On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

「サウスバウンド」奥田 英朗 著

2007年09月13日 | 読書
楽しい小説を読み終えた。まもなく映画も公開される。

「サウスバウンド」奥田 英朗 著

この作者は直木賞を取ってるんで名前は知ってるけれども初読みである。このサウスバウンドは文庫で今月(先月か)出たばっかりだったが結構聞いたことがあったので手に取った。大変楽しい小説である。また楽しいだけでないことも確かだ。
前半は東京、後半は西表島で展開される家族の物語。子供は3人。主人公は小学校6年生だが身体は大きく運動は得意。なにより胸の内を灰色に染めてしまうのは父親の存在だ。もう働かない、訳の分からない過激な言動、どうやらもと過激派の伝説的人物であるとわかってくる。子供心に大人の、それも普通ならあり得ないような世界に引きずりこまれつつ小学生生活も波瀾万丈となっていく。
後半はがらっと変わって父親は子供にとってヒーローになっていく。東京で極端であると感じたことがそうではないと感じていく。大人が逃げてばっかり、事なかれで済まそうとしていることに気づいていくのだところどころに八重山諸島の伝説が出てくる。支配されることに抵抗した伝説のお話が。読み終わった後、この物語が果たして荒唐無稽と言えるのかじっくり考えたくなるいいお話でもある。

上下巻一気に読んでしまえるお勧め作品である。

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小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても「変わってる」と言う。父が会社員だったことはない。物心ついたときからたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、ほかの家はそうではないらしいことを知った。父はどうやら国が嫌いらしい。むかし、過激派とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などないとかよく言っている。家族でどこかの南の島に移住する計画を立てているようなのだが…。型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、長編大傑作。
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