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冬桃ブログ

結界石

 友達のひーちゃんが猫の遺品を引き取りに来てくれた。
 おやつだのトイレ砂だのチグラだの、いろいろあったが
別の猫達にこれを使ってもらえたらありがたい。

 ついでだから愚痴った。

「帯状疱疹の薬を服んだら、腕の痛みも発疹も
治ると期待したのに、どっちも駄目なんだよね」
「どれ、発疹て、どんなの?」

 腕や足をめくってみせたら
「ダニじゃない、これ」
「まさか! うちの中、そんなに汚くしてないよ!」
「掃除したってダニはいるのさ。うちなんか
ダニ取りシート、あちこちに置いてるよ」

 さっそくアマゾンで注文することにして
さらに愚痴る。
「あの結界石、ぜんぜん効かないのよねえ」

 じつは私、6月に結界石なるものを買った。
 一個5000円のものを五個も。
 それだけ必要だと、パワーストーンの店で言われて。
(なんか、その筋では信者も多い店主らしいし)

 私は基本、こういうものを信じない。
 厄払いの盛り塩を毎日していると友人が言っても、
「塩がもったいないじゃない!」などと切り捨てる人間だ。
 が、この時はなぜか、大枚25000円を投資して
たまにはミラクルを信じてみよう、という気になったのだ。

「いまのあなたは、ゼロを基点とするとマイナス2の状態。
だけどこの結界石を住まいの五隅に置けば、四ヶ月後には
必ずプラス4になり、なにもかも飛躍的によくなる」
 と、その店主がきっぱりおっしゃるものだから。

 で、あれから三ヶ月になろうというのに、猫は亡くすは
体調はこんなだし……と憤る私。
 「どれ、見せてごらん、その石」
 ひーちゃんがそういうから、部屋の隅で埃をかぶっている
結界石のひとつを拾ってきた。



 中に、石のかけららしきものが数個あるようだ。

「中身、出してみようか」と、ひーちゃん。
「やめてよ!」疑ってるくせに未練がある私。

「わかった。ビニールに入れたままだから駄目なんだよ。
ほら、切り口がついてるじゃない、ビニールに」

 なるほど、そうだったか、と素直に納得し
切ろうとしたら、「待て」と、ひーちゃんが止める。

「一応、店に訊いてみてからにしよう」
「やだ。買って二ヶ月以上もたってから、ビニール袋からは
出すんでしょうか、なんてアホなこと訊けない!」
「だったら、あたしが訊いたげるよ」

 ウェブで調べた電話番号に、ひーちゃん、さっさと電話。
 いま、接客中です、と言われたにも関わらず、
「おたくで買った結界石のことなんです。値段まで
ついてるこのビニール袋から、出すんですか。それとも、
このままで置いとくんですか? あ、なるほど、
はい、ありがとうございました~!」

 明るく電話を切り、
「このままでいいんだって。しかも300年だって」
「300年って、なにが」
「石の効果が」

 この石は八百比丘尼か!(人魚の肉を食べて300年生きた尼)
 そんな先のことなんかどうでもいいから
いま、せめてこの腕の痛みをなんとかしてほしいのよ、あたしは!

 ひーちゃんは、新潟産の翡翠かもしれない漬物石を持っている。
 毎日、「おまえは翡翠だ。五百万で売れる翡翠なのだ~!」
と、言い聞かせているそうだ。

 お互い、石が幸せにしてくれるといいねえ。

 
 
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