真昼の月

創作?現実? ちょっとHな虚実不明のお話です。
女の子の本音・・・覗いてみませんか?

Promise

2006-09-12 01:58:22 | オリジナル小説
ただ呆然と立ち尽くす私を他所に、私に酷似した女性の顔には白い布がかけられ、やがて葬儀社の人達がやってきて、病院の裏口から霊柩車へと運ばれた。
主人と家族も、みなそれぞれに病院を後にする。
私は、見たくないという嫌悪感と、離れ難い不思議な気持ちとの葛藤の中で、何となく霊柩車の中で、私似の女性を見ていた。
主人が手を取り、付き添っているその女性。

何? どうしてそんな悲しそうな顔で、その女性を見つめてるの?
まるで、まるで私が死にでもしたかのように・・・

私が死んだ・・・・?
いいえ、そんなはずが無い! だって、私は今ここにこうしているじゃない。
どうして誰も気付いてくれないの? そっくりな人を私だと勘違いしてるに違い無い。

そんな事を考えているうちに、車は自宅へと到着した。
私によく似た女性は、そこで葬儀社の人達の手で運ばれていった。
どうやらあまりに下半身の損傷が酷いので、多少修復し、防腐処理を施すようだ。
既にかけつけていた、別の黒服の葬儀社の係りの男性は、「この度は・・・」と月並みなセリフを口にしながら、主人と両親達に、お通夜や葬儀、墓の事などを説明し、打ち合わせている。
途中遺影の話になると、主人はおもむろにアルバムを取り出し、一枚の写真を取り出した。
「これでお願いします。」
それは私の一番お気に入りの写真。
新婚旅行中に、主人が私を写した物で、世界中で一番幸せな私の笑顔が浮かんでいる。

Promise

2006-09-10 19:42:22 | オリジナル小説
とても奇妙な感じだけれど、私は私そっくりの女性の顔を覗きこみ、鏡で見比べようとした。
だって、見れば見る程私そっくりなんだもの。私が双子だなんて話しは聞いた事が無いし、よしんばそうだとしても、今のこの状況は理解できない。
と、鏡を覗き込もうとして 驚愕した。

鏡に自分が映っていない!

ただ無機質な壁を映すばかりで、私の顔は、いくら見直してみても全く映っていなかった。
振り返り、再び私そっくりの女性を見直してみた。
顔・・・だけじゃ無い。 そっくりなのは、髪型、ルージュの色、着ている服。何から何まで全く同じだ。
頭の奥で金属音がする。
アノヒ アノアト・・・

嫌だ。思い出すのが酷く怖くて、主人の姿を探していた。
駆け寄って腕を掴もうとするのに、私の腕をすり抜けてしまう。
何故? 驚いて叫ぶ私の声に、振り返りもしない。
いつも優しい人なのに、どうして無視するの?

Promise

2006-09-10 03:00:58 | オリジナル小説
私が意識を取り戻して、初めて見たのは、両親が私の身体に取り縋り泣く光景。
主人のご両親と主人は、医師からの説明や警察からの説明等を聞いていた。
両家ともにがっくり肩を落とした親たちとは対称に、しっかりと事実を見、事を進めようとする主人。
でも、私にだけは分かる。 彼のお母様にも分かっているかもしれないけれど・・・こんな時の彼は、酷く傷ついているのだ。必死に、自分が壊れてしまわないように、虚勢を張っているのだ。
痛々しくて、正視している事などできなかった。
そして横を見ると・・・・私の遺体・・・・・ 遺体? 誰の?
顔は私そっくり。クビから下は、無残なまでに潰され、引きちぎれ、あまり原型をとどめてさえいない、グロテスクな姿。 これは私? そんなわけが無い。

だって、あの日私は・・・あの日私は、ちょっとご近所まで買い物に出かける途中で、風で髪が乱されるのを、お店のウィンドーを鏡の代わりにして直して、食事のメニューを考えてて・・・・

その後・・・・・・その後何が起こったのか?思い出せない 思い出したく無い!
だけど、どうして私ににた姿の人がここにいるの? 彼と私の両親が泣き叫んでいるの? どうして彼はあんなに辛そうにしているの?

そして、医者が彼に言ったあの言葉は?
私・・・妊娠しているのかもしれない。確かに少し疑い始めてた。
でも、まだはっきりしないうちに言うのは躊躇われて、内緒にしていただけ。
だって、時々一月ぐらい遅れる事ってあったし、それだったら悲しいじゃない。
私達は、結婚当初から、子供を待ち望んでいるんだもの。
でも、どうしてあの医者が、その事を知っているの?

Promise

2006-09-05 08:24:44 | オリジナル小説
私が最後に憶えているのは・・・晩夏の午後の、まだ少し強すぎる陽差し、雨の近さを知らせる、少し湿った風、ショーウィンドーに映る自分の顔。
風で乱されそうになる髪を、鏡代わりに眺めながら片手で整えようとする姿。
そしてその後・・・




僕が最期に妻を見たのは・・・慌しいけれど、いつもと変わらぬ平凡な朝。TVのニュースを観ながら、トーストをかじり、出がけにいつものようにネクタイを直されて出かけた、その朝の、微笑んで僕を見送る姿。
まるで今の光景が冗談だとでも言うかのような、あまりに当たり前で、あまりにありふれた、そしてあまりに幸福な瞬間を切り取ったかのような笑顔。
そう、きっとこれは手の込んだ冗談に違いないのだ。あの柔らかな笑顔のほんの数時間後、彼女の笑顔が永遠に遠くへ行ってしまうなんて・・・

今、僕の目の前にいる彼女は、目を閉じたまま、微かに笑みを浮かべている。
身体の損傷の酷さに比べ、顔だけは奇跡的に無傷だった。
まるで今にも目を開けて、僕を見つめてくれるのではないか? そう思いたくなるぐらいに変わっていない。
駆けつけた彼女のご両親の泣き叫ぶ声も、医師の悔やみの言葉も、警察の説明も、僕の耳には入って来はしない。
いや、聞こえてはいる。言葉の意味は理解してはいるが、これは僕とは関わりの無い話なのだ。
一言だけ、医師が付け加えた一言だけが僕の心に記憶された。
「妊娠されていた事はご存知でしょうか?まだごく初期ですので、ご本人もお気づきでは無かったかもしれませんが。。。 お気の毒です。」
妊娠。。。 子供? 僕等の?
僕が聞いていない以上、彼女はまだ気付いていなかったのだろう。いや、それとも確信が無かっただけなのか?どちらにしろ、会った事も無い子供の話をされても、僕には何の現実感も湧きはしなかった。
僕の現実は・・・僕の現実は、今朝の元気な妻の姿だ。



過積載のトラックが、カーブを曲がりきれずに歩道に突っ込み、歩行者が巻き添えになり死亡。
言葉にしてしまうと無機質で、日々よくあるニュースの一つでしか無いが、当事者にとっては、例えよくある事故でも、それは特別な悲劇だ。
なぜ? というのは、使い古された言い方だが、なぜあの人が、なぜ若いのに、なぜ良い人なのに? そんな言葉がそこかしこで囁かれていた。
しとど降る雨の中、それでもまだ若い、それも妊娠したばかりの女性の若すぎる死は、人々の悲しみを誘い、数多くの人々が弔問に訪れていた。
恐らく全く眠っていないのであろう、やつれた姿の、だが健気に挨拶を繰り返す若い喪主の姿や、変わり果てた娘の姿と、まだ見ぬ孫の死に、棺に取りすがって泣く母親の姿が、更に人々の涙を誘っていた。
不条理な事故など起こらなければ、これから生命を育み、親となり、幸せな家庭を築いていくはずだった、若い夫婦。嫌が上にも、加害者側への非難の声も高くなる。
恐らく、人々の中で、加害者への恨み言を口にしていなかったのは、喪主である、被害者の夫だけであったかもしれない。

改名・・・・するかも?

2006-09-04 20:12:34 | Weblog
本当ーーに久々なyurikaです。

引っ張るのもいい加減にしろ!と言われそうな気配をヒシヒシ感じてますけど(^^;
なんていうか、書きたく無い時は書きたく無いのぉ!!と我儘を言えるのがアマチュアの自由さね(笑)

なーんて、たぶん、涼しくなってきたし(?) もうそろそろ動き出したくなってうずうずしてくると思いますので、乞うご期待?

Heaven'sGate とは別の話題なんですけど、私現在、別のお話で凄く書きたいストーリーがあるんです。
でもって、それを書くのは、yurika名義では書かない予定。
完全に改名しちゃうかどうかは迷うとこなんだけど、ここ数日凄く書きたくなってるストーリーは、別名義でここに書かせて頂く事になると思います。

思い立ったら走り出しちゃう私の事なので、もしかしたら、Heaven'sGateが途中だっていうのに、そっちの短編だけ先に書き上げちゃうかも?

プチ予告させて頂きますと。。。。

タイトルは 「Promise」
はい、借金地獄のお話です(爆)

ちゃうちゃう(^^;
真面目なお話しです。
というか、このお話しは、ラストをどっちに転ばせるか、まだ迷いに迷って、たぶん書き上げる瞬間も、書き上げた後も迷い続けるかも?
とっても切ないラブストーリー。
あら、珍しい。 私がラブストーリーを書こうだなんて(笑)

たぶんですね、これを書く時は”都築百合香”ではなく”都築凛(tsuduki rinn)”名義で書きます。

それでは・・・・って、まーだ引っ張るか(^^;