山崎元の「会社と社会の歩き方」

獨協大学経済学部特任教授の山崎元です。このブログは私が担当する「会社と社会の歩き方」の資料と補足を提供します。

【7月15日】春学期の「会社と社会の歩き方」のまとめ

2010-07-15 01:57:51 | 講義資料
 13回(今回を含まず)にわたって、あれこれお話ししてきましたが、私が、皆さんに是非お伝えしておきたいと思う内容を厳選して要約すると、以下のようなものでした。

★ キャリアプランニングの基本的な考え方

 もちろん、個人によって差がありますが、大まかに言って、会社に就職するビジネスパーソンについて私が考える基本は以下のようなものです。
(1)数年の間に自分の職業分野を選択する(メドとして28歳迄に)。
(2)現実の仕事で立証された人材価値を作る(メドとして35歳迄に)。
(3)人材価値を育てて、維持しつつ、自分に合った働き方を実現する。
(4)「自由」「お金」「時間」が緩やかに交換可能であることを意識する。
(5)自分が社長で自分が従業員の会社を経営するように自分をマネジメントする。

★ 人生には「転職も」ある

 転職は必ずしなければならないというものではないが、転職を選択肢に入れて考えることで、職業人生の自由度と達成可能性は大きく広がる。

 私が考える、転職の3つの目的は以下の通り。

(1)職業スキルの向上のため
(2)より良い仕事の場を得るため
(3)ライフスタイルに合った働き方を実現するため

★ 「副業」を持つことは有力な手段

 就職して直ぐに、でなくてもいいが、会社の仕事以外に稼ぐことが出来る手段を持つことは、経済的安全にも役に立つし、本人のやり甲斐にもつながり、良い効果をもたらすことが多い。
 副業は法的には禁止されていないが、就業規則で禁じる企業が多い(←望ましくない)。状況に応じて、上手に準備し、行う必要がある。

★ 倫理と会社、あるいはお金

 授業でも取り上げた木村剛前日本振興銀行会長が7月14日に逮捕されました。彼は、現段階では容疑を否認しており、法的な立証はこれからですが、現実問題として、彼が「失敗」したのは間違いない。なぜ、このようなことになったのかは、考てみる価値のある問題です。
 推測ですが、私は木村氏が「お金の魔性」と上手く付き合うことが出来なかったのではないかと思っています。

 さて、会社が非倫理的な行動や違法行為を行うことは、実は、よくあります。
 大原則としては、その会社や場に関わった場合「自分の実力に応じて、自分で判断せよ」としか言い様がありませんが、以下のようなことが言えます。

(1)長い目で見ると「悪いこと」は続けられないし、それを続けることが会社全般のためにならないことが多い。但し、会社には、一時的にごまかしが可能ならそれが得になる人がいるし、告発者が幸せになるかどうかは分からない。
(2)価値観に反する仕事は、気分を腐らせるし、そういう仕事に就いていると、いざというときに頑張ることが難しい。お金の損得の問題や生活の問題はあるとしても、仕事に使う資源(自分の時間やプライド)は大きいので、嫌な仕事はしない方が良い。