妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

物語の樹

2014-02-03 06:36:34 | ○ひとりごと
世界の秘境の秘境の奥に、『物語の樹』かあって、そこにはたくさんの『物語の実』がなっている。世界の小説家たちはそこで実を拾って、いろんな料理をする。そうして出来上がった『物語』は、たくさんの料理やお菓子、前菜にアレンジされて、世界中の人たちの前に並ぶ。

小説家たちはその樹の麓まで行ったことを覚えていない。たまに覚えていてもそれは『夢』だとか『直感』だとかに表現されて、他者からはそれは『才能』だとされる。確かに料理の腕前は大切なのだけれど、肝心の素材のことは忘れている。

それが物語の樹。




そんな私の頭の中の『物語の樹』は、たいてい昼寝や二度寝をしている最中に急に現れる。いつもじゃない、たまに。こないだ拾った実は、ミステリーだサスペンスだかホラーだかよくわからないものだった。

雪深い村のとあるペンションで開催された『街コン』が惨劇の舞台に変わった。参加者の中にレイプ犯が紛れ込んでいて、主人公の友人が被害に遭い、また止めに入った男性も怪我を負ってしまい、楽しかったはずの街コンは悲劇の舞台と化す。主催するペンション側は即刻街コンを中止とするが、しかし猛吹雪で陸の孤島状態。どこにも逃げられない状態で戸惑う街コンの参加者たち。その矢先、レイプ犯が何者かによって殺される。ついでペンションのオーナー夫婦が殺害される。生き残っている参加者たち8名は、皆が探偵を気取り始め、疑心暗鬼に包まれる。不安そうにしていた主人公は、ペンションに勤めるアルバイトと共に吹雪が止み早く帰れる日を待つが、お互いがお互いを疑っている8人はそれぞれがそれぞれを殺し始める。一晩が明けて主人公が見たのは8人の遺体で、主人公はそこに斧らしきものを持って現れた男を殺してしまう。それはペンションのアルバイトの少年だった。その日の昼に吹雪は止み、主人公は救助される。しかし後ほどになって行われた現場検証で、最初のレイプ犯を殺害したのは主人公だったこと、その現場を目撃したオーナー夫妻、自分を疑った参加者たち、最後に自分をおさえつけようとした少年を殺したのは全て主人公だったことがわかる。その後主人公は失踪、さらに主人公は2年前に死亡したはずの人間だったこともわかり、事件は真犯人不在となる。数年経ち、事件を追っていたルポライターが参加者やオーナー、主人公たちの奇妙な共通点に気づく。

っていう夢だったんだけど、これが物語の樹だ、と起きて慌ててメモをとった。というか舞台が『閉ざされた雪山のペンション』ってのも相変わらずのパターンだし、しかも犯人が主人公でした、しかも死んでました、なんて推理ものとしては破綻してる。そんなことはわかっているのだけれど、どうにかアレンジできないものか、この実をどう料理したらいいのやら。キッチンの前でレシピを考えている。

今書きたい話は実はたくさんあって。例えばこんな話。

舞台は九州の山奥の村。東京で就職に失敗し不倫の恋にもやぶれて心が完全に疲れきった主人公の京子が、母が病に倒れたとの報を受けて帰郷する。癌に侵され終末期に入っていた母の看病をしながら、幼馴染たちと再会をする。1人は医学部に進学し医師となった研一、もう1人は役場で公務員をしている宏太。再会のとき、京子たちは高校時代のある事件を思い出す。それは京子の友人であり、研一に想いを寄せていて、また宏太が想いを寄せていた少女・早苗の死だった。かなえの妹に再会した京子は、早苗を殺したのは自分だと言われてしまう。それは早苗が自殺する直前に残した『K』宛の遺書めいた手紙だった。宏太と研一はそれぞれが早苗を殺したのは自分だと思い込んでいる。Kとは誰のことなのか、早苗の死は本当に自殺なのか、謎は深まる。その矢先に、再び村の高校生が突然の自殺をする。その遺書には『K』の言葉があった。真相を追っていた3人は、東京から突然やってきた男に早苗と高校生の死の真実を告げられる。

っていう話。着地点が見えてないけど、なんとなく寂しい話。京子と研一と宏太は、それぞれが恵まれているはずなんだけれど、それでもどこか孤独で早苗の死を引きずっている。自分は殺人犯だと思いながら大人になるということ、思春期のショッキングな出来事が与える影響、それでも信じたいこと、そんなことを書きたいなとか思っている。

それでもまだ味が全然整ってない。だから先人たちが書いた物語の実のレシピ本を本屋で読み漁ったりしている。そうしていればいつか新しい味をみつけられるかもしれない。それにぼんやりなってまた世界の何処かの物語の樹のところへいけるかもしれない。
「内緒だよ」
って樹が隠し味のヒントをくれるかもしれない。

そんなことを考えている。


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