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デュエット第10 回 四郎をはーリマッド王子に似せる訓練を行いつつヤスラー王国氷船ザイード号はインド洋に。ここで再び船に反乱がおこる。反乱の指導者は。

2020年12月15日 | デュエット(二重走)
デュエット(二重走)■東西冷戦の時代。工員白神四郎の人生が悪夢の中へなだれ落ち落めたのは、 一年前からだ。
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デュエット第10 回 四郎をはーリマッド王子に似せる訓練を行いつつヤスラー王国氷船ザイード号はインド洋に。ここで再び船に反乱がおこる。反乱の指導者は。
 

デュエット(二重走)第10 回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ

合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。

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■「運行できる状態に修復できました」

 シモノフ博士が、四郎に報告にきた。今ヤスラー中東産油王国ヤスラーの

氷船ザイード号は、マラッカ海峡沖で修理中である。

 

「そうか。それでは、早速、出発しよう。赤道近くでいつまでもい

るわけにはいかん」

ジモノフ博士のめがねがキラッとまた光っていた・

 

 太陽光線によっていくぶん溶解したザイード号は、ようやくマラ

ッカ海峡を抜けインド洋に入った。

 

 ■一週間は何事もなく過ぎ去っていく。四郎の学習はすばらしい進

歩を見せる。

 アラビア語、イスラム教、ヤスラー王国の地理など、睡眠学習に

よって、一定のレヘルまで到達した。また整形技術や化粧によりまるで

本物のアラブ人のように微調整が行われた。

 

 

 「アラマド大臣」

 アラマドはハーリマッド王子の声に呼ぱれ、部屋に入る。

 「何か、御用でございますか、ハーリマッド王子殿下。おお、四郎様も

おられましたか」

 四郎と呼ぱれた方の男がアラマド大臣に言った。

 

 「おい、アラマド、私かハーリマッド王子だよ」

 「え、四郎様、御冗談を。が、しかし」

 アラマドは、二人の顔を見比らぺ、頭をかしけている。そしてび

っくりしたように頭をさげた。

 

 「お許し下さい。殿下じいも年を取りました。自分の加主人かわからな

くなるとは、何たる不覚」 `

 アラマドは泣き始めた。

 

「アラマド、泣く事はないぞ。それほど、四郎は私にそっくりにな

ったいう事だ。いい事ではないか。なあ、四郎」

 

「そうです。アラマド大臣、これで私もヤスラー王国へ行っても充

分役目を果たす事ができると思います」

 

 「ありかたい御言葉です」

 アラマド大臣は床にひれ伏した。

 

■ 突然、ザイード号全体が、震動した。爆発音が響いてきた。

 「何事がおこったんだ」

 四郎達は部屋の外へ飛び出した。四郎はこの時はハジム記者の姿

形である。

 

 扉を出たとたん、数人の男達が銃を構えている。船員達だった。

 「ハーリマッド王子、艦橋へあがってていただきましょう」

 

 船員の一人が言った。有無を言わさぬ様子だ。艦橋には、シモノ

フ博士が、悠然と船長席にすわっている。

 

 「博士、これはどういう事だ」

 シモノフは平然と答える。

 

 「簡単な事ですよ。ハーリマッド王子殿下、これは反乱です」

 「反乱。 それにしては、シモノフ君はいやに落ちついているな」

 

 ジモノフは、ニヤリと笑う。

 「それは、この私が、その反乱の指揮者ですからね」

 

 ハーリマッド王子は驚く。

 「何だって、君が」

 「そうです。ハーリマッド王子殿下。このザイード号は、すでにこの私シモノフの手

中にあります。この氷船ザイード号は、マルディブ島に着ける予定です」

 

 「何! マルディブ島。それじゃ、君は一体何を考えているのだ。まさか」

 マルディブ島にはソビエト連邦海軍基地があるのだ。

 

 「そう、私はソビエト連邦KGBエージェントです。それにこの反乱には、ヤス

ラー王国の第二ハーリマッド王子、第四ハーリマッド王子の同意承認を得ているのです」

 

 「ヤスラー王国をソビエト連邦友好国にするつもりか」

 「いえいえ、そんなつもりはありません。お友達になりたいだけで

すよ。それに少しはかりのアラビア半島の自由航行権も入用ではありますが」

 ジモノフはハーリマッド王子を指さして言う。

 

 「それに、ハーリマッド王子、あなたをソ連に御招待いたしますよ。

我々のチェルビヤンスクにある超能力研究所にね。研究の対象者としてね」

 

 シモノフは次に、四郎の方を向く。

 「それに、ハジム記者、いや日本人、白神四郎くん、君もソ運に来

ていただこう。理由はハーリマッド王子と同じだよ。

チェルビヤンスク超能力研究所にご招待する」

 

 「なゼ、俺達の超能力のことがわかったのだ」

 四郎はジモノフに問いただす。

 「マラッカ海峡での、あのはでな行動では、いくら何でも隠すことは

できませんね」

 

 『シンベル少佐、シンベル少佐。至急に艦橋へ。シモノフの反乱だ』

 ハーリマッド王子は、親衛隊コマンドをテレハジーで呼んでいた。

 

 「残念ながら、勇敢なるシンベル少佐はきませんよ」

 ジモノフは笑いながら言う。

 「なぜだ」

 「このシモノフも超能力をもっています。さらに我々が、彼らの食事に毒を混入した。コマンド諸君たちは、全員死亡しています

それにすでに、先行する潜水艦二隻も我々同志の手に陥ちて

います。あきらめてください。ここまで、ごくろうです。殿下」

 

 「ジモノフ 君はいつからソビエト連邦KGBの手先になったのだ」

 ハーリマッド王子が叫んだ。怒りで顔の表情が変っている。

 

 「それはね。昔から、私はソ達人ですよ。が私がジモノフになったのは、あの

氷の球体が発見されたがためですよ。私の本名はアレクサンドロフ少佐です、

殿下、どうぞお見知りおきを」

 

 アレクサンドロフと名のった男は、キザに腰を曲げておじぎをした。

 

「それじて本物のジモノフ博士はどこに」

 アレクサンドロフ少佐はまゆをあげる。

「とっくに、北極の永久氷原の下でおやすみしていますよ」

 

 ザイード号の目の前に、「聖なる剣の先」号と、「アラーの目」号が浮上した。本来

は、二隻とも、海面下でザイード号の護衛に当たるはずだったのだ

が。

 ソビエトのトロール船団が近づいてきて、水船「ザイード号」をとり囲み始

めた。トロール船団はジ速の情報収集船である。

 

 

デュエット(二重走)第10 回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ

合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。

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