経済記事

経世在民と言う言葉をもう一度噛み締めたい

<日米保険協定と郵政民営化>規制緩和という新たな規制~日米保険協定の事例(本山美彦)

2006年07月09日 | Weblog

http://www.kokuminrengo.net/2006/200605-motoyama.htmより転載。

自主・平和・民主のための広範な国民連合 月刊『日本の進路』2006年5月号
規制緩和という新たな規制
=日米保険協定の事例
福井県立大学経済・経営学科教授  本山 美彦

 一九九四年、「日米保険協定」が結ばれ、一九九五年に「金融サービスに関する日米両国政府による措置」が確認され、されに、一九九六年に日米保険協定が再確認された。
そして、同年十一月に橋本龍太郎内閣で、「金融ビッグバン」による日本の根幹である金融・保険分野の外資への開放があった。
今日の郵政民営化もこの時点で照準が定まっていたものと思われる。
 一九九四年十月、日本政府は、米国に対して、保険分野の大幅な規制緩和を約束した。
保険手続き、保険会社の認可、保険商品の認可、保険審査の簡素化が約束された。
つまり、日本の保険分野への外資の参入を容易にすることを日本政府は米国に約束したのである。
また、損保と生保間の相互参入も約束させられた。
これも、外資の進出を容易にするための措置であった。
 重要なことは、保険の新分野、つまり、従来の商品ではない「第三分野」については、日本の簡保や大手企業は進出を禁止され、その分野は外資と日本の中小保険会社にのみ委ねるという約束が交わされたことである。
 外資が日本に定着するまでは、日本の大手はその分野に進入してはならないというのである。
 損保と生保との垣根を取り払うこととか、第三分野に関して、米国政府が日本政府に強く迫ったことの意味について、米国通商代表部(USTR)の『二〇〇〇年外国貿易障壁報告書』の「サービス障壁・保険」に露骨に説明されている。
以下、そのまま引用する。
 「日本の民間保険市場は世界有数の規模であり、暫定的なデータによれば、一九九八年度の元受正味保険料総額は三千三百十億ドルに達する。
この他に、簡保(簡易保険制度)と呼ばれる公営の大規模な郵便生命保険事業、国民医療健康保険制度、そして数多くの相互扶助組織(共済)が、巨額の保険を提供している。
多くの国と同様、民間保険市場の監督は、伝統的な生命保険と損害保険(不動産保険と災害保険)の部門に分かれている。
さらに日本の場合、生命保険商品と損害保険商品の双方(例えば、ガン保険、医療保険、傷害保険など)を扱う、いわゆる『第三分野』があり、これは市場全体の五%を占めているにすぎない。
これまで、外国や日本の中小保険会社は、この小規模な第三分野で活躍しており、この分野でのシェアの約四割を占めている。
一方で生保・損保分野におけるこれらの保険会社のシェアは常に五%を割り込んでいる」。
 つまり、第三分野とは、ガン保険、医療保険、障害保険といった新商品のことであり、この第三分野が既存の生保と損保とにまたがるものであるために、外資がこの第三分野に進出しやすくするために、生保と損保の垣根を除去することが重要であると言っているのである。
 さらに、膨大な市場である簡保、国民医療保険、共済保険への参入も虎視眈々(こしたんたん)と狙っていることがUSTRの報告では露骨に表明されていたのである。
 ところが、日本政府が、一九九四年十月に、日本の既存の大手生保・損保会社が第三分野に進出しないという米国との約束を破って、大手企業が子会社を設立し、この子会社を通して第三分野への参入を図ろうとしたことを認可する気配を示した。
この動きが米国政府によって約束違反であると抗議されたのである。
 この点について、USTRは、さらに、一九九六年十二月の再確認が必要であったと、次のように記述した。
 「日米両国は、一九九四年十月と一九九六年十二月の二度にわたって、日米経済枠組み合意の下で二国間保険合意を締結している。
一九九六年の合意が必要となった理由は、日本が一九九四年の主要な合意事項に反した形で日本の保険会社の子会社が第三分野で営業することを認める意向であったことが、米国側に明らかになったためである。
主としてこうした取り組みと、両合意の実施に対する米国の現政権の緊密な監視により、日本の保険市場の規制緩和は進み、かつては小さかった生保・損保分野における外国企業のプレゼンスも大きく変わり始めている。
米国その他の外国保険会社は、第三分野における順調な業績を維持する一方で、近年は生保・損保分野でも、商品開発と革新的なマーケティング、そして直接投資により急速にシェアを拡大している」。
 これが規制緩和であろうか。
外資の日本進出を保証するために、日本の大手会社と簡保は、外資が進出する分野への進出をしてはならないというのである。
これは、新しい差別であり、新たな規制である。
 以下の文章は、同じUSTRの報告書のものである。これが対等の経済交渉であろうか。
日本に参入するのは米国の保険会社の権利である。そして、第三分野を外資に提供し、日本の大手の参入を阻止するのが日本政府の任務である。そうした流れを作った上で、新種の自動車保険などを米国の会社に提供すべきであるとUSTRは言うのである。
 「一九九六年十二月の『補足的措置』は、日本の大蔵省が実施する生保・損保分野における規制緩和の範囲と時期を定めた。
この合意は、激変を避けるという約束に沿った形で、第三分野における日本の保険子会社の事業活動範囲も定めている」。
 「具体的には、一九九六年の合意の下で、日本は、年齢、性別、運転歴、地域、車両の使用状況など各種のリスク基準によって保険料の異なる自動車保険の申請を認可することを約束した」。
 「第三分野に関して一九九六年の合意の下で、日本は、外国企業が規制緩和後の生保・損保分野でプレゼンスを確立するために十分な期間が経過するまで、日本の保険会社の新規子会社が、ガン保険、医療保険、傷害保険など外国保険会社にとって、とくに重要な第三分野の商品を販売することを禁止または大幅に制限することを約束した」。
 「この合意には、一九九六年の合意による生保・損保分野の規制緩和措置を日本が一九九八年七月までに完全に実施した場合、第三分野における激変を避ける措置を解除するための二年半の『時計の針』を始動させることが定められた」。

 難しい文章であるが、膨大な日本の保険市場に米国企業を参入させろ、参入を容易にするために、日本の大手企業は、向こう二年半、第三分野への進出はやめろというのである。
 第三分野こそが成長分野である。
その分野に日本の大手は進出できない。
とすれば、日本の生保・損保会社は、外資と合弁し、外資に吸収された形で新分野への参入資格を得て、組織としての生き残りを模索するしかないではないか。
 事実、あっという間に保険市場を米国資本が席巻した。
現在、テレビで派手に疾病保険や自動車保険でコマーシャルを打っているのは、外資系ばかりであるのはけっして偶然ではない。
 自国の企業を進んで外資に捧げる日本の政治指導者とは一体何なのだろうか。
 一九九六年十二月の日米保険合意をまとめたのは、三塚博大蔵大臣(当時)とバーシェフスキUSTR代行(当時)であった。
しかし、腹立たしいことに、交渉を打ち切り、帰国するというバーシェフスキーに三塚大蔵大臣が電話で妥協したのである。
 当時でも『沖縄タイムズ』は、米国政府のえげつなさと日本政府の弱腰を批判していた。
 「五十六年ぶりに改正された新保険業法は、生命保険、損害保険会社がそれぞれ子会社を通じて相手分野に参入でき、第三分野への食い込みも可能なはずだった。
 ところが、米国は第三分野への参入は日米保険合意に反すると主張、第三分野参入の前提条件として生保や損保の規制緩和と自由化を求めた。
米国としては、外資系保険会社が三五%のシェアを占める第三分野を守る立場から、取引材料として規制緩和や自由化を持ち出した、と言えよう。
 つまり、米国は、口では規制緩和や貿易自由化など主張しながら、その裏で自国の保険業界の利益擁護だけを追求してきたわけで、エゴ丸出しといわれても仕方ないだろう。
 その背景には、損害保険料の自由化も含めた金融自由化の流れがある。
完全自由化となれば傷害保険など第三分野に大きく依存する米国系損保会社は大きな打撃を受ける。
従って、早期自由化はどうしても食い止めたかったのであろう。・・・
 日本は自動車保険など大幅に譲った部分があり、あらためて対米交渉の弱腰をさらけ出した。
恐らく生命、損害保険会社にとってはマイナス面の大きい取引になったであろう。
 それ以上に大きな問題は、消費者である国民の利益をどう守ったかである。
 日米合意の細部については明らかでないので結論めいたことは言えないが、これまでの流れから感じ取れるのは『花は取ったが、実は奪われたのでは?』ということだ。
なぜなら、日米保険協議では、業界の利害調整が中心で国民の存在は二の次だったからだ」。
 規制緩和と自由化が日本の前向きの構造改革となるのではない。
新たな規制と新たな不自由が形成され、そうした新たな環境を謳歌する新しいクローニー(権力者への取り巻きたち)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するだけである。
彼らは、公の世界を卑しい私心で食い散らすのである。
 二〇〇四年三月、米国生命保険協会のキーティング会長が記者会見で、
「簡保は、民間企業から仕事を奪っている」、
「米国保険会社を含め民間生保はこの民営化の過程で被害を被ることなく、始まったばかりの民営化に関する議論に意義ある参加を認められるべきである」
と語った。
 米国の究極の目標は医療と医療保険にあるが、そうした医療保険の原資を確保するためにも、郵政の民営化があったことは、すでに明らかであろう。



臨海副都心の3セク3社、都が民事再生法適用を申請へ

2006年07月01日 | Weblog


 東京都の臨海副都心で貸しビル業を営む第3セクター「東京テレポートセンター」(TTC、江東区有明)など3社について、都は近く、東京地裁に民事再生法の適用を申請する方針を決めた。
 3社の負債総額は約3800億円で、いずれも都が50%以上を出資している。都では債務圧縮後に3社を合併させ、持ち株会社方式で他の黒字の3セクと経営統合する方向で検討している。
 同法の適用を申請するのは、TTCと「東京臨海副都心建設」、「竹芝地域開発」の3社。3社は日本政策投資銀行などからの借入金が約3300億円あり、金融機関に対し6割程度の債権放棄を求めるとみられる。
 都は「東京港埠頭公社」を民営化し、持ち株会社を作って、3セクの新交通システム「ゆりかもめ」や「東京ビッグサイト」と経営統合する方針で、TTCなど3社もこの持ち株会社の傘下に入れる方向だ。
 3社は1987~89年のバブル期に設立され、臨海副都心と竹芝地域でオフィスビルなどを建設、運営してきた。バブル崩壊により当初設定していた賃料が半値以下に下がるなどして経営が悪化、3社とも債務超過に陥っている。
 都では98年から10年間の経営安定化策を策定。地代減免や無利子融資などで270億円の財政支援を行い、金融機関も金利を引き下げたうえ、元本の返済を猶予してきた。しかし、金利払いが苦しい状況は変わらず、来年度で支援策が終わることもあり、都は今後の方策を検討していた。
(2006年5月12日10時46分 読売新聞)

9千億ドルの不良債権は「でたらめ」 中国側、強く否定

2006年07月01日 | Weblog

2006年 5月12日 (金) 20:41
 中国の中央銀行、中国人民銀行は11日、中国の商業銀行の不良債権が合計で、世界一の外貨準備高を上回る「9000億ドル(約100兆円)に達する」とする海外の会計事務所の分析について、「(事実を)ねじまげている」「でたらめである」と強く否定するコメントを発表した。
 大手国有商銀、中国銀行の香港市場への上場を6月1日に控えて、中国当局が市場関係者から疑惑を持たれがちな中国の統計数字に敏感になっている様子がうかがえる。
 英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、米系の会計事務所「アーンスト・アンド・ヤング」が中国の商業銀行の不良債権の状況を分析し、5月に公表した。中国政府は、06年第1四半期の中国の商業銀行の不良債権比率は8%で、総額で1兆3124億元(約18兆4000億円)と説明している。(その後、FTはこの記事を撤回した)

経常黒字 3年連続最高

2006年07月01日 | Weblog

05年度国際収支

 財務省が十五日発表した二〇〇五年度の国際収支速報によると、海外との貿易取引や投資収益の状況を示す経常収支の黒字額は、前年度比3・9%増の十八兆九千二百十三億円と、三年連続で過去最高となった。黒字幅の拡大は四年連続。
 海外からの配当や債券利子の受け取りが増え、所得収支の黒字額が30・3%増の十二兆五千六百三十四億円と、二年連続で過去最高となったことが主因。貿易黒字は四年ぶりに減少に転じ、所得収支の黒字額が年度として初めて貿易黒字を上回った。
 輸出が成長をけん引してきた日本経済が、海外への投資の蓄積からも収入を得る構造に転換してきたことを裏付けた。
 所得収支のうち、海外の債券や株式投資から得る利子や配当を示す証券投資収益は、九兆三千五百七十一億円と21・1%増加。日本企業が海外に設立した現地法人から得る配当収入も増えた。
 貿易黒字は27・1%減の九兆五千八百八十八億円。輸出は自動車や鉄鋼が好調で、六十五兆千七百六十二億円と10・8%増えたが、原油価格高騰によって輸入は21・7%増の五十五兆五千八百七十四億円と、輸出を上回る伸びとなり、黒字幅が縮小した。投資収支では、堅調な株式市場の動きを反映し、海外投資家による日本株投資が十五兆五千百六十二億円と、過去最高の流入超になった。三月の単月の経常黒字は、前年同月比32・8%増の二兆三千九百五十一億円となり二カ月連続で黒字幅が拡大した。

京都のパチンコ業者が数十億円の所得隠し

2006年07月01日 | Weblog

 京都市内のパチンコ店経営会社と、別の店を個人経営する同社役員ら3人が、法人や個人の所得計数十億円を隠していたとして、大阪地検特捜部と大阪国税局は18日、合同で同社など数十か所を法人、所得税法違反容疑で捜索した。特捜部などは、売り上げを大幅に除外するなどの手口とみて国税局の強制調査(査察)前の異例の捜索に踏み切った。特捜部はこの日から関係者らの事情聴取も開始しており、今後、隠した所得や脱税額の特定を進める。
 関係者によると、3人はいずれも同社社長の親族で、うち2人は同社の役員。3人とも、別々にパチンコ店を個人経営している。捜索の容疑は、同社は最近の2年間に、実際には十数億円の法人所得がありながら、所得が全くなかったと申告して法人税を納めず、3人も3年間でそれぞれ十数億円から約30億円の個人所得を隠したとされる。
 特捜部と国税局は同社などが保有する資産などから数十億円の所得隠しがあったと判断したとみられる。
 脱税事件は通常、国税当局が査察に入り、脱税の容疑が固まった時点で、検察庁に告発する。しかし、今回は、脱税額が巨額と見込まれるなど特に悪質と判断し、査察前の強制捜査に着手した。今後、押収した帳簿類を詳しく分析する。
 民間信用調査会社によると、同社は1976年設立。最近の売上高は、毎年64億円前後で推移している。
 最近の主な巨額脱税事件としては、京都市の消費者金融会社による約22億円の法人税法違反事件(04年)や大阪府のタクシーグループ会長の約24億円の相続税法違反事件(06年)がある。
(2006年05月19日 読売新聞)

郵貯事業の純利益1兆9000億円、04年度の6割増

2006年07月01日 | Weblog

 日本郵政公社の2005年度決算で、郵便貯金事業の最終的な利益にあたる当期純利益が04年度の約1兆2095億円を約6割上回る約1兆9000億円に達したことが22日わかった。
 03年度決算の約2兆2755億円は下回ったが、大手金融グループの三菱UFJフィナンシャル・グループの06年3月期決算の税引き後利益約1兆1817億円を超えた。郵政公社は民間企業でないため、大手金融グループと単純な比較はできないが、メガバンク級の収益力を持つことが改めて明らかになった。
 郵貯事業の好業績は、金銭の信託運用益、株式運用益が予想を上回ったため。郵貯事業は07年10月の民営化までに貯金残高を現在の約199兆円から約140兆円まで「健全なスリム化」を図ることにしているが、巨額の資金量を背景にした収益力に、民間金融機関は改めて民業圧迫懸念を強めそうだ。
 一方、郵便事業の純利益は前期の約283億円を大幅に下回る約2億円にとどまった。電子メールの普及で通常郵便物数の減少に歯止めがかからなかった。
(2006年5月23日1時43分 読売新聞)

日銀が再び即日オペ、短期金利上昇で1兆5千億円供給

2006年07月01日 | Weblog

 日本銀行は29日、短期金利の上昇を受け、入札日と同じ日に金融機関に資金供給する「即日オペ(公開市場操作)」を行い、短期金融市場に1兆5000億円の大量の資金を供給した。
 個別の金融機関と直接やりとりする方式となった2000年4月以降では最大規模の額となる。日銀は25日にも約1年2か月ぶりに5000億円分の即日オペを行っている。
 日銀が、短期金利の誘導目標としている無担保コール翌日物金利が、この日も朝方から、一時、ゼロ金利政策の事実上の上限である0・1%に達したため、短期金利の上昇を抑制する姿勢を明確にしたとみられる。
 3月に解除した量的緩和策の下では、短期金利は0・001%程度で推移することが多かった。量的緩和策の解除後は上昇傾向にあり、26日の加重平均は0・076%まで上昇していた。

(2006年5月29日12時44分 読売新聞)

自賠責保険、剰余1千億円 「無保険対策」集め過ぎ

2006年06月30日 | Weblog

2006年05月28日06時27分

 交通事故の被害者に賠償する強制加入の自動車損害賠償責任(自賠責)保険で、保険を管理する国の特別会計に1000億円超の資金が余っている。無保険車による事故の被害者らを救済するため徴収している「賦課金」を、特会を運営する国土交通省が集め過ぎてきたためだ。政府は今国会で成立した行政改革推進法で特会を見直す方針だが、非効率な運営の是正が課題になりそうだ。
 自動車保有者が加入を義務づけられている自賠責保険は01年度まで、保険会社が集めた保険料の6割を国が徴収し、自賠責特会(現在の正式名は自動車損害賠償保障事業特別会計)で管理。うち「保険勘定」で保険金の6割を保証していたが、この部分は02年度から保険会社に全面的に任された。それまで同勘定にたまった2兆円近い運用益は02年度以降、保険料の減額や被害者救済事業に使っている。
 だが、これとは別に、無保険車やひき逃げによる事故で保険金が受け取れない被害者に保障金を支払う「保障勘定」の改革は手つかずで、多額の剰余金が残っている。
 保障勘定の06年度予算の歳入は707億円。うち29億円は、自賠責保険料と併せて徴収される70円の賦課金が原資で、659億円は前年度からの繰越金。年間約5000人の被害者に対する保障金など歳出は80億円で、07年度予算へ627億円が繰り越される見通しだ。
 保障勘定には、別に約490億円の剰余金もある。94、95年度に国の税収不足を補うため、「隠れ借金」として保障勘定から一般会計に貸し出した資金だ。返済は財政難から2011年度まで繰り延べされているが、合計で1000億円超が余っている計算だ。
 多額の剰余金の原因は、交通事故の死者が70年の1万6765人をピークに1万人前後に減り、無保険車の事故などの被害者も減ったのに、80年代まで200~400円の賦課金を徴収し、歳入が歳出を大幅に上回ったため。80~90年代前半には年間50億円前後の剰余金が積み上がった。
 国交省は賦課金の徴収額を97年に80円、05年に70円に減らし、現在は年間の歳入が歳出を下回っている。今後、自賠責特会は自動車検査登録特会と統合されるが、多額の剰余金の扱いは未定だ。

年金積立金、総収益は過去最高の9兆8200億円に

2006年06月30日 | Weblog

 国民・厚生年金の保険料を原資とする年金積立金の2005年度の総収益が過去最高の約9兆8200億円に上ることが3日、明らかになった。
 国内外の株高に伴い、単年度の市場運用益が約7兆8600億円と過去最高を記録したのが主たる理由だ。運用益から約8100億円を初めて国庫に納付し、06年度以降の年金給付に充てることにした。
 05年度の運用益の内訳は、国内株式が約6兆3400億円と最も大きかった。次いで外国株式が約2兆3300億円、外国債券が約4800億円で、国内債券は約4800億円のマイナスだった。
 年金積立金は05年度で総額150兆円を超えており、うち100兆円弱が株式や債券の自主運用に回されている。総収益の9兆8200億円は、単年度の運用益に、国の財政投融資資金への預託分の収益(約1兆1500億円)などを加えたものだ。
 株式などでの自主運用は01年度に始まり、過去の単年度運用益は03年度の4兆4306億円が最高だった。不況の影響で01、02年度はいずれも運用損を計上し、特に02年度は3兆608億円のマイナスとなった。このため、02年度は累積の運用損が計6兆717億円に上ったが、03年度以降の運用益により、05年度は逆に累積の運用益が約8兆4600億円に達した。
 03~05年度の実質的な運用利回りは年平均約5・1%で、年金財政の見通しの基準となる年1・1%を大きく上回った結果、年金財政が大幅に改善した。

(2006年6月4日9時53分 読売新聞)

政府系金融、株式会社に・中小公庫など08年10月統合

2006年06月30日 | Weblog

 政府が進める政府系金融機関の改革案の全容が6日、明らかになった。中小企業金融公庫や国民生活金融公庫などを統合する新機関は2008年10月に政府が全額出資する株式会社として発足。会社法に従い、民間企業会計を適用する。有識者で構成する委員会が効率的な経営をしているか監視する。改革案は来年の次期通常国会までに提出する「政策金融改革関連法案」のたたき台となるが、優良企業向け融資などは維持する計画で、民業圧迫の懸念も残りそうだ。
 政府は八つある政府系金融機関について、今国会で成立した行政改革推進法で再編・民営化すると正式に決めた。国民公庫、中小公庫に国際協力銀行の一部を統合して新しい政府系金融機関をつくる一方、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫を民営化するなどの大枠は固まったものの、組織の具体的な中身は決まっておらず、政府内で検討していた。 (07:00) nikkei.net

最大130億円の可能性 村上ファンドの追徴額

2006年06月30日 | Weblog

 村上ファンドによるニッポン放送株のインサイダー取引事件で、ファンド前代表の村上世彰容疑者(46)=証券取引法違反の疑いで逮捕=の有罪が今後確定すれば、証取法の規定により裁判所の判断で最大約130億円が没収や追徴の対象となる可能性がある。村上容疑者はインサイダー情報を得て約99億5000万円で株を購入、売り抜けて30億円を超す利益を得ていたとされ、合算した売却代金全額を「不当利得」とみなされ追徴された判例が多いためだ。
 ただ、過去のインサイダー取引事件では自己資金による犯罪行為がほとんどだったのに対し、今回は投資家から集めた資金を運用する過程での犯罪とされる。形態が大きく異なるだけに、村上容疑者本人やファンド、投資家といった追徴の対象を絞り込むのは難しく、今後の捜査や公判の行方が焦点になりそうだ。

(共同)

国の借金、827兆円 過去最高を更新

2006年06月30日 | Weblog

 財務省が23日発表した06年3月末時点の国の借金の残高は、前年同期比5.8%増の827兆4805億円と過去最高を更新した。赤ちゃんからお年寄りまで含めた国民1人あたりの借金は約647万円となる。地方の借金(約170兆円)と合計するとほぼ1000兆円で、財政の「借金漬け」が一段と進んだ。
 国の借金のうち、国債が7.0%増の670兆5794億円と全体の約8割を占める。金融機関などからの借入金が同0.2%増の59兆2737億円、一時的な資金繰りなどに使われる政府短期証券が同1.6%増の97兆6274億円だった。
 国の借金は右肩上がりで増え続けている。景気低迷による税収減や、社会保障関係費などの歳出増を国債発行で補ってきたためだ。
 こうした借金とは別に、特殊法人の借入金などを国が保証する政府保証債務の残高は3月末時点で同7.7%減の53兆6051億円だった。

厚生年金、実質3兆円赤字  運用益の減少響く

2006年06月30日 | Weblog

 厚生労働省は22日、サラリーマンが加入する厚生年金の2004年度の時価ベースによる財政収支を、社会保障審議会年金数理部会に報告した。2兆3167億円の黒字だが、保険料の一部の運用や給付を代行していた厚生年金基金の代行返上に伴う一時的な移管金収入を差し引くと、実質的に3兆687億円の赤字だった。
03年度の実質黒字は3003億円だったが、04年度は積立金の運用益が前年度比2兆7300億円減だったことが影響した。
 社会保険庁が昨年発表した04年度の簿価ベースでは、2359億円の黒字、移管金収入を除けば5兆1495億円の実質赤字だった。
 加入者数は、雇用環境の回復で37万人増の3249万人となり、一時の減少傾向から脱した。
(共同)
(2006年06月22日 22時32分)

相続税25億円脱税、大阪のタクシー会社元社長を逮捕

2006年03月30日 | Weblog

 タクシー会社などを創業した父親の資産を海外に送金して隠し、相続税約25億円を脱税したとして、大阪地検特捜部は3日午前、長男で「トモエタクシー」(大阪府守口市)の元社長、西井良夫容疑者(61)を相続税法違反容疑で逮捕。大阪国税局と合同で、同社や自宅など8か所を捜索した。
 西井容疑者が隠した相続財産は約50億円と、相続税法違反事件としては過去最高額。追徴税額は重加算税を含め、33億4800万円に上る見通し。
 調べによると、トモエタクシー創業者の理一氏は2002年4月、85歳で死亡したが、西井容疑者は、理一氏が、療養中だった01年から死亡する直前まで、二十数回に分け、理一氏名義の預貯金など総額約50億円をシンガポールの金融機関を経由して、最終的に複数のスイス系金融機関に預け入れて隠したとされる。
 西井容疑者は、理一氏名義で海外に送金しており、これまでの同国税局の調査に対し、「自分が勝手にしたのではなく、父の指示だった」などと説明しているという。
 公示などによると、理一氏の課税対象遺産額は約28億8000万円で、西井容疑者や母親ら3人が計約6億4600万円の相続税を申告したが、西井容疑者は、海外資産分を除いて、国内分だけしか申告していなかったという。
 本来、西井容疑者の相続分は、隠匿した約50億円の一部にとどまるが、特捜部などは、西井容疑者が単独で隠ぺいしていたことから全額を相続分と認定した。
 関係者によると、理一氏は1950年に運送会社を設立。トモエタクシーをはじめ、不動産賃貸、レジャー、ガス販売など多角的な事業展開で「トモエグループ」を作り上げた。系列会社は20社を超えるという。
(2006年3月3日12時22分 読売新聞)

米自動車部品大手デーナが破産法申請、負債総額68億ドル

2006年03月30日 | Weblog

 【ニューヨーク=武類雅典】米自動車部品大手のデーナ(オハイオ州)は3日、ニューヨーク連邦破産裁判所に米連邦破産法11条の適用を申請、会社更生手続きに入った。負債総額は68億ドルの見通しで、米部品業界では昨年秋に破綻した最大手のデルファイ(負債総額約200億ドル)などに続く動き。主要取引先の米自動車大手の販売不振を受けて売り上げが低迷、財務体質も急速に悪化していた。
 デーナは車軸など駆動系部品が主力の独立系部品メーカーで、米フォード・モーターなどが大口取引先。1月に発表した2005年7―9月期の業績は売上高約24億ドルに対し、最終赤字が約13億ドルに達した。利払いや資材の支払いなどに充てる資金を調達できず、破産法申請を決めた。
 対象は米国で、欧州やアジア太平洋など他の地域は含まない。裁判所への提出資料によると、豊田通商やNTN、トヨタ自動車系列の旧光洋精工と旧豊田工機が合併して1月に発足したジェイテクト、曙ブレーキ工業の各米国法人が合計で約2000万ドルの債権を持つ。 (09:36)