長文だが興味深い「新種牡馬」の事なので拝借して来た
まだ初期の事なので、現段階で先の事を決められるわけが無いが、フジキセキ産駒のイスラボニータは期待が高そうだな
自分はD産駒で未完のまま引退→種牡馬になったシルバーステートが面白い存在かなと思うんだが、あのキタサンブラックでさえ先の見通しは決して甘くなさそうな事も書いてあるので、それぞれの種牡馬がどこまで生き延びられるか気になるところだな
繁用先や種付け料とか、要素はいくつもあるが生産者がどの種牡馬をどういう理由で選ぶかも重要な要素だから、ある意味では「人気優先」みたいな世界だろうなと思っている
ダービー馬だが尻すぼみの成績に終わったワンアンドオンリーなんかはアグネスフライト同様、先は暗いと思わざるを得ない
逆の意味でシルバーステートがステゴタイプになってくれないかなーなんて思っておりまする
JRA「完全飽和」ディープインパクト後継VS「背水の陣」キタサンブラック!? 今年の新種牡馬の評価と意外な期待値を公開!
文=仙谷コウタ
【この記事のキーワード】キタサンブラック, ディープインパクト産駒, 新種牡馬
来年の日本ダービー候補と前評判が高かったコマンドライン(父ディープインパクト・生産ノーザンファーム)が快勝するなど、先週から始まった新馬戦は大きな注目を集めた。
残り2世代とあったディープインパクト産駒に話題が集まるのは当然だが、やはりこの時期は新種牡馬の走りに期待したいところ。昨年はドゥラメンテ(タイトルホルダー、キングストンボーイ)、モーリス(ルークズネスト、シゲルピンクルビー、ピクシーナイト)、ミッキーアイル(メイケイエール、デュアリスト)、リオンディーズ(リプレーザ、ピンクカメハメハ)といった新種牡馬がクラシックを盛り上げたが、今年はどんな新種牡馬の子どもが活躍するのか。
今年の新種牡馬のまとめ、そして期待値を算出してみた。
■輸入馬(父)
ドレフォン(Gio Ponti)
ザファクター(War Front)
アメリカンペイトリオット(War Front)
ドレフォンはブリーダーズカップスプリント(G1)などG1レース4勝。実績的にはダートの短距離向きで、日本の芝でどこまでやれるか未知数だが、当然ダートの短距離なら無双するかも。エスポワールシチー(フェブラリーS)、アルフレード(朝日杯FS)、ダノンバラード(AJCC)を兄に持つ産駒や、ユキチャン産駒の白毛馬など注目馬は多数。
ザファクターの父War Frontは現役時代にG2を1勝しただけだが、種牡馬になって多くの活躍馬を輩出。その1頭であるザファクターはアメリカでG1を2勝し、2013年から種牡馬入り。これまで10頭以上の産駒が日本に輸入され、結果を出したことから1年限定のリース共用種牡馬となった。厳密に言えば、すでに産駒が国内で走っているので新種牡馬とは言い難いが、日本産馬としてはこの世代が初年度となる。先日地方の大井競馬で行われた東京ダービーを制したアランバローズの妹に注目が集まる。
アメリカンペイトリオットもWar Front産駒で、引退後すぐに来日。初年度産駒のブレスレスリーがいきなり先週中京でデビュー勝ちを収めた。ダーレー・ジャパンで共用されており、ファッショニスタ(JBCレディスクラシック)の弟など、ダーレー所有の繁殖牝馬産駒が多い。
■ディープインパクト産駒
シルバーステート
サトノアラジン
ディーマジェスティ
ヴァンキッシュラン
トーセンレーヴ
ヒラボクディープ
ヒストリカル
まだまだ増え続けるディープインパクト産駒の新種牡馬は、今年7頭がデビュー。注目度1位は191頭に種付けしたシルバーステートか。現役時はG1未勝利も未完の大器と呼ばれた逸材。産駒はどんな走りを見せてくれるか。良血カルディーンの2019、ローエキスキーズの2019などに注目が集まる。
サトノアラジンは118頭に種付けでディープインパクト産駒では2番目の人気。兄がロジユニヴァースの牝馬に期待。ディーマジェスティは78頭に種付けしたが、ヴァンキッシュラン以下は種付け頭数が20頭に満たず幸先苦しい状況。少ない産駒で活躍馬が出るかどうか。ディープインパクトの後継種牡馬は飽和状態に突入しそうなだけに、今後も繁殖集めは厳しいだろう。
■父が外国産馬
ラニ(Tapit)
マスクゾロ(Roman Ruler)
ルックスザットキル(Wildcat Heir)
ラニは父がアメリカの名種牡馬Tapitで、母が牝馬ながら天皇賞・秋(G1)を制したヘヴンリーロマンス。自身はアメリカ三冠のベルモントステークス(G1)で3着という成績がある。現役時代から気性の荒さが指摘されており、産駒にどう継承されるか。また母の産駒や父Tapitから圧倒的にダート向きだと思われ、芝のクラシック路線は厳しいかもしれない。それを見越してか、他の産駒も兄や姉がダートで活躍した馬が多い印象だ。
マスクゾロは現役時代にシリウスS(G3)を勝利するなどダートで活躍。父の父はフサイチペガサスで応援したいところだが、血統や自身の成績からはダートの中距離向き。種付け頭数13頭で現在の登録数は7頭。マスクゾロのオーナーが所有するウォークルに期待したい。
ルックスザットキルは、アメリカで12万ドルで落札され大井競馬でデビューし、通算9勝をあげた異色の外国産馬。種付け料は15万円とお得な価格だが、地方の短距離ダートであれば面白い存在。6頭と少ない産駒で結果が出せるか。
■父がG1・Jpn1優勝馬
イスラボニータ(フジキセキ)
ビッグアーサー(サクラバクシンオー)
キタサンブラック(ブラックタイド)
ロゴタイプ(ローエングリン)
ワンアンドオンリー(ハーツクライ)
ドリームバレンチノ(ロージズインメイ)
フジキセキ産駒のイスラボニータは170頭に種付けしており、新種牡馬全体で4番目の種付け頭数。2017年の阪神カップ(G2)まで息の長い活躍を見せた。長距離向きではないものの短距離から中距離まで芝ダートを問わず活躍が期待できそう。サダムパテックの弟など、イスラボニータを生産した白老ファームを中心に良血馬が多数揃っている。
サクラバクシンオー最後の大物ビッグアーサーも164頭に種付け。昨年も135頭に種付けしており人気の高さが伺える。実績で最右翼のキタサンブラックは130頭に種付け。しかし種付け3年目の昨年は92頭と100頭を割り込み、種付け料も500万円から今年は300万円まで低下。種付け頭数が多い初年度産駒が勝負。それでもクリソベリルの弟、ジェンティルドンナの弟、桜花賞馬ジュエラーの牡馬、スイープトウショウの牝馬などなかなかの顔ぶれだ。
ロゴタイプはモーリスを破った安田記念などG1レース3勝と、実績はイスラボニータやサトノアラジン、ビッグアーサーなどより上で、97頭とそれなりの種付け頭数を確保。社台スタリオンの共用で種付け料80万円。繁殖牝馬はロゴタイプを生産した社台ファームが多く、牝系が豪華なキャスケードブーケの2019が筆頭か。ワンアンドオンリーは種付け頭数20頭、ドリームバレンチノは6頭と寂しい数字で苦戦は必至か。
■その他の種牡馬
ポアゾンブラック(マイネルラヴ)
アイファーソング(ソングオブウインド)
ジュンツバサ(ステイゴールド)
エーシンシャラク(タイキシャトル)
サドンストーム(ストーミングホーム)
ゴドリー(ヘニーヒューズ)
サミットストーン(ロージズインメイ)
グレイレジェンド(トワイニング)
プレティオラス(フィガロ)
このあたりはさすがに実績不足もあり、種付け頭数は19~0頭と少ない。九州産馬が夏の小倉で何頭か活躍するかもしれないが、中央に入っては厳しいと言わざるを得ない。
■期待値
以上、今年の新種牡馬をまとめてみたが、この中から特に期待値の高い馬を独自の計算式で算出してみた。その方法は、当時の種付け料と種付け頭数の合計だ。もちろんシンジケートによる種付けもあるが、それを踏まえ、種付け頭数50頭以上の12頭の種牡馬の期待値を算出してみた。
計算式=種付け頭数×種付け料
1位 キタサンブラック 500万円(130頭)=65,000pt
2位 ドレフォン 300万円(207頭)=62,100pt
3位 ザファクター 200万円(166頭)=33,200pt
4位 イスラボニータ 150万円(170頭)=25,500pt
5位 アメリカンペイトリオット 150万円(154頭)=23,100pt
6位 シルバーステート 120万円(191頭)=22,920pt
7位 ビッグアーサー 100万円(164頭)=16,400pt
8位 コパノリッキー 80万円(194頭)=15,520pt
9位 サトノアラジン 100万円(118頭)=11,800pt
10位 ディーマジェスティ 100万円( 78頭)=7,800pt
11位 ロゴタイプ 80万円( 97頭)=7,760pt
12位 ラニ 50万円(118頭)=5,900pt
1位はキタサンブラックとなった。種付け頭数はドレフォンの方が多いが、種付け料はキタサンブラックの方が200万円高いので期待値は逆転する。
どの繁殖牝馬にどの種牡馬を種付けするかは、生産者や馬主の意向が大きく反映されるが、500万円を払ってでもキタサンブラックを選ぶか。300万円という手頃な価格でドレフォンを選ぶか、そのあたりの思惑も反映されていそうだ。面白いのは種付け頭数2位の194頭を付けたコパノリッキーと3位191頭のシルバーステート。ともに80万円と120万円という価格が種付け頭数を伸ばした要因ともいえ、結果的に期待値は8位と6位に下げている。
来年の日本ダービーまで約1年。この新種牡馬産駒がディープインパクトやロードカナロア、そしてエピファネイアなどのトップサイヤーとどんな争いを繰り広げるのか、非常に楽しみだ。(文=仙谷コウタ)