
誰だ、「ヒューマンドラマ」っつったの。おいこら。
『Mother』『Woman』超えて、『永遠の仔』くらいのズッシリ感どうしてくれる。
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■この重さ、騙された
#わたしを離さないで が気になったのでそのまま再生したのだが、こんな時間。
重い。これは重い。『脚本・森下佳子』と『ヒューマンドラマ』ってって番宣に完全に騙された。あと鈴木梨央ちゃんがいつヘビ振り回すのがって(現実逃避の混乱) pic.twitter.com/5aNeMlr2gz
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 15
綾瀬はるか的に『白夜行』に雰囲気が似てるなと思ったんだけど、途中からこの重さは『永遠の仔』にも匹敵するかもわからんと。ラスト15分を先に知ってから、最初から視聴してたらとにかく怖かった。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/O1m8rtCgRF
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 15
#MOZU の新谷兄弟の幼少期シーンを思い出した。つか誰だ?ヒューマンドラマなんて言ったの。どうしてくれるこの重さ(褒めてる
めちゃくちゃ気になるからこれは今季追いかけ決定。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/bQmIHFh3sD
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 15
冒頭のシーン、うろ覚えなんですが、
・手術室に横たわる男性・友彦(三浦春馬)
・臓器摘出
・恭子(綾瀬はるか)が、手術室を見つめている。
・男性の容体が急変、「4度目だ」の言葉。
・恭子がその身体に薬を打ち、焼却。
という流れなんですね。
そのあと回想シーン入りまして。
恭子(鈴木梨央)と美和(瑞城さくら)、友彦(中川翼)らの陽光学園の場面にかわります。
描かれるのは、朗らかな子どもたち。
でも謎めいた閉鎖された空間であることはわかります。
何より気になるのは、子どもたちの服が灰色でボロボロなこと。
図画に力を入れ過ぎていること。
魂や何やら、下世話な言葉でいうと「胡散臭い」こと。
その陽光学園へやってきた新任の教師・龍子先生。
彼女がいじめられっ子である友彦へ声をかけたときでした。
外の世界があることを教える龍子先生。
喜ぶ友彦ですが、その様子に違和感を覚えた龍子先生は徐々に学園の深層に近づいていきます。
一方、恭子と美和は大親友。
目立ちたがりの美和と、聡明な恭子、といった印象です。
もうひとり、真実(エマ・バーンズ)という大人びたルームメイト。
彼女は一体何を知っているのか。
恭子と友彦、美和と恭子らがそれぞれ思い出を作っていた10代の終わり。
衝撃の事実が明かされます。
「あなた達はある使命を負っています」
「それは自らの体の一部を提供する…言ってみれば…天使なのです」
麻生さんや甲本さん、大人の笑顔より何より不気味だったのは子どもたちの拍手でした。
「何が何やらわからない。でもこれはとてもいいことなんだ。わからないけど、いいことなんだ」と、拍手。
これはゾッとしました。
教育と洗脳って紙一重なのだなと。
どうでもいいんですが、私最初にこの恵美子先生のシーンを見てしまったんです。
で、そのあと追っかけ再生しまして。
この真実を知ってからの、回想シーンは恐怖倍増でした。
あの笑顔やこの笑顔、全てが精神的に気持ち悪く感じました。
■こっち見んなあああああ
1話ラスト。
原作わからないので先の展開が全く読めてないけど、提供だの天使だの魂だの、ほんでもってこっち見てくる水川あさみと三浦春馬と、綾瀬はるかの語りが怖かった。あの少年少女がどうなってこうなるのか。続きが気になる。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/wxE0DRQiRK
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 15
あれ?三浦春馬生きてる……?
と、ここで冒頭のシーンで勘違いしてたことに気づきました。
え?どこか見落とした?いやいや(見直して)
……うわあ騙された。
これわざと勘違い起こす作りなんじゃないか。
主語や目的語を明確にしないことで、逆に何が起きているのかわからなくする。
やられました(こういうトリック大好物)
ラスト、成人の恭子のモノローグが入ります。
私達はそのために生まれてきたのだから。
だから使命を全うさせるのは当たり前の仕事だ。
たとえそれが私の全てだった男だろうと。
たとえそれが私から全てを奪った女だろうと、同じことだ。
最後は始末するだけだ。
ここ数年、綾瀬はるかさんの優しい声の感じに慣れていたせいでしょうか。
この冷たい声に「白夜行」を思い出しました。
■鈴木梨央の演じ分けが大女優レベル
しかし鈴木梨央さんがすごい。この半年振り返れば #あさが来た の子あさ名演、そのあと千代役に再登板。扱いづらさを見事なに演じ分けていて、 #わたしを離さないで では180度違った少女。この演じ分け大女優レベルじゃねえか。 pic.twitter.com/47dPeidHvN
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25
「 #わたしを離さないで 」恭子陽光時代、HOMEにいた恭子のそっくりさん、「 #あさが来た 」の子あさ、子千代…… いやマジでこれ全部中の人同じなのに、違う人に見える。表情が全然違う。(しかも鈴木梨央さんまだ10歳11歳とか) pic.twitter.com/5WP1UVc1U3
— ゆずず (@yuzu0905) 2016年3月4日
『あさが来た』1週でヒロイン・白岡あさの子供時代を名演、その後17週でもあさの長女・千代を演じています。
蛇を振り回し相撲をとり木登りしては父に叱られるあさの子ども時代。
お上品なお嬢様だけど負けず嫌い、父親大好きの千代。
今作では、聡明で思いやりがあるも、笑顔の裏側にどこか寂しさ漂う恭子の子ども時代。
演じ分けがハンパない。
今後に期待大の女優さんです。
■なにがどうしてそうなっているのか
録画視聴。またとんでもない重量級だな、これ。三浦春馬の役作り、水川あさみのあざとさ、綾瀬はるかの謎感。なんなんだよ、レバー提供したから貧血とか介護人とかってなんなんだよ……
#わたしを離さないで pic.twitter.com/DBw0G7fAr7
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25
「前の提供がレバーでさ、それから貧血がすごくって。」
冒頭から生々しい会話。
1話で恵美子先生から説明された「提供という使命」を、変えられずにこの子たちは育ったんだな、と妙に悲しくなります。
笑顔を向ける美和ですが恭子は無表情。
一瞬口角が歪んだのは、冷蔵庫の上に無造作に置かれたCDを見つけたときでした。
それは幼いとき、恭子が友彦からもらった宝物のCD。
そして届く赤いハガキ。

『提供開始通知』。
まるで赤紙を象徴しているようで。
■天使の子どもたち
冒頭の大人美和(水川あさみ)も大概だったけど、この子美和(瑞城さくら)も、またあかんレベルのあざとさ性根の悪さめんどくささで吐き気する。でも恭子とどうしてああなっていくんだろう。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/LpapCI7FkV
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25
海外のサッカー選手の絵。「提供」しながらサッカー選手をやればいいという子供たち。「提供」の前に逃げろ、という龍子先生。この物語の世界でいったいなにが正しいのか。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/tMKYq9rKIw
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25
将来は体の臓器を提供しなければならない運命
「あなたたちは天使なのです」という言葉。
その言葉を受け入れようとする子どもたち。
しかしどこかおかしい龍子先生の様子からも「自由はないんじゃないか」という疑念が生まれます。
■羽をもがれた天使たち
サッカーの魅力を伝える龍子先生。
龍子先生は「提供の前に、(サッカー選手に)なればいいじゃない」と、涙ながらに伝えます。
そして「逃げてしまおう」と広樹と聖人が塀の外へ脱走。
このとき友彦も脱走する予定でしたが、梯子が壊れてしまい外には出られませんでした。
マダムに美和の作品を渡す恭子に、驚くマダム。自分らゴキブリと同じだ、と真実。ゴキブリってそんな……と思ったら広樹と聖人が壁を越えて……でも恵美子先生にすぐ見つかって……この笑顔こええよ。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/YE8iPlI2MP
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25
外の世界を知った2人の少年。
しかしすぐに追手がやってきます。
それからしばらくして、校門に血が滴り落ちました。
子どもたちは「森の殺人鬼」に怯えます。
龍子先生が恵美子先生に問い詰めると……
「難病を抱えた子供に対する提供はかなり強く望まれる分野です。ある意味……大人に対するそれよりも強く」
つまり、外の世界を知ろうとした、サッカー選手を夢見た少年たちは、提供者となった。
それを招いたのは他ならぬ龍子先生でした。
鳥肌立った、先生たちの死んだ目。子供への「提供」は時に大人へのそれより重宝されるという現実。覆いかぶさる『森の殺人鬼』。本当はもっともっと残忍な方法で殺されたというのに。なにこのモズの早贄、とか言えなかった。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/ZVJA8jEYga
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25
怯える恭子に、語る真実。
恭子は龍子先生のところへ駆け寄り、「本当のこと」を尋ねます。
しかし龍子先生は口をつぐみ……
無表情の真実が語る言葉、エマちゃんが美人さんなだけに怖い。耳を塞ぐ恭子。龍子先生が話せない『本当のこと』を恭子は気づいていた。それはとても残酷なこと。……こりゃ視聴率いかないわな、でも「面白い」よ。
#わたしを離さないで pic.twitter.com/RPA0T4zFZs
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25

龍子先生の老けっぷり、というか疲れっぷりが狂気。
連れ出されるときに「逃げなさい」じゃなくて「騙されないで」ってのが印象的でした。
■大人役へのリンク

友彦の癇癪がすごかった。
子役の中川さんが大人役の三浦さんに寄せたのか、三浦さんが中川さんに寄せたのかどちらかはわからんが、思わずゾッとした。
こうやってキャラクターがリンクしてくんだなあと。

三浦春馬のあんまり出演作見たことなかったんですね。
というより初めて見た三浦さんが出た某ドラマが「おいこら何がどうしてこうなったゴラ」だったから敬遠気味だっただけなのですが。
この地団駄シーンといい、指から手つなぎのときのシーンのときのトモの表情にゾッとしてしまった。
■家畜のような子どもたち
原作であるカズオ・イシグロ氏の『わたしを離さないで~Never let me go~』。
恭子や美和たちはクローン人間のような試験管ベビーなのでしょう。
父親や母親なんていない。
物理的に作られた『臓器』。
その箱としての『天使』。
だとすればなぜこんなことを?
恵美子先生の真意がわかりかねます。
臓器移植という医療には様々な問題が孕んでいるものの、「クローン人間の臓器を移植させる」というのもまた人工臓器、という観方ができます。
ただ問題はその人工臓器が、人間の形をしているということ。
笑い、走り、泣き、育っていく人間であること。

それに、クローン人間育成なのだとすればなぜ、なぜ教育を受けさせるのか。
なぜ「図画」や「魂」がそれほど重視されるのか。
ドラマ中に出てきた「介護人」の育成という理由だけではどうも解せません。
まだ隠されている何かがある。
そう思ってしまうのは私だけでしょうか。
■なまえのない怪物
最終話までざっくりと。

──教育によって与えられた感情、教育によってつくられた笑顔。
──宝箱はつまり棺桶。宝物は自分の体。だから「わたしの宝物は箱には入らない」。
──「死」って単語を「終わる」とか「終了」とか、別の単語に置き換えるから余計に恐怖を感じる。
──それは本当に間違っているのか。それは本当に理想なのか。
──「生まれてきてくれてありがとう」は「提供してくれてありがとう」つまり「死んでくれてありがとう」。
──提供が『終われ』ば解放される。魂は自由になれる。もっと広い世界に逝ける。
「わたしを離さないで」の意味。「生きたい」とか「人間でいたい」とか「未来を信じたい」とかそんな意味なんじゃないか。人間らしい、当たり前の、もっとも純粋な欲望。もしそうだとしたら、それをタイトルに据えたこの作品の業の深さ果てしなく……#わたしを離さないで
— ゆずず (@yuzu0905) 2016年3月4日
なんかもう救いがなさ過ぎて、あまりの虚しさで涙も出てこない結末を見せつけられました。
■10年後も多分覚えてる
制作側もまさか金曜22時にこの内容で視聴率とれるとか思ってないんでしょう、それくらいはわかります。
同じ『重さ』でも「ダブルフェイス」や「MOZU」のそれとは真逆(いやMOZUは……)
それでもいい、それでも作る。
10年後に覚えている作品を作る。
そんな「重み」をひしひしと感じます。
10年越えて覚えてる作品になりそうな気がする。今 #わたしを離さないで を観て「ああこれ『永遠の仔』だ」と思い出すように、この先に重量級きたら「あれだよあれ、あの綾瀬はるかと鈴木梨央の。違う違う、八重じゃなくて金曜の」とか言ってそう。
— ゆずず (@yuzu0905) 2016, 1月 25
「みんないなくなった」とはいうものの、社会的には存在を認められていない人たちだから、そもそも……それでも必要とされていて生きなければならない、終わるまで。その宝箱はいずれ自分が入る棺桶なのかって。くっそ重かったけど、久々にいい民放ドラマだった。#わたしを離さないで
— ゆずず (@yuzu0905) 2016年3月18日
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