◆ 経済は円滑に回転してこそ
例えば、歯車は円滑に回転して初めてその機能は最大限に発揮されますが、長く使っていくうちに回転が鈍くなったりします。この場合、潤滑油などを注ぐことで正常な状態へ戻そうとします。また、何かの拍子で歯車が高速回転してしまうことも考えられますが、この場合はブレーキをかけたり、修繕したりします。
すなわち、潤滑油は公的資金、ブレーキは利上げや増税、修繕は法整備となります。
そして、歯車の監視をするのが政治家であり、広い視野でもって経済活動が円滑に為されているかをチェックしなければなりません。
しかしながら、現在わが国における経済というのはまさに
① 歯車が鈍くなっているところへさらにブレーキをかけ(消費増税)
② 修繕はほったらかし状態(自由放任)
③ 回転が鈍くなっていることを「正常です」といって誤魔化す(国民への意識改革)
④ 歯車を監視する能力が乏しい(政治の腐敗)
に尽きると思われます。
◆ インフレもデフレも怖いものではない
ではなぜ、この長引くデフレ下にあって、きちんとした経済政策が為されないでいるかといえば、やはり現在の財務省や主流派経済学者の多くが「インフレーションこそ悪だ」と認識していることもあり、このような凝り固まってしまった概念が拭い切れないでいることが最大の要因といえるのです。
では、本当にインフレは悪なのかといえば、それは違いますし、デフレが悪なのかといえば、それも違います。
たしかに、行き過ぎたインフレやデフレというのは様々な要素が重なることで起こる景気現象であり、それは自然災害であったり、戦争や世界恐慌などの人為的なものであったりします。
わが国の場合は特に、バブル(過熱景気)期の後遺症というものを今なお引きずっていることが窺え、そして、過度のインフレ恐怖症に陥った現在の日本社会をみるかぎりは、「日本総ノイローゼ状態」の様相ではないかと感じてしまうのです。
また、長引くデフレ下にあっては財界などの行き過ぎた自由経済によって、一般国民の格差は助長されてしまい、さらには消費増税などによって圧迫感が増し、閉塞感ばかりが漂う社会へと変貌してしまいました。
インフレ、デフレ、そのどちらであろうとも、政府と日銀、そして民間同士が一丸となり対峙すれば、何も臆することはないと思われるのですが、その希望の星ともいえるのがMMT(現代貨幣理論)や主流派経済学であり、しかし、双方が互いに認め合わないかぎりは、国民の幸福などありえないのです。
♪ケインズvsハイエク 第2ラウンド