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台本置き場

青春恋愛大作戦!?

2016-10-07 23:06:26 | 台本

青春恋愛大作戦!?


【キャラ紹介】

堀田コウイチ♂ :鷹ノ森学園2年。告白した女子に散々とフラれまくる高校生活を送る。
         自称最強だが、実際は最弱。なぜか正義感だけは人一倍強い。
佐藤エータロー♂:鷹ノ森学園1年。ゲームオタクだが、普段は至って普通。成績も普通。
         ゲーム仲間として、堀田に誘われた。
鈴木ショーコ♀ :鷹ノ森学園1年。入学当初はクラスの女子からイジメにあっていたが、
         今は堀田や佐藤とゲームで暇つぶしをしている。
高梨サナエ♀  :鷹ノ森学園1年。堀田が一目惚れした女の子。天然で華奢で可愛い。



【キャスト一覧】

堀田コウイチ♂:
佐藤エータロー♂:
鈴木ショーコ♀:
高梨サナエ♀:



【本編】


  放課後。空き教室でハンティングゲームをしている3人


鈴木「ちょっと、早く尻尾切ってよ先輩。その素材は尻尾の剥ぎ取りからしか出ないんだからさ」

堀田「こちとらハンマー担いで来てんだよ! 打撃武器で尻尾が切れるか!」

佐藤「ブーメランがあるでしょ。ブーメランが」

堀田「ブーメランで切れるかっ!? っていうか佐藤! お前大剣なんだから、お前が切れよ!」

佐藤「切りたいんですけど、このモンスター暴れてなかなか切れないんスよ」

鈴木「先輩。ハンマー担いで来てる割には、まだ一回もスタンが入ってないんですけど?」

堀田「ちっ、今から入れるから待ってろ!・・・フン! フン! オリャアアア!!」

佐藤「あ・・・」

鈴木「あ・・・」

堀田「倒しちゃった・・・」

鈴木「ちょっと! 尻尾切れてないじゃん! なんで尻尾切る前に倒すのよ!」

堀田「だったら太刀のお前が切らんかい!」

鈴木「先輩がスタン入れないから切れないんでしょ~!」

佐藤「まぁまぁ、二人とも。俺、次は麻痺武器持っていきますから」

鈴木「頼むわよ~。あ~、早く武器強化した~い」

堀田「あ、やべっ、電池切れそう」

鈴木「ちょっと先輩、充電しといてよ~」

堀田「すまんすまん。ま、いい機会だから、ちょっと休憩しようぜ」

佐藤「俺もノド渇いたんで、飲み物買ってきます」

堀田「佐藤、俺いつものやつ!」

鈴木「お茶よろしく~」

佐藤「はいはい、パイナップルゼリージュースとお茶っスね。後でちゃんと払ってくださいよ~」


  佐藤が教室から出て行く

SE:教室から出て行く音


堀田「ああああ!!!」

鈴木「なによ、いきなり」

堀田「思い出した」

鈴木「え?」


  佐藤が戻ってきて、鈴木と談笑し始める


堀田「ごほん。え~、みんなに今日集まってもらったのは他でもない。
   ちょっと相談したいことがあってな」

鈴木「なぁ、佐藤。グランドレギオンってどうやって作るの?」

佐藤「ああ、それは、確かアイアンソードから派生させて」

堀田「ちょっとお前ら! 人の話を聞け!」

佐藤「なんスか? 先輩」

堀田「い、いや、その、じ、実はな・・・最近、こ、こう、か、可愛いな~って
   思ってる子がいてだな~」

佐藤「・・・誰なんですか?」

堀田「そ、それは、い、一年の高梨サナエちゃんっていう子なんだけど」

鈴木「で、告白してフラれたと」

堀田「まだなんもしとらんわい!」

佐藤「じゃあ、さっさと告白してくればいいじゃないですか?」

堀田「他人事だと思ってよくもま~そうアッサリと・・・告白したいのはヤマヤマだが、
   今まで普通に告白してきて散々フラれてきたんだがしかし! 今回は作戦を考えてきた」

鈴木「作戦?」

堀田「そう! 名づけて!
   
   不良 『よおよお、お嬢ちゃん。キミカワウィ~ネ~。オレと一緒に遊ばんね~?』
   サナエ『や、やめてください! 人を呼びますよ!』
   不良 『あん? こんなところで大声出したって誰も来やしね~よ。なぁ、いいだろ~?
       オレと一緒に楽しいことしよ~ぜ~?』
   サナエ『いや、いや! 誰か、誰か助けて~!』
   堀田 『待て~い!』
   不良 『誰だテメーは!?』
   堀田 『天が呼ぶ! 地が呼ぶ! 人が呼ぶ! カワイ子ちゃんが助けてと俺を呼ぶ!
       堀田仮面参上!』
   サナエ『堀田仮面!』
   堀田 『サナエちゃんを放せ!』
   不良 『は? ウザイんだよ~! オラ~!』
   堀田 『はっ! とうっ!』
   不良 『うげっ! ぐほっ! ちっ、ちくしょ~。おぼえてろ~!』
   堀田 『ふっ、口ほどにもない。大丈夫かい? サナエちゃん』
   サナエ『ええ。ありがとう、堀田仮面!』
   堀田 『礼には及ばないよ。さあ、サナエちゃん! 俺と一緒に夕日に向かってダッシュだ!』
   サナエ『はい!』
   堀田 『あははははっ! あはははははっ!』
   サナエ『うふふふふっ! うふふふふふっ!』
   
   作戦だ!!」
   (ここまで全部堀田が一人で演じます。不良を佐藤で、サナエもそのまま演じても構いません)

SE:チーンという音

鈴木「あ、アホや・・・」

佐藤「どこからツッコんでいいやら・・・」

堀田「この作戦を完遂すれば、間違いなくサナエちゃんとラブラブになれるはずだ!」

佐藤「なんのアニメに影響されたか知りませんけど、こんなの絶対無理ですよ~!
   だいたい、不良の役は誰がやるんですか?」

堀田「そんなの決まってるじゃないか」

佐藤「え? まさか・・・」

堀田「君だよ、佐藤くん♪」

佐藤「え~!? 嫌ですよ~! なんで俺が不良役をやらないといけないんですか~!?」

堀田「あっれ~? そんなこと言っちゃっていいのかな~?
   あ、そういえば、この前貸したゲームソフト、まだ返してもらってないな~?」

佐藤「そ、それは・・・」

堀田「あ、そういえば、この前の前に貸したゲームソフトもまだ返してもらってないな~?」

佐藤「そ、それはですね・・・」

堀田「あ、そういえば、この前の前の前に貸したゲームソフトもまだ」

佐藤「あ~! もう! わかりましたよ! やればいいんでしょ、やれば。
   ただし、今回だけっスからね」

鈴木M「佐藤の奴・・・一体何本ゲームソフト借りてんのよ」

堀田「よ~し! じゃあ、本番に備えてリハーサルをしておこう!
   鈴木君、君はサナエちゃん役をやってくれたまえ」

鈴木「え? アタシ!?」

堀田「しょうがないだろ~。女子は君しかいないんだから。
   ささっ、所定の位置について~」(堀田が鈴木の背中を押す)

鈴木「ちょ、ちょっと」(背中を押されながら所定の位置につかされる)

堀田「よ~し! シーン1! テイク1! カット!」

佐藤「・・・よ、よお、お嬢ちゃん。キミカワイ~ネ~」(たどたどしく棒読みで)

堀田「カット!カット! 全然ダメ! いい? リピートアフターミー!
   キミカワウィ~ネ~! はい!」

佐藤「キミカワイ~ネ~!」

堀田「もっと元気よく! キミカワウィ~~ネ~~!! はい!」

佐藤「キミカワイ~~ネ~~!!」

堀田「その調子! キミクァワウィ~~~ネ~~~!!!」

佐藤「キミカワウィ~~ネ~~!!」

鈴木「アホらし・・・アタシ、先に帰るから。じゃ」

堀田「キミクァワワイイィィ~~~ネ~~~!!!」

佐藤「キミクァワィ~~ネ~~!!!」


  このやりとりをあと何本が続けてください


SE:ブリッジ

堀田「そして、作戦本番当日」(ナレーションっぽく)


  とある通学路。堀田と佐藤と鈴木が物陰に隠れている


佐藤「先輩、この道で待ってたら本当に高梨さんは来るんスか?」

堀田「ふっふっふっ。俺が長年かけて調べ上げた結果、サナエちゃんは帰宅時に必ずこの道を通る!
   しかも、ここは人目に触れにくく、作戦を決行するにはもってこいの場所なのだ!」

鈴木「ただの変態じゃんかよ」

堀田「ん? 何か言ったかね? 鈴木君」

鈴木「別に。っていうか、アタシ必要なくない?」

堀田「何を言うか。いざというときに女性がいるというのは心強いもんだぞ」

鈴木「そ、そうなのか?・・・」

佐藤「あ、先輩! 高梨さんが来ましたよ!」

堀田「よし、第一種戦闘配置。目標が指定座標に到達次第、作戦を実行に移せ!」

佐藤「ラジャー!」

鈴木「佐藤、アンタ楽しんでない?」


  高梨が歩いてくる


高梨「ふんふんふん♪」

佐藤「よおよお、お嬢ちゃん。キミカワウィ~ネ~。オレと一緒に遊ばんね~?」

高梨「あ、ああっ!(何かに気づいて) いいですよ! どこで遊びましょうか!」

佐藤「・・・・・・」

高梨「・・・・・?」

佐藤「ちょ、ちょっとタイムだ」

高梨「はぁ?」

佐藤M「あれ? おかしいな? 先輩の作戦だと、このあと拒否られるはずなんだけど・・・
    っていうか見ず知らずの人に声かけられたら普通断るよな・・・」

高梨「どうかされましたか?」

佐藤「い、いや、あのさ。見ず知らずの人に、いきなり声をかけられて、誘われたらどうする?」

高梨「え~と、断りますね」

佐藤「そうだよね! そうだよ、断るよな!」

高梨「は、はい・・・」

佐藤「ちょっと誘い方が真面目すぎたかな? もっとチャラくいこう、よし。ゴ、ゴホン・・・
   よおよお、お嬢ちゃん。キミクァワウィ~~ネ~~! オレと一緒に遊ばんね~?」

高梨「はい! じゃあ、どこへ行きましょうか!」

佐藤M「あっれ~???」

高梨「私、ゲームセンターとか行ったことがないんですよ。
   一人だと怖くって、でも、あなたと一緒なら大丈夫かなって」

佐藤「タイムタイムタイム!!」

高梨「?」

佐藤M「やっべ~、どうしよう~・・・うわっ!? 先輩こっちをめっちゃ見てるよ~~~!!」


  物陰から堀田と鈴木が覗いている


堀田「うぬぬぬぬぬ・・・佐藤の奴、一体な~にをしとるのだ!?
   サナエちゃんの悲鳴がないと出られないではないか!」

鈴木「なんか、すっごくあたふたしてるわね」

堀田「佐藤! はよせんか~!」


  場面戻って佐藤と高梨


佐藤「え、えっと、君はどうして俺の誘いを受けたの?」

高梨「え? だってこの前、私が電車で痴漢に遭いそうになっていたところを
   助けてくれたじゃないですか」

佐藤「ん? そ、そういえば確か1週間くらい前にそんなことをしたような・・・
   あ、ああ、あの時の」

高梨「はい、そうです! その節は本当にありがとうございました!」

佐藤「いえいえ、とんでもない。? ということは、俺のことを知っていて、
   あの時のお礼をしようと、俺の誘いを受けてくれたってこと?」

高梨「その通りです! いきなり声をかけられたときはびっくりしましたけど」

佐藤「あ~、そういうことね~」

佐藤M「ああ~! どうしよう~、どっちみちこのままだと作戦通りにいかないよ~・・・!?」


  再び物陰から堀田と鈴木


鈴木「佐藤の奴、今度はものすごく頭をかかえているわね」

堀田「ぐぬぬぬぬぬ・・・もう、我慢出来ん!」

鈴木「ちょ、ちょっと先輩!?」


  物陰から堀田が飛び出す


佐藤「先輩!?」

高梨「え?」

堀田「サナエちゃ~~~ん!!!
   ぼくちんの愛を受け取って~~~~~!!!!」(サナエに突撃する)

高梨「いやああああああああ!!!!!!」(鞄でおもいっきり殴る)

堀田「ひでぶっ!!」


SE:吹っ飛ばされる


高梨「はぁ、はぁ、はぁ・・・はっ!(我に返って) こ、怖かったですぅ~」

佐藤「そ、そうだね・・・」(ドン引きしながら)

鈴木「ありゃあ、死んだかな」(物陰から)

高梨「あ、そうだ! お名前を教えてもらっていいですか?」

佐藤「え? あ、さ、佐藤エータローだけど」

高梨「私は高梨サナエです! 佐藤くん、よろしくね!」

佐藤「こ、こちらこそ。よろしく」

高梨「さあ、佐藤くん。そろそろゲームセンターに行きましょう!」(強引に腕を組む)

佐藤「ちょ、ちょっと、高梨さん!?」

高梨「クレーンゲームもいいけど、やっぱりプリクラかしら? やだっ! 私ったら!」

佐藤「高梨さん? 高梨さん!? 高梨さ~~~ん!?」(強引に連れていかれる)


  しばらくして、近くの公園。
  ベンチで堀田が寝ていて、その隣に飲み物を飲みながら鈴木が座っている。


堀田「う、う~ん、ここは・・・」

鈴木「ゴクゴク・・・やっと気がついた? 先輩」

堀田「鈴木君。俺はどうして」

鈴木「あの子に突撃して、盛大に吹っ飛ばされて、気絶してたのよ」

堀田「そうだったのか・・・またフラれたか」

鈴木「本当にアホなんだから。ほらっ」(ジュースを投げる)

堀田「おおっ、サンキュー。(缶を開けて飲む)ゴクゴク・・・ぷっはー!
   ? それよりも気絶した俺を鈴木君がここまで運んでくれたのか?」

鈴木「あ、あったり前でしょ!?
   あんなとこに変な仮面をつけて気絶した変態の先輩を置いといたら、
   今ごろ警察に連行されるでしょ。か、感謝しなさいよね!」

堀田「お、おう。ありがとな」

鈴木「・・・・・・」

堀田「そろそろ帰るか。今日は付き合わせて悪かったな」

鈴木「120円」

堀田「え?」

鈴木「ジュース代」

堀田「金とるのかよ!」

鈴木「当たり前でしょ!」

堀田「ちゃっかりしてるよ、ほんと」(ジュース代を渡す)

鈴木「まいどあり~」

堀田「あれ? そういえば佐藤の奴は?」

鈴木「あんなやついいじゃない? ほっとけば。それよりも、明日は武器の素材集めに協力しろよ~」

堀田「へーへー。武器の最終強化まで付き合いまっせ」

鈴木「言ったな~? 明日はとことん付き合ってもらうからな~」

堀田「いやいや、レア素材集まるまでとか勘弁して!」




終わり


新約 桃姫伝説 第一話 ~旅立ち~

2016-10-07 21:33:50 | 台本
新約 桃姫伝説


第一話 ~旅立ち~


【登場人物 一覧】

吉備津モモ♀:言わずと知れた主人公。漫画とゲームが大好き。
おじいさん♂:子供の頃から週刊誌を買うのが趣味。
おばあさん♀:至って普通のおばあちゃん。
イヌ(犬飼 健 イヌカイタケル)♂:最初はイヌだけど、実は・・・。
カルラ♂♀:鬼の幹部の一人。烏天狗のような奴。しゃべり方がオカマっぽい。
百鬼(ひゃっき)♂:ぐおお! しか言いません。
鬼神王(きしんおう)♂:鬼たちの王。一番強いらしい。漫画が大好き。
さくらやまあきら♂:漫画家。「スーパー桃太郎伝説」を週刊少年ステップに連載中。
ナレーション♂♀:ナレーションです。そのままです。


【配役 ♂3♀2】


吉備津モモ♀:
おじいさん&さくらやま♂:
おばあさん&カルラ♀:
イヌ(犬飼 健)♂:
鬼神王&百鬼&ナレ♂:


【配役 ♂5♀3 or ♂4♀4】

吉備津モモ♀:
おじいさん♂:
おばあさん♀:
イヌ(犬飼 健)♂:
カルラ♂♀:
百鬼&鬼神王♂:
さくらやまあきら♂:
ナレーション♂♀:





【本編】


ナレ 「むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
    おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。
    おばあさんが川で洗濯をしていると
    川の上流から大きな桃が、どんぶらこ、どんぶらこと流れてきました」

おばあ「あんれま~! おおきな桃だっぺ~! この桃どうすっぺか~?」

ナレ 「おばあさんはとりあえず、その桃を持ち帰って、おじいさんに見せることにしました」

おじい「ただいま~」

おばあ「おじいさん! おじいさん!」

おじい「なんじゃ~? ばあさんや。そんな大声を出して」

おばあ「これを見てください!」

おじい「な、なんじゃ~!? その大きな桃は!?」

おばあ「川で洗濯をしていたら、流れてきたんだわさ!」

おじい「とにかく、こんな大きな桃は二人だけじゃ食べきれないの~。
    明日、村のみんなを呼んで一緒に食べるとしようかの」

おばあ「それが、いいね。明日になったら村のみんなに知らせてくるよ」

ナレ 「そんな話をしていると、桃が急に動き出しました」

おじい「ば、ばあさんや! 桃が!」

おばあ「あんれま~!」

ナレ 「すると、桃が自然と真っ二つに割れて、中から可愛らしい女の子の赤ちゃんが出てきました」

おじい「こりゃあ~、おったまげた~」

おばあ「中から赤ん坊が出てきよった~」

おじい「ばあさん、こりゃあ、女の子だ」

おばあ「可愛い女の子だ~」

おじい「ちょっと待て、ばあさんや。桃から赤ん坊が出てくるなんておかしな話だと思わんかね?」

おばあ「そうですね、おじいさん」

おじい「念のため、構成物質の確認とDNA検査もしておこうかの」

おばあ「そうですね、おじいさん」

ナレ 「二人はその赤ん坊から粘膜を摂取し、
    あらゆる科学と漫画の力を駆使して調べました。その結果」

おじい「間違いない。水・炭素・アンモニア・石灰・リン・塩分・硝石・硫黄・フッ素・鉄・ケイ素・
    その他少量の15の元素でなりたっておる。間違いなく人じゃ」

おばあ「DNA検査の結果も特に異常なしでしたよ」

おじい「よしよし。そうだ、せっかくだから可愛い名前をつけてやろう」

おばあ「どんな名前がいいですかね~」

ナレ 「おじいさんとおばあさんは、ネットで名前辞典を検索し、流墨愛(るぴあ)や、
    精飛愛(せぴあ)や、愛海(まいみー)などのキラキラネームをいろいろと考えましたが、
    将来のことを考えて、結局『モモ』と名づけて、二人で育てることにしました」

おじい「よ~し、モモや。大きく元気に育つんじゃぞ~」

ナレ 「モモはおじいさんとおばあさんの愛情を一身に受けて、
    よく食べ、よく寝て、よく遊び、よくネットをし、
    よくアニメを見て、よく漫画を読み、よくゲームをし、
    立派な腐女子に成長しました。そんなある日のこと・・・」

おばあ「モモや。そろそろゲームはやめて、夕飯にせんか~?」

モモ 「うん。今、セーブするから待ってて~」

おじい「ただいま~」

おばあ「あ、おかえりなさい」

モモ 「おかえり~」

おばあ「今、夕飯を準備しますから待っててくださいね~」

おじい「はぁ~、どうしたもんかの~」

モモ 「何かあったの、じいちゃん」

おじい「最近、ワシが楽しみにしてる『週刊少年ステップ』がなかなかこの村まで届かんでの~。
    なんでも、大江戸で鬼の奴らが買い占めてるとかで」

モモ 「ええ~!? じゃあ、サタデーやカンピオーネも最近発売日になっても
    なかなか届かないのは、そのせいなの~!?」

おじい「らしいのじゃ」

モモ 「私の唯一の楽しみをとるなんて・・・鬼の奴ら、絶対許せない!
    私、大江戸に行ってくる!」

ナレ 「そして翌日。出発の朝」

モモ 「じいちゃん、ばあちゃん。それじゃ、行ってくるね」

おじい「モモや、気をつけるんじゃぞ。ああ、道中は危ないから、
    ワシの愛刀の木刀を持って行きなさい。何かと役に立つじゃろう」

モモ 「ありがとう、じいちゃん」

おばあ「それから、これはきび団子だよ。
    仲間になりたそうにこちらを見ている妖怪にだけあげるんだよ」

モモ 「うん、ありがとう。ばあちゃん」

おじい「ああ、それからスマホの通信制限には気をつけるんじゃぞ~」

モモ 「わかってるって。Wi-Fiが近くに飛んでたら、それを使うから~。いってきま~す!」

おじい&おばあ「いってらっしゃ~い!」

ナレ 「こうして、モモは週刊誌を買い占める鬼をこらしめるために、
    出版社がある大江戸へと向かうのでした。一方、大江戸では」


《大江戸 鬼の住処》


カルラ「鬼神王様。ただいま、参りました」

鬼神王「カルラよ! 週刊誌の買い占めは上手くいっているのか?」

カルラ「はい、鬼神王様。現在、週刊少年ステップ・サタデー・カンピオーネは
    ほぼ買い占めております。
    今後はヤングステップやヤングリヴィスタも買い占める予定です」

鬼神王「ふむ。だが、報告によると、辺境の村の漫画家がなかなか納期に間に合わず
    出版も遅れているとか」

カルラ「はい、さくらやまあきら先生がなかなか納期までに提出をしてくれないのです」

鬼神王「納期を遅らせることは決して許してはならん。
    少しでも早めるために、さくらやまあきら先生を大江戸へ移住させるのだ」

カルラ「かしこまりました」

鬼神王「お前には百鬼を遣わそう。どんな手を使っても構わん。行け!」

カルラ「ははっ!」


《村外れ》


モモ 「大江戸まで遠いな~。そろそろ日も暮れて来たし、
    近くにネットカフェがあればいいんだけど~。ん?」

イヌ 「わんわん! わんわん!」

モモ 「わっ! どうしたんだろう? あっ! イヌの近くで誰か倒れてる! 大丈夫ですか!」

さくら「ううっ・・・君は?」

モモ 「ああっ、良かった。気がついたんですね。あ、私はモモと言います」

さくら「ありがとう、モモちゃん。助けてくれて。このまま道なりに真っ直ぐ行くと私の家がある。
    申し訳ないが、そこまで肩を貸してくれないかい?」

モモ 「ええ、もちろんいいですよ」

さくら「すまないね」

イヌ 「わおーん!」


ナレ 「モモはその男性に肩を貸し、イヌと共に家まで送ってあげました。そして、その夜」


モモ 「ええーーー!!?? あなたがあの有名な『スーパー桃太郎伝説』の作者の
    さくらやまあきら先生なんですか!?」

さくら「うん、まあね」

モモ 「私! さくらやま先生のファンなんです~! あ、あとでサインいただけますか!?」

さくら「もちろん構わないよ」

モモ 「やったー! あ、それにしても、どうしてあんな道端で倒れていたんですか?」

さくら「うん、いつもインスピレーションを沸かすために、この辺りを散歩しているんだけど。
    今日は急に気分が悪くなってね、倒れてしまったようだ」

モモ 「漫画家さんもいろいろと大変ですもんね~」

さくら「そうだね。でも、最近やたらと締め切りが厳しくなってね。
    今までの担当者はギリギリまで待っててくれてたんだけど。
    担当者が代わってから、締め切り日は早められるし、
    あげくの果てには大江戸まで移住しろとまで言ってきたんだ」

モモ 「そんな! 酷い!」

さくら「僕もここの土地が好きだから離れたくないんだけど。それももう限界かな」

モモ 「それも絶対鬼達のせいだ! 許せない!」

カルラ「だ~れが許せないって~?」

さくら「お前はカルラ!」

カルラ「さくらやま先生。締め切りはもうとっくに過ぎてるんですけどね~?」

さくら「それはお前達が勝ってに早めた納期だろう! 本来ならまだ一週間あるはずだ!」

カルラ「変わってしまったものは仕方ありません。それが出来ないなら、
    無理やりにでも大江戸へ移住してもらうしかありませんな~。それ!」(妖術をかける)

さくら「くっ、しまった」(見えない糸で縛られる)

モモ 「ちょっと先生に何すんのよ!
    さっきから聞いてれば、むちゃくちゃなこと言って先生を困らせて、何様のつもり!」

カルラ「なんだこの小娘は?」

さくら「モモちゃん!?」

モモ 「出て行きなさい! 先生の仕事の邪魔をしないで!」(木刀を構える)

カルラ「うるさい小娘だね。百鬼!」

百鬼 「ぐおおおおお!!」

モモ 「何!? この鬼!?」

百鬼 「ぐおおっ!!」(大きな棍棒でモモを吹っ飛ばす)

モモ 「きゃあああ!!」

さくら「モモちゃん!!」

モモ 「いたたた、よくもやったな~」

イヌ 「わんわん!」

モモ 「あ、わんちゃん。うわ~、すっごく仲間になりたそうにこっちを見つめてる~。
    本当は仲間にする妖怪にあげるものなんだけど。
    ま、いっか。はい、きび団子。これあげるから離れてるんだよ」

カルラ「おや~? まだ生きていましたか~。しぶとい小娘ですね~。
    百鬼! 止めを刺しておしまい!」

百鬼 「うおおっ!!」

モモ 「やばっ! やられる!」

イヌ 「わおーん!」(百鬼の腕に噛み付く)

モモ 「わんちゃん!?」

カルラ「邪魔をするな! イヌっころ! 百鬼! 早くこのイヌっころも殺してしまえ!」

百鬼 「ぐおっ! ぐおっ! ぐおおっ!」(腕を振り回して無理やりイヌを引き剥がす)

イヌ 「く~ん」(地面に叩きつけられる)

モモ 「わんちゃん!」

カルラ「止めだ! やれ、百鬼!」

モモ 「わんちゃんをいじめるなーーー!!!」

カルラ「うわっ! 眩しい!」

モモ 「え? 木刀が光ってる・・・!? わんちゃんも光ってる!?」

イヌ 「ようやく本来の力を発揮出来るようですね」

モモ 「イ、イヌがしゃべったーーー!?」

カルラ「き、貴様! 何者だ!?」

イヌ 「私の名前は犬飼健。昔、鬼を退治した吉備津彦命(きびつひこのみこと)に仕えていた者です。
    とある理由により、イヌの中に魂と能力を封じこまれてしまっていたのですが。
    モモ様のきび団子と魂の叫びがその封印を解いてくれたようです」

モモ 「わんちゃん・・・」

イヌ 「では、本来の姿に戻るとしましょう」

モモ 「え? ええーーー!? わんちゃんが人の姿に!」

イヌ 「これが本来の私の姿なのです」

モモ 「しかも超イケメーーーン!!」

カルラ「ええい! 封印がどうとか、なんだからわからぬが。
    人の姿になったからといって、百鬼に敵う者などいない! やってしまえ!」

百鬼 「ぐおおおおおお!!!!」

イヌ 「ふっ。残念ですが、あなたでは私に勝てない。くらいなさい! 
    犬爪十字斬(けんそうじゅうじざん)!」

百鬼 「ぐぐぐっ・・・ぐおおぉぉぉ・・・」(倒れる)

カルラ「ひ、百鬼が、い、一撃で・・・くそ! おぼえてろ~!」(飛び去る)

モモ 「二度と来るな~!」

さくら「モモちゃん!」(家から飛び出てくる)

モモ 「あ! 先生! 大丈夫でしたか!?」

さくら「カルラがいなくなったことで妖術が解けたようです。
    それよりも、モモちゃんこそ、私のために酷いケガを」

モモ 「大丈夫ですよ、先生。こんなのかすり傷ですから。すぐに治りますって」

さくら「しかし・・・」

イヌ 「私が治しましょう。彼の者を癒したまえ」
 
モモ 「す、すごい! 傷口がどんどん塞がっていく!」

イヌ 「本来の姿に戻れば、ある程度の妖術も使えるのです」

モモ 「ありがとう! わんちゃん!」

イヌ 「・・・モモ様、その、わんちゃんというのはなんとかなりませんか?」

モモ 「あ、そうだよね~。なんて呼べばいい?」

イヌ 「犬飼健ですので、せめてタケルと呼んでいただけますか?」

モモ 「わかった! タケル、ありがとね!」

イヌ 「とんでもございません」

モモ 「あ、そうだ。そもそもタケルは先生が飼ってたんだよね? どうしよう?」

さくら「いえ、イヌの姿だったタケルさんは一週間くらい前から私の家に住み着いただけですので。
    私が昔から飼っていたわけではありません」

モモ 「そうなんだ」

さくら「おそらく、モモちゃんとの出会いを待っていたんでしょう」

モモ 「うん」

イヌ 「モモ様、私もそろそろこの姿を保てなくなってしまったようです」

モモ 「え!? イヌの姿に戻っちゃうの?」

イヌ 「ええ。この姿だと大きく妖力を使ってしまうので。今後の戦いに備えてイヌの姿に戻ります」

モモ 「ええーー、ざんねーーん。イケメンと一緒に旅が出来ると思ったのに~」

イヌ 「ご安心ください。イヌの姿に戻っても会話は出来ますので」

モモ 「イヌと会話してたら変な人と思われちゃうじゃん!
    あ~ん、もう! イケメンの彼氏が欲しいよ~~~!!!」



ナレ 「こうして、タケルと共にカルラと百鬼を撃退したモモは、さくらやま先生に別れを告げ、
    大江戸へと向かうのであった。モモ達の旅はまだ始まったばかり。
    この後、幾多の試練が待ち受けていることをこの時のモモ達には知る由もなかったって
    言ってみたかったのよね~!!」


第一話 完