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源義経黄金伝説■第32回

2014年08月09日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第32回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所
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第4章 一一八六年 足利の荘・御矢山(みさやま)

   
下野(しもつけ)国足利荘は、奥州平泉から続く奥大道が坂東にはいる陸奥
の国との国境にある。頼朝が平泉を攻めるなら前線基地となるところである。

この場所で、頼朝の命にしたがう坂東の武者たちがあつまり、神事として武
威を見せる祭りは坂東武者への示威を狙っている。
足利荘は、北東部に小高い丘陵地が綱なり、遠く奥州山脈に繋がっている。

その丘のひとつが御矢山(みさやま)であり、武神を祭る御矢神社が、近在
の武士の信仰を集めていた。その山懐の一角が、御祭りを行う、御矢神社競
技所が設けられていた。

この御矢神社御祭りでは、頼朝の命により、近在の所領を持つ地頭、御家人
に輪番で、頭役を命じていた。
御祭り御矢神社競技所には中央に広場があり、石の祠を中心に、長径390メー
トル、短径260メートルの競技場状に作られていて、その周りを、間隔
10メートルの土壇が10段北部斜面に向かって伸び上がっている。

土壇は、御家人各家の桟敷である。その並び方によって、鎌倉に対する忠誠心と権力構造がわかるようになっている。

むろん中央には、源頼朝家族、そして舅の北条時政を中心とする北条家が
とりかこむ。天皇家勅使御桟敷があり、坂東の主な名家が、千葉氏、和田氏
、佐々木氏、梶原氏、足利氏、小山氏等が取り囲んでいる。

御神事が行われた後、武技である、弓戯、相撲が夫々に郎党の参加により行
われている。

有名な神事ゆえ、日本全国から、この祭りを目指して商人たちが集まってい
た。参道には、商人が日本各地の珍しい産品を広げ口上を述べている。白拍
子、道化師、放下師、曲芸師などが、歌を歌い、話芸を行い、面白おかしい
娯楽を、一般庶民にも与えている。

日本の軍旗である長旗(流れ旗)が、各家の家紋や、信仰対象である八幡菩
薩の文字などをあしらい、空風にはためいている。競技場に参加する華やか
な装束の騎射武者があたりを駆け抜けている。

通例祭りは五日間ぶっ通しで行われ、白拍子の舞、猿楽、田楽などが行われ
た後、武芸競技が行われるのである。

 「小笠懸」「相撲(すまい)」「草鹿」「武射」「競馬(くらべうま)」
などが、主な種目であった。このため五千人くらいの人々が、集まる。山
の中の儀式なので、宿泊のための仮小屋が、あちこちの丘上に立てられて
いる。屋根は尾花で葺かれている。

競技場の周りには、弓矢をしつらえた北条家騎馬騎士が警護している。西行
の荷駄隊は、頼朝との約束とうり、この御矢神社御祭りにたどりついている。

黒田の悪党との取引は、矢文とうり、この祭り跡で行われる。

黄金荷駄隊は、この祭りに集まる武家たちとは異彩を放っている。
鎌倉の御家人は、平家を先年滅ぼした勢いのある時期の鎌倉殿の祭りとはい
え、源頼朝は、まだ征夷大将軍の位を、京都の後白河法皇からいただいてい
ない。その源頼朝に、完全に承服はしていないのだ。それゆえ、何かの一大
事に備えて各家の騎射武者を武装させて、待たせている。御祭り会場は、一
種異様な緊張状態であった。

競技場からは、御家人たちの観戦のどよめきが聞こえてきた。その絶え間
ない歓声が、声が津波のように繰り返し、近在の山々にこだましている。

続く2010改訂
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