「空海」
2017年 日中合作映画 角川映画
監督 チェン・カイコ―
キャスト 染谷 将太
ホアン・シュアン
チャン・ロンロン
中国映画が大々的に宣伝されて 主要な映画館で
観られるのは 嬉しいが・・
(日中合作で原作が夢枕獏だからかな!)
しかし・・ 字幕ではなくて全部吹き替え版というのは!
少し違和感があるね・・特に映画ファンには・・
原作は作者本人がド傑作と言っているように
とても面白いのだけれど~
う~んん!
お話は複雑で盛りだくさん・・
それに夢枕獏の世界は 基本的におどろおどろしい
場面が多くなる
監督は おどろどろしいシーンは全く取り入れなくて
楊貴妃も 最後まで きれいなまま・・
宴のシーンも夢のように処理しているから
昔の角川映画みたいじゃなく・・
ファンタジーのような映画になっているが
その分 映画としては 伝えるべきもののない
軽い物になってしまったかもしれない
原作は 楊貴妃を取り上げて時代の残酷さ
人の世の無常さ 憎しみの連鎖
その憎しみが生む様々な悲劇
近親相姦 親子で殺しあう また男女の愛の
哀しさ 辛さ などなど・・・
諸行無常の世を見た空海が最後に
密教の教えを得て
深い悟りをその身につけ
人々を救うために
いざ 日本へ と戻るまでを
ドラマチックに描いてゆくのだけど
楊貴妃の数奇な人生が全く描かれずに
歴史の表面だけだから
ドラマに深みがないよね
阿倍仲麻呂は実は 楊貴妃を日本に逃がすための
役割を与えられたと原作ではなっているけど
映画では なんだか 中途半端な役割で・・
それもこれも 黄鶴を表舞台に出さない
からで・・
この黄鶴が実は 黒幕で すごい役割
小説では 彼が中心になって物語が進んでゆく
小説の ~鬼と宴す~ の鬼とは
この黄鶴を指すのだと思う
それくらい重要なキャラだけど 映画では
全く無視して 話を大きく簡略化してるので
それで 只々 きれいきれいで終わっているのね
淀川さんはどんな映画でも見るべきところは
あるといってたから~
取り上げるとしたらセットの豪華さ 衣装の華麗さ
ファンタジー映画としてはよくできている
でも これを読んでいるあなた!
是非是非
「沙門空海 唐の国にて鬼と宴す」 全部で4巻
読んでください
映画の10倍は面白い!
それと 空海が好きになります
でもそれにしてもイップマン
もっと全国的に上映してよ!
映画としては イップマンのほうが絶対
印象に残ると思うけどね・・