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アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー第21回●

2015年09月25日 | アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産

アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー第21回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
「マンガ家になる塾」 山田企画事務所
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肉片の端々に機械が混ってキラキラと輝く。
ユニはサイボーグだったのだ。
ゆっくりと臭気の中をユニコーンの肉片が舞い降りていく。

「よくも、ユニを…」
トリニティの眼がまっ赤に燃え上っていた。
 禁断の実を口にほおり込む。もう、やけくそよ

 禁断の実は甘かった。
変な味。気持ちが悪い。

「禁断の実」は、トリニテイの喉の粘膜から、
流動化する。粒子になった流動化記憶データとして、
トリニテイの脳まで流れ込んだ。
 
 トリニテイの脳部位に、空白部分があった。
トリニテイの脳は、まだ完全ではなく、空きがあったのだ。
その場所をそれは占めた。
「あたしは誰なの」食べなきゃ良かった。

トリニティの意識が白濁する。
頭の中が、爆発したようだった。

 『娘よ』頭の中で声がする。
『私はお前の父だ』

 ええっ、どうしたの、私。知らないわよ、そんな事。聞いていない。

『それに、おまえは、配偶者でもあるのだ、私の体は、お前の体のおかげで復活できる』

わかんない。どういうこと。

『お前は運命の道を進んできた。お前はこの生命球を作り尚ねばならぬ。
この腐敗した世界を作り直さねばならぬ』

急にトリニティの自己意識がトリニティの脳から、消える。


 別の生物が心の奥底からうかびあがってきた。
トリニティのからだの細胞が分裂する。
別のDNA情戦闘報が浮かびあがってくる。
トリニティの体が急激に膨張し、姿形が急変する。

「ふふ、ようやく本当の姿をあらわしたな、寂寥王よ」

戦闘16面体は新しいトリニティの姿に対して言った。

 寂寥王が出現していた。

「私に復讐しょうというのか、戦闘16面体。まだそんな過去の事を覚えているのか」
「過去だと、お前のおかげで、我々がこんな姿に変化させられたのを、忘れたとはいわせない」

「そうだ、私が、お前たちの生体構造を書きかえた。その姿の方が動きやすいと思ってな」
「お前のおかげで、我々はこの肉体の牢獄から出ることができないのだ。
我々を元の姿に分解しろ、寂寥王よ」

「分解したければそうしてやる」
寂寥王は手をなぎはらった。
「ぐわっ」戦闘16面体は16個の三角錘にわかれて散らばった。
「さあ、それで、私に対して闘えるというのかね」
「卑怯だぞ。寂寥王、、」

「しかし、寂寥王よ忘れているな。ここは機械城、我々が作ったエリアだ」
16面体の一人が言った。16の生命体の1つだ。
「我々には長い時間があつたのだ。
寂寥王よ、我々のもてる力、もてる時間をもって、この城に仕掛けを作った。
それを充分に味わってもらおうか」

 機械城のあらゆる方向から、ヤリが飛んで来た。
機械ででき、自分で考えるヤリだ。
それは、自分の意志をもち寂寥王のねらうべき一点をついてくる。

すなわち寂寥王の頭である。
16面体の一人一人が自らの脳波を使い、数本のヤリを操る。
一度に脳をハリネズミの様にしようというわけだ。
寂寥王に恨みを持つ16人の考えが一致しなければできない芸当だった。

寂寥王は攻撃の的確さに恐れを抱く。
「貴様ら」寂寥王の怒りの精神波が、それぞれの三角錐を襲う。
巨大な渦の様に、ねめあげる痛みが16面体の全員の意識をフェイドアウトさせた。

同時に、 16のヤリがみごとに、寂寥王の頭を突き破っていた。
寂寥王は一瞬、ゆらゆらと体を動かし、唐突に、フロアに激突する。
寂寥王の体は緩やかに収斂し、口から「黄金のリンゴ」がころがり出てくる。

トリニティの意識が呼び戻されようとしていた。
トリニティの脳部位にい流れ込んでいた機械脳が、
危険を感じ、黄金のリンゴに収斂していた。

(続く)20090501改定
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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