鞄に演劇をつめこんで

観劇者が立ち上げた小劇場演劇を広めたいためのブログです。
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アンケートの考察 書きたくなるアンケートを考えた (連載その5)

2020年03月16日 | 小劇場演劇の考察

前回までの分析したことから、「書きたくなるアンケート」についてヒントを探ったうえで、サンプルを考えてみました。

その1 アンケートの分析から気になったこ

質問項目の少ないアンケートだから書くわけではない

「書きたくなる」とは、質問項目が少ないことと直接イコールではなく、シンプルなアンケートだからといって書く気が起きるわけではなさそうです。

観劇日時について 

観劇日時は記入を求めない団体が17団体あることから、絶対に必要な項目ではない気がします。記入するにしても、なるべくスペースを割かず・負担の少ない方法が良さそうです。右上に設け、選択肢か自由記入させる方法がこれに一番当てはまりそうです。

公演を知った方法か、公演を観ることにした決め手か

細かく分析した「質問その2公演を知った方法」ですが、同じ質問するのであれば、「質問その5 本公演に興味をもった理由・決め手」の方が良さそうです。
選択肢は、質問2での分析を活用し、「出演者・スタッフ」、「ちらし」、「劇団」「評判」「友人・知人」「作品内容」「たまたま」をあげて、レアなものは「その他」に含めて項目数は絞りたいところです。

感想・評価は、自由記述が少ない方がいい

限られた時間内に自由記述式の複数の質問に対応するのは負担になりそうで、なるべくまとめたいところです。また自由記述で面白い・つまらないしか書けないのであれば、評価の選択肢にした方がよさそうです。
舞台や照明の項目ごとの評価は、作品を様々な視点から振り返れるきっかけになりますし、スタッフにとって観劇者の声がきけるいい質問だと思います。

印象に残った役者・シーンについて

自分がSNSでの感想を呟く際に、役者やシーンのことを書くことがあり、印象に残った役(役者)やシーンの質問はあるといいと思います。しかし自由記述の負担をどう減らすかが課題です。

出演者へのメッセージ

これまでアンケートで書こうと思ったことはありませんが、この質問は書き手・読み手ともに有益ですし、こうした質問があるといいなと思いました。独立した質問にすることで書きやすくなりそうな質問です。

過去の作品をみたことがあるか

過去作品を列挙することで、リピーターの傾向を知ることに役立ちますし、観劇者はアンケートの記入を通じて、こんな作品があるのかとか、あったなあと読みたくなるような質問です。

個人情報・DMの希望

個人情報は必要な情報だけを入手し、個人情報の管理に関する文言はなるべく丁寧に書きたいところです。

その2 コンセプトは「観客と作品・団体・役者との距離が縮まる」「記入する負担が少ない」

コンセプト1 観客と団体・役者との距離が縮まるアンケート

アンケートを分析しても、正直、何が「書きたくなる」決め手なのかはわかりませんでした。
しかし、Twitterで感想を呟き、その反応がきっかけで観劇の幅に広がっていくことの経験から、アンケートについても、記入することで観劇者が団体や役者との距離を縮められれば、記入するメリットがありそうです。 
そのためには、匿名の自由を残しつつ、記入者の「顔」がみえるアンケートにすることが必要です。感想をTwitterであげる人は、その情報をアンケートに取り組むことができれば、アンケートの記入に繋げられます。
またアンケートの記入を通じて、展開を思い出したり、何がわかったり・わからなかったりと作品の理解を深める気づきや糸口がみつけられれば、それもメリットになります。

コンセプト2 記入の負担が少ないアンケート

自由記述は文章にまとめる負担がありますし、書くだけでも時間をとられるので、なるべく選択肢にできることは選択肢にして、さらに○よりは、チェック方式にすることが、負担軽減の方法と考えました。

サンプルを作ってみました!

上記のコンセプトを踏まえ、サンプルで作ったのが画像にあるアンケートです。

 

<文字が多いのが課題>

どうでしょう。
自由記述の負担の減らすため、感想をなるべく質問に分解し、選択肢にしたが結果、「文字が多くて読みにくい」印象がどうしてもあります。
そこで質問文や選択肢の文言はできるだけシンプルにしました。
字体やポイントでカバーできるといいのですが、難しいですね。

次に工夫したポイントを残しておきます。

●各質問項目の解説

1 観劇日時
公演回ごとに綴っておけばいいので日付の記入は不要と思います。
ここではサンプルですので、アンケート用紙に右上に、日付と昼夜のそれぞれを選択する方式を採用しました。
やや大きめの字にすると記入漏れが減るかと思います。

2 劇団名・タイトル

「劇団○○ 「公演名」 アンケート」

「アンケート」だけでは寂しいし、用紙を保管するうえで団体名と作品名は必要です。
タイトルは架空のものです。

3 SNS(Twitter)アカウント または 氏名(愛称)など

「よければ Twitterのアカウントかお名前(愛称)をお書きください」
「作品の感想をSNSで呟かれますか  □はい □いいえ 」

アンケートの冒頭に質問することで匿名の自由を確保しつつ、「誰が記入したか」を伝えることとしました。この方が、読み手との距離が縮まります。またTwitterで感想を書く人をアンケートにつなげるためには、冒頭に質問を置く必要があります。
役者がアンケートを読む機会があれば、「だれだれのアンケートだ」と知ることができるうえ、その人のTwitterにリプやリツイート、場合によってはフォローするなど、集客に繋げられるきっかけとなるかもしれません。

4 役者の名前の記入も簡略化

アンケートの右側にスペースを確保し、

<役者名は次の番号を記入してください>
○○(役名) 演劇太郎
○○     下北二郎
△△     王子花子
▢▢     池袋愛子

と、役者に番号を設け、いちいち名前を記述する負担を減らしてみました。

5 公演を観ることにした決め手

公演を知った方法よりも、観ることにした決め手を質問にしました。
選択肢としては 
・出演者・スタッフ
・この劇団だから 
・作品概要
・ちらし
・SNSでの評判
・知り合い・友人に誘われたから

のほか
・時間の都合がついた
・たまたま公演していたから (デート・買い物・その他(    ))
を設けてみました。

 6 作品の評価

「 とても面白かった・面白かった・わからなかった・つまらなかった・何も感じない 」

評価を細かくわけても基準がなく区別できないので、観劇直後に話しそうな感想を選択肢にしてみました。
あえて「わからなかった」を入れてみました。観劇後にしばしば主宰さんから「わかりました?」と聞かれるからです。観劇者からも、つまらないわけでないけど、何をいっているのかわからないという感想はよく耳にします。

7 良かったと思うものを選んでください(複数回答可)。

「 脚本・演出・照明・音響・舞台装置・衣装・小道具・当日パンフレット・ちらし・当日運営・空調・その他(      ) 」

これもスタッフさんの励みにも繋がりそうで、質問にしました。

印象に残った役や役者
 応援に繋がる質問ですが、独立した質問項目ではスペースをとるので、作品の評価の中に「出演者」を設けました。

8 印象に残ったシーン

「印象に残る場面があれば、番号で記入してください 複数回答可(       )」

一番悩んだ質問で、回答を選択肢にしたことがポイントです。
選択肢は、シーン順に挙げてみました。オムニバス作品であれば各タイトル順でもいいでしょう。
ネタバレになるので賛否がありますが、注意書きを入れることとし、感想の記述の負担を軽減するとともに終演後に作品を振り返えりやすくすることを優先しました。

9 過去に劇団の作品を観たことがありますか(選択肢型)

「 初めて AAAA、BBBB、CCCC、DDDD、EEEE 、それ以前 」
(※過去の公演台本 DVDを販売しています があってもいいです)
これはリピーター率をあげるために知っておきたい情報では?と思いました。

10 上記を選択した理由、ご感想、ご意見・要望など、を自由に記入してください(裏面も使ってください)

 選択した理由をまとめて書かせることで、何を書いていいかわからない人にとってはヒントになります。感想・意見のほかにも「この団体で観たい役者」など書いてほしい内容はなるべく質問に書いてある方がいいかと思います。

<参考> 欲しい物販はありますか

 上演台本 ・ 上演DVD ・ 声だけCD ・ ブロマイド(チェキ) ・ バッジ ・ チェキ会

サンプルに入れませんでしたが、イベントや物販を企画する団体にはこういう質問項目は有効かもしれません。

11 役者・スタッフへのメッセージ

枠にして3人分ぐらいかける欄を設けました。
11と12は、用紙の下に設けることで当該部分だけを裁断しやすくし、個人情報は団体だけが管理し、メッセージは、当該出演者だけに渡せることを想定しました。

12 DM

DMの案内で、電子メールでの配信だけを想定したので、宛名とメールアドレスを設けました。
チラシを郵送で送る場合は住所欄を設けます。いずれも必要な情報のみを記入させます。年齢や職業は客層にあった作品を書くのでなければ不要としました。

13 個人情報に関するコメント

 「本アンケートでご記入いただいた個人情報は当団体で責任をもって管理し、①劇団の今後の運営改善、②劇団・出演者・スタッフによる感想の拝読及び観劇の御礼、③団体の上演作品のご案内」 と、使用目的を明確したうえで、「第3者への提供など他の目的には一切使用いたしません。」としました。

14 アンケートのお礼

「アンケートのご協力ありがとうございました」でしめくくります。 

次回で連載の最終回、まとめです。

アンケートの考察 まとめ (連載その6)
こちら

 


アンケートの考察 100団体のアンケートからみる質問内容 (連載その4)

2020年03月16日 | 小劇場演劇の考察

いよいよ質問の分析も最後です。

質問その4 劇団の作品をみたことがあるか         

リピーターの数を把握できる質問で、重要だと思います。35団体が採用。
質問の仕方は
・(団体名)の公演をご覧いただくのは・・・
・過去に当劇団の公演をご覧になったことはありますか
・今までに(団体名)の公演を観たことはありますか
・これまでにご覧いただいた公演を教えてください。
・いままでの公演でご覧になったものはございますか

などで、
選択肢にパターンがあります。
■選択肢1  ある・ない(今回がはじめて) の2者択一パターン 10団体
■選択肢2  過去の上演作品を列挙し観た作品を選ばせる 18団体
■選択肢3  観劇回数を選択または記入させる 5団体
■選択肢4  公演作品名・第○回公演を書かせる 2団体

■選択肢1 ある・ない(または今回がはじめて)
選択肢としては、ある(      )・ない(今回がはじめて)の2者択一で、ある場合は作品名を自由記述させます。
作品名を書くのは正直面倒。正確なタイトルを思い出せないのも何か後味が悪いですし、観劇した全ての作品を記入する気はしません。

■選択肢2 過去の作品を列挙 
そこで、過去の作品を列挙して○をつけさせる団体が18団体あります。
これは、
・毎公演観に来る、観客数として計算できるリピーター
・不定期に観に来る観客数
・昔観ていた客が戻ってきた傾向
・新たな観客
が把握でき、継続的に測定することでリピーター具合がわかります。
デメリットとしては、すべての過去作品を挙げると紙面のスペースを割くことです。そこで過去数年間の作品だけを挙げて、残りは「それ以前」の選択肢を設ける団体が2団体あります。

■選択肢3 観劇回数を選択または記入される
<実例>
・はじめて・2回・3回~5回・6回以上

数字を記入させることは、リピーター具合が一目でわかるメリットがあります。
しかし、過去の観劇作品数をその場で正確に思い出せるかは疑問ですし、「観劇回数」とすると同じ作品を繰り返し見ている人は、すべての数を記入する恐れもあります。
なにより、いつからの観客かなど傾向が分析できないため、データを活かしきれないと思います。

●一番好きな作品を書かせる
回数を選択させたうえで、3回以上を選択した場合に「一番好きな作品を」記入させる団体が1団体ありました。これはリピーター具合というよりは、客層が期待するテイストがわかるかもしれません。

■選択肢4 公演作品名・第○回公演を書かせる

ある・なし」がなく、公演作品名や第(   )回公演作品として、公演回数を記載させるアンケートがありました。これも選択肢1と同じで負担感があります。

ところで、アンケートとは離れますが、過去作品の一覧はありがたい情報で、当日パンフレットに記載してほしいぐらいです。劇団HPをみればわかるかもしれませんが、受動的に観劇の都度、最新版が手に入るとありがたい。
過去作品の一覧は、物販で過去作品の台本やDVDを売る団体がある中、いつ頃の作品かなど購入の目安にもなりますし、観劇者や演劇関係者とその団体について話しをする際、観たことがない作品の話になったときにこうした一覧があると役に立ちます。団体と観客の距離を縮める有効な情報です。

質問その5 本公演に興味をもった理由・決め手 

「その2 公演を知った方法」と同じようですが、少し聞き方が違います。観客は単に「公演を知った」から観にいくわけではなく、観に行く動機があるはずです。情報の入手方法を細かく聞くよりは、この質問の仕方の方が把握したい情報を得られるのではないかと思います。21団体が採用。
なので、「公演を知った方法」と「公演に観に行く決め手」をあわせて質問する団体もあります。

●質問の仕方
<実例>
・この公演に興味を持たれた理由は何ですか?
・観劇を決めた理由
・観に来たきっかけを教えてください
・ご来場のきめては?

などです。
このうち「観に来たきっかけ」を質問するアンケートの中には、「公演を知ったきっかけ」の趣旨で質問しているものがありますが、こちらに分類しました。

●選択肢
<実例>
・カンパニーが好き
・好きな劇団だから
・出演者のファン
・役者(     )
・○○の脚本だから
・○○の演出だから
・関係者の過去公演をみて
・タイトル
・企画内容
・作品が気になったから
・チラシ、ポスター
・SNSでの評判、噂
・友人、知人に薦められた、誘われた
・劇場
・料金

など、公演を知った方法とは選択肢の書き方に違いがみられます。

質問その6 次回作の企画等のリサーチ

リサーチしたい内容としては
■1 次回以降の公演の参考  2団体
■2 出演してほしい役者   1団体
■3 団体に期待する企画・イベント・グッズ 10団体
■4 過去の企画やイベントでまたやってほしいこと 1団体

などがありました。

■1 次回以降の公演の参考
「死体役として観たい役者はいますか」「次は何色の作品が観たいですか」などその団体の特色に関連づけた質問で、回答方法は自由記述です。

■2 出演してほしい役者
自由記述の感想・要望の欄に書きそうな内容を質問にしています。

■3 団体に期待する企画・イベント・グッズ
イベントやグッズ販売は、企画する団体にとって重要な収入源になるのでニーズを把握できる質問です。これに関連して、団体のグッズをもっているかという質問をした団体が1団体ありました。しかし、アンケートをとらなくてもグッズの売れ行きは売上データからわかりますし、アンケートの記入時間を考えると、価値のある質問なのかは疑問です。

■4 過去の企画やイベントでまたやってほしいこと 
これも公演とは別にオフ会などのイベントを企画する団体にはニーズを把握できる質問です。

質問その7 お気に入りの役者は誰ですか           

出演者以外の役者の名前が複数あがるような回答が期待できれば、出演のオファーをするなどデータの利用価値があるかもしれませんが、劇団のファンや出演者目的の観客は、その劇団員や出演者の名前を記入しそうです。そうであれば応援扱いの予約数の方がシビアに数値化されます。
そのため「劇団員や出演者以外で、今後、観たい役者はいますか」のような質問なら、記入者は注目する役者さんを団体にPRしているようで、「役者を応援する」ことにつながる感じがします。

質問その8 観劇の実態に関する質問

観劇の動向に関する質問で、
■1 観劇の頻度  5団体
■2 よくみる劇団・WEB・番組など 5団体
■3 平日は何曜日に観劇にいきますか 1団体
■4 観劇WEBをみますか  1団体
■5 余暇はどのように過ごすか 1団体
■6 今回の作品は何回見る予定ですか 1団体

などの質問がありました。

1 観劇の頻度
5団体が質問しています。
おもしろいのは回答の選択肢。団体ごとにバラバラです。
<実例>
・月に3回以上、月に2回、2月に1回、3月に1回、半年に1回、その他
・年間1本、年間2~4本、年間5~9本、年間10~19本、年間20本以上
・週に1回、月に1回、年に数回、それ以上、今回がはじめて
・月に1回、3月に1回、1年に1回、2~4月に1回、ほとんどみない
・自由記入 1団体

で月間の本数をきく団体があれば、年間できく団体もあります。
意外だったのは、年間の観劇数に対する団体の意識です。実例にある「月に3回」で考えた場合では年間36本。100本を超えるヘビー観劇者はもちろん、50本を超える観劇者も想定から外れています。36本というのは、私の場合では、1月~2月の観劇回数にしかなりません。
とここであえて記載するのは、観劇をしていると、これまでに観た作品と同じテーマでそれよりも伝わらない描き方なのに語る主宰さんがいて、観客は観客なりに眼が肥えているよと思うことがあります。
数多く観る客がその団体を観に来たというのは、それなりに期待しているからです。
なので、観劇数を把握するのであれば、もう少し選択肢を考えないと実態がみえてこないと思います。
聞くとしても「昨年は何本程度みましたか(自由記入)」ぐらいで良いでしょう。

 ■2 平日は何曜日にみますか

土日以外の平日に公演する時の参考になりそうな質問ですが、もしこのデータが欲しければ目的にあった細かい質問をした方がいいかと思います。
例えば、「お仕事がお休みの日は何曜日ですか」「月曜日に上演したら観にきますか」 などです。

■3 よくみる劇団・WEB・番組の情報

客層がどのような界隈の団体が好みなのか、どんなことに関心があるのかなどがわかります。
広報としては、チラシの折込先や宣伝先などの検討材料にはなるとは思いますが、作品内容に影響させるべきものではないでしょう。
小劇場演劇では作演家が描きたいものを上演し、それを観たいし、それが受け入れられなければ戯曲家としてのあり方を考えればよく、客に寄せて置きにいく必要もないでしょう。

■4 観劇WEBをみますか

観劇者の実態調査ならともかく、団体のアンケートとしてデータが役立つのか不明です。

■5 余暇はどのように過ごしますか          

いまひとつ何に使いたい質問かわかりませんが、「観劇」と記入する人数を把握することで、演劇がどのくらい生活の一部なのかはわかるかもしれません。

■6 今回の作品は何回見る予定ですか 

これは同一作品のリピーターがいることを前提にした面白い質問で「この人、また観にきてくれたのか」はわかります。

 

質問その9 個人情報(観劇者の属性)に係る質問と、個人情報保護に関する文言

■1 公演案内の希望  68団体
■2 観劇者の属性(プロフィール) 36団体
■3 メルマガの希望  4団体
■4 WSの案内希望  1団体
■5 個人情報管理に関する記述 48団体

■1 公演案内の希望

●質問の仕方
3つのパターンに分類されます。

(1)希望の有無を選ばせる 32団体
<実例>
・個人情報欄の冒頭に「次回以降の公演情報を 希望する 希望しない」
・個人情報欄の中に「DM希望  する ・ しない 」
・欄の最後に「今後のイベントのお知らせをメールでお送りしてもよろしいでしょうか YES・NO」

など、「はい・いいえ」を選択させます。

このうち、希望の有無とあわせて「すでに届いている」を入れている団体が15団体。

<実例> 
「今後、公演の案内を希望しますか? □希望する □すでに届いている □希望しない」

さらに「すでに届いている」選択肢に加え、「初めて記入する」「以前書いた」「以前書いたが届いていない」「DMを解除したい」「住所変更」の選択肢を設ける団体もあります。
重複入力を防ぎたいなど団体が顧客データの管理に苦労されている感じが伝わります。一方、観劇者としては「DMの解除」は必要かもしれません。
この質問の仕方は、DMの送付するしないにかかわらず、個人情報を収集することになります。なかには「希望されない方は、よろしければお名前のご記入をお願いします」と添える団体があります。
また住所やメールアドレス以外にも年齢・職業・性別などを記入させる団体があり、必要な情報なのか疑問に思います。

(2)希望する人のみに書かせる 25団体
<実例>
・公演の案内を希望されますか? ご希望の方はお手数ですが、下記への記入をお願いします
・次回の公演などのお知らせをお送りさせていただきます。よろしければお名前等ご記入ください。

 希望する場合のみ、個人情報を記入させます。必要最小限の個人情報を収集する観点から好感が持てます。

(3)書いたら強制的に案内する 9団体

これは記入欄の下に、「公演のご案内等をお送りさせていただく場合がございます。ご了承ください。」「いただいた情報は公演情報・活動情報のご案内以外には一切使用しません」などサラッと書いている場合です。

 個人情報管理の徹底が求められる現在では、希望の有無など本人の意思確認は必要なのではないでしょうか。また家族に見られたくないなど、メールはいいが郵便は望まない人がいるかとも思うので、メールなのか郵送(ハガキ・フライヤー送付)なのかを明確にしたうえで、住所かメールアドレスの必要な情報を収集すべきです。

■2 プロフィール(属性)を書かせる

DMの案内をしない、あるいはDMの案内を希望する場合は氏名や住所・メールアドレスを記入させ、これとは別に、性別や年齢などのプロフィールの記入を求める団体が36団体ありました。

●質問の仕方
<実例>
・差支えなければ、プロフィールをご記入ください
・差し支えなければ、下記事項にご記入ください
・よろしければ答えられる範囲で以下の項目にお答えください
・(なにも説明なく記入欄だけある)

●記入内容
・氏名 25団体
・性別 24団体
・年齢 18団体
・年代 11団体
・住所 6団体
・住んでいる地域 5団体
・メールアドレス 8団体 
・電話番号  1団体
・誰ときましたか  1団体
・何人できましたか 1団体
・演劇経験 1団体
・劇場までの時間 1団体

このうち、特徴的なのは年齢と住所は質問の仕方です。
年齢では、
・年齢を記入 18団体
・世代を選択(10代・20代・30代・40代・それ以上) 11団体
住所では
・住所を記入 6団体
・地域を選択 5団体
  関東や東京・埼玉など都道府県の地域を選びます。

細かく年齢や住所を記載させる必要はないので、情報が欲しければ世代や地域で十分とおもいます。
プロフィールは顧客情報管理が目的でしょうが、DMの案内以外に何故細かく管理する必要があるのか、どこまでが必要な情報なのか曖昧なままのような気がします。

■3 メルマガの希望
■4 WSの希望

メルマガを発信する団体であれば必要な質問で4団体が採用。
WSの案内について希望をとる団体は、観劇にきた役者さんとの繋がりを探している事情がうかがえます。

■5 個人情報保護に関する記述

個人情報を収集・管理するにあたっては、個人情報の管理に厳格さが求められます。
個人情報の取り扱いに関する文言を記載していた団体は48団体。まだまだ重要性が浸透していないといえます。

●記載内容
<実例>
・お預かりしました個人情報は適切に管理し、○○以外の第3者へ提供することはありません
・本アンケートでご記入いただいた個人情報は本アンケートに関わる目的にのみ使用し、他の目的には使用いたしません
・ご記入いただいた個人情報は公演のご案内をお送りする以外には使用いたしません

など。
企業であれば個人情報の管理規程を設けるのが当たり前ですが、団体がどのように住所や氏名を管理しているか、どこまでがみることができるのかなどは知りようがないので正直怖いところがあります。 
例えば「ご記入いただいた個人情報は公演のご案内をお送りする以外には使用いたしません」とありますが、住所が書かれたままアンケートの感想を主催者以外が読みまわしただけで、この一文に抵触します。
現状では少なくとも個人情報に関する記述をしていれば、その慎重さを理解していると考えるしかありません。

●団体が必要とする最低限の情報しか収集しないのが基本
考え方としては、職業や学校名は必要なのか、年齢を聞く必要があるのか、聞くとしたら具体的な年齢までいるのか、E-MAILしか送らないのに住所はいるのかなど、一つひとつの情報を収集する理由を精査する必要があるといえます。
その結果、記入項目も精査され、記入の負担軽減にもつながります。

次回は、いよいよ、こんなアンケートならどうだろうと試作してみたことを綴ります

アンケートの考察 書きたくなるアンケートとは (連載その5)
⇒ こちら

 


アンケートの考察 100団体のアンケートからみる質問内容 (連載その3)

2020年03月16日 | 小劇場演劇の考察

連載3回目は、アンケートの核心ともいえる感想・評価に関連した質問の分析です。

質問その3 感想(要望や意見)・評価

ほとんどの団体が感想や評価を求める質問を設けています。感想は自由記述、評価は選択肢で回答するアンケートがほとんどです。
また作品全体だけでなく、照明や音響など個々について求めるものや、印象に残ったシーンや役、出演者へのメッセージなどに関する質問があります。

■ 感想・評価1 感想を自由記述で書かせる
「ご感想・ご意見をご自由に記入してください」など自由記述で回答を求める団体は94団体。
「裏面もお使いください」まで記載するほど、団体や出演者が一番知りたい内容といえるでしょう。

 さて、自分は字を早く書くのが苦手なうえ、「自由に」と言われると何を書いていいのか直ぐに浮かびません。もちろん「面白かった」「良かった」と薄いことはかけますが、「何が」そう思ったかを自分の言葉として整理して伝えるほど振り返れるスピードを持ち合わせていません。「惜しい」「残念」「面白くなかった」ならなおさらで、それこそ「何が」と伝えてあげたいが、書ける余裕がありません。アンケートを書く気がおきない理由の一つには、そういうことがある気がします。
そこで感想・評価2にあるように選択肢による評価を採用する団体があります。

感想を匿名で公開していいか 

自分の感想がSNSなどで流れることは、団体にアンケートが伝わっていることがわかるし、演劇との距離が縮まる感じがします。2団体が採用。感想に対して団体がコメントを入れると記入した人との距離が更に縮まるはずです。
また公開は公式ブログなどだけでなく、例えば出演者による動画配信なども考えられます。
いずれにしても団体には相当の負担のかかる作業でしょうが、コメントを貰った人がリピーターになる可能性もあり、集客につながる一つの手法かもしれません。

■ 感想・評価2 作品の評価を選択肢にする。

●選択肢がポイント

「この作品の満足度は」「本日の公演はいかがでしたか」などの質問に対し、回答を自由記述ではなく、選択肢による評価で求めるのが特徴です。
具体的には
・とても面白かった、まあまあ面白かった、つまらなかった 
・最高、良い、やや不満、とても不満
・期待以上、期待どおり、普通、微妙、不満、最低、なにも感じない

などの選択肢を用意し、3段階~7段階で評価を求めています。

そのほか、
・面白い ←------------→ つまらない にして適当なところに○をつけさせる団体もあります。

感想の表現の仕方が、単に「面白い」「つまらない」だけでなく、「期待」「最高」「微妙」「感じない」など多岐にわたるのが注目で、「何も感じない」にはなるほどと思いました。

■ 感想・評価3 舞台や照明、音響など個別に評価を求める

作品全体の評価ではなく、舞台美術や照明、音響など個々に評価を求めるアンケートが11団体ありました。

●評価を求める項目

評価を求める項目は、舞台美術・音響・照明に絞った団体がある一方で、演出・脚本、衣装小道具、舞台美術・音響・照明、チラシ・パンフ、演技役者、衣装、ホスピタリティ など幅広くたずねる団体もあり、中には、会場の立地やチケットの価格、会場の空調まであげる団体も。
このほか、カフェ公演・バー公演では「朝食・ドリンク」、「店内の居心地」に絞ってたずねる団体があります。

観劇をしていると作品の内容や役者にばかりに目が向き、舞台セットや音響・照明にまで届かないこともあるので、こういう質問があると、観劇の視点を広げる一助になります。

●評価の方式

その1 満足度を5段階~7段階で数値化する 4団体

その2 良い・悪い 1団体
<実例>
良かったものに○、悪かったものに×を教えてください、
脚本( )、演出( )、役者(  )、衣装( )・・・

とシンプルに○×の2者択一にさせます。
「普通」がないところが面白く、作品の感想には良いか悪いかのどちらかしかないという団体の姿勢を感じます。しかし、「響かない」「感じない」という感想もありそうです。

 その3 選択肢の中から良かったものに○をつける 5団体

<実例>
・当公演で気に入ったところを教えてください
・以下の中から良かったと思う項目に○をおつけください
・今回の公演で一番良かったところはどこですか?
・今回の公演で良かったと思うセクションと、その理由をお答えください

という質問で、選択肢に

 脚本、演出、役者(    )、舞台、小道具、照明、音響、衣装、宣伝美術、制作、WEB、チラシ などがあり、該当する項目に○をつけます。

評価としては大まかですが、限られた時間で記入させるには有効です。 

■ 感想・評価4 次の公演を観たいか            

3団体が採用し、
<実例>
・次回も観たいと思いますか
・次回公演をやってもいいと思いますか
・今回のような公演の2回目があったら観たいですか

と率直にきいています。

わかりやすい質問ですが、「観たくない」回答があるからといって、次の公演をしないわけではないでしょうし、氏名を記入する方は正直に選ばないことも考えられるので、正確な数字が得られるかも疑問です。

■ 感想・評価5 観劇料金の価格設定はどうですか         

<実例>
この公演の価格設定は高いと思いますか?安いと思いますか。

と質問する団体が1団体ありました。
作品に自信がないようにもみえますし、「安い」回答が多ければ値段を上げるのかという思惑もみえます。しかし「高い」回答が多ければ値段を下げるのかというとそうでもないと思います。
観劇の値段は、個々の作品の劇場費、出演者の拘束時間、舞台美術の製作費などを加味して団体が判断して設定するべきものです。そして設定した値段を「払って良かったと満足されるような作品」づくりに励んでほしいと思います。
なので、評価を引き出す質問にスペースを割いたほうがいい気がします。

■ 感想・評価6 印象に残ったセリフ・シーン

●質問の仕方
<実例>
・印象に残ったシーン
・本公演の中で一番印象に残ったシーンはどこですか?
・印象に残った出演者、シーンがありましたら記入ください
・劇中、印章に残ったセリフ、俳優などをお書きください
・今回の作品のご感想、印象に残ったシーン、役者などありましたらお書きください
・お好みのコントはございましたか
・好きなシーン、キャスト、演出などがありましたらご自由に記入ください。
・印象に残ったキャラクター、エピソードがありましたら教えてください。
・あなたのお気に入りシーンは?
・どのシーンが一番面白かったですか

などです。

自由記述方式で感想と一緒に聞く団体と、感想とわけて質問する団体があります。
記入する内容が指示され書きやすいうえ、作品を振り返れる質問ですが、短い時間の中で、印象に残ったシーンを記入し、更に感想も記入することは相当負担です。
なので、回答を選択肢にする負担が少ない回答方法を工夫したいところです。

■ 感想・評価7 印象に残った役・役者

●質問の仕方
<実例>
・本公演を観て印象に残った役者はいましたか?
・印象に残った役(もしくは俳優)はございますか?
・今回の作品のご感想、印象に残ったシーン、役者などありましたらお書きください
・印象に残ったキャスト
・印象に残った役者(役名)がおりましたらお書きください。理由なども添えて頂けると幸いです。
・好きなキャラクターがいた方は○をつけてください

で、印象に残ったシーンと同様で、自由記述で感想と一緒に質問する団体と、感想とは別に質問する団体があります。
ほとんどの団体が自由記述のなか、2団体が役名と役者名を列挙して○をつける方法を採用しています。
自由記述ですと、お目当ての出演者の名前のみを挙げやすいので、選択肢から選ぶことを通じてお目当ての役者以外の出演者の名前に目を向けさせるいい方法だと思います。

■ 感想・評価8 作品の内容から連想させる質問(自由記述)    
<実例>
・どの役と姉妹になりですか(三人姉妹)
・あったらいい超能力をあげてください
・あなたはどの登場人物に似ていますか

など作品の登場人物やテーマなどに関連づけて質問しています。6団体が採用。
この手の質問は、考えることで作品との距離を縮められるのですが、終演後の限られた時間で、ここまで考えるのは正直厳しいです。

■ 感想・評価9 出演者へのメッセージ
<実例>
・今回の感想・ご意見・出演者へのメッセージなどをお書きください。
・ご意見、ご感想、メッセージなどご自由にお書きください。
・ご感想、出演者へのメッセージがございましたら、お書きください。
・役者・スタッフにメッセージがありましたらご記入ください。

など。
これも自由記述の感想とあわせてきく団体がほとんどで、独立した質問項目にしているのは1団体。
出演者に感想などを伝える機会に終演後の面会があります。しかし、伝えたい役者さんと面識がない方は話しかけにくいでしょうし、こういう質問があると伝えやすい感じがします。
なので、感想とわけて質問した方が書きやすいと思います。
また匿名で伝えるよりも誰のメッセージか記入者の名前がわかる方が、出演者さんが観客を覚えることや、次の予約に繋げるきっかけになると思います。ただ、こうした出演者個人にあてたメッセージは、その役者だけが読むのか、その役者も含めた出演者全員で回し読みするのか。団体の扱いに興味があります。

次回でいよいよ質問の分析は最後です。その4に続きます。

アンケートの考察 100団体のアンケートからみる質問内容 (連載その4) へ
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アンケートの考察 100団体のアンケートからみる質問内容 (連載その2)

2020年03月16日 | 小劇場演劇の考察

2 質問内容別の考察
連載2回目は、質問ごとにみていきます。

質問その1 観劇日時

●質問の仕方
<実例>
・ご観劇の日時
・ご来場日
・ご観劇回
・ご来場いただいた公演日はいつですか
・どの回の公演をご観劇いただきましたか?
・記入欄しかない

と、①シンプル、②丁寧、③記入欄しかない の3つに分けられます。
質問を読むのにも時間をとるので、この内容であれば、なるべくシンプルに伝えたいところです。

●記入方法
観劇日時を質問した83団体について記入方法を調べました。

1 記入済みの日付と昼夜(または開演時間)から選択する 29団体
<実例> 
・2月 11日夜、12日夜、13日昼、13日夜、14日昼、14日夜、15日昼、15日夜
・1月29日19:30/1月30日19:30/1月31日19:30/2月1日14:00
・□8/24土15時 □8/24土19時 □8/25土15時 □8/25土19時
・2月 11S、12S、13M、13S、14M、14S、15M、15S

記入する負担が最も少ない方法です。
しかし、公演日数が多いと、小さいポイントの字が並ぶ中から、該当する日時を探すことが面倒に思うときも。
また団体側からは、質問内容のわりにはスペースを割くし、公演ごとにデータを打ちかえる手間がかかります。

2 記入済み日付を選択し、その後昼か夜(または開演時間)を選択する 8団体
<実例> 
・9月11日/12日/13日/14日/15日 : 昼 ・ 夜

記入する負担に配慮しつつ、スペースをとらないバランス型ですが、採用は8団体。
観劇回を 「11日」の「マチ」と区切る観劇者には合うかもしれません。

3 全て自分で記入する 25団体
<実例>
・  月   日  (    )時の回
・12月   日  (    )公演

記入の負担は大きいですが、たいして書く量があるわけではないので、これを面倒に思うかです。
スペースをとらず、公演ごとにデータを打ちかえる手間がほとんどかからないのがメリットですかね。

4 日付は自分で記入し、昼夜は選択する 21団体
<実例>
・  月  日  ( 昼 ・ 夜 )
・ 6月  日  (14時 ・ 19時)

団体側へのメリットを生かしつつ、記入の負担を少しでも減らしたバランス型といえるでしょう。
観劇日の記入方法は、観客と団体のどちらの負担軽減を優先するか、観客にとって、日付を探すことと記述することではどちらが負担になるかを考えるのが、ポイントといえるでしょうか。

●観劇日時の欄を用紙のどこに設けるか

1 冒頭で質問する 42団体
 半数以上の団体が、表題のすぐ下で記入させるか、質問項目の一つとして冒頭に記入させています。

2 用紙の上端に記入箇所を設ける 35団体 
 アンケート用紙の右上に設ける団体も少なくありません。
そのほとんどが、「 月  日(   )時」や「7月 18・19・20・21(昼・夜)」とだけ書いてあり、「観劇回」や「ご覧いただいた公演に✔をお願いします」と一言添える団体はごく少数です。
ポイントが小さいものも多く、見落とす人がいてもおかしくありません。

3 用紙の下方に記入箇所を設ける 4団体
 最後に記入させる「公演案内の希望の有無」のすぐ上か、用紙の右下に設ける団体が4団体ありました。
 記入する側にとっては見落としやすいし、日付ごとに分けるには整理しにくいのではないでしょうか。

●記入を求めない・日付があらかじめ記入されている

日時の記入を求めない団体は17団体。
そのうち、あらかじめ日付を記入した用紙を配る団体が1団体ありました。これは楽です。
公演日ごとに綴れば記入させる必要はありませんし、そもそも、日付を記入させる意味がどれだけあるのでしょうか。

質問その2 公演を知った方法

8割近い団体が質問しています。

●質問の仕方
<実例>
・本公演を何でお知りになりましたか?
・本公演を知ったきっかけは?
・今回の公演を何で知りましたか?
・どこで本公演をお知りになりましたか?

「何で」又は「どこで」知ったかと、「知ったきっかけは」という聞き方に分類されます。

●選択肢
回答にどんな選択肢を設けているかをみていきましょう。
注意事項として、例えば、HPやブログ、インターネットはHPという選択肢があればここでまとめてカウントしています。雑誌・新聞、テレビ・ラジオなども同様です。
なお選択肢の横に(     )を設け、例えばフライヤー(入手先:    )と具体的に記載させる団体が多くあります。

選択肢としてあげる項目を多い順紹介します。
・その他      71団体
・出演者と関係者  66団体
  関係者      40団体
  出演者      21団体
  出演者・関係者  11団体
・チラシ(折込チラシ・フライヤー) 65団体
・HPやブログ、インターネット  63団体
・ツイッター・SNS 54団体
・友人と知人、家族  35団体
・DM        22団体
・雑誌や新聞     19団体
・こりっち      17団体
・くちこみ(評判)  14団体
・演劇サイト      8団体
・たまたま(通りかかった)4団体
・テレビやラジオ    5団体
・メルマガ       4団体
・劇場         3団体
・団体から       3団体
・カンフェティ     2団体
・ポスター       2団体
・どこかの当パンの告知 1団体
・市の広報紙      1団体
・プレイガイド     1団体
・掲示板        1団体
・招待状        1団体
・イベント       1団体
・過去公演       1団体
・テレパシー      1団体

選択肢1 出演者ないし関係者

77団体中、66団体が①出演者、②関係者(公演関係者)、③出演者・関係者のいずれかを挙げています。
このうち出演者を含めて「関係者」のみを選択肢にしている団体が一番多くて34団体ありますが、自分には「関係者」という言葉にどうも違和感を覚えます。
「関係者」は団体にとっての関係者であって、観劇者にとって終演後に挨拶をするつながりだけの役者やスタッフは「関係者」ではありません。出演者目あての観劇者が多いでしょうし、「出演者」か「出演者・スタッフ」と表示するのがわかりやすい気がします。
なお、6団体が選択肢に「出演者」と「関係者」の両方を設けています。ただ「出演者」とスタッフである「関係者」をわざわざ区別して記入させる必要があるのでしょうか。

選択肢2 チラシ
<実例>
・チラシ
・折込チラシ
・フライヤー
・折込、置きチラシ

など。

「フライヤー」の言い方が好きなのですが、語源としても、わかりやすさでもチラシ(折込チラシ)が妥当なのでしょう。
チラシは作品との出会いに欠かせないツールです。SNSでの出演者の告知は公演情報を知るきっかけになることが多いですが、それでも観劇時に折り込まれたチラシをみて、「この劇団の公演か」「このフライヤーのセンスなら面白そうかも」「原作が岸田國士か」などから予約を入れることが多々あります。
また出演者に興味を持った人が、当日パンフレットの出演情報をみてから、その公演の折込チラシをみつければ、次の観劇に繋がりやすいと思います。

選択肢3 「HP、ブログ、インターネット」「ツイッター、SNS」

団体の選択肢はバラバラです。
<実例>
・劇団ホームページ
・公式WEBサイト
・ホームページ・ブログ
・Twitter
・SNS
・ツイッター等のSNS
・劇団フェイスブック
・Web

などあり、劇団HP・劇団SNSなど明確にしているアンケートがある一方で、単に「ホームページ」「Twitter」「Web」などしか書かれていないこともあり、この選択肢は、具体的に何を指しているのかすごくわかりにくい。HPといっても劇団の公式を指すこともあれば、演劇サイトを指すこともあります。

またTwitterで出演者の告知をみて作品を知った方にとって、「出演者(関係者)」か「SNS(Twitter)」のどちらを選んでいいかわかりにくいし、くちこみ(評判)も「SNS」で知ることがほとんどです。
結局は「何の」HPなり、SNSかということが重要であり
 劇団( Twitter ・ HP ・ ブログ ・ DM )
 演劇サイト(こりっち ・ カンフェティ ・ その他)
で、あとは出演者や口コミ・評判でいい感じがします。

選択肢4 友人・知人・家族
<実例>
・友人から
・友人・知人の紹介
・知人からの紹介
・友人に誘われて
・友人にきいて
など

その団体を知っている知人と一緒に観劇に来た人をしばしば見かけますし、この項目を選択した観劇者がリピーターになれば、集客力が向上したといえます。
ただ、観劇を誘ったことのある経験からすると、その方はフライヤーなどで公演情報を既に知っているケースも多く、観に来た理由として「誘われたから」という場合があります。
なので、こういう選択肢をみると、「公演を知った方法」よりは「公演を観ることを決めた理由」という質問がいいのではないかと考えます。

選択肢5 DM メルマガ 団体から

メールやメルマガ、ハガキなどで公演を案内する団体にとっては、その効果を知りたいということでしょうか。29団体が採用。
しかし毎公演通う観劇者は当日パンフレットや折込チラシで次回公演の予定を知ることができますし、たまに観に行くなら公演自体をDMで知ったとしても、予約の決め手は出演者など別のことがほとんどです。
DMに先行予約の特典(観やすい席で観られる)があるなら、DMが予約のきっかけになることが考えられます。
DMについては「DMを受け取っているか」という質問をして、DMの送付数に対し、どれくらいの人が足を運んだかを把握する程度でいいかと思います。

選択肢6 雑誌・新聞

19団体が採用。比較的大きな劇場で公演する団体さんは選択肢に入れています。
雑誌には劇場で配布されるカンフェティや、情報誌のえんぶなどが考えられます。
新聞を挙げた団体はほとんどなく、朝日・読売など日刊紙を中心に具体的に挙げた団体は1団体のみ。
小劇場演劇を知るきっかけが新聞なのはレアなので「その他(    )」でいいでしょう。

選択肢7 こりっち(CoRich舞台芸術)、演劇サイト、カンフェティ

「こりっち」(演劇サイトの「CoRich舞台芸術」)は小劇場演劇の予約を多く扱い、サイトをみると、上演中の作品が把握できることや観劇者の感想や口コミが読めるので、作品を知るきっかけになることが想定され、17団体が選択肢にあげています。
公演チケットサイトの「カンフェティ(Confetti)」をあげているのは2団体。作品を知るというよりは、座席を指定して事前支払で予約する場合に利用します。
劇場で折込みチラシとともに配られる紙媒体の「カンフェティ」は毎月発行され、観劇の情報源として読まれる方も多いかと思います。
なので、カンフェティを選択肢にしたいのであれば「雑誌(カンフェティ)」がわかりやすい。
選択肢を「演劇サイト」としている団体は8団体。漠然と「演劇サイト」とするよりは、明確に「こりっち」としての数を押さえておいた方が回答の活用には有効でしょう。

選択肢8 くちこみ(評判)
Twitterの感想がきっかけで公演に興味をもって足を運ぶ人は自分も含めています。14団体が採用。
これも「公演を知った方法」というよりは、「公演を観ることを決めたきっかけ」という質問の選択肢としての方が合うでしょう。

選択肢9 たまたま(通りかかった)

自分は時間の都合がついたときに飛び込むことがありますし、週末の下北沢で恋人か夫婦らしい男女が飛び込みで観劇する光景をたまにみかけます。
気持ち的には、「たまたま( 仕事等の都合がついた ・ デートで ・ ショッピング帰りで ・ カレーを食べたついでに ・ 劇場入口のフライヤーが気になった ・ 暇だった ・ その他 ) 」など、劇場のある街と観劇の関連を知りたいところです。

選択肢10 テレビ・ラジオ

テレビやラジオがきっかけで作品や団体を知ることもあるようです。
この選択肢を採用した団体のほとんどが、主宰などがメディアと繋がっていそうです。しかし小劇場演劇を知る方法としてはまだまだレアな媒体でしょう。小劇場からメディアで活躍するようになった役者や作家には、もっと小劇場全体の魅力を発信してほしい。
オールナイトニッポンでパーソナリティが挙げた団体の公演を観に行った人が実際にいますので、いつか、こういう選択肢があたりまえになると嬉しいです。

選択肢11 劇場

劇場は3団体が採用していますが、劇場に置いてあるフライヤー(チラシ)で知った方は、「チラシ」を選択するかもしれません。
このほか劇場の入口や壁に張り出している「上演中の作品」「次回公演作品」が考えられますが、レアな選択肢でしょう。
その他にも 市の広報、どこかの当パンといった選択肢がありますが、協賛などのケース等に応じて選択肢として設ければいい範囲でしょう。

質問内容の分析はまだまだ続きます

アンケートの考察 100団体のアンケートからみる質問内容 (連載その3) 
⇒ こちら


アンケートの考察 100団体のアンケートからみる質問内容 (連載その1)

2020年03月16日 | 小劇場演劇の考察

今回は劇場で配布されるアンケートについて考えてみました。

はじめに

自分はアンケートをほとんど書きません。
その理由を聞かれれば「感想はSNSで呟くから」といってきました。

でも、SNSでの感想は、公演団体や出演者というよりは外の人に向けていて、「この作品や団体は面白い」「この役者さんは印象に残る演技をする」「こういうところは改善してほしい」といったことや、なにより「演劇は楽しい」を伝えたくて発信しています。
なので、自分のツイートを読んでいただいた方が、その作品を観に行く・行かないにかかわらず、リツイートして広めてほしいのが正直な思いです。
もちろんSNSの対象には公演団体や出演者も含まれるので、それらに向けた感想や要望にもなりますし、リプやいいねをいただくのは出演者・関係者さんからがほとんどです。

しかし、アンケートは公演団体に向けて発信するもので、また感想以外の質問もあり、時には自分では思い浮かばない視点から質問されることもあります。だから「感想はSNSで呟くから」はアンケートを書かない理由にはならないわけで、「なんでアンケートを書こうとしないのか」という疑問が自分に残るのです。

これまで配布されるアンケート用紙は、当日パンフレットとともに大切に保存してきました。
そこで、ここ一年間ぐらいの観劇した100団体分のアンケートを分析し、自分が「書きたくなるアンケート」はなんだろう。についてまとめてみました。
毎回、アンケートを書かれている方には「なんのこっちゃ」のことかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。

目次
連載第1回 100団体のアンケートからみる質問内容 その1 (質問項目の集計など)

連載第2回 100団体のアンケートからみる質問内容 その2 (観劇日・知った方法など)
連載第3回 100団体のアンケートからみる質問内容 その3 (感想・評価)
連載第4回 100団体のアンケートからみる質問内容 その4 (団体作品をみたことがあるか・個人情報など)
連載第5回 書きたくなるアンケートを考えた
連載第6回 まとめ

連載第1回 100団体のアンケートからみる質問内容 その1

1 どういう質問をしているのか
質問項目を集計した結果です。
・感想(要望・意見)を聞かせてください(自由記述型)  94団体
・観劇日時 83団体
・公演を知った方法 77団体
・公演案内の希望  68団体
・観劇者の属性(プロフィール) 36団体
・団体の作品をみたことがあるか 35団体
・印象に残ったセリフ・シーン  24団体
・本公演を観た決め手・理由・  21団体
・印象に残った役・役者     20団体
・作品の評価          11団体
・脚本や演出などの評価     11団体
・団体に期待する企画・イベント  9団体
・出演者へのメッセージ     8団体 
・作品の内容から連想させる質問  6団体
・観劇の頻度          5団体
・よくみる劇団・WEB・番組など 5団体
・ご意見・ご要望(感想とは別)  5団体
・メルマガの希望         4団体
・次の公演を観たいか       3団体
・次以降の公演に関する参考質問  2団体
・お気に入りの役者は誰か     2団体
・感想を匿名で公開していいか   2団体
・スタッフ募集          2団体
・自由に書いて          2団体
・団体のグッズをもっているか   1団体
・出演してほしい役者(自由記述) 1団体
・当団体を知ったきっかけ     1団体
・今回の作品は何回見る予定ですか 1団体
・またやってほしい企画・イベント 1団体
・平日は何曜日に観劇にいきますか 1団体
・チケットの購入先        1団体
・購入から観劇まで困ったこと   1団体
・観劇WEBをみますか      1団体
・観劇料金の価格設定はどうですか 1団体
・余暇はどのように過ごしますか  1団体
・WSの案内希望        1団体

ほとんどのアンケートは、
● 観劇日時
● 公演を知った方法(選択式)
● 感想(要望や意見)を自由記入
● 公演案内の希望と送付先 
の4つの質問で構成されています。

しかし詳しくみると、質問の意図は同じでも、聞き方に工夫がされていたり、回答の選択肢にパターンや差がみられたりします。また4項目以外にも、面白い・個性ある質問があります。
そこで、どんな聞き方と選択肢があるのか、質問別に整理してみました。続く!

アンケートの考察 100団体のアンケートからみる質問内容 (連載その2)  
⇒ こちら