一週間、二週間行けば二週間、帰国後は寝込む。
もちろん今回も同じ。
まったくハード・スケジュールなんかじゃなかった。
毎日、朝、10時か11時のスタート。
どこへ行くにも車で連れてってもらい、
喫茶店でゆっくり休み、夜も早々とホテルに戻る。
11時頃まで、ベッドに寝転がってテレビを観る。
おもしろそうな映画をいろいろとやってたが、
言葉がわからないので、どっきりカメラとか投稿の
おもしろビデオとかダンスコンテストなどを探して。
そしてゆっくり寝るという、楽なもの。
しかし旅に出る前から肩凝り頭痛がひどく、
旅の間は毎朝、「肩凝りほぐし」の薬を服んでいた。
それでも最後の方になると効かず、夕食も摂らずに
早々とホテルに戻る始末。
日本に戻ってからは、それに長いフライト疲れ
(ああ、長く飛行機に乗るときはお金持ちで
ありたかったとつくづく思う。エコノミーじゃなくて
ファーストクラスで行き来したい!)と時差ぼけが
加わり、肩も首も最悪!
たまらず、整形外科へ駆け込んだ。
前に一度だけ行った病院だが、ここの先生は
素朴な感じで、ちゃんと話を聞いてくれるところがいい。
レントゲンを撮るときも、いきなりレントゲン室に
入って来て、「よッ!」と掛け声を上げながら
私の左肩を押し、一緒にレントゲンに収まってくれた。
何事かと思ったが、上がってきたレントゲン写真を
見ながら説明してくれた。
「ほら、僕が押してると、肩の骨がちゃんと上がってるでしょ。
でも押してないときは、こんなにだらんと落ちてる」
要するに、いつも苦痛の出る左肩は、腕と繋がってる
筋肉が非常に衰えてるということらしい。
注射しますか、と訊かれたが、一過性のものでは
仕方ないのでそれはやめた。
「では、毎日20回、腕立て伏せをして筋肉を鍛えましょう」
と言ったものの、先生はすぐ、私の情けない表情に気づいたようだ。
「腕立て伏せ、できないですよね。
大丈夫、壁に手をついて、腕立て伏せ風の運動をやるだけでも
違ってきますから」
立ち上がって、自分でやってみせてくれた。
「それから、たすき掛けをしてるといいですよ。
腕を少しでも上げていられるように」
帰宅してから、駄目もとで腕立て伏せをやってみた。
おお! 深い屈伸こそできないが、やれないことはない、
10回くらいは。
さらに、壁に手をついて「腕立て伏せ風」を20回。
そして、たすき掛け。
生まれてこのかたやったことがないから、
ネットでやりかたを探した。
なんでもあるもんだわねえ、ネットには。
最初はややこしくくて、振り分け荷物を背負ってるみたいに
片方だけになっちゃったりした。
だけどいまじゃ、たすきの片方の端を口にきゅっと咥え、
するするっとできちゃいますぜ、いなせに。
朝から毎日たすき掛け。甲斐甲斐しいったらありゃしない。
帰国して早や一週間、いつの間にか4月になっちゃったことだし、
そろそろ社会復帰しないとねえ。
バンクーバーで見かけた赤ちゃん。
きみはそのまま成長して、二代目エド・ハリスになっとくれ。
