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イエメンプロジェクト(7) プラントの完成迫る

            

              プラント全景     

               

     

          プラントの完成迫る(予熱・焼成設備)

 

このイエメンプロジェクトは以前ご紹介したように(下記リンク先参照)、イエメン政府が五か年計画の一環として国家予算の1/5を投じて実施に踏み切った国家プロジェクトである。

さて、プラントの建設現場はどうなっているだろうか。建設地はイエメンの首都サヌアから北55km。現地での起工式(リンク先は下記)が終り、工事は順調に進むと思いきや大きなピンチが訪れた。韓国労働者へのビザ発給停止だ。イエメン官庁が自国人を多く雇えとの要求から、韓国人労働者へのビザ発給を差し止めしたのだ。ビザが出ないと、当初予定した韓国労働者が入国できず工事が予定通りできない。解決のため現地所長が連日官庁巡りで奔走。「セメントの早期生産開始」「ナショナルプロジェクト」と訴え、なんとか解決にこぎつけることができた。

建設現場にかかわる人の国籍は11か国、ピーク時の労働者は韓国人450人(土建)、フィリピン人330人(据付)に達した。これにともない一日の米の消費量も10俵(600kg)にも達し、台所をまかなうコックも大変だ。

工事の物量は、機器1万2000トン、鉄骨3500トン、コンクリート3万6000立方メートル。工事内容は原料山の開鉱工事を含むセメント生産設備の外に、深さ200mの井戸5本、発電設備(ディーゼル発電機4基)などが含まれる。

据付工事は現地所長の統括の下、機械工事、電気工事、土建工事、内陸輸送、井戸工事などの日本人スーパーバイザーが夫々の部門の運営に従事し、機器メーカのスペシャリスト(日本人及び西ドイツ人)は自分の担当の機器の調整にあたった。

現地工事の中で特筆すべきは内陸輸送だ(リンク先は下記)。港から建設現場までの290km、海抜2500m以上の目もくらむような山岳道路を、上記の物量全て事故もなく運ぶことは至難の業だった。このため輸送部門のスタッフは事前に、綿密な調査と輸送計画を行った。このおかげで全物量を無事故で輸送することができたことは実に快挙であった。プラントの工事日程確保の陰の立役者だ。

更には、現地の機材、部品の管理だ。日本国内外から送られてきた膨大な数の機器、部品を倉庫にきちんと整理し、現場の要請に応じてタイムリーに引き出すことは据え付け工事を円滑に進める上で極めて重要なことだ。この業務を受け持ってくれたのはフィリピン人のMr.Aだ。彼は地味だが几帳面な性格で機器、部品の管理をほぼ一手に引き受けてやってくれた。彼の存在は大きい。現場工事がスムースに進められた影の立役者がここにもいた。

私はイエメン政府との打ち合わせ出張の折、現場に赴き工事上のペンディング事項(主として契約上の問題点)の解決や、据え付け上のチェックなどにあたった。出張の度に機械設備が少しずつ完成の姿に近づいていくのを見るのは嬉しい。全設備完成の日も間近に迫ってきた。(イエメンプロジェクト(8)に続く)                       

セメントプラントの計画のリンク先はこちら)(起工式のリンク先はこちら)(内陸輸送のリンク先はこちら

 

過去のイエメンプロジェクトのブログはこちらより

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