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ビジネスの読書メモ

気に入った名言や読書メモを書きます

組織で使える論理思考力(飯久保廣嗣)

2009-11-23 20:08:52 | 経営
○ラショナル思考の4つの切り口とポイント

Ⅰ 全般的な現象・・・どこからどのように手をつけるかが明確でない状況
 ①分析課題の限定・・・何を、どこまで考えるのか
  ・何をどこまで考えるのか、対象や範囲を決める。
  ・目的は、範囲を限定することにより、集中して思考業務を進めるため。
  ・この領域に関係のない議題や議論を排除し、結果的に思考業務の生産性を向
   上させることになる。
 ②関心事の列挙・・・気になることはすべて挙げる
  ・問題・課題、懸案事項、気になる情報などを可能な限り挙げる。
  ・先に決めた「対象や範囲」に関し、「対応しなければならない状況」を重点
   的に網羅・把握するため。
  ・列挙をする際の三つの原則「提示された問題や課題に対して評価をしない」
   「詳細な説明をしない」「結論や対策に関する討議をしない」
   →参加者全員の問題意識を共有するため、思考作業の効率のため
 ③課題設定・・・問題は課題になって行動が起こせる
  ・課題とは、問題解決のために取るべき諸行動(原因究明、意思決定、調査、
   推進、事前リスク対応)を明確に発想し記述すること
 ④優先順位の設定・・・何から手をつけるのか
  ・優先順位をつけるのは、無駄な思考や行動を避けるため


Ⅱ 過去の現象・・・トラブルや望ましくないことが発生している状況
 ①分析課題の設定・・・分析対象と現象を記述する
  ・収集する情報の範囲を限定する
 ②情報収集・・・「ある/ない分析」をする
  ・合理的な枠組みで発生している現象を説明するための情報を収集する。
  ・何か、どこで、いつ、どの程度という四つの次元で収集する。
  ・問題が起きている場合と起きていない場合とを比較する。
 ③原因の想定・・・できる限り多くの原因を想定する
  ・その現象に関する原因をヌケなくモレなく考えるため。
  ・どのような対策が最適であるかを判断するため。
 ④想定原因の検証・・・想定された原因を絞り込む
  ・「ある/ない」という一対の事実が説明できるかどうかを明確にする。
  ・説明できない想定原因は原因となりえないので排除する。
 ⑤諸対策の策定・・・問題の改善策を3つの対策から選ぶ
  ・暫定対策。発生している現象の拡大を防ぐ。
  ・問題現象の原因を除去する。
  ・適応対策。原因が明確になっても除去するのが非現実的であるときに代替の
   対策を講じる。
  
  
Ⅲ 現在の現象・・・どのような決定をしたらよいかがわからない状況
 ①決定事項の明確化・・・何を決めるのかを記述する
 ②目的・目標の設定・・・ねらいや制約条件を複数列挙する
 ③選択肢の立案・・・複数選択肢を考える
 ④選択肢の副作用(マイナス要因)・・・まずいことが何かを考える


Ⅳ 将来の現象・・・将来不安にどう対処したらよいかわからない状況
 ①重大領域の明確化・・・どこが危ないのかを考える
  ・計画全体に対して大きな影響があるところ、責任体制が不明確であるとこ
   ろ、未経験領域が関与するところなど
 ②将来問題の想定・・・重大領域に起こるまずいことは何かを複数考える
 ③予防対策の策定・・・問題の発生を防ぐ対策は何かを考える
 ④コンティンジェンシー(発生時対策)・・・もし問題が起きたらどうするかを考える
 

小さな会社こそがNO1になるランチェスター経営戦略(坂上仁志)

2009-11-23 19:19:40 | 経営
【ランチェスター戦略】
 ①ランチェスター法則+②ランチェスター戦略方程式を田岡信夫先生が経営戦略
 として確立させたもの

【ランチェスター法則】
 ①ランチェスター第一法則②ランチェスター第二法則の2つの法則からなる

【ランチェスター第一法則】
 戦闘力=武器効率×兵力数で表される
 局地戦、接近戦、一騎打ちの場合に当てはまる「一騎打ちの法則」

【ランチェスター第二法則】
 戦闘力=武器効率×兵力数の二乗で表される
 広域戦、遠隔戦、確率戦(集団対集団の戦い)の場合に当てはまる「集中効果の
 法則」

【弱者と強者の定義】
 強者とは、競合局面において勝っている市場占拠率1位の企業のこと
 弱者とは、競合局面において負けている市場占拠率1位以外の全ての企業のこと

【ランチェスター戦略モデル式】
 戦略とは目に見えない全体の計画
 戦術とは目に見える具体的な作業、武器
 「戦略力」:「戦術力」=2:1

【市場占拠率の目標数値の設定】
 ①73.9%=上限目標値=独占的・ここまでとれば敵はなし・圧倒的NO1.
        絶対安全
 ②41.7%=安定目標値=ほぼ一人勝ちの状態・首位独走の目標値
 ③26.1%=下限目標値=強者の最低条件・1位といえるが、いつ逆転される
        かわからない状態

【射程距離理論】
 ①局地戦では3:1、つまり3倍の差をつける
 ②広域戦ではルート3:1、つまり1.7倍の差をつける

【ランチェスター戦略の3つの結論】
 ①NO1主義(NO1とは1位でかつ2位を射程距離外に離していること)
 ②足下の敵攻撃の原則(競争目標と攻撃目標を分けること)
 ③一点集中主義(当面の攻撃目標を一点に絞ってそこに力を集中すること)

【弱者の5大戦法】
 ①局地戦
 ②接近戦
 ③一騎打ち
 ④一点集中
 ⑤陽動作戦



ヒットを生み出す最強チーム術(佐藤章)

2009-11-23 19:17:33 | 経営
○商品開発の掟14か条

1.サプライズ(心地よい驚き)
  パッと見て驚きのない商品は手にとってもらえない

2.好かれなければ商品は売れない
  正しいかどうかではなく、消費者が好きか嫌いかがポイント

3.理解ではなく了解
  清涼飲料水の「買う・買わない」は二秒で決まる。一瞬にしてパッと全体像が
  わかることが大事

4.魅力的かどうかを競う
  優等生的商品には魅力がない。どこか一抹の不良性、遊びの精神が必要

5.プロデュースが開発者の仕事
  開発から発売まで責任をもってすべてに関わることが大事

6.確信犯の一人の開発者がすべてを決めてゆく
  民主主義で物事を進行していては、斬新なアイデアは生まれない

7.ブランドは掛け算
  「商品(外)×商品(中)×広告」=ブランドパワー。最大化のために何を目
  立たせ、どこで勝負するか

8.本質価値
  物事を表層的にとらえるのではなく、意味を深彫りしていくことが大事

9.神は細部に宿る
  細部をおろそかにせず徹底してこだわることが大事

10.大きい市場、伸びる市場を狙う
  最初からすき間層をターゲットとしないこと

11.大振りする
  最初からホームランや三塁打を狙って大振りする覚悟が必要

12.ヒトのマネをしない、自分のマネもしない
  とにかく違うことをやる、新しいことをやるという意識を持って仕事に取り組
  むべき。

13.IQが高いのはダメ
  誰もがひと目で理解できるように、わかりやすく下世話なアプローチを考える
  意識を持つこと。

14.会社の都合で商品はつくらない
  上司や会社のOKをもらうための仕事をしない。消費者にフォーカスし、サプ
  ライズをもつものだけを考える。つねに消費者の声に立ち戻るという信念を貫
  くこと。




ザ・チョイス(エリヤフ・ゴールドラッド)

2009-10-25 23:42:14 | 経営
◎個人の人生の幸福にもつながる生産管理の手法・TOCの考え方
 生産性が上がらない
 →ボトルネック(ボトルネックとは、全体の生産プロセスの制約(障害))
 →ボトルネックを見つけ、改善する

◎TOCを実践し、人生を豊かにするための主なメッセージ
 ・人はもともと善良である
  どんな仮説を立てるにしても、いきなり人に非を求めず、本当に相手に責任が
  あるかを、検証すべきである
 ・すべての対立は解消できる
  対立は適当な妥協点を見つけて解決するのではなく、対立の前提とその前提の
  除去法を考える
 ・物事は、そもそもシンプルである
  現実のあらゆる面は、すべてごく少数の要素によって支配されている。どんな
  対立も解消が可能
 ・どんな状況でも飛躍的に改善できる
  何がその会社(もしくは人生)の強みになっているかを考える。そしてその強
  みを活かすことができる
 ・すべての人は充実した人生を過ごすことができる
  今持っている頭脳や直感がどの程度であれ、明晰に思考する練習を続ければ、
  その事柄についての感情が高まり、充実した人生を送るに足る頭脳と直感が育
  っていく



強い会社はこうしてつくれ!(堀紘一)

2009-10-25 10:34:18 | 経営
○差別化の3つのやり方・・・真似の三原則
 1.誰にも真似ができない
   発明し特許をとる。ただし誰もが簡単にできるわけではない
 2.真似がしにくい
   新しいビジネスモデルを考えついたときには、そこに誰からも真似されにく
   い「自分ならでは」の要素を加えることを怠らない。
 3.真似をしたら損だ
   新興の中小企業がトップ企業を攻めるときには、必ず相手の強みは何かを知
   ること。

○創造性の磨き方
 凡人でも非凡なアイデアが湧いて出てくる「創造性の源泉」は「アナロジー(類
 推)」と「順列・組み合わせの変更」

○ビジネスモデル=差別化×回収エンジン(どうやって上手に金儲けをするかの仕掛け)

○ビジネスで大切なもの(大切なもの順)
 1.信頼
 2.人間
 3.能力と得意技
 4.お金

○人間関係の二大鉄則
 1.頼みごとより先に相手の役に立つ
 2.頼みごとをしたときは次に必ず相応のお返しをする

○時間管理術
 ・すべての仕事を「十分前精神」で取り組む
 ・物理的な時間管理の上手下手を決める最大のポイントは、物事の優先順位をつ
  けられるかどうか
 ・もう一つ重要なのは1日24時間を上手にメリハリをつけられるかどうか

起業の教科書(山岡道男、浅野忠克)

2009-08-20 20:09:13 | 経営

○エジソンが発明した「起業の成功法則」
 1.生産要素の特性(希少性)を理解する。
 2.才能のある人材(人的資本)を雇う
 3.特許を取得・利用する
 4.事業資金を集める
 5.常に商品を改良し続ける


○起業家の役割
 ・土地、資本、労働という生産要素を独自のアイデアで組み合わせることで今ま
  でにない商品・サービスを作り出して世の中に提供する。
 ・ビジネスをすることで、人々に賃金の支払いや雇用の機会を新たに提供する。


○企業の利益の式
 利益=売上高-費用(固定費用+可変費用)

 家計の目的(個人的欲望の充足、効用の最大化) 
        ×(対立) 
 企業の目的(利潤の獲得、利潤の最大化)


○市場メカニズム
 売り手、買い手双方の事情で、需要曲線(右肩上がり)、供給曲線(右肩下が
 り)は上下方向にシフトする。それに応じて均衡価格(売り手と買い手双方の思
 惑が合致した価格)


○ビジネスに必要な4つの活動
 1.マーケティング
  ・マーケティングコンセプトとは、立地の選定、ターゲット市場の選定、価格
   の決定、広告など、さまざまなマーケティングの要素と企業活動を中心にす
   える考え方のこと。たとえば自分がターゲットにしている消費者に選ばれる
   ようなお店作りをしているか、商品・サービスやビジネススタイルを競争相
   手とどう差別化するかなどを考えること
 2.プロダクション
  ・プロダクションとは、自分が売る商品をどのような手段で準備するか、そし
   て商品を売るときにどのような利益を上げるかを考えること。①自分で商品
   をつくる、②販売業者などほかの企業から仕入れるの2つの方法がある。
 3.マネジメント(人材管理)
  ・お客さんにどのような商品・サービスを提供するか、そのためにどのような
   人材を雇うかを決める。
  ・従業員を教育・訓練して、お客さんに商品・サービスをとどこおりなく提供
   する。
 4.ファイナンス
  ・ビジネスに必要な資金をどうやって準備するか。


○限界分析
 ・限界生産物…労働など1つの生産要素が1単位増えたときの生産物の数量の増
        加分。
 ・限界費用…企業が生産物1単位を追加で生産したときに発生する追加のコスト
       (費用)。
 ・限界収入…生産(販売)量が1単位増えると総収入はどれだけ増えるかを示す


○損益分岐点を下げる3つの方法
 ・限界収入を増やす
 ・限界生産物を増やす
 ・限界費用を下げる


○イノベーションの4つのチェックポイント
 ・Plannning・・・事業計画を見直す
 ・Organizing・・・組合せを見直す
 ・Staffing・・・スタッフ編成を見直す
 ・Controlling・・・指示系統を見直す


○イノベーションの思考方法
 ・今困っている問題を明らかにする
 ・アイデアを出し合う
 ・調査・検討をする
 ・試してみる
 ・改善する


○フランチャイズ
 ・フランチャイズ
  大企業が経営するチェーンの参加希望者が、本部の企業に売上の一定の割合の
  手数料を支払うことで、トレードマーク(商標)を使用したり、経営上のノウ
  ハウを利用する権利を得られるシステムのこと。誰でも簡単に起業できる。
 ・本部(フランチャイザー)の利点
  全国でチェーン展開をする出店費用を自分で負担せずに済む。
 ・会員(フランチャイジー)の利点
  大企業のトレードマークをそのまま使える。また、本部が業務ノウハウ(レシ
  ピ、接客など)を教えてくれて、食材の仕入も面倒見てくれるなど、経営をあ
  らゆる面からサポートしてくれる。
  ただし、すべてが本部のコントロール下にあるというマイナス面に注意。

その仕事は利益につながっていますか(ジャック・スタック著 神田房枝訳)

2009-06-14 15:17:56 | 経営
◎ビジネスにおける高次元の法則

 1.自分が与えた分だけしか得られない。

 2.1人を止めるのは簡単だが、100人のチームを食い止めるのは困難である。
    
 3.行動には必ず顛末がある。

 4.やるべきことをすぐに実行すべきである。

 5.自分でやる気になることだ。

 6.ファンはときどき騙せても、プレーヤーは絶対に騙せない。

 7.底辺を上げることは、頂点をあげることになる。

 8.自分で目標を立てれば、たいていそれを達成できる。

 9.誰からも注意を払われないと、人は仕事の質にこだわらなくなる。

 10.変化はいつも頂点から起こる。


◎究極の法則
 
 最高レベルの思考をすれば、最高レベルの結果が手に入る。


◎経営革新ゲームの基本的な道具は、財務諸表

 ・最も効率的かつ最も利益が上がる最高の経営手法とは、全社員に会社経営につ
  いて発言権を与え、また業績の良し悪しにかかわらず常に財務状況を公開する
  ことである。
  →数字を生み出している社員が、数字の意味を理解した時に初めて、ありとあ
   らゆるメリットが得られる。たとえば、驚くべきコミュニケーションが会社
   の上下間で実現できる。
  →社員に現実の世界を見せるには、標準が必要である。ただ願望や目標を掲げ
   るだけでは、それは見えない。願望や目標に到達するための方法を社員に与
   えて、そこへ導いていく必要がある。数字は、指導力の代わりはしてくれな
   いから、その利用方法こそ重要なのだ。

 ・会社を安定させる唯一の方法は、利益を上げて資金を作ることである。その他
  のことはそれらの目的を達成する手段でしかない。

 ・社員が学んでいけるための二つの条件
  (1)管理職が社員の信用を得ていること
  (2)社員の目がやる気で輝いていること

 ・「経営革新ゲーム」導入のステップは、
  ①小さな勝利を積み重ねるチャンスを提供する
  ②全体図の意義を説明する
  ③数字について教える
   →決定的数字を知る
    標準原価計算システムを確立する
    標準設定に役立つ情報源を見つける
    数字の背後のストーリーを知る
 
 
 ・褒めるよりボーナスを
  
 ・標準に承認を得ることにはもう一つ理由がある。そうすると、社員は今後12
  ヶ月間お互いに標準を達成していくという責任意識を持つようになるのであ
  る。こういった責任意識は、ゲームの基本である。それがないと、ゲームでは
  なくただの操縦や強制になってしまう。だから責任意識は不可欠であり、その
  ために年間計画案は全員の賛同を得なければならない。

 ・わが社の会議は、会社が社員一人ひとりに関心を持っているということを伝え
  るためにある。毎週その場を通じて、「あなたたちがしていることを知りた
  い」というメッセージを送っているのである。
 
 ・作戦会議が終わると、視野が開け全体図が見える。誰がどこで仕事をし、ゲー
  ムがどう進行しているか、目標に確実に近づいていくためには、各自が何をす
  べきかが分かるからである。

 ・ゲームの進行状況がよく分かると、すべてのプレーヤーは自分が出場して勝負
  したくなるものである。

◎オープンブックマネジメントの具体的な実践方法
 1.損益計算書から始める
 2.最も費用がかかる項目に注意する
 3.管理すべき要素に項目わけする
 4.貸借対照表について教えるために損益計算書を使用する

 

ぶれない経営(首藤明敏)

2009-05-05 09:33:19 | 経営
 どのような顧客にどのように向き合うかという経営の軸をしっかり固め、それを
現場従業員に自分の言葉で行き渡らせる。さらにブランドとしての約束を明らかに
し、取引先や顧客に浸透させていく。一方で、顧客の本質的な変化を常にウォッチ
し、先手の対応を行う。それが、環境の変化に柔軟に対応し、かつ永続していく、
ぶれない経営の基本である。

 会社の理念やブランドとしての約束に、信念を持つ。そしてときには、時代の変
化にあわせるだけでなく、能動的に自ら時代を引っ張っていく。そんな経営者のポ
ジティブな思考は、ピンチのときにもぶれることはない。よく、経営者は孤独と言
われるが、顧客とそして従業員との強い絆を築き上げ、永続するブランドに未来を
託すことができた経営者は、決して孤独とは言えないのであろう。

ビジネス・インテリジェンス(北岡元)

2009-04-19 19:19:35 | 経営
第1章 CI(競合インテリジェンス)とは何か

1.インテリジェンスとは、移り変わる現実をメモや録画、録音と言った形で切り
  取った情報、つまり「インフォメーションを収集し、それを分析して生産され
  るもので、我々は判断・行動するために必要な知識だ。ビジネスの世界のイン
  テリジェンス、CI(競合インテリジェンス。Competitive In
  teligence)は、企業のマネジメントが企業戦略を立案・執行する、
  つまり判断・行動するために必要な知識ということになる。

2.日本語の「情報」は、インフォメーションとインテリジェンスの双方の意味を
  持っているので、情報処理の際には、両者を区別することが重要だ。前者をし
  っかりと分析して、後者に高めてから判断・行動すべきである。
  
3.CIの手法は、アメリカの政府情報組織から持ち込まれたが、それは決してス
  パイのノウハウではない。CI専門家の養成機関は、違法行為を慎むのはむろ
  んのこと、法律の範囲内でも倫理的に行動するよう、厳しく指導している。良
  質のCIを作るには、スパイも盗聴もまったく必要ない。

4.国家、企業、そして個人の判断・行動の背後には、必ず「得をするため」また
  は「損をしたくないため」という「利益」がある。そのために「判断・行動の
  ために必要な知識」であるインテリジェンス(企業の場合はCI)は、「利益
  を実現する知識」でもある。

5.インフォメーションからCIを作り出すプロセスを、インテリジェンス・サイ
  クルという。

6.伝統的なサイクルは、企業のマネジメントや戦略部門が、企業の利益を増進し
  たり、害したりする可能性のある「何か」を見つけて、それに関する情報を要
  求するところから始まる。要求を受けたCI担当は、関連するインフォメーシ
  ョンを収集・分析し、CIを作って配布し、それに基づいてマネジメントや戦
  略部門が戦略を立案・執行することでサイクルが完結する。
  
7.しかし良質のCIが配布されても、マネジメントがそれまでの戦略に固執する
  ことがある。CIによって現実の変化を敏感に感じ取りながら、自らの判断・
  行動を柔軟に修正していくというのは、あまりまえのように見えるが、企業レ
  ベルでも、そして国家や個人のレベルでも実践は難しい。

8.1980年代の半ばにCIが始まった当初は、マネジメントがインテリジェン
  スの何たるかを理解しておらず、まともな要求が出てこなかった。まともな要
  求が出てこなかった。「よろず承ります」と言ったとたんに出てきたのは、マ
  ーケットのその瞬間のスナップ・ショットや「調べもの」といったインフォメ
  ーションに対する要求である。本来前者はマーケット・リサーチ部門、後者は
  資料部門が担当すべきである。CIは時間の流れの中でマーケットの変化を抽
  出し、さらにその延長線上にある未来を予想することで、企業のマネジメント
  が戦略を立案・執行しやすくする知識なのだ。

9.国家安全保障の世界からビジネスの世界へ、インテリジェンスの手法を移植し
  たヘリングは、まともな情報要求が出てこない状況で、マネジメントや戦略部
  門を手助けすることが重要と考えた。

10.このためにCI部門は、クエスチョネア(質問表)を利用して定期的にインタ
  ビューを行い、マネジメントや戦略部門の潜在的な情報要求を発見する。これ
  をKIT(Key Inteligence Topics)プロセスとい
  う。後述する「早期警戒」の影に隠れがちだが、今でもCIの世界では有効な
  手法として教えられている。


第2章 「彼を知る」から「自分を知る」
  
1.90年代になると、急速に進行するグローバリゼーションや技術革新を背景と
  して、企業は自社の市場地位に影響を与える出来事によって「驚かされる」よ
  うになった。

2.KITプロセスはある。しかしマネジメントが気づかない、そしてKITでい
  くらマネジメントに質問しても発見できない、そのようなインテリジェンスを
  どうやって作り出したらよいのか。これが「早期警戒」の出発点である。

3.古代中国の戦略家、孫子は「彼を知りて己を知れば百戦してあやうからず」と
  言った。伝統的サイクルでは、企業のマネジメントや戦略部門が、企業の利益
  を増進したり、害したりする「何か」を見つけて、それに関する情報要求を出
  す。この「何か」とは孫子の言う「彼」に当たる。それが見えにくくなってい
  る。ならば「己」つまり自社を徹底的に知ることから始めたらどうか。この発
  想の転換が、「早期警戒」の根底にある。

4.自社を徹底的に知るには、三段階のアプローチを組み合わせる必要がある。ま
  ず自社を「業界」の中に位置づける。そのために使用されるのが「ファイブフ
  ォース(5Forces)分析」だ。「業界」は「競争」(自社を含む、既存
  のライバル社間の競争)、「供給業者」、「顧客」、「新規参入」および「代
  替品」という5つの力で構成される。

5.第二段階では、範囲を狭めて、自社をファイブフォースの一つ、「競争」の中
  に位置づける。使用されるのは「グループ・マッピング」と「戦略キャンパ
  ス」という手法だ。

6.第三段階では、さらに狭く、自社自身の戦略ツールと盲点を分析する。前者に
  は「フォーコーナー(4Corners)分析」、そして後者には「ブライン
  ドスポット分析」が使用される。


第3章 シナリオ分析で未来を予想する

1.「自分を知る」つまり自社を徹底的に分析すると、自社の弱いところや強いと
  ころが見えてくる。これは「早期警戒」の準備段階にすぎない。これをもとに
  未来を予想する。大切なのは、「自社の利害にかかわる未来」を予想するこ
  と。それは自社の徹底的な分析によってのみ可能となる。

2.未来は完全に予測できないので、複数の仮説を用意する。それをシナリオとい
  う。つまり「自分を知る」ための分析結果をもとに、「自社の利害にかかわる
  未来」に関するシナリオを複数作成する。できたシナリオは、確実性を横軸、
  自社の利害に与えるインパクトの大きさを縦軸にした「インパクト・マトリッ
  クス」で分類する。「不確実・高インパクト」のシナリオを特に警戒すべきで
  ある。

3.どのシナリオが実現するか、モニターするのだが、特に警戒すべきシナリオに
  ついては「このシナリオが実現する場合には、事前にこういう兆候が現れるは
  ずだ」という形で兆候を予想して、それをモニターする。このような兆候を
  「トリップ・ワイア」という。

4.未来予想の精度を上げるには、最初にシナリオを出し切ることと、シナリオを
  評価する際に、シナリオと「整合しない」インフォメーションのほうを重視し
  て、それが多いシナリオを消去しつつ、少ないシナリオに絞り込んでいくのが
  重要。前者のために「ウォー・ゲーム」、さらに前者と後者のために「競合仮
  説分析」という手法が用いられる。


第4章 ビジネスの現場でCIを実践する

1.CIを始めるのに、「人や金がないから・・・」と尻込みする必要はない。た
  った一人がCI担当を兼任して成功した例もある。いずれにしても、各社のC
  I部門は意外に小さい。問題は部門の規模ではなく、CIの中身である。

2.CI部門の位置づけは、他の部門から独立して、CEOに直接報告できるのが
  ベストである。戦略部門やマーケティング部門への位置づけもありうるが、ラ
  イバル社ばかり見ることを要求されるおそれがあるので要注意。マーケット・
  リサーチ部門や資料部門に位置づけると、「マーケットの現状」や「調べも
  の」という形でインフォメーションばかり要求されるので、最悪である。

3.どれほどCIの優れた手法を学び、優れた専門家が養成できたとしても、最後
  に重要となるのは「トップマネジメントが、異なる意見にも耳を傾けること」
  そして「CI専門家が、必要とあれば、トップ・マネジメントと異なる意見を
  述べられること」という企業文化である。

4.CIの専門家は、戦略の領域にどこまで踏みこむべきか。国家安全保障の世界
  では「インテリジェンスの政治化」が警戒されているが、CIの世界では政治
  化をあまり恐れていない。CIの「グル」、ギラッドは、マネジメントの判
  断・行動をおこしやすくするので、CI専門家は戦略の選択肢を列挙して、そ
  れぞれを実施した場合の未来を予想しつつ、どれがよいかを評価することまで
  もマネジメントに求められる。シナリオ分析を核とする「早期警戒」という新
  しい領域に踏み込んだCIの専門家たちは、好むと好まざるとに拘わらず、戦
  略との緊密なかかわりが求められているのだ。

5.違法行為を慎むのは当然だが、さらに「法律に抵触しないなら、何をやっても
  いいだろう」というのは、CIの世界ではけっして認められない。インフォメ
  ーション収集の際、法律の枠内で、どこまでやれるか迷ったときは、「発覚し
  たときに、一般の人は何と思うだろうか?」と考えてみることが大切。いかな
  る形であろうと自社を傷つけたり、辱めたりする可能性のある行為は、厳に慎
  むべきである。
  
6.防諜の世界でも、「自分を知る」が先に来る。まず自社が、ライバル社に対し
  て比較優位を保っているのはどこかを分析する。防諜の世界では、そこが逆に
  弱点になるので、そこを徹底的に守るというアプローチが大切だ。

レバレッジ・マネジメント(本田直之)

2009-04-05 13:43:31 | 経営
1.経営者のレバレッジ
(1)考える時間の余裕はあるか?
  ・第一に考えるべきは時間の切り分け
   自分にしかできない仕事(考え意思決定する仕事)、優秀な管理職に任せる
   仕事、一般社員にやってもらった方がいい仕事に切り分ける。
  ・第二に「次のリターンを生み出す種作り」

(2)学んでいるか?
  ・経営者であれば、常に投資的な観点に立ち、どんなリターンがあるか、どう
   したら投資分が回収できるかを考えながら、本を読んだり勉強をしなくては
   いけない。

(3)内部要因思考を持っているか?
   以下の問いかけを常に自分に投げかける。
  ・今の状況を鑑みて、いったい、何をどう考えればできるようになるのか?
  ・100%は難しくても、できる範囲で改善できる点はないのか?
  ・今は無理でも、何年先からできるのか?

(4)素直さを持っているか?
  ・いったん話を聞いてみる素直さ。良いと思えば試してみる素直さ。これを持
   っている経営者は、たとえ若くても確実に成長していくことができる。ま
   た、年齢を重ねていても、すぐれた経営者はみな、子どものような素直さを
   すり減らさずに持ち続けている。

(5)勘で意思決定をしていないか?
  ・プロコンを活用し、書くことで冷静になり、頭の中を整理する。
   (プロ・・・賛成・メリット、コン・・・反対・デメリット)
  ・経営者に必要なのは、意思決定の方法をエモーショナルからロジカルに変え
   ること。

(6)外部とのつながりはあるか?
  ・かかわりを持った人間同士がお互いにコントリビューションし、それぞれの
   ノウハウを共有し、刺激し合う。こんな仲間が増えていけば、良い情報がプ
   ールされる「場」ができる。そうすれば、一人ひとりが独自性を保ちなが
   ら、かかわった仲間みんなが成長していくことも可能。

(7)演出力はあるか?
  ・会社が良いときも悪いときも、その状況に応じた経営者の役割を考え、個人
   のキャラクターを超えて、それを演じていく必要がある。
  ・経営者はまた、役者であると同時に演出家でもある。経営者の役割を演じる
   のと同時に、会社全体を盛り上げる「演出力」をも兼ね備えておかなければ
   ならない。

(8)投資視点を持っているか?
  ・投資視点というのは、長期的な時間軸の視点ということ。
  ・経営者は、長期的な視点に立った上で仕事をし、生まれてきた余裕で会社を
   良くする仕組み作りを考えていくべき。

(9)タイムマネジメントはできているか?
  ①時間家計簿の作成
   自分の時間の使い方をきちんと把握する。
  ②時間の分析
   現状を把握したら、分析してみる。思わぬ無駄ややろうと思っているのにで
   きていないことが見えてくる。
  ③天引きを意識してパジェット作成
   現状分析に基づいて新しい時間割を作成。必要なのにできていないことを先
   に天引きする。経営者に必要なのは自己投資。
  ④実行と振り返り
   時間割どおりできたか振り返り、できていなければどこを改善すべきかを見
   直す。実行、見直し、新たな時間割作りのサイクルを続けていれば、時間が
   コントロールできるようになる。

(10)お金の貯め方より使い方を考えているか?
  ・経営者は自分自身の家計簿も作るべき。「お金の使い方を考える習慣」を身
   につける。
  ・家計簿(ミクロ)は会社(マクロ)を考えるシミュレーションであり、良い
   訓練にもなる。


(11)順行思考か?俯瞰逆算思考か?
  ・順行思考とは、いわばゴールに到達するまでの道のりを作りながら動いてい
   くこと。地図を見ないで目的地に行こうとしているのと同じ。
  ・俯瞰逆算思考とは、まず地図を見て現在地と目的地を確認し、一番近いルー
   トを考えた上でスタートすること。
  ・経営者が俯瞰逆算思考型であれば、会社の業務の流れに無駄がなくなるし、
   メンバーの力が発揮できる場を作ることができる。
   やがて非常に限られた資源である時間を、有効活用できるようになる。

(12)シミュレーションできているか?
  ・想像力がない人に経営はできない。シミュレーションできる想像力があるの
   とないのとでは結果に大きな差が出る。
  ・シミュレーションできる(=突き詰めて考えられる)ようになるためには、
   あらゆる事象に対して「想像する癖」をつけるとよい。

(13)会社を商品として捉えているか?
  ・会社を商品として捉えると体系立って客観視できるようになる。
   ニーズ分析→戦略策定→実行→外部へのPR→仕組み化
  ・会社を商品として捉えるよう。エモーショナルな捉え方ではなく、客観的か
   つロジカルな思考法を身につけてこそ、大切な会社を最大限に生かすこと
   ができる。

(14)早起きをしているか?
  ・脳科学的にも、朝の方が創造的に物事を考えられ、マインドも高く、前向き
   な思考ができる。朝の方が仕事の効率もよい。
  ・朝を活用しなくては時間の使い方がうまくならない。時間制限があるので、
   優先順位を考えて効率化できる。

(15)意識的に何事もやろうとしていないか?
  ・労力は無意識化に注ぐべき。常に意識して行動するという観点で頑張って
   は、レバレッジは効かない。無意識化することで、新しいことをしようとす
   る余裕も出てくる。そうすると、優れた行動や思考がベースになるので、さ
   らに良い解決策や行動も生まれてくる。

(16)劣後順位を考えているか?
  ・経営者がやるべきことを決めるとは、「やらないこと(劣後順位)を決め
   る」ということでもある。

(17)メンタル・フィジカル両面のトレーニングはできているか?
  ・心身を鍛えることは経営者にとって何にも増して重要なこと。
  ・メンタルを強くするポイントは3つ
   ①「ピンチはチャンスだ」という思考癖をつけること。
   ②「身の回りには、自分が解決できないような問題は起こらない」と考える
    こと。
   ③「すべてはトレーニング次第であり、メンタルタフネスも上げられるもの
    だ」と知っておくこと。
  ・肉体が弱いと意志も判断力も弱くなってしまう。経営者は身体を鍛えておく
   べきだし、何より病気という事態はできるかぎり回避しなくてはならない。

(18)運を上げようとしていないか?
  ・すべての物事には「運・時(タイミングや時間の使い方)・縁(人脈)」が
   かかわっている。
  ・会社を経営していくうえで本当に欲しいもの(キーパーソン、新しいパート
   ナー、大口の顧客、重要なクライアントなど)を明確にし、常に意識してい
   れば、必ず手に入れることができる。運は上げるのではなく、運に気づく確
   率を上げるもの。

(19)時代のうねりを見ているか?
  ・本を読んだり勉強したりして目標を定め、実際にはどんなことが起きている
   か、現場に行って自分の目で確かめた上で実行すべき。

(20)難しく考えすぎていないか?
  ・考え方も商品も、シンプルかつ簡単に。優秀な経営者ほど、自分が難しく考
   えすぎていないかどうかを自問すべきである。

2.戦略のレバレッジ
(21)舵取りをしているか?
  ・「舵取り」とは、営業や顧客サービス、PRといった細かいものを意味しな
   い。会社という船全体の航路―今後、どのような方向に会社を成長させてい
   きたいか―を定めるものである。
  ・舵取りさえきとんとしていれば、細かい戦略は適任者に委ね、仕事は優れた
   メンバーの力を借りてやっていくことができる。
  ・舵取りをしたら次に必要なのは「道を作ること」。「自分のあとをついてく
   れば、社員たちは歩いてこられる」という状態にするのは、経営者にしかで
   きない仕事である。

(22)売上は積上げ継続型か?
  ・会社の事業やビジネスモデルを決める際には「積上げ継続型」(定期、長
   期、手間がかからない)で売り上げていけるものを柱とすべき。

(23)事業はフォーカスしているか?
  ・「何が自分の会社の強みなのか」を考えること。
  ・1つの事業にフォーカスすることのメリット
   ①経営資源を集中できること。それだけ効果も上がりやすくなる。
   ②時間に余裕ができること。さらに考える時間を生み出すことができる。
   ③内部的なメリット。社員の方向性が明確になる。
   ④優秀な人材が育つこと。舵がきちんと切られていて、その中で一生懸命に
    適切な努力をすれば成果が出やすくなる。
   ⑤会社をブランド化しやすくなること。

(24)無駄な事業はどれか?
  ・多角経営は次のステージ。まずは無駄な事業を点検してそぎ落とし、事業を
   フォーカスすることが必要。

(25)方策はたくさんあるか?
  ・経営者で一番大切な仕事とは、考える時間を取って、レバレッジが効く事業
   に絞ること。
  ・ただし、確固たる戦略を持つ=「方向性」を一つに絞るときには注意が必
   要。マーケットや商品という方向性を絞り、確固たる戦略を持つことは正し
   いことだが、方策は複数、用意しておかなければならない。

(26)水平展開・垂直展開をしているか?
  ・サービスエリアの拡大・・・水平展開
  ・サービスラインナップの拡充、(関連する)ターゲット顧客業界の拡大・・・垂直展開

(27)計器飛行をしているか?
  ・数字のインフラ(データの記録)を整備する。

(28)わかりやすい旗を作っているか?
  ・舵の方向性をわかりやすく伝え、全社員で戦略を共有するために、わかりや
   すい「旗」が必要。
  ・①わかりやすい目標を示す、②(他社に)ロールモデルを見つける、③仮想
   敵をつくる、ことなどが有効である。

(29)いつも発明していないか?
  ・経営者は、いつもまねできるものを探し、応用する力を持たなくてはならない。

(30)資本の論理を理解しているか?
  ・さまざまな人とのつながりを持ち、レバレッジのかかった人脈としていくの
   が経営者の仕事。人の力を借りずに成り立つ組織など存在しない。
  ・しかしながら、「資本の論理」を理解し、最低でも株や資本の過半数(理想
   は2/3以上)を抑えておくべき。

(31)決算書が俯瞰できるか?
  ・経営者は「俯瞰逆算会計法」を身につけるべき。このためのポイントは3つ。
   ①現在の数字と過去の数字を同じ時期で比べていくこと。
   ②数字はすべてパーセンテージで見ていかなくては意味がないということ。
   ③経営者が見るべき科目には優先順位があると知ること。ベンチャーなら粗
    利率を見るべき。粗利の次は営業利益。それぞれの科目の推移と固定費の
    変動を抑える。

(32)資金効率を上げる努力をしているか?
  ・支払パターンの見直しなど、ルーチン、常識、当たり前に見えることを見直
   すと、思いもかけない経営戦略が生まれる。
  ・その際の大前提は、「この会社ならイエスと言わなければ仕方がない」と相
   手に思ってもらえるような企業力をつけておくべき。

(33)粗利は高いか?


(34)適切なアドバイザーを選んでいるか?
  ・会社の発展に伴い、社員だけでは埋められない専門的なスキルが出てきた場
   合には、アドバイザーとの協力関係が必要になる。アドバイザー選びも戦略
   の1つと考え、経験者・実践者を選ぶなどその見極めに労力をかけるべき。

(35)消費と投資を切り分けているか?
  ・消費は一過性のものであり、何も生み出さないコスト。
  ・投資は何かを生み出してくれるもの。
  ・すべてにケチな会社では飛躍は望めない。できるだけ消費を減らして、投資
   を増やすのも大切な戦略。

3.営業のレバレッジ
(36)「お願い営業」になっていないか?
  ・経営者は最初に、自社の信頼性や知名度をあげる優良顧客と取引をし、道を
   拓く。次に、いかなるスキルの営業担当者であっても成約できる仕組みや戦
   略を作っていく。
  ・めざすべき方向は、顧客の方から欲しいと言ってくれる「パートナー型営
   業」。そのためにはブランディングも必要。

(37)経営者すべき営業を理解しているか?
  ・経営者の仕事は1件1件営業して回ることではない。キーとなる優良顧客を
   開拓して道を拓いたら、あとは社員にバトンタッチし広げていく。

(38)商品・サービスの手離れはよいか?
  ・レバレッジ営業の根本的な仕組みを作る上で大事なのは「誰が売っても売れ
   る状態」(手離れの良い商品を作る)にすること。
  ・そのためのポイントは4つ。
   ①売るものが明確かつシンプルであること。
   ②商品の資料など説明のためのツールをしっかり作ること。
   ③キーとなる優良顧客を確保すること。
   ④うまくいったノウハウや情報を共有する仕組みを作ること。

(39)営業担当者は顧客よりしゃべっていないか?
  ・レバレッジ営業では顧客からのインプットが8割、アウトプットが2割。自
   分を知ってもらうためのトーク、業界全体の動向、最新のトレンドといった
   顧客に価値のある話をして貢献し、自分から話しはじめた顧客の情報を「顧
   客ニーズ」としてインプットすべき。

(40)顧客でない人を見分けているか?
  ・まず、自分の会社やサービスをレベルアップし、パートナーとして尊重して
   もらえるようになる必要がある。そのうえで、相手が会社をダメにする顧客
   であれば取引しないなど顧客を選ぶ必要がある。

(41)値引きしていないか?
  ・安直な値引きは営業の手抜き。値段に見合うように商品内容をより高める努
   力が必要。

(42)盛況間を演出しているか?
  ・「いかにも盛り上がっているようだ」「何か人気らしい」といった盛況間
   は、特にマスに対して大量に売りたい場合には欠かせない要素であり、最初
   は演出も必要。
  ・盛況間の演出は、その企業の真価を試すチャンス。最初は演出した盛況感で
   も、本当に良い商品なら、本物の盛況間につながる。
  ・経営者は顧客の心理を捉えるために心理学を学んでおくに越したことはな
   い。「影響力の武器」(R.B.チャルディーニ)がおすすめ。

4.ブランドのレバレッジ
(43)ブランドは大企業だけのものと思っていないか?
  ・戦略や仕組み化、営業といったさまざまなアイテムを整備した上で、遅効性
   の投資であるブランディングは、ハードルも低く試行錯誤もできる小さな組
   織のうちに早めに取りかかるべき。

(44)会社のキャッチフレーズは何か?
  ・小さな会社こそ、マーケットを創り出す意識で社名を決め、カテゴリーを絞
   るキャッチフレーズを作るようなブランディングを考えるべき。
  ・事業をフォーカスしたら、「この事業にとって重要なブランディング要素は
   何か?」を精査する。お金なら信頼性、食品なら安全性というようにポイン
   トを絞り、それを最大限効果的にアピールするブランディングが、業績その
   ものに影響を及ぼす。

(45)経営者のブランディングはできているか?
  ・会社のステージによって経営者の「プロフィール」をブランディングする
   (「ゼロから会社を立ち上げた」→「事業家」等)
  ・考え方や振る舞いも会社がめざす方向性にふさわしいものに変えていかなけ
   ればならない。
  ・服装、髪型といったスタイルについても時にはブランディングを考えるべき。
  
(46)メディアリレーションは間違っていないか?
  ・経営者は先にコントリビューションして自分を知ってもらうことが必要。
  ・メディアから見れば、クオリティが高い、知っている人からの情報が一番信
   頼できて安心。

(47)デザインは意識されているか?
  ・「このようなイメージを抱いて欲しいというデザイン」、「相手がブランド
   を感じてくれるデザイン」の2つの選び方があるが、後者のほうがレバレッ
   ジ効果が高い。

(48)オフィスもブランディングできているか?
  ・外部へのメリットは、顧客のイメージのみならず、採用時に人を集めやすく
   なること。
  ・内部へのメリットは、中で働く社員に快適な環境を用意することで生産性も
   モチベーションもあがる。

(49)広告を打とうとしていないか?
  ・小さくて無名の会社にとって、最も効果があるブランディングの方法はP
   R。どうやって広告主としてではなくマスコミにアプローチしていくかが最
   も重要。

(50)顧客が口コミをしてくれるような仕組みを持っているか?

(51)IPO(株式上場)と同様のPR効果を知っているか?
  ・「売れる」書籍の出版は経営者のブランディングに効果がある。

(52)ブランドは売上を上げるためのものと思っていないか?
  ・顧客へのアピール度はどうか、社員を集められるようなブランディングがで
   きているかを併せて考えるべき。

5.仕組みのレバレッジ
(53)経営者と社員の仕事を切り分けているか?
  ・経営者は時間をかけ、長期的に役立つきちんとした仕組みを作るべき。経営
   者が舵を取り道を作ったら、仕組み化で社員が「道を広げること」が大切。

(54)仕組み化できるものは何か?
  ・全ての仕事を切り分けてみて、自分にできること、できないこと、自分にし
   かできないこと、人に任せればよいことを考えることが第一段階。それらす
   べてに対して仕組み化できるかどうかを考える。
  ・判断基準は、基本的に人間が考えなくてもよい仕事かどうかという点にある。

(55)アクティブ・ルーチンになっているか?
  ・仕組み化されたリストを作成しておけば(最初は経営者は)、社員は楽に自
   分でチェックしていくアクティブ・ルーティンにできる。

(56)仕組み化で社員のレベルアップを図っているか?
  ・仕組み化すれば、社員に考える時間ができ、仕事の効率も質もあがっていく。
  ・初期段階の、あるいは本当に基幹となる大きな部分の仕組み化は、経営者が
   先陣を切ってやるべきだが、個々のフォーマット化やパターン化は現場の社
   員に任せるべき。

(57)ITを学んでいるか?
  ・仕組み化まで仕上げたら、あとは人に任せ、その分の時間で経営者がやるべ
   き仕事は「勉強」である。次の事業についての勉強、人からの勉強と人脈作
   り、あらゆる情報のインプット・・・勉強すべきことは無限にある。
  ・ITの勉強なくして、「仕組み化」は成し遂げられない。

(58)強い意志で臨んでいるか?
  ・ここまで述べてきた仕組み化のすべてに必要なのは、経営者の確固たる意志
   である。

6.組織のレバレッジ
(59)社員に武器を持たせているか?
  ・経営者は、景気が良いときに成果が上がる仕組みを作っておき、それを営業
   なら営業、宣伝なら宣伝の「武器」として、一人ひとりに持たせる。その武
   器があれば景気が悪いときも社員は危機を乗り越えていくことができる。

(60)共通言語・共通認識はあるか?
  ・共通言語や共通認識を持ち、レバレッジ・ミーティングを徹底すれば、社員
   一人ひとりが課題意識を持つことができ、会社を成長させることができる。

(61)情報共有はできているか?
  ・情報共有のメリットは、みんなで良いやり方をシェアできること以外にもあ
   る。うまくいった方法を人に説明するときは、体系的に説明しなければなら
   ない。するとノウハウを出す側は、自分の成功の手順を客観的に整理して振
   り返ることになり、自分自身にも再現性を持たせることができる。情報の共
   有は、受ける側・出す側の双方にとって良い訓練になる。

(62)20:60:20の法則を理解しているか?
  ・最初の20%は、会社の状況が良くても悪くても、組織の中身が良くても悪
   くても、給与体系が良くても悪くても、一生懸命頑張る人。もう一つの20
   %は、常に文句を言っている人。
  ・上の20%の人のケアに力を注げば、彼らが60%の人を教育してくれるの
   でレバレッジが効く。また、上の20%の人は教えなくても結果が出せるの
   で、仕組み化については中間の60%の人に対して重点的に行い、誰でも成
   果を出せるようフォローすることも大切。
  ・下の20%の人を改善したり、取り除く努力は無駄であり、そうした努力を
   する必要はない。

(63)インセンティブは記憶に残るものか?
  ・優秀な社員に、給与ではなく一時金をサプライズで支給する方法が効果的。
  ・外資系企業にある「スモールリウォード」(小さな報酬)も有効(少額の食
   事招待など)
  ・同じ金額の人件費を使うのであれば、その数字がどういう投資効果をあげる
   のか(社員の意欲にどうつながるのか)を考えなければならない。

(64)会社全体の方向性を理解させるミーティングはあるか?
  ・定期的に「方向性の共有ミーティング」を行うべき。(大きい会社であれば
   四半期に1回、小さい会社であれば毎月など)

(65)外部パートナーとの関係を間違えていないか?
  ・外部パートナーを選ぶ基準は①ちゃんとしたプロを選ぶこと、②「業者」扱
   いしないこと。
  ・外部パートナーを下に見てもいけないし、癒着してもいけない。適度な距離
   感が必要である。

(66)採用は自分でやっているか?
  ・採用は会社の将来を決める投資であり、経営者が直接やるべき。

(67)自分の長所と部下の短所を比較していないか?
  ・会社の仕組みを作ることは経営陣が得意な仕事なので経営陣がやり、社員に
   は経営陣が作った場で、得意なビジネスを伸ばしてもらえればよい。

(68)自分が学んだことを活用できているか?
  ・学んだことをメモして伝える(再現性を持たせる)といったルールも野暮っ
   たいが大切。