私の書いた数字が読めねぇと二ヶ月前の伝票を掴んで帳場に怒鳴り込んできたのが、実はこれが同じお客さんで三度目で、毎度ヤクザの親分のような迫力で恐ろしいのだが、今回もいくら謝っても許してもらえず、20分間、私の前を岩のように動かずに睨みつけ、「何も考えてねぇんだろ」「何も感じてねぇんだろ」「もうしないと俺と約束しろ」と罵唐オまくり、その剣幕に誰も割って入れず、やっと解放されても手が震え、声が出せず、隣の先輩がぽんと優しぃに腕を叩いてくれてうっとこみ上げ、ごごごごご、ごめんなさい、ちょっとトイレとベタな言い訳して帳場を飛び出し、そんなに私が悪いのかと自己正当化する呪詛を唱え、ギャオースと怪鳥のごとくトイレの水を流しながら号泣し、しかしもういい年したアラフォーの女がお客さんのクレームごときで泣くだなんてなんて恥ずかしい、なんて醜い、みんな立派な社会人はこんなことはよくあることだろうにと思うと、いかに日々、寛容で心優しき常連さんたちに甘えてノウノウと仕事をしていたかと、弱った犬のように尻尾を垂らしてすごすごと帳場に帰った。
ふと心に浮かんだのは、あのいたいけなイングマル少年のつぶやき。
人工衛星に乗せられたライカ犬を思えば、僕は幸せ。
そうだ、私もライカ犬よりも幸せだ。
ふかふかのえちがそばにいてくれる私は、ライカ犬よりもずっとずうぅーっと幸せだ。
のえちとの幸福な生活のために、私はもっと立派な社会人として精進しなければならない。
句点が少ないのはきっと、今読んでる町田康の影響。
昨日観た映画。
「平成ジレンマ」
とんでもないものを見てしまった。
時に、稀に、何もかもを抜きにして、これはとにかく見るべき作品、見ておかなければいけない作品だというのがある。
本作は、確かにそのひとつであると思う。
ある日の「私の耳はギョーザ」事件。
お客さんが営業男子と話している内容が聞こえてきて、
「えー!自転車でパリに行ったんですか!?」
と口を挟むと、
「電車で鍼に行ったんだよ!」
あっ……。
あほや。
「平成ジレンマ」
とんでもないものを見てしまった。
時に、稀に、何もかもを抜きにして、これはとにかく見るべき作品、見ておかなければいけない作品だというのがある。
本作は、確かにそのひとつであると思う。
ある日の「私の耳はギョーザ」事件。
お客さんが営業男子と話している内容が聞こえてきて、
「えー!自転車でパリに行ったんですか!?」
と口を挟むと、
「電車で鍼に行ったんだよ!」
あっ……。
あほや。
昨日観た映画。
「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」
そうか、嘘つきって……そういうオチ(というかなんというか)かあ。
鈴木卓爾がコワすぎる……。
今回のアマゾンの発注品~
ホンダ先生の新作コミクスと、まだ一度も読んだことがない町田康の作品数点。
彼を見ると私はいまだに町田町蔵と思ってしまうのは、今さらすぎ。
きっと著作を読んでないからだと思ってね。