国民・厚生年金の保険料を原資とする年金積立金の2005年度の総収益が過去最高の約9兆8200億円に上ることが3日、明らかになった。
国内外の株高に伴い、単年度の市場運用益が約7兆8600億円と過去最高を記録したのが主たる理由だ。運用益から約8100億円を初めて国庫に納付し、06年度以降の年金給付に充てることにした。
05年度の運用益の内訳は、国内株式が約6兆3400億円と最も大きかった。次いで外国株式が約2兆3300億円、外国債券が約4800億円で、国内債券は約4800億円のマイナスだった。
年金積立金は05年度で総額150兆円を超えており、うち100兆円弱が株式や債券の自主運用に回されている。総収益の9兆8200億円は、単年度の運用益に、国の財政投融資資金への預託分の収益(約1兆1500億円)などを加えたものだ。
株式などでの自主運用は01年度に始まり、過去の単年度運用益は03年度の4兆4306億円が最高だった。不況の影響で01、02年度はいずれも運用損を計上し、特に02年度は3兆608億円のマイナスとなった。このため、02年度は累積の運用損が計6兆717億円に上ったが、03年度以降の運用益により、05年度は逆に累積の運用益が約8兆4600億円に達した。
03~05年度の実質的な運用利回りは年平均約5・1%で、年金財政の見通しの基準となる年1・1%を大きく上回った結果、年金財政が大幅に改善した。
(2006年6月4日9時53分 読売新聞)