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「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回

2013年11月30日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」


第2回

 正直にいうと実は、「なみだ石」を一つ持っているのだ。

 東京へでてからの僕は人づきあいの悪い人間だった。
特異な風貌、まるで禁欲的な僧侶にみえた。
なみはずれた長身、それにどことなく体から発する毅然たる態度。

 こんな僕でも恋はする。

 その彼女、香月和子(こうつきかずこ)に出会ったのは、去年の十二月。仕事の関係で知り合った。
 彼女の眼をみた僕ははっととする。
同じ種類の入間だ。

 僕は彼女に必死で話しかけ、最後には彼女が同じ頭屋村の出だとわかった。幼ない頃、村を出た僕が知らないはずだった。
彼女と知り合い、それ以後私は彼女にひかれていた。
ずっと昔から彼女を愛しているように思えた。

それからの僕の行動は、あらゆることを投げすて、彼女に会うこと、
それがわびしかった生活をなぐさめる生きる力。

 けれども、彼女にはどこか近づきがたいところがあった。
外見は20才くらいにみえるのだが。
僕と話をすると、僕がたちうちできほいほどの知識をもっていた。
まるで何百年もいきているように感じられた。

「あなたと同じようが寂しい眼をしている人々、この世の中
そう地球といってもいいわ、でやさし過ぎて生きてはいけない人々
をさがし、そんな人達を幸福にみちびいてあげるのが私なの」

 ある時、彼女は私の眼をじっとのぞきこみながらいった。

「でも残念ながら、あなたは私達の仲間にはなれない」
「仲間だって」
「そう仲間よ。一緒に長い旅にてる仲間」

「旅?」
「私達、旅立つ日が近づいている」
 彼女はさびしそく言う。
「二度と、、、
「会えなくなる」
「そんな」

「悲しい?。そう、、これをあげる」
 彼女が僕にわたしてくれたのは、ちっぽけな石。
「これは何」

 僕は立ちあがった彼女を見上げながらたずねた。
「なみだ石」

 彼女は去っていった。
「なみだ石」 僕はつぶやく。

きらきら光るそのなみだ石をじっとながめる。
彼女のあとは追いかけなかった。
 なみだ石、

聞いたことがある。その時はっきり思いだせなかった。

そうだ、ときずいた僕はさっそく下宿にとんでかえる
。もう一度、なみだ岩伝説の事を読みかえす。

 そして、決心した。涙岩をみよう。
ふるさとへ帰ろう、、と。

(続く)20090501改定
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」


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