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ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第五章「武装」

2016-10-10 21:48:51 | ポンコツクエストシリーズ
ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第五章「武装」


【キャラクター紹介】

カク

角の生えた獣の魔物。だらしがない、口が悪い、と言うダメダメな性格で、いつも愚痴ってはイムラになだめられている。
自慢の角は唯一の武器だが、とても脆く、すぐ折れる。折れると言うより、むしろ砕ける。

イムラ

カクと仲のよいスライム。比較的真面目で大人な性格なので、カク達のツッコミ役になる事が多い。
魔物の中でも最弱で、特技は自爆。(ただし相手にダメージはなし)すぐ死んですぐ生き返るので、死生観がユルユル。

ヤブキ

腕が4本あるガイコツの魔物で、武器屋の店主。
客が居てもレジカウンター内で普通にテレビを見ながら、普通に玉子かけご飯を食うなど、接客は割と適当。
「おじいさんだから」と言う理由で自分を甘やかす。



【キャスト一覧】


カク♂♀:
イムラ♂:
ヤブキ♂:



【本編】


  《武器屋でカクとイムラが武器を選んでいる》


カク 「あ~、どれにしよっかな~。やっぱ剣かな~?」

イムラ「うん、剣いいんじゃない?」

カク 「やっぱ剣カッコイイもんな~」

イムラ「うん」

カク 「これとかいいんじゃない? これ」

イムラ「あ、それ」

カク 「どうのつるぎ」

イムラ「いいじゃんそれ。初心者にもやさしいって書いてあるし」

カク 「で、200ゴールド」

イムラ「値段的にもちょうどいい」

カク 「うん、やっぱこれにするわ俺。これ使うわ」

イムラ「もうこれ買っちゃう」

カク 「うん、もうこれ買うわ」

ヤブキ「ああ、ちょっとお客さんすいませんお客さん」

カク 「え? え? はい」

イムラ「なになに」

ヤブキ「あの~こちらね~、あのお客さんにはちょっと装備出来ないと思いますけどこれ~大丈夫ですか?」

イムラ「え?」

カク 「え? なんすか急に装備、え?」

イムラ「出来ないの?」

ヤブキ「はい、ちょっと装備出来ないと思いますよ」

カク 「いや出来ますよ、大丈夫ですよ」

ヤブキ「いや~出来ない出来ない! 出来ないね~出来ないよ!」

イムラ「めっちゃ否定してくるな、おい」

ヤブキ「私も武器屋長いことやってるから分かるんですよ。出来ない出来ない出来ないね~」

カク 「いや、でも」

ヤブキ「出来ないね! お前には出来ないね! 無理だね! 出来ないね!」

カク 「なんだこのジジイ!!」

イムラ「もう全否定されてんじゃんこれ」

ヤブキ「あのね~、人それぞれ装備出来る武器ってのは、ちゃんと~これ決まってるからね」

カク 「いや、そんな分かんないでしょ。レジでそんな飯食ってるようなジジイにね」

イムラ「まあまあまあまあまあ・・・」

ヤブキ「よかったらそこで素振りしていいから」

イムラ「ほら、素振りしないと」

カク 「え? 素振り?」

ヤブキ「あの~ちょっと試してからね、買った方がいいからね」

イムラ「そうしよう」

カク 「え~?」

イムラ「一応一回試そう」

ヤブキ「うん」

カク 「やるけどさ~」

ヤブキ「うん、私ここで飯食いながら見てるから」

カク 「なんで飯を食いながら見るんだ、おいこら」

イムラ「まあまあまあまあ」

ヤブキ「たまごかけご飯をね、食いながら見てるから」

カク 「たまごかけご飯を食うな、こら!」

イムラ「まあまあまあ、おじいさんだから」

ヤブキ「そうそう、おじいさんだから」

カク 「おじいさんだからって何してもいいのか、こら!」

イムラ「まあまあ、とりあえずもう素振りしてみよ?」

カク 「もうしょーがねーな。じゃ、やるよ?」

イムラ「やろやろ」

カク 「簡単だよ、こう構えて、こうでしょ?」

  タライが頭上から落ちてきてカクの頭に直撃する

カク 「いたっ! なに!? なにこれ!?」

イムラ「うわっ!」

カク 「え、なにこれ!? タライ降ってきた!」

イムラ「タライ降ってきた!」

カク 「え、どういうこと!?」

イムラ「またツノ折れてるぞ、ほんで」

ヤブキ「あ~、やっぱり装備出来ないみたいだね、これね~」

カク 「装備出来ないとタライが降ってくんの?」

イムラ「そういうシステムなの?」

ヤブキ「あ~、やっぱりね~。ちょっとフォームがやっぱりあんまり合ってないかな~?って感じしたね~」

カク 「フォーム? いや、フォームとかじゃなくて」

ヤブキ「え?」

カク 「タライ降ってきましたよ」

ヤブキ「ちょっと分かんない」

カク 「いやおかしいだろ! 分かるだろ!」

ヤブキ「おじいさんだからかな? 分かんない」

カク 「おい、ふざけんなジジイ!」

イムラ「も、もう一回やってみれば? 試しに」

カク 「いやいやいや! いやいやいやいや!」

イムラ「偶然かもしれないしね」

カク 「どんな偶然だよ! タライ降ってくるって」

イムラ「まあまあ、とりあえずもう一回やってみよ。素振り」

カク 「え? もっかいやんの?」

イムラ「もう一回試しに」

カク 「じゃ、フォームか? フォームに気をつけてやればいいのか?」

ヤブキ「フォームは大事だからね」

イムラ「フォーム気をつけてやってみよ、じゃあ」

カク 「こう構えて・・・」

イムラ「そうそうそう、キレイ」

カク 「こうか?」

  またもタライがカクの頭に降ってくる

カク 「ダメじゃん!」

イムラ「あ~」

カク 「痛いもん!」

ヤブキ「あ~、やっぱ合ってないんだね、それね。装備出来ないね」

カク 「分かった! じゃ、違うのにしよう! じゃあ」

イムラ「そうしよう」

カク 「これにしよう、これ」

イムラ「お?」

カク 「やり!」

イムラ「やり」

カク 「てつのやり! これ、カッコイイし」

イムラ「うん、いいね」

カク 「リーチも長いし」

イムラ「うん、渋いね」

カク 「これはもうこう~、突くだけだから。こう~、ホイッつって」(やりを突いた瞬間にタライが降ってくる)

イムラ「あ~、ダメか~」

カク 「次いこう! 次はね~、え~、ゆみや!」

イムラ「お、ゆみや」

カク 「ゆみやはね~、ちょっとね、気になってたんです」

イムラ「ゆみやいっちゃう」

カク 「こう遠くから敵を狙うっていうのをね、一回やってみたかった」

イムラ「うん、遠距離攻撃ってやつね」

カク 「たぶん技術もね結構いると思うんだけど、練習をすればまあ何とか、ならないね」(『まあ何とか』のセリフの後にすぐにタライが降ってくる)

イムラ「ならないね」

カク 「ならないんだよね!」

イムラ「もう無理だからね」

カク 「あ~、何も装備出来ない!」

イムラ「おい、どうしたどうした?」

カク 「俺は何も装備出来ない!」

イムラ「どうしたおい?」

カク 「ゴミクソです僕は。ゴミクソ!」

イムラ「おい、しっかりしろ!」

カク 「ゴミクソです、どうぞよろしく!」

イムラ「おいちょっと待て、おじいさん! おじいさん!」

ヤブキ「はい、はい」

イムラ「逆にこいつが装備出来る武器は何ですか?」

ヤブキ「え~っとね~、そうだね~・・・これかな?」

  おじいさんが『あくまのオノ』を提示してくる

カク&イムラ「え?」

カク 「え?」

イムラ「え、これめっちゃ、めっちゃ強そう」

カク 「これ?」

イムラ「すげーすげー」

カク 「これめっちゃいいじゃん! ちょっと」

イムラ「すごいじゃん、これ」

カク 「え? いいのこれ? いいの?」

イムラ「ちょっと振ってみて一回」

カク 「いくよ?・・・ハイッ!」

  またもタライがカクの頭上に降ってくる

カク 「いって! なんで!?」

イムラ「おいジジイ!」

カク 「なんでなんで!? なんで!?」

イムラ「おいジジイ! どうなんてんだ、おい!?」

ヤブキ「ちょっとおじいさんだからかな? 分かんない」

カク&イムラ「ジジイ、おい!!」







終わり