光客が訪れることができるようになればいい。
シーサーがオホーツク海に睨みを聞かせてそう言っている。


またバス、電車と乗り継いで釧路まで戻る。
日はすっかり登り、空はピーカン天気。
これで網走のほうは大雪だってんだから、本当に北海道は広い。
先ほどの根室駅で、空腹に負けて駅弁を買った。
根室名物花咲カニ。
駅弁は電車の中で食べるのが一番美味しいということを知っているから、周りにビジネスマンが多かろうがそんなの関係なし。
ばんえい競馬の馬を眺めながら、カニをぱくつく。

昼過ぎ、ウトウトしながら釧路に到着した。
さあ次はどこに行こう。
夜までに網走につけばいいけど、釧網本線には見所が多くて迷ってしまう。
時刻表とにらめっこしていると、次の摩周行きに乗れば湿原でSLを見れることがわかった。
これしかない!
今さっき出たばかりの改札をまた入り、小さなワンマンカーに乗り込んだ。

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