真昼の月

創作?現実? ちょっとHな虚実不明のお話です。
女の子の本音・・・覗いてみませんか?

Heaven's Gate

2006-05-07 14:31:30 | オリジナル小説
彼女との、とても不可思議な、そして僕にとっては忘れられない印象的な一夜を経て、僕らは恋人同士になった・・・・ワケはない(苦笑)
彼女にとって、あの口付けは、あくまでコミュニケーションの手段であり、自分自身の心を開くための手段の一つなのだろう。
だから、僕も自然に口付け返す事ができたのだろう。 僕が彼女を受け入れるという表現手段として。
なぜだろう? 人の心の機微なんて、鈍すぎるぐらいの僕が、彼女の心だけは、気のせいかもしれないし、自惚れかもしれないけど、たぶん他の人間よりは、多少なりとも理解できている気がしている。

それはとても不思議な事だ。
僕と彼女は、似たところなんて見つけようにも見つからない。
強いて言えば、社会人では無いという事ぐらいだろうか?
性別は勿論違うし、もし同じ集団の中にいたら、彼女は大勢の人間の中心に咲く、華やかな薔薇の華。 僕は集団写真で、隅っこの方からピースサインを出して、かろうじて写っている、そんなタイプ。
真面目で成績もそこそこだから、教師のウケは良いが、翌年には忘れられてしまうそんなタイプ。
彼女はといえば、いろいろ問題を起こして教師を悩ませるだろうが、後々まで印象に残り、怒られはしても実は気に入られている・・・そんなタイプだろう。

僕には分からない。 なぜそんな彼女がヤケを起こしたような行動をしていたのか? なぜ見ず知らずに近い僕なんかの部屋を訪れて、押し殺した涙を流すのか?

僕が彼女のような存在だったら、世界はもっと楽しくて仕方ないだろうにと思うのにだ。
同性からも羨まれるだろう、整った容姿。 会話してみると分かる、頭の回転の速さ。 人好きのする笑顔。 悪戯をしても、どこか憎めない愛らしさetc.
僕の贔屓目もあるかもしれないけど、少なくとも、僕みたいに、自分の存在のありふれたちっぽけさを嫌になるような事なんて無いはずだ。
友達だって、彼女になら沢山いるだろう。
それなのに・・・

彼女は孤独だ。 少なくとも孤独な面を持っている。
口付けた唇を通して、肌から伝わる体温を通して、僕はそれを実感した。
少なくとも彼女は自分の”孤独”を、僕には見せてくれたのだ。

だが、そんな微かな自惚れをあざ笑うかのように、その後ぱったりと彼女は僕の前に現れなくなった。

そして僕はと言えば、彼女を探す術も分からず、探して良いものかどうかも分からず、ただ呆然と、以前と同じ平凡で退屈で、平穏無事な毎日を送っていた。
探したい気持ちはあった。でも、もし探しても、彼女が嫌がったら? そう思うと怖かったし、そんな自分が馬鹿みたいだと思うとできなかった。

そうこうするうちに、街は寒さを増して行き、僕とは無縁の華やかなショーウインドーには、赤や緑の飾りつけが目立つようになっていた。
僕の心とシンクロするかのように、風は冷たく乾き、凍える手を温める息は白く、浮き立つ恋人達を横目に、僕の心は時を止めていた。

どうもすみません(^^;

2006-05-07 14:04:27 | オリジナル小説
すっかりご無沙汰しております。
著者yurikaです(^^;

決して放置プレイしていたわけでは無いんですけれど、思うところありまして、暫くネット世界から離れておりました。

”Heaven's Gate"も、途中で放ったらかしで可哀想な扱いにしてしまってますけど、ちゃんと完結するまで書かせて頂きますのでよろしくですm(__)m